2020/12/18 のログ
■迦具楽 >
「ええーいいじゃん、何もしないでだらだら暮らすのー。
食べてー寝てー、好きな事だけして過ごしてさあ」
自堕落な生活、大歓迎な迦具楽である。
何の憂いもなく、心配もなく生きられるというだけで、とてもありがたい話なのだ。
二の腕を揉む手に、時折、体をくすぐったそうによじらせて。
「うーん、人間の宗教観での善悪だし、私みたいに人喰いの怪異は悪魔とか邪教の扱いじゃないのかなあ。
まあ私は別にサンタさんからもらいたい物もないし、なんでもいいけど」
とんとんとん、とリズミカルに伝わってくる振動が心地よい。
肩回りで滞っていた血流が、頭の先まで昇ってくるのが感じられる。
疲労感がしっかり抜けていくようだ。
「んー、プレゼントだって、友達と交換し合ったりとかもするみたいだよ。
家族と過ごしたり、友達とか恋人と過ごしたり、親しいヒトと過ごす祭日って感じじゃないかな」
思った通り、彼女は宗教行事としてはともかく、民間のイベントとしてのクリスマスはよく知らないようだった。
「お寿司かー、クリスマスにお寿司はあまりないかなー。
ケーキとかチキンとか、ほら、買い物行ったらそういうのが売ってたでしょ?」
馴染みが少ないヒトも多い異邦人街と言えど、この時期は商店街の通りとかはイルミネーションに彩られてもいる。
それの意図はわからなくても、飾りつけや店頭での宣伝は見た覚えがあるだろう。
■サヤ > 「駄目です。いいですか、苦しい事辛い事があるから楽しい事嬉しい事もあるんです。
はい、肩もみは終わりです。今だって宝石を削って疲れたから気持ちよかったでしょう?
それと同じです、疲れてもないのに体を揉まれても何ともありません。」
ぽんぽん、と肩を手のひらで叩いて終わりを示す。労せずして稼ぎ、そんな生活をして身代を潰した者の逸話は数多くある、そんな一例の中に迦具楽は入ってほしくないし、自分も入りたくない。少々説教臭くなってしまう
「ふぅむ、神様は時折何をお考えなのかわからない時がありますからねぇ。
ええっと……では同居しているけれど家族ではなく、友達、よりは深い仲で、まだ恋人でもない私たちはどうすればいいんでしょう……?」
正座のまま膝を立てずににじり歩きで迦具楽の横へ。頬に手を当てながら考え込む仕草。
改めて考えると自分たちの関係はよくわからない。迦具楽の挙げたどの例にも自分たちは当てはまらないように感じる。
「ふむふむ、確かに装飾した商品が売ってありましたね。普段より割高なので近寄らないようにしていたんですが、そうですか、クリスマスに…。」
相応しい品に相応しい金額を払うのならまだしも、思い当たる理由なく値上がりした商品など考慮にも入らなかった。
人間、見ようとしなければどれほど目立つものでも見落としてしまうものである。
「ではどうしましょう、ええと、お店と言ってもあまり外食しませんのでどこに何があるのか疎くて……。」
■迦具楽 >
「ちえー。
私は不労所得って言葉が大好きなんだけどなぁ」
なかなか厳しい。
働かざるもの食うべからずな精神に近いのだろうか。
少しだけ拗ねて見せるように、唇を尖らせた。
「んえ、少なくともこうして一緒に暮らしてるわけだし、家族みたいなもんじゃない?
それに、私はそう言うちょっと特別な日に一緒に過ごすくらいには、親しい仲だと思ってたんだけどなあ」
迦具楽はとっくに、彼女を家族のように思っている。
恋人として接してあげられるかはともかく――間違いなく好きにはなっているが――それだけ親しく思っているのは間違いない。
「それなら、ケーキとか買って、うちでクリスマスパーティーしようよ。
わざわざ慣れないところに行っても、疲れちゃうしさ。
ケーキとチキンを買って、ツリーも用意したらそれっぽくなるかなあ」
青垣山に行けば、それっぽい木の一本や二本は見つかるだろう。
軽く斬り倒して運び込んで、イルミネーションで飾れば雰囲気はあるかもしれない。
要らなくなったら食べてしまえばいい。
「あ、そうだ。
サヤは何か欲しい物とかない?
