2020/10/10 のログ
■ジーン・L・J > 「まるで解剖してもらいたいって感じだね?じゃあまた今度手合わせ、お願いできるかな。邪魔が入らないところで、さ。
この前から君のことが頭から離れないのさ、ハニー。どうすれば君を倒せるか、それで私の頭はいっぱいだよ。もちろん、どうすればオトせるかも思索してるよ。」
ハイヒールを含めると10cm以上高いジーンの頭が喉元を狙う獣のように下側から相手の顔に近づき、牙を見せる笑みを浮かべる。
2つの意味で攻略対象として、機を伺っている。
「確かに、落第街を風紀委員が警邏する。不意打ち、包囲、初見殺し、あらゆる不利がありえる状況で戦える人材はそう多くないだろうね。君にとってはびっくり箱みたいで楽しいかも知れないけど。」
異能のことも考えるとその危険性は計り知れない。それをこなせる上で楽しめるのは、一握りの存在だろう、目の前の彼女と自分のような。
ナイフの演舞を終えると、笑って褒め言葉に応える。そして
「私は今も狩人のつもりだからね、獣を見つけたら狩るさ。でもまだ見つからないんだ、一人で探してるからね。でもこればかりは他人を頼れない。」
チャキン、と2つに分かれたナイフを一つに戻し、片手に握る。ギリギリと柄が純白の手に締め付けられる。薄い笑みを浮かべたままだが、その内に何かが渦巻いているのが伝わるかも知れない。
「何せその獣は、私にしか見えないんだ。」
額面通りに受け取れば狂人の妄想と片付けてしまえそうな言葉。なんでもないように言う口調はこれまで幾度もこの言葉が理解されずに来たことを伺わせるかもしれない。
■日下 葵 > 「うん?私はね、この身を、全力で鍛えて用意に用意を重ねたこの身を、
打ち倒してくれる存在を渇望しているだけですよ。
ええ、ぜひぜひ!また手合わせをお願いします」
なんなら、本当に殺してもらうつもりで、
冗談めかしていった言葉だが、どこか本気の色が混じっている。
不死と呼ばれる存在が死なないように準備を重ねて、
訓練をして、全力で戦う。
普通に考えて負けっこない状況で、そのうえでこの身を葬ってくれるような存在。
そんな存在を待ち焦がれている。
決して死ぬことを望んでいるわけじゃない。むしろ死にたくない。
でも、諦めざるを得ないような状況を、渇望している。
「手合わせ、もとい戦闘だったら割といい勝負じゃあないですか?
むしろ前回は私が事実上の戦闘不能状態でしたし。
手合わせならもう少しで私は堕ちそうですが、心の方はどうでしょう?
私としてはそちらも楽しみではあるんですけど」
動かない状態で抱き留められたのを、負けと言わなくて何と呼ぼう。
あの時の状況はまさにそういう状況だった。
無論、心が揺らぐようなことはまだない。
彼女は今のところ楽しく、それでいて本気で武器を振るってくれる同族だ。
「ええ、その水準まで訓練を積める者、
あるいはそんな状況を許さないほどの者、
いずれにせよ数は少ないですねえ」
私はそういう状況を楽しめる者ですけど、なんて冗談を言って見せるが、
あながち間違っていないのがまた売りだったりする。
「禁書――書籍なのに狩人とはまたジーンさんも不思議な人ですねえ?
