2020/10/09 のログ
ご案内:「異邦人街仕掛け道具屋『ストゥーキャシー・エクスプシフ』」にジーン・L・Jさんが現れました。
ジーン・L・J > 一体何をしているんだろう、もう何度目かわからない問いを呟きながら煙草を吸う。
武器を探していた。うん、それは確か。私は魔力から物質を作ることが出来る、でもそれは構造から構成要素まで完全に頭に叩き込んだものだけ、そうでなければ魔力で作った張りぼてにしかならない。
つまり何か新しい物を作りたければ実物を手に入れる必要がある。
そこで足が向いたのが異邦人街、問題がないとはわかっていても市街地で武器を買うのは気が引けた。
商店街をぶらついていると、突然小さく半透明な人型の何かに髪を引っ張られて、絵の具の塊をぶちまけたような前衛的な看板の店に連れ込まれた。

ジーン・L・J > そしてエプロンや顔のあちこちに絵の具やら油汚れやらを染み付かせた店主らしき耳の長い女性に一方的に話をまくしたてられ、言われるままに武器を見せたら大興奮、構造を見たいというので渡すと客だというのに店番を頼まれて工房らしきカウンターの扉へ引っ込んでしまった。
そして自分は手持ち無沙汰になって本来の目的である変わったナイフを求めて店内をうろうろしている、というわけだ。
店には自分以外に客も店員も居ない、正確には人間はいない。代わりに小さな光る人型の何かが自分と同じく暇そうに宙に浮いてうろうろしている。
店主が常にあの調子だとしたらまともな人間は二度と近寄らなくなるだろうことはわかる。

ご案内:「異邦人街仕掛け道具屋『ストゥーキャシー・エクスプシフ』」に日下 葵さんが現れました。
日下 葵 > 先日、訓練施設での乱痴気騒ぎ。
そしてまた別日には裏常世渋谷に呑まれて死にかけて。

数日の間にいろいろとやらかした結果、
謹慎処分と休暇を兼ねて仕事がなくなった。

「せっかくですから異邦人街に繰り出しますか」

何て言って普段警邏でしか来ない街へ。
転移魔法の改善ができそうな、そういう魔術を使えそうな、
そんな店や人を見つけられればいいな、なんて期待を込めて。


「ここは武器屋ですか。武器は間に合ってますからねえ」

通りに並ぶ店を一つ一つ見て、今日は関係ないな、と素通りする。
しかし、今通りかかった店。
――店主?店員? 見たことあるぞ今の人。

見覚えのある姿に、足の向きをくるりと翻して店をのぞいてみた>

ジーン・L・J > 店内をぶらついていると一本のナイフに目が留まる、というか留めさせられる。自分を店に引っ張り込んだ小さい人型がこれこれ、と一本のナイフを指差している。
柄も刀身もつや消しの黒で塗られ、僅かに刃だけが銀色に光るそれは、普通のナイフに比べてアンバランスとも思えるほど刃が長い。最も目を引くのは僅かに違う形をした二枚の刃が一つの柄から重なるように伸びている。傷口を複雑に切り刻むための工夫だろうか。

持ってみようと手を伸ばすと、視線を感じる。この店に入って店主以外の人間から向けられた初めての視線、そちらを振り向けば、先日殺し合って風紀委員に目をつけられる原因となった愛しの君。

にこやかに顔の横で控えめに手を振って、『全力開店中』と荒々しい書体で書かれた看板を指差した。

日下 葵 > 「え、入れってことです?」

彼女がこちらの視線に気づいて指さしたのは『全力開店中』の看板。
なんて彼女がここにいるのだろう。
この店の店主……のようには見えないが。

「よいしょっと。失礼しますよ~。
 奇遇ですねえ、ここはジーンさんのお店なんですか?」

看板の勢いに負けて、店の戸を押して開いた。
そこにいたのはやはり、先日訓練施設で手合わせをしてくれた彼女だった。>

ジーン・L・J > コツ、コツとヒールを鳴らしてながら歩き、入り口で礼をして迎え入れる。
「やぁ、いらっしゃい、ミズ・日下。本当に奇遇だね、けどここは私の店じゃないよ。店主は奥で私の武器を弄くり回してる。その間店番を頼まれてさ。暇だから話し相手にでもなってくれないかな、あるいは何か買ってもいいんじゃない?」
何があるのか私も知らないんだけど、と手を宙でふらふらと振る。
正直言って店のことはどうでもいいのだ、先程初めて入ったばかりなのだから。