服とか装飾品とか、家具だったりとか――あ、まだ首輪っていうのは無しだからね」
と、欲しいものを真っ正直に聞きながら、彼女に甘えるようにもたれかかる。
■サヤ > 「働いたお金でその仕組みを作るならいいですけど、降って湧いたお金は悪いお金です、ためになりませんよ。」
いくら拗ねられてもこれは譲れない。ぴしゃりと言い放った。
「家族、家族ですか……なんか、ちょっと、照れますね……えへへ、家族ですか……。あ、改めて言われると、やっぱりちょっと……。
はい、その、家族として一緒に、はい……ええと、はい、じゃあえっと、ケーキ…まだ、あんまりよくわからないので、ご一緒に……ええと、ああ、やだ、照れる……。」
白い頬を朱に染めて、はい、はい、と繰り返しているが、あまり話を聞いているようではない。一応答えようとはしているが、面と向かって家族と言われたので頭が一杯。
「くび……わ、じゃないの、ですね…なら、ええと……きゅ、急に言われてもええと……」
食い気味に一番欲しいものは無しになって、考え込む。そこにもたれかかるなんてされれば、元々真っ直ぐだったが背筋が背伸びするようにピンと伸びて、更に思考をかき乱す。
出た結果は。
「あの、も、木人……?」
拳法用の、構えた手足を模した棒が突き出たあれが何故か真っ先に浮かんだ。
■迦具楽 >
自分の言葉に照れ始める彼女を見ると、ふつふつといたずら心が沸き上がってしまう。
こういうところが可愛くて仕方ないと思うのだから、迦具楽もまた随分と参ってしまっているのだろう。
「なぁに今更照れてるのー?
いきなりキスまでしてきたくせにー」
そう、にやにやと笑いながら、手を伸ばして彼女の頬をつついて。
「木人――はい、やり直し。
ちゃんと何が欲しいか言ってくれないとー、私があげたい物押し付けちゃうぞー。
あ、私からのプレゼントなら何でもいいとか、そう言うのもなしだからね」
などと、次に予想できそうな答えも先回り。
こう言えば彼女がとても困った顔をするのが分かっていて、その顔見たさについ困らせたくなってしまうのだ。
■サヤ > 「キ、いや、あの、そ、それは、あ、えと………それは、そ、そう、なんですが………。」
先日の出来事を思い出させられれば、顔を手で覆って、体を丸めて小さくなってしまう。
頬は更に赤く、突付いた指に熱が伝わることだろう。
「えと、じゃ…迦具楽さんのならな……あ……じゃ、あう………。」
逃げようとした先にどんぴしゃり、先回りされて口ごもってしまう。
「意地悪………」
覆った手の隙間からちらり、うるんだ瞳が覗く。
■迦具楽 >
「あはは、んもー、可愛いなぁ」
うるんだ瞳が見えると、笑ってしまって。
真っ赤になった頬を両手で包んだ。
「――それで、なにが欲しいの?
ちゃーんと考えて、答えてほしいな」
そのまま、赤い瞳を細めながら見つめる。
少しだけ真剣な、低く落ち着いた声で、微笑みかけながら。
「じゃないと、サヤだけのサンタさんは廃業しちゃうよ?」
と、ますます意地悪に言うのだ。
■サヤ > 頬を挟まれ、顔を逸らすことも封じられて、おずおずと手を下ろし、鳶色の瞳で見つめ返す。
「私が欲しいもの………その………は、はしたない女と思わないでくださいね……?」
ぎゅっと袴を握りしめ、何度も言いかけては口を閉じるのを繰り返して
「だ、抱いてください…………っ。」
言ってしまえば、迦具楽の手に伝わる熱は更に上がり、顔はりんごのように赤くなっていく。
■迦具楽 >
「――わーお」
もしかしたら言われるかな、と思っていた言葉がぽろりとこぼれ出てきた。
彼女の顔はテーブルの上のルビーのように真っ赤だ。
要するに、『おまえが欲しい!』と言われたわけだ。
「サヤって、ほんとに時々、すごい大胆になるよね」
別にはしたないとか、そんなふうには思わない。
むしろ、そう言う人間らしい欲求を、随分と我慢させているんだろうとは思っていた。
友人にも言われたのだ、好きな相手となら生まれて当然の欲求じゃないかって。
「んー、でも私そういうの、全然わかんないんだよなあ。
どうしてあげたらいいのかなぁ」
と、断るような事もなく、どうしようかと考えている様子で。
まあプレゼントするという意味ではちょっと困ってしまうのだが。
「あ、そうだ。
