2020/10/20 のログ
ご案内:「宗教施設群」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「宗教施設群」にマルレーネさんが現れました。
神代理央 >  
「……通信端末は、着ていた服と一緒に風呂場に置いたまま。
此処に来る事は…そうだな。誰も知らないはずだ。落第街に居た事は、知られているかもしれないが」

彼女の言葉に淡々と言葉を返す。
事務事項を伝えるかの様な声色で、小さく頷いた後。

「…だから、此処に私が居る事も、マリーと会っている事も。
誰も、知らないさ」

そう締め括った後。穏やかに微笑んだ。

マルレーネ >  
「……では、通信端末から場所は割れちゃう感じですね。」

ふむ、どうしましょう、と顎に手を当てて考える。
今から殺す、と宣言した割には、普段通りの姿で、普段通りの恰好で。

「調べられたら分かっちゃう、となると、少し困りますよね。
 その辺、どうなんですか?」

頬をつんつん、とつついて、あえて尋ねる。
 

神代理央 >  
彼女の言葉に少し思案する様に、んー、と声を漏らす。
十秒ほどそうして悩んでいた後、ゆっくりと唇を開いて――

「…確かに、私に何かあれば端末を追ってくるかもしれない。
その時は、訪れた事だけは素直に伝えて貰えればいい。
私がマリーと面識がある事は、知る者も多いし」

何せ、ディープブルーの一件は己も拠点での戦闘に参加している。
彼女と面識がある旨は、報告書にも上げている。

「その上で、私は此処で他愛のない話をした後立ち去ったとでも言ってくれればいい。
通信機と服は、落第街の適当な所に放り投げてくれて構わないさ」

自分が殺される事に協力的かつ知恵を絞る、というのは中々無い経験だろう、と苦笑いしながら。
それで構わないか、と首を傾げて彼女に向き直り視線を向けるだろう。
つつかれる頬の感触に、ちょっとだけ擽ったそうな表情を浮かべながら。

マルレーネ >  
「………なるほど、なるほど。
 それって私の言葉が原因じゃないですか! まったくもう……」

ふうー、っとため息をつきながら、隣で肩を落とす。

「仕方ないですね。
 ………さて。」

よいしょ、と隣に座ってその少年の首に、腕を回してヘッドロックの体勢に。
無造作に手をかけてくるシスター。
 

神代理央 >  
「…まあ、そう言う事もある。気にする事でも無いさ。
細かい事を気にしていたら、長生き出来ないぞ?」

くすくすと笑いながら、肩を落とす彼女を眺めて。

そうして、己の首へ伸びる彼女の手を大人しく受け入れる。
一度死ぬと、こういう事に抵抗も無くなるのかな、と思ってしまったり。
――こんな時でも、人の身体の温かさというのは感じるものなんだな、と暢気な事を考えてしまう己に、再度苦笑い。

「………情けない話だな。結局、私が依って立つものなど、私が考えているより脆かったという事か。
自分自身が少し分からなくなったくらいで、何とみっともない」

これが辞世の句というのも何だがな、と笑って。
大人しく彼女に、身を預けた。

マルレーネ >  
「よいしょぉっ!」

抵抗がないその身体。完全に生をあきらめた様子の彼を見下ろしながら。
気合一発。立ち上がってそのまま少年の身体を持ち上げる。
ふわり、っと空中に浮けば。
少年の視界がぐるりと空中で一回転して。

ばふんっ!!

ベッドに、後頭部は打たぬように体を叩きつけて。
衝撃はあれど、それだけ。

「………………さて、頭から落ちて、神代理央はもう一度死にました。
 残念ですが、仕方ありません。」

首を横に振って、ふう、とため息をつくシスター。
 

神代理央 >  
持ち上がる己の身体――持ち上がる?
いやに威勢の良い掛け声と、宙に浮く己の身体に理解が及ぶ前に、視界は綺麗に一回転。

「――ふわぁっ!?」

変な声が出た。こんな甲高い声が己の声帯から出る事に驚いた。
ベッドに叩きつけられる己の身体。しかし、痛みは無い。
強いて言うなれば、ベッドに落ちた際にもう一回変な声が出たくらい。

