2020/10/18 のログ
ご案内:「宗教施設群」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「宗教施設群」にマルレーネさんが現れました。
マルレーネ >  
温かい柔らかなタオルと、粗末ながらの着替え。
それを強引に渡して、お風呂に押し込む。
ひとまず、温かい湯に浸かって戻ってこれば少しは落ち着くだろう、という考えだ。

「お風呂から上がったら教えてくださいね。」

そういい含めて、自分はその間にささっと着替えて、身体を拭く。
………髪の毛の水気を拭けば、それこそ新しい修道服に着替えて、温かいミルクに砂糖を入れて、浴室から出てくるのを待つだろうか。
 

神代理央 >  
押し込まれた浴室。
何が何だか分からない儘――取り敢えずは、大人しく湯に浸かる事とする。
実際、屋内に入ってしまえば身体が冷え切っていた事を自覚してしまい、身震いするばかりだったのだから。

湯で身体を温め、ずぶ濡れになった衣服は取り敢えず畳んで浴室に置いておく。
渡された着替えは、普段己が着る物に比べれば随分と簡素な物。
とはいえ、濡れた衣服を其の侭着るよりは遥かに有難い。

「………上がり、ました。すみません、色々と御世話になってしまって…」

一通り着替えと片づけを終え、ぺたぺたと浴室から彼女の待つ部屋へと向かう。
水分を含んだ髪からは水滴が時折滴っているが、それに気付く事もなく。
彼女の姿を見つければ、ぺこりと小さく頭を下げるのだろう。

マルレーネ >  
………よし。
相手の表情が少しばかりは落ち着いたのを見て、目を細める。

「………いいんですよ、別に気にすることはありません。
 もともと、そういう場所でしょう?
 ほら、もうちょっとこちらにいらっしゃい。」

手招きして呼び寄せれば、タオルで髪の毛をさらりと拭いてあげましょう。

「………それで。
 少しは温まりました?」

よいしょ、っとベッドに座りながら、隣に座らせる。
 

神代理央 >  
手招きに素直に応じて歩み寄れば、濡れた髪の毛を彼女に拭かれる。
その間も、大人しくされるが儘。羞恥心を見せる事も無ければ、気取った言葉を紡ぐ事も無い。
普段の覇気も、プライドの高さも感じさせない、弱々しい少年の姿。

「……はい。おかげさまで、風邪などひかずにすみそうです。
シスターも、湯浴みして温まるべきではないですか。先に頂いてしまった私が言うのも、何なのですが」

逆らう事無く、しかし覚束ない足取りで。
ぽすんとシスターの横に腰掛ければ、一瞬彼女に視線を向けた後、ぼんやりと部屋を眺めながら呟くだろうか。

良識ある学生。或いは風紀委員としての機能だけが少年の口から言葉を紡がせている。
そんな有様の儘、視線は意志の強さを持たず彷徨っていた。

マルレーネ >  
「あはは、いいんですよ。
 私はさっきも言った通り、この程度では風邪なんて引きませんからね。」

えへん、っと胸を張って威張りながら、よしよし、っと頭を撫でて。
そのうえで、流石に目を細めて……。

「………何かあったんですか?」

一つ踏み込んでみる。 よいしょ、と抱き寄せるようにして、相手が逃げないことを確信してから、にはなるけれど。
 

神代理央 >  
己の頭を撫でながら胸を張る彼女。
そうですか、と無感情な言葉を返そうとして――己の身を、抱き寄せられた。

その彼女の温もりに、僅かに身を強張らせながらも――先程の様に、それを拒む事はしない。
それは、他者の温もりに怯え、他者の温もりを求めながらも。
拒む事によって彼女を傷付けたりしないだろうかと、思考してしまうごちゃ混ぜになった感情故の、強張り。

「………昨夜、スラムで戦闘を行いました。
とても強い相手で、私の異能は全然効果が無くて。
相手に魔術を打たれて……私は、死んだ。死んだ筈、だったんです」

ぽつり、ぽつりと言葉を零す。
その言葉は幼い少年の様に覚束なく、何時もの様に年寄りめいた言い回しも無く。
己の体験を。己の身に起こった事を吐き出す様に、懺悔する様に。
ゆっくりと、言葉を紡ぎ始める。

マルレーネ >  
「………そういうこと、ですね。」

………戦いに赴くこと。 その精神状態に関しては彼女はよく知っている。
そして、死についてもまた同じ。

死ぬときは死ぬ。
だから、彼の言葉に感情はさほど動かなかった。
ただ、そう言った精神状態に彼が既になっていることは、少しだけ悲しく思ったけれども。


「………でも、こうして生きている。
 ということは、………何か別のことがあったんですよね?」

半ば核心を持って、聞く。
大怪我をした。 九死に一生を得た。 それだけでこうはならない。
 

神代理央 >  
「……はい。死ぬ事そのものは、思う所も恐怖もあるけど、それは"仕方のない"事だから。私が選択を間違えただけ、だから。
死は恐ろしいけど、何時かは訪れる。だから、昨日死んだ時も、別に何とも、思ってなかった」

