2020/10/20 のログ
ご案内:「異邦人街」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
修道院で無様な醜態を晒した翌日。
風紀委員会には『異能の諸問題が落ち着く迄休養したい』との連絡を入れた。
学園にも、体調不良で数日休む旨を連絡した。
昨日は修道院の世話になると言ったものの、近々家に戻らなければならないだろう。
何時までも修道院の世話になる訳にもいかないし、そもそも自宅があるのに世話になるというのも妙な話ではあるし。
着替えやら何やらを考えれば、本来"恵まれた"立場である己が修道院の世話になる訳にもいかないだろう。

「――…このじかん。ふだんなにしてたっけ」

さて、多種多様な種族で賑わう異邦人街の片隅。
誰が置いていったか分からない、路上に放置された椅子に腰掛けてぼんやりと煙草を蒸かしていた。

身を預ける度に軋む椅子。
漆喰が所々欠け落ちた住居。
遠くに聞こえる賑やかな声。
秋も深まって、弱々しくなった昼下がりの陽光。

全てが己を受け入れている様で、全てに拒絶されている様な。
ぷかり、と吐き出した甘ったるい紫煙が、青空へと吸い込まれていく。

神代理央 >  
本庁の質素ながら重々しい雰囲気の執務室が。
硝煙と金属の匂いを纏わせて引き連れた異形が。
己の絶対的な力と存在の象徴としてあった権威と力が。

全て、今は遠く感じる。
馬鹿々々しい迄に遠く、それでいて未だ己を縛る。

「時間だけがある…というのは残酷な事だ」

己を無理矢理見つめさせられる。
無理矢理鏡を見せつけられている様な感覚。
与えられた役割に忠実である、という事がどれほど楽な逃げ道だったのか。今更ながら、思い知る。

「………笑い話だよ。本当に」

それは、誰に対して。何に対して告げた独り言だったのか。
答を得られぬ儘、ぷかぷかと吐き出される紫煙。

神代理央 >  
未だ、己の進むべき道は見つからぬ儘。
咥えた煙草が灰になれば、それを灰皿に放り込んでふらふらとその場を立ち去るのだろう。

ご案内:「異邦人街」から神代理央さんが去りました。