ぱちくり、と瞳を大きく見開いて彼女の言葉を茫然と耳に入れて。
漸く、己が何をされたのか其処で理解が及べば、その表情はみるみるうちに険しくなっていくだろうか。

「……ふざけているのか。仕方がない、等と。
ベッドに叩きつけられただけで、何をしたというのか――!」

それは、明確な怒り。
彼女と今宵出会ってから一度も見せる事の無かった、明確な感情の現れ。
或る意味、『生』を最も強く表した感情を彼女に晒すのだろうか。

マルレーネ >  
「よろしい。 これでも全く変わらないなら、ちょっと困ってました。」

肩をくり、っと回して。
怒った気配にもさらりとした顔を向けて。
ふー、っと肩を落として吐息を漏らす。

「さて。
 私はいつでも殺せます。それくらいはできますよ。
 投げる角度を変えれば、落とす場所を変えればいつだって。 ……それくらいは、わかりますよね。

 ……私は今、貴方の生を預かりました。」

依って立つと彼は言った。
それは、故郷も、祖国も、世界も、神も失った彼女には、とても羨ましく思えた。
ちょっと本気で落とそうかな、なんて考えるくらいには。


「じゃあ聞きますが。」

腕を組んで、悠然と見下ろす姿。

「私があの時帰ってきて、完全に憔悴しきって、平常心ではない状態で、もう生きている意味が無いといったら、同じように殺してくれたんですか?」
「今、落ち着け、って、口で言ったら、落ち着きましたか?」


「いいですか。………確かに今、あなたは恐ろしい状況にある。
 ですが、それはきっと『戦い』の中に芽生えたものです。
 戦のたびに違う人格が現れてしまうような症例は、私も見たことがあります。

 ……ですが、あなたは今、ここに存在している間はずっと戦わなければいけません。

 だから、一度死んでもらったんです。

 戦いから離れてもどうにもならないなら、その時は本当に終わらせてあげても構いません。」
 

神代理央 >  
生を預かった、と告げる彼女。
確かに、何時でも殺せるのだから此の場において己の生殺与奪を持つのは彼女だろう。己も、それに抵抗するつもりは無かったのだし。
しかし、しかし。折れかけた心の逃げ場を奪われ、思わず露わにした感情にも悠然と構える彼女に、再び憤りの言葉を発しかけて――

投げかけられた言葉に、思わず言葉を詰まらせた。

「………それ、は。それは、私には出来ない。私に、マリーを殺すことなんて、できるわけがない。
それに…落ち着けって言われても、きっと聞く耳を持たなかった。何を言われても…憔悴したまま、だったと思う」

己を見下ろす彼女を、眩し気に見上げながら言葉を続ける。

「『戦い』の中で芽生えたもの、人格。
ならば、それもまた私だと受け入れるしかないのか。
…戦って、戦って、戦い続けて。それもまた私自身だと、呑み込んでいくしかない、か」

「………なあ、まりー。私は今、お前に一度ころされた。
であれば、これからどうすればいいんだ?
確かに、鬱屈した気持ちはあるていどすっきりした…から。
まりーの言う通り、これからもたたかいつづけられる」

「強くあれば、いいのか?みんなの模範となるように、強く、強くあれば良いのか。
なあ、まりー。……縋ってばかりでなさけないのはわかっているんだけど。最後にそれだけ、どうかおしえてくれないか」

弱々しくはない。しかし、途方に暮れた様な声色。
或いは、強い疲労を滲ませた声。
覚束なくなり始めた口調と共に、ことり、と首を傾げてみせた。

マルレーネ >  
「私が言うならば。
 ダメです。
 戦いを続けてはいけません。
 受け入れなくても構いません。

 『それ』は、受け入れるどころか、飲み込まれるまであり得ます。」

厳しく、強く言葉を発した。
首を横に振って。
目線はこれまでになく、厳しいもの。


「強くなくても構いません。
 ………いいえ。

 争いごとがあっても関わらないという決断ができる強さを求めてください。
 あなたはもう今は死んだんです。
 しばらく、身を隠しておくとよいでしょう。

 あなたが積み重ねたそれは、………あなたが考えるよりも、争いごとを招いてしまいますからね。
 それが不安なら言い換えましょうか。 ……しばらく、私の下でおやすみしましょう。」

まあ、ここには修道服しか無いんですけど。
ああ、まあ、似合うかな? なんて首をかしげて。
 

神代理央 >  
「……でも、戦い続けることが。組織のためにあることが、わたしの立つべき場所の、ひとつだ。
それを止めたら、強くあるのでなければ、わたしはどうすれば――」