その獣とやら、私も対峙してみたいものです。
――って、あら。ジーンさんにしか見えないんです?」
私にしか見えない、その言葉を聞くと少し残念そうに肩を落とす。
はて、どんな事情なのだろうかと、そんな疑問の色を浮かべた視線は、
ナイフを持つ彼女の手に向けられている。>
■ジーン・L・J > 「なるほど、君は異能も含めて、全てを使い果たして、その上で負けてみたい。これは難しい願いだね。この間の負け方を決めた戦いじゃあない、本当の本気の殺し合いになる。
そうなると他の勝利目標があるならまだしも、単純に君に勝つのは不可能に近いな、消耗戦に持ち込むしかないのに、君は殆ど消耗しないんだから。
一対一での殺し合いで相手は秒単位で再生し続ける、ルールを根底から覆す能力だ。この間は引き分けに乗ってくれたから終わったけど、あのまま続けてたら再生した君に無力化されていただろうね。
私の再生は時間がかかる、その隙を与えなければ君の勝ちだ。それに再生できない部位もある、そこを突いても君の勝ち。」
いい勝負、という言葉には首を振って否定する。唐突なラブロマンスに持ち込んで闘争の空気を削いだからあそこで終わったのだ。作戦勝ちかもしれないが、殺し合いには勝っていない。
「心の方もまだまだだね、だってほら、結局あのあと君の趣味も好きな店も聞けてないだろう?君が殺し合いを好きなのは痛いほど、文字通り痛いほど伝わったけどね。聞けたのは風紀委員さんたちのお説教。」
冗談めかしてクスクスと笑い声を漏らす。結局の所進展無しということだ。
拒絶の言葉が出なければ、ナイフを握る手の力は弱まり。空いた手を煙草にやって深く吸い込む。フィルター近くまで灰にしてから携帯灰皿に押し込み、紫煙を横、棚のない通気孔のある壁に向けて吐く。
「呆れないのかな、私の経験上、今後のお付き合いを考え直されるような言葉だったと思うんだけど、今の。
文字通り私にしか、正確に言えば"月の狩人"にしか視認できない"満月の獣"という存在を追っている。でも今の所島では月の狩人も満月の獣も確認出来てない、そして今までそういった存在と財団や他の組織が接触したという情報も、私が調べた限りでは存在しなかった。
そうなるともうわからない、私の狩人としての記憶が全くの嘘で、誰かの妄想を元に作られたフィクションかもしれない。」
二本目の煙草をくわえる。指を弾くと電光が煙草の先端に走り、火が点いた。
■日下 葵 > 「ええ、私の生涯を通しての願いはそんなところです。
絶対に『あいつは手を抜いて、油断したから死んだ』なんて言われたくない。
だから、手合わせでも、実戦でも、準備をして臨みたい」
とはいえ意図しない形で戦闘に巻き込まれて死にかけることも珍しくないが。
少なくとも風紀委員として現場に赴くのなら、全力で戦いたい。
だから、命の危険に直面したときの余裕のない人間の様子に惹かれる。
「消耗はしますとも。
回復できない傷も負いますし、どうやったら死ぬのかもわかっています。
だから私を落とすつもりなら、
準備も、殺す方法も含めて全力で来てほしいんです」
どうやったら死んでしまうのかは、己の口から教えることはないだろう。
だから試行錯誤して欲しい。
それくらい、私に全力になってほしい。
それくらい全力できてくれたなら、きっと心も揺らぐから。
「ちょっとわがままが過ぎますかね?
でもそれくらいの相手じゃないと、
きっと私のわがままについてこれないでしょうから」
「あれは本当にタイミングが悪かったですねえ?
結局ご飯にも行けませんでしたし。
――もしよければこの後ご飯にでも行きますか?」
あの時の高揚は薄れてしまったが、改めて落ち着いて話すのもいいだろう。
「そうですか?私はあまり気にしませんけど。
だってこの島、普通が何なのかわからなくなるくらい、
おかしい人が多いんですから。
今更ですよ今更。
そんなこと言ったら私は傍から見ればただの戦闘狂ですから」
彼女が二本目の煙草を咥えると、
それにつられるようにこちらもポケットから煙草を取り出す。
トントン、と叩いて器用に一本取り出すと、口に咥えて火をつけた。
「もし今の話がフィクションだっとして、誰も困りませんから。
だから気にする必要なんてありませんし、
私はそのフィクションを聞かせてもらって、楽しむだけです」
紫煙を吐き出すと、笑顔でそんなことを言って見せた>
■ジーン・L・J > 「なるほど、君の在り方は戦士のようだね。仕事は兵士じみてるけど兵士じゃない、兵士は命令のために死ぬ。戦士が死ぬのは誇りのためだ、そんな人にこんな時代で出くわすとは思わなかったなぁ。しかも、見た目通りの年齢なら10代後半ってとこだろう?
