2020/08/08 のログ
ヒメ >  
「『罪と罰を司る者』。なるほど、合点がいったのじゃ。
 そうでないがゆえに、シュウは世を見逃し、
 そうであるがゆえに、エイジは世を正そうというわけじゃな。」

なるほど、『法』に近いものであれば当然の行い。
勤勉なる者といえる。
そういうことだったか。

……しかし、それが罪を問われて連れて行かれていた、とはやや滑稽では有るが。
あの件については、自分の不見識のせいもあるから仕方ないか。
いや、逆にあの一件でこの男の名誉や立場を傷つけた、ということもあろうか。

「……ふむ、エイジよ。
 その件、先に言うておけばよかったのじゃ。回りくどいヤツじゃな。
 まあよい。エイジの誠意はよくわかったのじゃ。」

真に自らの世界を想い、真に自分のことを想ったからこその行動。
それに否やを叩きつけるほど、皇は愚かではない。

「エイジ、世はその提案を飲むことにするのじゃ。
 あの"馬"とやらの相棒のヒトに謝罪する。
 うむ、世に帯同するのじゃ。」

そこまでいってから、ふと首を傾げる。

「『法』については、よいのか?
 謝罪だけで償われるもの、と考えてよいのじゃろうか。」

どうも、システムがわからない。
細かいのかいい加減なのか……

「……あと、じゃな。
 シュウにも言ったのじゃが、素で喋るがよい。
 見下すようなモノは万死に値するが、為政者たるもの気安さの一つも持たねばならんと思うのじゃ」

最後に付け足した。

山本 英治 >  
「正そう……なんて大それたことは俺にはできませんよ」
「俺にできるのは、人に自分の意見を言うことだけです」

目を細めて、空を仰いだ。
相変わらずのヒデェ青空だ。あんなもん大嫌いだ。
だけど、まぁ……今日はそう悪くもない。

「ありがとうござ………」

礼を言おうとして、途中で素で喋れと言われて口を両手で押さえて笑う。

「ありがとう、ヒメ」
「法に関しては色々あるけど、ヒメの態度次第だ」
「感情でこの世界の司法に対する訴えを取り下げることもあるのが人間だからな」

もちろん、これはただの希望的なものの見方だ、と付け足して。

「さ、良い方に舵を切ったヒメには、なんか景気づけがいるな」
「俺にできる範囲でなんか言ってくれよ」
「普通のメシくらいなら奢れる、あとは生活委員会に友達がいるから寝床の確保とか」

「あちーからさ、どっかで冷たいものでも飲みながら話そうか」

額の汗を拭う。輝さんからもらった護符だけじゃ凌ぎきれないものもある。
まずは、警邏中にあったことを報告して、それから。

…これからだ。何もかも。これからなんだ。

ヒメ >  
「エイジ。貴様、賢しいが愚かじゃな?
 生など、結局は我の張り合いの場じゃ。
 其の中で貴様が自らの意見を言うのであれば、それは貴様の求める『正しさ』を張っているのじゃろう?
 ならばまずは誇れ、貴様の『正しさ』を!
 貴様が貴様の『正しさ』を誇らぬでどうするのじゃ。」

呆れたように口にする。

「無論、貴様の『正しさ』が結果的に過ちであることもあるじゃろう。
 それを何と意味付けるかは……それは、貴様次第じゃ。
 しょせん、生は『できごと』の連続に過ぎぬ。
 そこには純然たる『事実』があるのみ。悪い結果が全て『悪』とも限らぬのじゃ。
 いま、世が学んだようにな?」

長々とした講釈を、腰に手を当てドヤ顔で語る。
結局は自分の失敗が事例になっている辺り、言い訳に聞こえなくもない。

「まあ、世もこれからじゃな。
 まずは謝罪をすませる。
 そして、この世界を学ぶ。
 どうにもこのヒトの世界は『法』も『それ以外』も、
 ヒトに相応しく矮小でごちゃごちゃとしているようじゃ。
 なんとなれば、世が正さねばならぬな」

からからと呵々大笑する。
満足げな笑い。

「飯、か……ふむ。先程の実を食したのみじゃからな。
 うむ、よい。エイジ。
 どこか良いところへ案内するがよいのじゃ」

皇はそういって丸投げで案内させようとする。

山本 英治 >  
「……俺の、正しさ………」
「はは、そうだな、ヒメ。その通りだ」
「俺は俺の正しさに納得していなかったんだな?」

表情を歪めて、笑った。
全く、ヒデェ青空に最低の神様がいるこの世界でも。
まぁまぁの出来事は結構起きるもんだ。

「ああ、ああ。ヒメにはヒメの正しさがあるもんな」

それを誇れる彼女は。
見た目よりもずっと大きな……そう、正しく龍だった。

「最近、人の手で完全な形での畜産が成された鮭豚っていう家畜の料理を出す店を知っててな?」
「それがスンゲェ美味い割にリーズナ……金をあんまり払わなくて結構な量が食えるんだ」

「混む前に行こうぜ、ヒメ。俺のイチオシの店だからさ」

自分の正しさを誇る。そんなこともできなくなった俺の性根は。
確かに“正された”のだった。

ヒメ >  
英治の応えは……もう彼自身のものだ。
特に皇からなにか告げるものはもう無い。
ゆえに、あと必要なものは……

「ほう、面白そうなものじゃな。
 よい、すぐに往くのじゃ!」

はしゃいで見せる姿は、まるで見た目相応。

二人は揃って鮭豚を食べに行った。

ご案内:「異邦人街」から山本 英治さんが去りました。
ご案内:「異邦人街」からヒメさんが去りました。