正しく、迷える子羊。
どうすればよいのか分からない。
強さを求め、呑み込まれる危険性を孕んだ上で戦い続ける事は、己にとって或る意味"楽"な道なのだ。
それを否定された時。どうすれば良いのか本当に分からないのだと訴えて――

「……身を、隠す?マリーの下で、やす、む?
……私が、か。多くを殺し、多くを手にかけたわたしが、まりーの下で。神を祀る場所で。安寧を得られるとは、おもえないのだけれど…」

修道服も、似合うとは思えないけど。と締め括って。
困った様に、不思議そうに、意外そうに。
彼女に釣られる様に、首を傾げてみせるのだろうか。

マルレーネ >   
「戦うために人がいるのではないんです。
 あなたが戦わなければならないと思うから戦うのです。」

まず、彼女はそう口にした。
兵士を作る時の言葉の、その真逆。


「………どこでもいいんですよ。
 休む場所は、どこでも。」

悩む少年に振り向いて、笑う。

「私が本当に力を持っていたら、島から出てもらおうと思っています。
 少しでも争いから離れて、心を落ち着けて。

 それができないなら、少なくとも「ここにはいない」と思える場所にいればいいんです。
 ………私の妹になりますか?」

首をちょこ、とかしげて、いたずらっぽく舌を出して笑う。
 

神代理央 >  
「戦わなければならないと思うから…戦う…」

己に取って、闘争は正義であった。
それは何故か――何故か?
そうあれ、と教えられたからであり、そうあれ、と心の奥で叫ぶ声がするからだ。
それに疑問を覚えた事は無い。
無い、のに。

「………島から出ろ、とはまた酷いな」

僅かに浮かべた苦笑い。
しかし、直ぐにその表情は悩み、煩悶し、彼女の言葉に応えようとするものに変化する。

「……そんな場所、直ぐには思いつかないな。
風紀委員としての立場が。落第街に蔓延る者達が。
私を戦いへと誘っているのなら、きっと何処にいたって私は戦ってしまうさ。
……一人で休んでいても、つい仕事に出てしまう様な男だからな」

己のワーカーホリックさを自嘲的な笑みで笑って。
その笑みは、彼女の言葉に少し明るいものになる。

「…弟ではなくて妹、なのか?此れでも、きちんと年頃の男子のつもりなんだがな。
……だけど、そう言ってくれるのは嬉しいよ。有難う、マリー。
おかげで、少しだけ楽になった」

ふわり、と穏やかに微笑むと、己の身を起こそうとよいしょ、と声をあげる。
気持ちを吐き出し、彼女の優しさに触れた。十二分に甘え過ぎてしまった。

――だから、もう大丈夫。もう大丈夫だと気を引き締めるかの様に。
穏やかな場所から。彼女の温もりから。柔らかなベッドから。
其処から離れられなくなる前に、立ち上がろうと――

マルレーネ >  
「待ちなさい。」

口に出す。


「心の持ちようの問題ではないんです。
 依存しているのならば、強制的にでも遠ざけることが治療になることはあります。
 私は貴方を、止めなければいけない。

 風紀委員としての立場とも。
 落第街に蔓延る者とも。
 あなたは遠ざけねばならない。 代わりに戦う人間がいたとしても。」

首を、横に振って。
立ち上がろうとする相手の額を掌で押さえる。
金色の髪をした女は、少しだけの威圧感を向けて。


「………妹になるくらいのつもりで、しばらく身を隠せと言っているんです。
 戦いから隠れる強さを求めなさい、と。 …さっき言った通りです。」
 

神代理央 >  
待て、と投げかけられた言葉に立ち上がりかけた身体を止める。
何事か、と振り返れば、彼女からの言葉に困った様に笑うだろう。

「…でも、マリー。どうやって止まれば良い?
私の存在意義は、風紀委員としての価値は。
戦う事が全てだというのに」

己の存在意義を、与えられた役職と一体化してしまう。
それは思い込みというよりも、そうやって過ごしてきた故の悪癖。
とはいえそれしか知らぬ少年は彼女の言葉を聞き遂げずに立ち上がろうとして――額を拳で押さえつけられて、ベッドから身を起こすに能わず。