「確か得物はナイフなんだよね?私は次やる時君に合わせようと思って探してるんだ。」
と丁度さっきまで歩いていたナイフが並ぶ棚へ向かう。
酷く凶悪な形をした三叉に分かれたものや、どんな機構が仕込まれてるのかボタンがついたもの、螺旋状の刃をしたものや一つとして普通のナイフはない。

日下 葵 > 「ああ、なるほど?
 何となくジーンさんのお店っぽくはないなぁと思ってたんですよ」

武器屋ではまずされないような出迎え方をする彼女に、くすくすと笑う。
まるで帰ってきた家主とそれを迎え入れるメイド
――いや、彼女の服装的には執事?
のようだった。
店番を頼まれている、と聞けば納得したようにうなずいて、店の中を一瞥する。
色とりどりに並ぶ奇怪なナイフがずらりと並ぶ様子は圧巻だった。

「はい、私の得物はナイフですね。
 あの時は持ち合わせていませんでしたけど、今日はここにほら」

得物の話になれば、振り向いて彼女に背を向ける。
たくし上げるようにパーカーの裾をめくると、
腰に巻かれたナイフホルダーに二本のコンバットナイフが収められていた。

「いいですねえ。
 私はもっぱら近接戦闘ばかりですから、
 これくらいのリーチの武器が好きなんですよ」

なにか目ぼしいナイフはありましたか?
様々な形のナイフを眺めながら、そんな問いを投げかけてみようか>

ジーン・L・J > 「だろうね、本来の店主はとても変わった…」ガシャン!ガシャン!ガン!!ガン!!
ジーンの言葉を遮るようにカウンターの奥から金属の機構が動く音とぶっ叩く音が響く。

興奮した声 > 『フォーミダブール!!』
ジーン・L・J > 「ああいう人だよ、私の得物を見た途端持ってっちゃってさ。」
携帯灰皿にくわえたままだった煙草の灰を落とし、ため息をつく。

「コンバットナイフ、信頼性を重視した頑丈かつシンプルな作りだね。となるとこの店のは君の好みじゃないかな。」
ここにあるのは武器も道具も少なくとも2つ3つは機能や機構を備えた変わり種ばかり。それが一通り見て回ったジーンの感想だ。
自分の好みを聞かれれば、先程手を伸ばそうとしたアンバランスに長い二つの刃を持つ黒いナイフを手にとって。
「これが気になってね。一つの柄に微妙にずれた形の二つの刃、これで切ったら傷口はズタズタだろうね。真っ二つより再生に時間もかかるかな?」
薄い笑みを崩さぬまま、面と向かってお前に使うつもりだと告げてみる。そのためにナイフを探していたのだ。相手の得意なレンジでお互いを切り合いながら楽しく遊べるように。

日下 葵 > 「はぁ、何となく変わった方なんだろうなっていうのは伝わりました」

そして店番も半ば強引に任されたんだろうな、なんてことも察した。
得物を持っていかれたのなら待つほかあるまい。

「そうですね。私はシンプルで頑丈なつくりのナイフが好きです。
 私が回復したときに得物が折れていたんじゃあお話になりませんから」

ヘラヘラと笑ってパーカーの裾を降ろせば、
ナイフは目立たないように隠れてしまう。

「これはまた趣味の悪い武器を選びましたねえ?
 でもこのナイフの方が治りは早いかもしれません」

傷を整形しづらいように二枚の刃を持ったナイフ。
普通の人間相手なら致命的だが、
私に対しての使用に限った話をすれば、些かこちらに分があった。

私の異能は細胞が破壊されて初めて働く。
だから傷はズタズタにされた方が早く治るのだ。

「でも、そうですねえ。
 切られた時の感触なら、そのナイフの方が良いかもしれません」

どう考えても痛々しい傷を作るであろうナイフ。
普通の人間ならおぞましいと感じるところだろうが、
私にはとても素敵な形状に見えた>

ジーン・L・J > またため息めいて紫煙を顔を背けて吐いて同意を示す。

「確かに、君の強みは戦い続けられることだ。武器のほうが先に音を上げちゃしょうがない、か。」
連撃からの短期決戦を目指す自分とは対称的だ。四肢を落とされた程度で止まらないのは同じだが、それは被害を厭わず殺される前に殺すのが目的。
そして、治癒を遅らせる目論見が外れると、微かに眉を上げて驚いたように。
「おや、意外だな。となると再生のプロセスが違うのか、楽しんでくれるのはいいけど負けたくはないなぁ…。」
さてどっちを取るか、と手の中でナイフを回したり見る角度を変えたりと弄っていると、カチン、と音がしてナイフの柄が二つに割れ、二本のナイフへと姿を変えた。

