2022/11/22 のログ
■落花 彩晴 > 店の奥から聞こえてきた、やたらダンディーで渋いお声に、思わずびくっ!?と、するも何とか持ち直す。
別に対人恐怖症でも男性恐怖症でもなく、単に渋いイケオジボイスに慣れていないだけだった。
見た目と人格が比例しない、というのは確かにその通りだと少女は思う。特にこの島では。
「えぇ、大丈夫ですよー。私は異邦人街はあまり土地勘は無いので…大通り近辺からあまり外れたコースは歩かないつもりですし…。」
ここで迷ったら、それこそ帰るのに一苦労なのは目に見えているから。
そして、どうやらこちらの呼び掛けへの反応からして…少女の記憶違いでは無かったらしい。
もう結構昔の頃の事なので、実はこうして対面するまで正直記憶の彼方に飛んでいたのはご愛嬌。
「あ、覚えていてくれたんですねぇ。はい、落花彩晴です。――悠樹ちゃんも、お元気そうで何よりです。
…あ、えぇと…実は1年近く前にもうこちらには来ていたんですよ。」
今までもしかしたら、擦れ違いとかニアミスはあったかもしれない。
ただ、所属している委員会は違うしお互いの行動パターンも違えば、この1年近く顔を合わせなかったのも変ではないかもしれない。
ちなみに、【落花】家はかなり閉鎖的であり、かろうじて交流があったのは【鳳】家を含めた極々一部の旧家のみ。
それに加えて、交流があっても仲が良いとは言い難く、”大人の事情”も色々あったようだ。
この年齢になって、その辺りの事情も薄々読めてきたが正直面倒なので首を突っ込む気は無い。
ただ、それは子供達には関係ない事で…彼女…悠樹も含めて、旧家の子供達同士は割と仲は良好だった覚えがある。
「あ、はい…今1年生なので、4年生の…一般的な卒業の年月までは滞在するつもりです。
ただ、私の個人的な考えとしては本土にはあまり戻りたくないんですよねぇ。」
実家は田舎で閉鎖的で、大人同士の陰湿なやり取りとか御免ですし…と、肩を竦めて苦笑いを一つ。
彼女も、そのあたりはもしかしたら同じ感想を抱いているかもしれないが。
「――と、いうか悠樹ちゃん…昔は男のコそのものな格好だったのに変わりましたねぇ…。」
性格はそのままな気がするが、何だかんだ女の子らしくなっていると、旧知の間柄から見れば思う訳で。
■鳳 悠樹 >
「あはー……ははは」
一瞬戸惑ったようなこちらを伺うような視線に内心怯みつつ曖昧な笑みを浮かべてみたり。
はっきり言って悠樹は旧家の中では”半端者”。
両親や姉と違ってあまり目立った才能を持っていなかった悠樹はあまり良い目で見られてはいなかった。
幸いにも鳳の家では弱者であることを誰も気にしなかったけれど、
旧家の中では「あの子とは遊んでは駄目」等と言われる事も珍しくはない。
そして他家系との交流が多い方ではないと記憶している落花家だけれど旧家としてのプライドは高くても不思議ではない。
むしろ他と関係を持たないでもいられるというのは強い自信の表れともいえる。
なので思いっきり無視されても仕方がないとは思いつつもあえて明るく話しかけたけれど……
「!!
そうそう!だいぶ元気っすよ!
のびのびやってるっすからね!」
良かったと内心ほっと安堵のため息と、旧友に出会えた喜びに胸が暖かくなる。
なんだかんだ、あの頃と同じ感覚で話が出来そう。それは単純に嬉しい。
直ぐに思い出さなかっただろって?ごめんて!
本土のころの記憶ってあんまりいい思い出が無いんです……。
「それならしばらくは気軽にやれそうっすね。
……あー、判る気がするっすよ。
なんかこう、息苦しいっすよね。本土って」
思わず苦笑が零れる。
家族仲が良好な鳳家はむしろかなり珍しい方で、旧家は外に限らず中も何処もぎすぎすしているといった印象。
そんな空気に辟易している様子が伝わってくるとこちらも苦笑いを浮かべざるを得ない。
それはともかくとして、改めてみるとなんというか……
「いろはちゃんの方が凄くないっすか!?
めっちゃ女子って感じに……いや昔も美人でしたけど」
全くこの島の顔面偏差値の高さと言ったら!