「………じゃあ、私を戦いから遠ざけてくれ。
出来るものなら。それが適うなら。それが啓示だとでも言うのなら」

「…暫く、此処で世話になっても構わないというのなら。妹………は、まあ兎も角として。
世話になっている間は、戦わないと約束しよう。それで、私が戦いから遠ざけられるのか。闘争が、私を見逃してくれるのか」

それは、或る意味挑戦的な視線と言葉。
彼女の慈悲に叩きつける様な、そんな声色。

「………こんな甘えが通用するのかどうか。私も知りたいところではあるしな」

少しだけ、寂し気に。力無く笑って、再び立ち上がろうとするだろうか。
世話になる、と言いながら。自らそれを否定するかのように。

マルレーネ >  
「では、私の存在価値は。
 神を失った時点で、ありませんよ。」

目を細めて、そうとだけ告げた。
表情は読めない。 悲しみとも、憤懣とも違う。 そんな表情で一言告げて。


「………私にできることはやりましょう。
 できないことは、できません。 それだけの話ですからね。

 ただまあ。………今できることは、やってしまいますけどね?」

にぃ、と悪そうに笑いながら、まあまあ、まあまあまあ、と立ち上がろうとする姿を押さえつけて、さてさてとベッドに上がる。


「今日はたっぷり濡れました。 少しだけ温まって寝るのがいいでしょうね。
 なに、私はまだしばらく起きていますから。」

大丈夫大丈夫、なんて言いながら、軽く少年を転がして、その隣に寝そべる女。
はいはい、今日は大人しく休むんですよ、私の預かりなんですから、なんて。

立ち上がろうとすれば、がっちり捕まえて逃がさない。
 

神代理央 >  
「…そんなことはない!マリーには、マリーを慕う人の想いと感情が。マリーを必要とする人が、大勢いるんだから」

彼女の存在意義を、否定する言葉には強く反応を示すだろう。
彼女を慕う者を。彼女を頼る者を多く知るが故。
己とて、彼女を慕うからこそ、ディープブルーとの戦いに身を投じたのだから。

「……今出来る事…?一体何を……待て、私は帰らねばならないんだ。戦って、たたかわない、と――」

必死に抵抗しようとしても、元々フィジカルで負けている身。
元より溜まっていた疲労も相まって、あっさりとベッドに抑えつけられ、転がされ。
起き上がろうとしても、がっちりと捕まえられてそれは叶わない。

不平の声を上げようとして――流石に、隣で寝そべった彼女には視線を合わせられなかった。
どんな状況でも、気恥ずかしいものは気恥ずかしいのだから。

「……分かった。分かったよ。今日はおとなしくねることに、する。というか、動けないし。
まったく…相変わらずというか、なんというか…強情、なんだから……」

諦めの境地に達した溜息を吐き出して、その視線をそろそろと彼女へ向ける。
その瞳は、直ぐに訪れた睡魔に急速に支配されていくのだろう。
精神的に惑い、追い詰められ、雨に打たれた儘の身体は――本当に、疲れていたらしい。

「……こうやって甘えるような、ねんれいでもない、んだけど…。でも、ちょっとだけ、ねむく、なってきた。
………ごめん。ごめん、まりー。ちょっとだけ。ちょっとだけ、ねかせて、くれ……」

薄れゆく意識の中で、何とか単語と単語を繋いで言葉を紡ぎながら。
ふと気付けば、彼女の腕の中で穏やかな寝息を立ててしまっているのだろう。
彼女と会った時の様な焦燥感も。先程まで見せていた闘争を求める歪んだ意志も。
全て掻き消えて、穏やかに。静かに、寝息を立て始めていた。

「……ごめん。ごめん、なさい……」

最後迄、謝罪の言葉を口ずさみながら。
少年の意識は彼女の温かさの中で、深く深く沈んでいくのだろう。

マルレーネ >  
「その私が命を奪う覚悟をして、貴方を戦いから遠ざけようとしているんです。」

囁く言葉。 逆説的に相手を保証する、そんな言葉。
まだ戦おうとする少年を抱きしめながら、そのまま布団の中。

穏やかに、ふんわりと抱きしめながら。


「………ええ、ええ。
 ここにいる間は、全部忘れて。」

そうとしか言えない。

自分が正しいとは、彼女も思っていない。
きっと、これは正しいだけではない行動だろう。

その咎は、甘んじて受けよう。

寝息を立てる少年を撫でながら、腹をくくる。
 

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