そんな境地に至るには何があったのか気になるけど、直接答えを聞きたくないな、君をじっくりと知っていく上で理解したい。」
コツ、コツ、と靴音を立てながら周囲を歩き回る。段々と近づき、すぐそばに立つ。
「なら君を殺す術を考えよう、私の知識を、技術を、戦術を、身体と精神の全てを使って、君を殺そうとする。でも殺さない、君が殺されると本気で思い、命の危機が間一髪迫るまで追い詰めよう、そうしたら認めてくれるかい?ハニー。」
至近距離に顔を近づけて笑う。先程も見せた牙を剥き出した獰猛な笑み。
「君のことは好きだし、全力で向かってきてもらいたいというのもわかる、だから私も君に応えたい。振り向いてもらうために殺そうとするなんて、普通じゃないけどね。」
すぐに冗談めかした笑いに戻って。顔を引っ込める。数歩下がって、元の距離に戻った。
「私の面接をした入学課と図書委員の人はそう思ってくれなかったみたいでね。随分事実確認をされたよ、認知症検査や精神鑑定紛いのこともされたんで、少しこの話題に関しておセンチになってしまったよ。
私のアイデンティティの根幹にもなっているからね。捏造された記憶と思ってはいないけど、疑われるは少し辛かったね。」
トントンと煙草の灰を携帯灰皿に落とすと。
■興奮した声 > 『素晴らしかったわ!ありがとう!人間を相手にするには過剰過ぎる切れ味と鋸のサイズ!常人には扱いづらい重量!曲刀と戦鎌に合体変形する上に石突を戦槌にする欲張り過ぎる設計機構!とっても参考になったわ!明日はホームランよ!!』
■ジーン・L・J > 紅潮した顔でジーンの武器を抱えた店主が戻ってきた。
「それはどうも……あー、こちらを頂きたいんですが…。」
先程から弄んでいたナイフを見せると、良いもの見せてもらったからタダ!とか割引!とは行かず普通に値札分のお金を要求された。
「…………。」
微妙な顔で鞘に収めたナイフをベルトに挟むと、預けていた刈り取りを魔力に戻して消す。
「じゃあご飯行こうか、ミズ・日下。できればあんまり高くないとこだと嬉しいな……。」
いくらか薄くなった財布をジャケットの内ポケットに収めながら、寂しそうに呟いた。
■日下 葵 > 「戦士ですか?私が?」
戦士。初めてそんなことを言われた。
私は、私自身を”兵器”だとおもっていたから。
扱いに困る、手に余る、でも使い方次第でとても都合がいい、そんな兵器。
だというのに、戦士と来た。
「ええ、ええ。そうしてください。
いつかそんな日が来ると信じています」
どれだけ準備しても、どれだけ鍛えても、死を免れない。
そんな気持ちを味わえばきっと――
――この歪さに、感情の欠如に、何か変化があるだろうから。
目と鼻の先、そんな距離で牙のような犬歯をむき出しにして笑う彼女。
その牙がいつか、私の首を噛みちぎってくれるなら……
そんな期待に胸が膨らんで、ゾクゾクする。
「それでこそ燃えるというものです。わたしも、全力で相手になりましょう。
それがどんなに歪でも、お互いの気持ちに嘘がないならそれでいいんです」
「そうだったんですね。
いやー、そんなの大した問題のようには思えないんですけどねえ?」
居るかいないかわからない神を信仰して、
実際にあったかどうかも定かじゃない聖書を読んで行動する人が居る中で、
彼女の獣の話の何が問題なのか。
理解できないのはむしろそこだった。
本当かどうかなんて些細なことじゃないか、と。
そんな話をしていると、煙草の葉が燃え尽きてフィルターを焦がし始めた。
その吸い殻を手で握りつぶせば、自分の携帯灰皿に放り込む。
すると店の奥から店主らしき人が興奮気味に登場したのを見て苦笑い。
「ふふ、店番のお代は私との会話、ってことですかね?
私も最近はあまりお仕事してなくてお財布がさみしいので。
でも安くておいしいお店も知ってますから安心してください?」
随分と軽くなった財布を収める彼女を見て、楽しそうに言えば店をでる。
そこから案内するのは警邏の時に通りかかるカフェ。
ちょっとしたランチをお供に、もう少しだけ話に花を咲かせようじゃないか。
そんな様子で彼女を連れていくのだった>
ご案内:「異邦人街仕掛け道具屋『ストゥーキャシー・エクスプシフ』」から日下 葵さんが去りました。
ご案内:「異邦人街仕掛け道具屋『ストゥーキャシー・エクスプシフ』」からジーン・L・Jさんが去りました。