それじゃあ、一晩私に何をしてもいい権利を進呈しようー。
クリスマスの夜は、私の全部がサヤのモノに――なんて」
真っ赤な顔に、笑いかけながら。
ますます、欲求を刺激するような言い方をする。
■サヤ > 「い、言っちゃった……。」
普通の人なら適度に吐き出すべき感情を溜め込んで溜め込んで、一気に解き放ってしまう。
サヤの悪癖の一つであるそれが今、発揮されてしまった。
幸い、突然の告白に同居人兼恋人候補は嫌がってはいないようだ。
小さくほう、と息を吐く。知らず識らず溜まっていた欲求を言葉にした安堵。
だがそれも、すぐにまた燃え上がるように掻き立てられる。
一晩好きにしていい権利。
「ほ、ほんとですか…?!好きに、って、ほんとに、その、か、かぐら、さんを、好きに……私の、好きに、して……!」
体ごと向き直って、頬を挟む手を握りしめて、何度も確認する。
「あの、そ、そんなこと、言って、どうなるか、わ、わかり、ませんからね……?」
■迦具楽 >
「あははー、こわいなぁ、なにされちゃうんだろ。
でもうん、サヤならいいよ。
サヤになら何されても、きっと嫌じゃないから」
若干パニック気味に言う彼女に微笑みかけながら。
少し落ち着けるように、静かな声で言う。
けれど、すぐにまたイタズラな笑い方に変わって。
「――なあに、興奮しちゃった?
期待しすぎて今からそんな調子だと、クリスマスまでにばてちゃうんじゃない?
クリスマスまで我慢できるー?」
そりゃあ性愛の対象で、心から慕ってる相手に『好きにしていいよ』なんて言われれば興奮だってしようもの。
煽りに煽った分が自分に返ってくるというのに、未知の欲求ゆえに想像がいまいち及んでいないのだった。
■サヤ > 「じゃあ、や、約束してください。その、その日、する時……少しでも嫌だったら、嫌って、言ってください。絶対、やめますから。
迦具楽さんが嫌がることは、私、したくないんです。何されてもって、言うけど……何しちゃうか、私でも、わからないですし……。」
獣のように貪るような真似はしたくない。性欲を発散したいのではなくて、愛を深め合いたいのだから。
「や、やっぱり、意地悪です。迦具楽さんの、意地悪………。知りませんよ……そんなこと言って、私……憂さ晴らしなんか、しちゃうかもしれませんよ……。」
握った迦具楽の手を自分の膝下に置いて、揉むように何度も握り直す。
もちろんそんなことはするはずもない、出来るはずがないのだが、少しでも言い返しておかないと更に煽られるのだ。あまり煽られると本当にクリスマスまで我慢出来るかわからない。
言い返しても無駄な時はあるが。
■迦具楽 >
「うん、わかった。
ほんとに嫌だって思ったら、やめてって言うよ。
でも、そんなことにはならないと思うけどな」
それこそ、彼女が欲求に呑まれて暴走してしまったとしても。
それを受け止めてあげるのも、必要な事だと思うのだ。
「いいよ、それならそれでも。
ああでも、あんまり痛いのはちょっと辛いかもなー」
なんて言いつつも、痛いくらいなら、それだけなら我慢できるから問題ない。
さすがに殺されそうにまでなったら困ってしまうが。
「よし、じゃあクリスマスプレゼントは決まり。
ちょっと予想よりすごいの頼まれちゃったけど。
ふふ、楽しみにしててね」
と、彼女の手をしっかりと握って。
『楽しみにしてて』なんて言ったら、余計期待させて情欲に火をつけるようなものだが。
とはいえ、プレゼントがそれだけというのも、迦具楽の気分が落ち着かない。
自分の他に何をプレゼントしようかと、あれこれと思い浮かべるのだった。
■サヤ > 「約束は約束です、嫌なら、言ってください。」
赤くなりっぱなしの顔と、跳ね続ける心臓を落ち着けるために、ゆっくりと呼吸をしながら。
降って湧いたプレゼントの話は一応の決着がついた。
「これで、あの、た、楽しみにしてるって、言っちゃったら……私、やらしいじゃないですか…。」
ようやく少し落ち着いてきた鼓動も、また一気に跳ね上がることになった。
結局、サヤが落ち着ついて普段の調子に戻るまで大層時間がかかり、夕食が遅れることになってしまったのであった。
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