目の前の幼馴染もそれに負けていない訳で、何とは言わないが格差を感じる。
主に女子力と胸囲的な意味で。煩い泣いてないぞ。
■落花 彩晴 > 一方、この小娘はといえば…左目――変色した紫がかったその瞳には【落花】家の禁呪が宿っている。
【落花】の中ではサラブレッドとも言えるが、同時にそれは”忌み子”も意味しており…
彼女とは別の意味で、あまり良い目で見られては居なかったのだ。
持たざる者も、持つ者も『旧家』という古臭い『檻』の中では大人たちの道具みたいなもの。
昔から、ずっとそれに対する反発心を抱えていた少女にとって、身内や大人より他家の同年代の子供達と遊ぶ事の方が大切な思い出だ。
(…実際、そのくらいしか子供の頃の良い記憶なんてありませんしねぇ…。)
だから、そういう意味では彼女と同じくこちらも『御免なさい』というものだ。
何しろ、良い思い出がロクになくて思い出すのも苦痛なのは、少女も同じだから。
直ぐに思い出せなかったのも、そんな嫌な記憶が多過ぎて意図的に蓋をしていたのだろう。
「ですよねぇ…私なんて、気が付いたら許婚?とか決められそうになってましたし。
まぁ、何だかんだ色々あって、そういうの全部放り捨ててこの島にやって来たんですけど…。」
今すぐにでも帰って来い、という実家からの通達は須らく無視している。
少なくとも、卒業するまでは島に残るつもりだし、卒業しても簡単に本土に戻る気も無い。
嗚呼、矢張りこうして同じような立場の昔馴染みが居るとつい嬉しくなってしまう。
「そ、そうですか…?あー…悠樹ちゃんは昔の私、というか私の”地”を知ってるからいいんですけど…。
まぁ、ほら。私も一応は乙女?なので、表面上だけでも女の子らしく、と思いまして。」
あはは…と乾いた笑みが毀れる。この少女…その本性、というか地の性格はむしろ荒っぽい。
乱暴モノ、という訳では無いが男子相手にも真っ向から殴り合い上等精神と言えばわかり易いか。
【落花】でもそういう意味では異端であり、逆に【鳳】家からは体術の才を評価された事もある。
今でも、素手の戦闘術は我流なので限界はあるがそれなりのものだ。
あの頃に比べ、今は術式などで強化も図れるのでむしろ殴り合い力(?)は増している。
(あと、口に出さなくても分かりますよ悠樹ちゃん…ですが、この島の女の子は胸が凄い人が多いんですよ…!!)
モデル体型だとか、驚異的な胸囲の持ち主だとか、顔面偏差値も普通に高い。
…偶に、うっかり”地”が出てその胸の脂肪を寄越せ!と、言いたくなる事もある。
「――そういえば、私は気分転換の散策で来てるんですが…悠樹ちゃんは?お買い物ですか?」
■鳳 悠樹 >
「あー……そういう事情なんすね。
もし何か聞かれたら知らないって言っとくっすね」
なんだか色々と察した。
自分と違いこの子は色々期待されていたタイプだし、
そういうしがらみが特別薄いうちの家だって姉さまなんかは許嫁なんかがいた。
同い年どころか一回り違うような。一度ブチ切れて解消されてましたけど。
一応私達も乙女なのでそりゃいやそうな雰囲気も漂わせようってものです。
「え、アタシはいろはちゃんの地?好きだったっすよ。
なんかねちねち言ってくる男の子ぶっ飛ばしたりとか惚れる……って思ってましたし。
父様なんかもうちの子にしたい体術……って呟いてましたもん」
うちの父様は武術マニアなのでそれはもう目がキラキラしておりましたともええ。
徒手空拳の戦い方は半分は父様仕込みなので今となればあの思い切りの良さの素晴らしさが分かる。
技術だけでなく、決めたら振りぬくというあの心意気実に男前……!
