2020/11/09 のログ
ご案内:「宗教施設群」に毒嶋 楽さんが現れました。
毒嶋 楽 > 「宗教施設、っていうからどんなもんかと足を運んで来たけど……なるほどな、こいつは凄い。」

立ち並ぶ異世界の建造物を前に呆気にとられて立ち竦む男が居る。
デスクワークのし過ぎも宜しくないから外回りしてきます、と何食わぬ顔でサボりに出てきた毒嶋 楽である。
風紀委員庁はどうにも堅苦しい雰囲気で居心地が悪いし、公安委員庁はどうにも胡散臭いのでこうして適当にブラついているのである。
どちらにも片足ずつ突っ込んでる身としてはいい加減極まりないが、俺ちゃんみたいなのが居なきゃ駄目でしょとは本人談。

「建築様式とかその辺の事ぁさっぱりだが、まあこれだけ集まってると壮観だねえ。」

はぇー、と観光しに来たおのぼりさんよろしく、宗教施設群に圧倒されている。

毒嶋 楽 > 「──っとぉ、このまま突っ立ってても邪魔なだけだし、風紀委員の誰かに見つかってもサボりがバレて面倒だ。」

ハッと我に返って、ぶらぶらりと気だるげな足取りで歩き出す。
いやいや、世界ってのは多いもんだねえ、と感嘆の声を上げながらぶらぶらする姿はやっぱりおのぼりさん。
一周目の頃は学生街付近から出たことも無かったので何だか島外に来たような気持ちになる。

「折角だから屋台とか出しゃ良いのになぁ。
 って、別に祭りとかじゃないんだし流石にそりゃ失礼か。」

同様に様々な文化の交差点として異邦人街もある。こちらはもっと厳かな場所で、同時に繊細な場所でもあると聞いた。
ごった煮宗教観の世界で育った楽にとってはただ物珍しい建物の集まりでも、人によっては神聖な物だろう。
軽率な考えに誰に言われたでも無いけれど反省しつつ、少しだけ背筋を伸ばすつもりで姿勢を正す。

それでも猫背だけれど。

毒嶋 楽 > 「ガイドブックとか、案内役とか、そういうの必要だなぁ……」

油断すると迷いそうになる。
何せ周囲は見慣れない建造物に囲まれ、そこに居る人々も僧衣であったり、修道服であったり、はたまたよく分からない服装であったりと様々だ。
おまけに足元さえ舗装されているかと思えば石畳だったり、轍のようなむき出しの地面であったりと一定ではない。

「とはいえこの辺りに詳しい子ってーと、誰か居たかしらん?」

職場──風紀委員に知り合いが多いという訳では無い。
同級──クラスに友人が多いという訳でも無い。
異邦人街および宗教施設群に詳しい知人となると、とんと思いつかない楽である。友達って大事。

「はぁ、まあ……全ての道は何とやらって言うし、歩いてりゃどこかしら着くもんだ。気楽に行こうかねぇ。」

毒嶋 楽 > ──そうしてしばらく気儘に歩いた後。
今居る場所がどこなのか、今来た道はどれなのか、さっぱりわからなくなって途方に暮れていた。

「うーん、迷った!こりゃ参ったね!
 今度から地図は最低限持ってサボりに出よう。うーん、そうしよう。」

へらへらと笑いながら小一時間ほど宗教施設群を彷徨う男の姿があったとか、無かったとか──

ご案内:「宗教施設群」から毒嶋 楽さんが去りました。