2020/07/15 のログ
ご案内:「宗教施設群」に焔誼迦具楽さんが現れました。
ご案内:「宗教施設群」から焔誼迦具楽さんが去りました。
ご案内:「宗教施設群 通り」にテさんが現れました。
■テ > 「宗教施設が集まる所、ねぇ」
シャラシャラと独特の音を立てて飛行する1妖精。
道沿いに飛んで、捜し物──自分の世界にある信仰の設備を探しに来ている。
もしかしたら、この世界にすでに同じ世界の人物が現れているかもしれない。
そうであれば。
もし、その人が信仰を続けていてくれているのであれば。
恩恵を与えてやらなくてはいけない。
そんな淡い期待を少しだけ抱いて。
■テ > 滞空したまま、自分の体には大きすぎる地図を確認する。
「……こっちの世界にあったとして、どんな名前になってるんだ……?」
見当もつかない。地図を見てもそれらしいものもない。
ああ、もう、仕方ない。聞けそうな人が見つかるか、
あるいはこのあたりのを全部見尽くすまで探してやる。
『《格納》』
地図を何処かにしまうと、またシャラシャラと飛び始めた。
■テ > それから、どれだけの時間がたっただろうか。
妖精信仰の設備はとても小さいものであるため、くまなく調べる必要がある。
小さい身体で探すのも一苦労だ。
人間様や、あるいは他の人間大の種族の施設は、大きい。
仮に見つからなかったとして、何処かの施設内にしまわれていたら?
それも探すべきだろうか?
……正直、どこにも無いと思っている。
思っているが、もし、信じ続けている存在があるなら。
それに報いなければならない。探さないと気がすまない。
私の世界の妖精とは、そういうものであるから。
■テ > 「妖精信仰?聞いたこと無いね。
悪いね、自分の施設以外には興味無いから」
「まぁ、そうだろうね。ありがとう」
そうだろうよ。他の宗教のことなんか気にするはずがない。
「そこなあなた。我らが神についてお話聞きませんか?」
「ううん、間に合ってるよ、悪いね」
神様か。私が居た世界の神という存在は、ろくでなしだったよ。
「君、かわいいね。お茶しない?」
「ごめん、ちょっと忙しいから」
なんだこいつは。
■テ > 「……あ」
あった。
石で作られた半球の断面に、文字が書かれた
──この世界のもので例えるなら、羅針盤のような──、小さな祭壇。
それを、見つけてしまった。
『そうか、そうだよね』
文字は掠れ、苔むしている。
半球を支える足は欠け、傾いている。
──それは、もう使われていないものだった。
信仰に対して恩恵を与えるというシステムの元に存在していたもの。
その恩恵が得られなければ、たやすく崩れる。
『は、はは』
翻訳魔術を切って、ひとり笑う。
探さなければよかった。知らなければよかった。
それでも、応えようとしてしまう。そういう存在であるから。
ここで一人の信仰が失われた現実に直面してしまう。
それでも、応えようとしてしまう。そういう存在であるから。
■テ > もし、この島にまだその人がいるのなら。
この祭壇を見て、思い出してくれるかも知れない。
『《記録》をもって魔術を行使する』
妖精がここに来たと、信仰を取り戻してくれるかも知れない。
『ᚱᛂᛑᚢᛍᛐᛁᚮᚿ,ᚱᛂᛐᚱᚮᚵᚱᛂᛋᛋᛁᚮᚿ,ᚱᛂᛍᚮᚿᛋᛐᚱᚢᛍᛐᛁᚮᚿ』
……都合のいい話だろう。
それでも、淡い期待をしてしまう。
わざわざ祭壇を作ってくれていたことに、応えようとしてしまう。
妖精の魔術を以って、祭壇を新しいものに"作り直す"。
今の自分の存在を保証する『記録』を1つ燃やして。
■テ > 『……なにやってんだろ』
きれいに整えられた祭壇を見てから、妖精はその場を後にする。
ピシャンという音が響いた。
ご案内:「宗教施設群 通り」からテさんが去りました。
ご案内:「宗教施設群-修道院」にマルレーネさんが現れました。
■マルレーネ > 大変な目にあった。
私は服を見に行ったはずだ。見に行っただけのはずだった。
見たことの無い店に入って、見たことの無い服装に囲まれる。
リボン!リボン!リボン!フリル!フリル!フリル!
フリル!フリル!リボン!フリル!リボン!リボン!
見たことが無いほどのふりふりの濁流が彼女に襲い掛かる。
いやいや。 いやいや。
これは流石に前の世界でも経験が無いわけで。
それどころか、店員の目には"コイツ全然イケてない"と映ったのだろう。
無料でいい、お試しでいい、体験でいい。
だからちょっと触らせろと言わんばかりにフードを奪われ、髪の毛を弄られた。
■マルレーネ > 「いややっぱり無いですよねこれ。」
鏡の前には、修道服ながら可愛い系ツインテールにされた女子の姿があった。フードが入らないくらいに可愛らしいふわふわフリルのついたリボンつき。
死ぬほど恥ずかしくて腰から力が抜けてその場に崩れ落ちるシスター。
一日、一日つけていたら恥ずかしさもなくなります!
一日つけてダメなら返してください!