あれ?女子力だけじゃなくて他の部分でも……
「あー、そうそう。
この辺は珍しい食べ物が多いんすよ。
だからなじみのお店に食材とか調味料を仕入れに。
来週位には姉様からまた野菜が大量に届くでしょうからねー。
今からその準備っすよー」
余計な事に気が付きそうになった思考を切り替えて
腕が鳴るぜぇ。とふざけて力こぶを作ってみたり。
この島は大変食材が豊富なので腕の振るい甲斐がある。
■落花 彩晴 > 「…ありがとうございます。逆に悠樹ちゃんが何か言われたら私が”全力で”弁護しますので…!」
ちなみに、全力には乙女の武力も含まれているのは言うまでも無い。
数少ない気の許せる間柄の同年代。先程、友達は居ないと嘆いていたが少なくともここに一人、昔馴染みが居てくれて正直ホッとした。
ちなみに、許婚云々どころか、まだそういう御付き合いをする気は全く無いのです。
…実家で抑圧されていた反動もあり、もっと自由に自分らしく生きたいという願望が少女はやや強めだ。
「…うぅ、こっちではその…上手く誤魔化しているつもりなので、他言無用にして頂けると。
…悠樹ちゃんのお父様に、そういえば何故か気に入られているなぁ、と思いましたけど…。」
しかも、目をキラキラさせていた…ような…。成程、体術を評価してくれていたのか。
あと、女子力とは言うが少女のそれは表面上の擬態のようなものである。
一応、家事や裁縫や掃除もこなすが、あくまで人並みであり決して女子力が凄いとは言えない。
(…むしろ、周囲のレベルが高くて劣等感抱きそうなレベルなんですよねぇ…。)
何でこの島は、男女問わずに美形で万能なタイプがやたらと多いのか…。
この島の特異な環境によるものだろうか?その辺りを大真面目に研究している人も居そうな気がする。
「…あら、それは素敵ですね。鳳家のご実家の辺りは確か農業も盛んだったと記憶してますし…。
新鮮なお野菜はこちらでも食べれますけど、そういう所は実家の味も良いですよねぇ。」
人は兎も角、食べ物に罪は無いのだ。流石に少女は実家から仕送りが来るほど円満な関係では無いが。
「…ふむ、じゃあ今度、お時間ある時に悠樹ちゃんの手料理とかご馳走になりましょうかねぇ。」
と、半分冗談で半分本気でそんな戯言を述べつつも、思い出したように懐から携帯端末を取り出して見せて。
「悠樹ちゃん、折角再会できましたし…連絡先の交換をしませんか?今後、必要になるかもしれませんし。」
と、折角再会できた本土の幼馴染にそう提案をしてみたり。
■鳳 悠樹 >
「あはー!お願いするっす!
心強いっすよー!」
あのときの勢いのままで行くなら大抵の意見は吹っ飛ばしてくれそうです。
心強い友達とまた距離が短くなって嬉しい。
遠きにありて思うものとは言いますが、近くで一緒に何かするのだって楽しいですしね。
「アタシが男の子だったらワンチャンあったかもしんないっすねー!
ないっすけどね!」
割と健全な思考の持ち主と贔屓目無しに見てもおもっている父様なので
無理に結婚させるとかそう言うのは無いと思う。
勿論どうしようもない事は存在するけれど。
「うちの父様なんだかんだ実力主義何である意味旧家らしいっちゃらしいんですよね。
え、食べます?それはもう超大歓迎っすよ。
やっぱり誰かが食べてくれるって思うだけで気のいり方が違うっすからねー。」
料理は愛情と申しますが、なんというかそういう細かい所に気を配るようになる気がする。
自分だけだと大味になっちゃうのはもう仕方がない事なのです。
単純に人に振舞うのが好きっていうのもありますけどね。
「勿論っす!
まずお食事会に誘うのに必要でしょ?
そっから甘味食べ歩きするときも使う予定っすし、
そいえば学生通りに良い感じの服とアクセの店が出来てるんすよ。
可愛い系のアクセサリが多くって滅茶苦茶気になってるんすよね!」
怒涛の勢いでしゃべりながら端末をポチポチ。
ささーっと慣れた手つきで連絡先を引っ張り出すと転送準備。
「あ、おっちゃん、そこの果物もちょうだい。」
さっきのやばい感じのではなく、こっちはまっとうな赤い果実。
種のつぶつぶといい感じの酸味が素敵な果物を店長から受け取るとくるくるッと手持ちの紙でラッピングして。
「これ改めて代ってことで」
そのラッピングに自分の番号をメモすると冗談めかしく差し出してみたり。
■落花 彩晴 > 「えぇ、それはもう――…。」
その先は口にしたら乙女にあるまじき危ない単語が出て来そうになったので自重する。
地を隠しているとはいえ、出来る限り暴力は避けたい穏やかな乙女…を、演じていきたい。
しかし、まさかこんな場所で幼馴染と再会出来るとは思わなかったけれど。
「…ふむ……いえ、むしろ私が悠樹ちゃんを嫁にする感じで一つ。」
左目に引っ掛けた片眼鏡をくいっと押し上げて真顔で戯言をのたまう少女。
勿論、ただの悪ふざけの延長だがこういうやり取りが出来る相手は限られるので楽しい。
――そして、彼女の実家のご家族が羨ましい。自分は兄弟姉妹も両親も健在だが仲はよろしくない。
むしろ、険悪と言ってすらいいだろう。旧家の体裁的にも、余所行きの場合は取り繕ったりもするが。
…そういうのが、少女が実家を嫌って避けたがる理由の一つでもある。
「…でも、悠樹ちゃん何時の間に料理の腕前を上げたんですか?