零す言葉は、徐々に幼くなっていく。
ひび割れる様に、己が普段纏う"外面"が剥がれ落ちていく。

「でも、その後。その、あと。
何かが、私の意識を奥に追いやって、現れた。
ソレが何なのか、良く分からない。多分、異能に関係する事、なんだろうけど」

「……ソレは、神様になろうとしている。
ソレは、とても強かった。
ソレは、私が手も足も出なかった相手と、戦った。
ソレは――スラムの住民を、大勢、殺した。」

独白。己の身に起こった"何か"を、僅かに震えながら呟く。
その震えを抑え込む様に、拳を握り締めて。

「……一番恐ろしいのは、ソレは、私だと名乗った。
ソレは、神代理央だと名乗った。
そして私には、ソレの記憶がある。意識も、共有していた。
ソレが何をしようとしているのか。一体何なのか。
全部、分かる。分かって、しまった」

「ならばソレは、私なのだろう。
例え、私の意識の儘に動かなくても、ソレはきっと私だ。
私を名乗るソレが、私の躰を使って力を振るうのも。言葉を発するのも、全部覚えているし、意識があった。
なら――今こうしている私は、私なのか?
私は何なんだ。私は、マリーと話している私は、本当に神代理央なのか?」

そして、ゆっくりと彼女に向ける瞳は――昏い感情に、濁っている。

「……笑い草、でしょう?私は、大勢の関係の無い人を殺した事より、自分が何なのか分からなくなった事の方が、怖いんだ。
私という存在に、自信が持てなくなった事の方が怖いんだ。
死んだ人たちのことなんて、どうでもいいんだ」

そうして浮かべる笑みは――自嘲めいたモノ。

「……ねえ、マリー。責めて下さい。怒ってください。
何なら、殺してくれたって構わない。
もう、分からなくなっちゃったんだ。僕はそのうち、訳の分からないまま誰かを殺すかもしれない。
いや、訳が分からない事も無いかも。だって、覚えてるし意識はあったんだから。
こんなの、私じゃない。僕じゃない。でも、僕なんだ。私なんだ」

嗤った儘首を振って――彼女から視線を外して、ぼんやりと中空に視線を彷徨わせた。

マルレーネ >  
「………」

難しい話だった。
彼女にとって、人を殺すということは、明確な己の意思がある。
殺すことまで考えていなくても、害を為す覚悟がある。

常にそうだった。 彼女は自分の意思の下で、他人に害を為してきた。
だから………そういった感覚は、感じたこともなかった。


「………今もその声が聞こえるのですか?」

優しい言葉で、相手の頭を撫でる。
きっと、コントロールができていないのだ。
あれだけの強力な能力に、副作用がないわけがない。


彼女の平坦な経験の中、必死に探って、強大な黒魔術を思い出す。
悪魔を召喚して力を得て。 その代わりに何かを売り渡す。


「………………わかりました。
 私が貴方を救いましょう。

 死でもって、救われる心もある。」

抱きしめながら、微笑みかける。
その言葉は、ずっしりと重い。
 

神代理央 >  
「……いまは、きこえない。きこえてたのは、戦ってた時、だけ」

昨夜の戦闘以降、その声は聞こえない。
今ここにあるのは、明確に己の意思…の、筈だ。
確証は持てない。それでも少なくとも今は、己の意思で彼女と言葉を交わしている。

そうして、縋る様に紡いだ己の言葉に。
抱き締められて彼女から返された言葉は。
己が求めている言葉そのもの、だった。

「………ありがとう。マリーに話が出来て、良かった。
どうせ、一度死んだはずの身。今生きているのは、延長戦みたいなものだったのかもしれないし」

ぽすり、と彼女の肩に頭を預けて。
安堵した様に、重責から解放されたかの様に。
漸く穏やかな感情を宿した言葉が、彼女に返されるのだろう。

マルレーネ >  
「よろしい。」

「それならば、準備をしましょう。
 外部との連絡手段を、出してください。

 ……ここに来ることを、誰かに伝えたり、今も把握されたりしていますか?」

尋ねる。
穏やかなまま、語る言葉は何かしら冷徹なそれ。

優しく抱きしめながら、頭を撫でる。
 

神代理央 > セーブ!(後日継続予定)
ご案内:「宗教施設群」からマルレーネさんが去りました。
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