と力説されて約束をさせられてしまった。押しが強い店員。店員押しが強い。
「今日は修道院を閉めることまで考えなければ。」
表にはいつも通り"相談・悩み・愚痴・不満・懺悔 何でも聞きます"と記載された看板を掲げているが。
いるんだが。
ご案内:「宗教施設群-修道院」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > 野暮用で通り掛かった修道院の前。
いつも何かと忙しくしているシスターの姿がなかったから、避暑ついでに修道院に立ち寄ることにした。
通るたびに遠目で見かけて、気に掛かっていた場所だ。
美術教師ヨキ。
異邦人として異邦人街を懇意にしていることもあって、姿を見かけることもあったかも知れない。
「こんにちは、シスター。
少しばかり邪魔をさせてもらうよ……、」
扉を潜って、間もなく。
普段、通りで見かけるシスターとはまるきり雰囲気の異なる様相に、ぱちくりと瞬きする。
「……おや! シスター、今日は随分とお洒落をしているね。
今日はこれからお出かけの用事でもあったかな?」
すわ女性の身支度の合間に来てしまっただろうかと、遠慮する素振りさえ見せる。
■マルレーネ > 間が悪い。いや悪くないのか? いや悪い。
脳内で言葉が流れて落ちて、慌てるという言葉が最も似合う挙動で飛び上がって振り向く。
「あ。っと、ととと、はい、どうぞもちろん。」
珍しく目を白黒させる。
先日……まだ生徒によっては続行中のテスト。
それで彼女は来たばかりの異邦人ということもあり、簡単に終わったのだが。
友人の因幡幸子女史の助言でもって、"これ落とすと補習めちゃ長"危険教科だけはバッチリギリギリ赤点を回避した。
そして問題は。
美術は赤点だったということだ。
あ、これ家にやってきて叱責するという例のアレですね。叱られるのは久々だなぁ。などと頭の中を高速で言葉がぐるぐる回る。
ぐるぐる回るおめめ。
「え、ええと、いえいえいえいえ。 先ほど偶然お店に通りかかったら、こういうリボンをつけたらどうだと貸してもらいまして。 い、今すぐ外しますね。」
あっははは、あはは、気が動転している笑い方をしながらリボンに手をかける。
■ヨキ > 「ああ……そうか、シスター・マルレーネ。
他の同僚から聞いたよ、赤点を取ったと。
勿体ないな、ヨキの下教わればそうそう赤点をもらうことなどなかったのに。
運が悪かったね」
軽い調子で笑ってみせる。
リボンを外そうとする彼女を見ながら、手近な椅子に腰を下ろす。
「何だ、外してしまうのかい。
でも確かに、普段の頭巾を被っている君の方が似合うよ」
そんなに慌てることもないのに、とばかり、穏やかな調子。
「赤点を取っただなんて、またどうして。提出日にでも間に合わなかったのか?」
■マルレーネ > 「あ、あはは………。
すみません。」
一瞬笑ってごまかそうとしたが、すぐに思い直す。
教えを乞う立場の人間の態度では無いな、と少し反省。
ちゃんと頭を下げながらも、ツインテールがぺたりと落ちる。
「に、似合う……ですか?」
何時ものフードは、あって当たり前のもの。
似合うという言葉で表現されたことが無いからか、ちょっとだけ頬を赤くする。
見た目を褒められるのもうれしくないわけでは無いが、そういったふさわしい恰好を褒められるのは、普段とちょっと違うくすぐったさがある。
「……その、ちょっとだけ、この場所に慣れ切っていないというか。
前の場所と同じように過ごそうとしているんですけど、上手くいかないこともあって。
……それで、少し落ち込んでしまうことが、いくつか。」
情けない話だとは思う。でも、……隠すことでもない。
まだツインテールのままではあれど、少しばかり落ち着きを取り戻した声で。
■ヨキ > 「うん。似合うと思うよ。
きっと、君がずっと信仰者としてやってきたためだろうね。
君の敬虔さが見えるような気がして、好きなんだ。
君の髪は綺麗だから、そうやって結っているのも似合うがね。
もう少しこちらの文化に慣れてからでも、遅くはないと思うよ」
小さな修道院らしく、落ち着いた声でぽつぽつと話す。
「……そうだな。ところ変われば、そぐわない点も多かろう。
特に信心と暮らしとは、切っても切り離せないものだから。
君の苦労は、想像するにあまりある。
さすがに君の信ずるものや、同胞のように、とはいかないがね。
今日は君の隣人として、君の話を聞くよ。
シスター・マルレーネである以上に――ヨキと同じ異邦人の、ひとりのマルレーネ君としてね」
■マルレーネ > 「………………。」
相手の言葉に、目を少しだけ細めて。
頬を染め、頬をぽりぽり。照れくさくなる。
見た目と信仰への姿勢をどちらも同時に褒められるとか、一番照れる奴。
「………ありがとうございます。
でも、皆さんとてもよくしてくれるので。本当に助かっています。
"そういった人を受け入れる文化"がある場所に来た、わけですよね。
もし、それが無かったら。
海の底にでも飛んでしまったら、その時点で終わっていたわけですし。」
照れながらもゆったりと、自分は恵まれていた、と口にする。
そう、恵まれていたのだ、私は。
「………。」
話を聞く、と言われて、しばし煩悶するような表情を浮かべる。
聞いていいものかどうか、悩むような。
「……私はあえて聞かないようにしていたんですが。」
目を閉じて、一息。
「他の世界から来て、元の世界に戻った方はいらっしゃるんでしょうか。」
おそらく、何度も何度も聞かれたであろう質問。視線は、僅かに背ける。