昔、偶に一緒に遊んでいた頃はそんな素振りなんて全く無かったですのに。」
もしかしなくても、料理の腕前は幼馴染の方が上なのでは、と思いつつ。
食事会、甘味の食べ歩き、ショッピング…特に買い食いが楽しみの一つな少女にとっては魅力的だ。
…あ、でもアクセサリーは私はあまり詳しくないけど大丈夫でしょうか?と、一抹の不安も。
彼女の勢いの良さは昔と変わらないなぁ、と思いながら少女は落ち着いたテンポで連絡先の転送準備。
と、幼馴染が追加で店主に頼んだのは奇妙奇天烈…ではなく、ごく普通の見た目の赤い果実。
「あ、ありがとうございます悠樹ちゃん……いや、これは私も何かお返しをしないと…。」
しかし、財布の中身が今月はちょっと厳しいのを思い出してうっ、と言った表情を。
でも、ラッピングされた赤い果実は有り難く受け取ろうか。
連絡先は勿論ばっちりと交換・登録済みである。
「…あ、悠樹ちゃん。私、そろそろ戻らないとなんですけど…ここからだと、最短ルートはどう行ったらいいですかね?」
と、小首を傾げて彼女に質問を。委員会の業務や、明日の学業の支度、溜まっている家事もあるのだ。
流石に、そろそろ一度戻らないといけないので今回の散策はここまでだ。
■鳳 悠樹 >
「あっは。不束者ですがよろしくお願いします。」
等といった後キャッキャと笑う。
これから仲良くする予定なので、別に間違ってないだろうし。
ただウィンドウショッピングを楽しむだけでも誰かと一緒だと学生というのは楽しめたりするのです。
視るだけでお腹いっぱいになる事もたくさんあるんです。服とかね。
全部買ってる学生とかいるけどあの人達金銭感覚やばいって……。
「やっぱり自分で作ると沢山食べれるじゃないっすか。
そうやって自炊するのが楽しくっていつの間にかって感じっすかねー。
和洋中それなりに作れるようになったっすよ!」
見ても満たされない食べ物系もぬかりない。
自分のテンションで食べるとお財布が可哀そうな事になるので否が応でもうまくなるわけです。
因みに品行方正折り目正しい優良生徒として通っているわたくしですが
出入り禁止になっているお店がいくつかございますの。大食いチャレンジ的なあれですわね。
だれだそんな生徒は大食いチャレンジ何かそもそもしないなんて言ったやつ。
「お返しは料理の感想ってことで一つお願いしますお代官様ぁ……。
自分ではどうにもならない分野なんすよ。」
どうしても自分好みに味が偏るので!
別に料理人を目指してるわけじゃないけれどどうせなら上手に作れるようになりたいですし……。
「あ、女子寮っすよね?じゃあ一緒に帰りましょっか。
アタシもこれ持って帰るっす。」
よいしょっと謎の威圧感フルーツを持ち上げつつ。
改めて見るとやっぱりでっか!?とりあえず食べてみてから考えよう。
ふざけて丁寧にお辞儀をして見送る魚人面の店長にべっと舌を出した後、笑って振り返る。
「生活委員会っすからねー。
道案内も本領発揮っすよ。
ってわけで参りましょうかお嬢様」
こちらも少しふざけて片足を下げて軽くお辞儀をした後にやっと笑う。
お互いにあれなので、こういうジョークが出来るのが嬉しい。
そうして冗談を交えて歓談しながら帰路に就く。
久しぶりに会っても、まるでずっと一緒にいたかのように。
……このやば目の果物も、美味しかったらお裾分けに声をかけてみようと思う。
ご案内:「異邦人街」から落花 彩晴さんが去りました。
ご案内:「異邦人街」から鳳 悠樹さんが去りました。
ご案内:「異邦人街」に佐々木勇さんが現れました。
■佐々木勇 > たまに、私にも話し掛けてくる生徒はいるのだが。
「こんちには、勇さん」
「アッハイ、こんちには」
まさに、他人行儀。
――まあいい――
私の剣、剣の道とはすなわち。
「……私は、一つだけ燃える焔」
孤独の道なのだ。
――でも――
先程ここで見かけた、あの二人の子に対する羨望の気持ちは。
「……抑えられない」
ご案内:「異邦人街」に佐々木勇さんが現れました。
ご案内:「異邦人街」から佐々木勇さんが去りました。