「おっと、やっぱり変わり種だなぁここの品は。これなら丁度お揃いだね。」
それぞれ一本ずつを両手に持つ。艶消しの黒で塗られた刀身と柄、そこだけ塗り残された白く光る刃はモノクロ世界の住民のような禁書にはよく似合って見えるだろう。

日下 葵 > 「そんなに残念そうにしないでくださいよ」

私の身体はそんな単純じゃないんですから。
そういってニコニコと笑顔を向ける。

「そう、私の強みは戦い続けられること、
 そして人的資源を気にしなくていいくらい使いまわせることです」

だから武器が先にダメになってしまってはお話にならない。

「楽しめればいいじゃあないですか。
 それとも、手合わせをする以上はやはり勝ち負けには拘りだかったり?」

彼女が持っていたナイフが2本にわかれると、
ちょっと驚いたように眺める。
なかなか面白いギミックだ。見ている分には退屈しない。

「そうですねえ、それだとお揃いですねえ。
 ジーンさんは両手ナイフもイケるクチで?」

艶消し加工で黒く塗装され、刃だけが銀白のナイフ。
そのコントラストは、スーツの彼女にはよく似合っていた>

ジーン・L・J > 「だって突破口が見えたと思ったら違うどころか逆効果だったんだよ、ちょっと凹むさ。
勝つのが全てってわけじゃあないけど、やるからには勝ちたいじゃないか。
楽しく遊ぶのは大事だけど、目的もなく互いを切り刻むだけってのはちょっとねぇ…。」
軽く両手にナイフを持ったまま跳ねる。コツン、とヒールが音を立てた。重さは二分割されると普通のナイフより少し重い程度。一本の状態だと鉈のような重量で叩き切ることも出来る、といった具合か。

「風紀委員は人手不足って噂を聞いたよ、君みたいに戦闘能力と継戦能力を兼ね備えた存在は貴重なんだろうね。」
殺し合いに求められる人材の第一項は死なないことだ、失敗しても負けても死ななければ次がある、逆にいくら強くても死んだらそこで終わりだ。
そこに行くと誰がどんな能力を持っているかわからないこの島の人間相手に戦うにはうってつけだろう。
「私もね、似たような境遇だったよ。禁書だから死ににくい、死んでも著者が無事なら複製を作れる。だから都合よくこき使われてた、もちろん人間ではなく獣を相手にね。」

少し後ろに下がって、軽く二刀のナイフを振るう、その動きは踊るように淀みなく流れ、そして普通の人間が相手ならば重要な血管や臓器を切り刻まれているであろう致命打を次々と放っていく。
それが質問の答えになるだろう。もちろん、イケるクチ。

日下 葵 > 「えへへ、いいじゃあないですか。
 まだ楽しめるってことでしょう?私の身体」

どうやったら傷の治りが遅いのか。
どうやったら致命傷になるのか。
探ってほしい。今のところそれを知るのは私のかつての師だけ。
一つ一つ確かめてほしい。

「まぁ確かに、単機でそこそこ火力を出せる委員は限られていますからね。
 大半の委員は街の警邏をするくらいなもので、
 落第街とか、あの辺を回れる委員はまだまだ少ないのが現状です」

だから私の様に”しぶとい奴”が重宝される。

「おや、ジーンさんもそういう立ち位置だったんですねえ?
 今はその獣狩りとやらはやっているんです?」

何となく彼女とは同類、とまではいかないものの、
何となく似ている部分があると思っていた。
戦い方が似ていたせいかもしれない。
そんな話を聞くと、少し興味深そうに聞いてみる。

「さすが、ナイフのような切れ物もお手の物ですか。
 いやぁこれは負けていられませんねえ?」

まるで舞の様にナイフを振るう姿。
それを目の当たりにすると、なるほど彼女もナイフ戦はイケるクチかと納得した。
間違いなくその振り方は相手に致命傷を与えるものだ。
ナイフを得物にしているからこそわかる、
彼女がその動きでどこを切り刻もうとしているのか>