2020/12/24 のログ
ご案内:「宗教施設群 迦具楽の家」に迦具楽さんが現れました。
ご案内:「宗教施設群 迦具楽の家」にサヤさんが現れました。
■迦具楽 >
今日はいわゆるクリスマスイブ。
クリスマスという祝祭の前夜だ。
今夜から明日にかけてがクリスマスとして、親しいヒトと穏やかな時間を過ごす日となっている。
日本においては宗教行事というよりも、団欒のためのイベントである。
普段はこれと言って物もなく、殺風景ですらあるリビングも、キラキラとした装飾がされていた。
天井で折れ曲がるほど大きなモミの木には、穏やかな色のイルミネーションが施されている。
テーブルには三段重ねのクリスマスケーキと、フライドチキンがいくつも入ったバケットが三つ。
大皿には丸々とした大きなローストチキが乗り、ケーキの前にはなぜか、まるごと焼かれたトコヨシャケが鎮座している。
各種装飾、イルミネーションなど──自作
クリスマスツリー用のモミの木──青垣山にて取得
豪華三段クリスマスケーキ──¥*****
チキンバケット三つ──¥****
トコヨチキンのロースト──¥****
トコヨシャケの丸焼き──¥*****
静かな二人きりのクリスマス──Priceless
朝から二人で準備から楽しんだ迦具楽は、いざパーティを始めようと言う段になってリビングを出ていった。
迦具楽はここ数日、同居人の部屋で寝ることもなく、食事時以外は殆ど部屋に籠もっていた。
なにかを用意しているだろう事は、きっと同居人の彼女にもバレていることだろう。
つまり、迦具楽はこの日の為に準備した物を取りに行ったのだった。
喜んでもらえるだろうかと、ドキドキしながら。
さてさて、どんな素っ頓狂なモノが飛び出す事やら。
■サヤ > なんだかすごいことになってしまった。
というのが改めて部屋を見渡したサヤの感想だった。
楽しく準備をしている間は気付かなかったが、色々と豪盛である。
特に用意された食事の量が、迦具楽が大部分を食べると推測出来るが普段の数倍はある。
モミの木を丸ごと切り落として部屋に押し込んでいるのもちょっとどうかと思う、終わったら山に返してあげよう。
そしていよいよ始まるという段になって迦具楽はどこか行ってしまった、ここ数日の行動はあからさまなほどだったから何か今日のための準備をしていたのだろう。おかげで寂しい夜を過ごすことになった。
こちらもこっそりと買っておいたプレゼントの包みを正座した膝の上に置いて、迦具楽の帰還を待ち侘びている。
喜んでくれるだろうか、気に入ってくれるだろうか、そんな不安を抱えながら。
■迦具楽 >
そんな、不安を抱きつつ待ちわびている同居人をよそに。
廊下からはドタドタとした足音。
そして、勢いよく音を立てながら、リビングの扉は開かれた。
「――めりーくりすまーす!」
扉を開けて現れたのは、赤い衣装に身を包んだ迦具楽の姿。
所謂サンタコスに身を包んだ迦具楽は、膝上丈のスカートを翻しながら、大きな袋を担いでやってきた。
大丈夫、スカート丈は短いが、下は黒のロングスパッツなので下着は見えない!
「じゃじゃん!
サヤのためだけの激かわサンタさん参上ー!」
右手を掲げて、ポーズをとりながら笑顔でウィンク。
イベント好きの迦具楽が考えた、ちょっとしたサプライズ演出だった。
■サヤ > 「め、めりい、くりす、ます。」
オウム返しにこの時期にだけ通じる挨拶を口にしながら、驚きに目を見開く。
赤い装束、短い丈の下衣はテレビや街で見かけるサンタさん、と呼ばれるものの女性版。
自分のためだけ、という言葉に喜びと同時に、いつか交わした約束を思い起こさせて、ごくり、と生唾を飲み込む。
迦具楽の服装を、コスプレによる可愛さを表現する語彙はサヤは持たなかった。
ただ、それが愛らしいものだと理解は出来ていた。
「え、っと………迦具楽、さん……。ど、どう言えばいいんでしょう、その……お、お似合いですよ。
ええと……わ、私のためって、その、ええと………嬉しいです……。その……か、迦具楽さん、が、ぷ、ぷれぜん、と、でした、もんね………。」
何を想像しているのか、赤くなった顔をクリスマス柄の包みで隠しながら、おずおずと歩み寄る。
ええっと……わ、私からも、お返しが……全然その、見合わないとは思うのですが一応……用意して……ええっと……。ど、どうぞ…!」
情緒も何もなく、押し付けるようにその包みを差し出す。
中を開けてみれば、迦具楽の黒く艶のある髪に合う色の、彼女の瞳のように紅いバレッタが出てくるだろう。
■迦具楽 >
息を呑むように感動に打ち震えてる同居人に、内心でガッツポーズ。
どうやら先制パンチはしっかり決められたらしい。
「へへ、似合ってるかな?
そうだよ、サヤのために用意したんだぁ。
折角のクリスマスだし――って、なぁに、もうやらしいこと考えてるのー?」
と、赤くなった顔をにやにやとのぞき込むように身を屈めて。
もちろん、迦具楽自身は積極的でもなければ、欲求があるでもないが。
この後、彼女にされるだろう事は知識として理解している。
それを考慮して――というわけではないが、彼女がより満足してくれそうなのであれば、甲斐があるというものだ。
「おお、サヤからのプレゼント?
嬉しいなー、なんだろ、開けて良い?」
そう聞きながら、すでに受け取った包みを丁寧に開け始めている。
中から出てきたバレッタを見ると、感嘆の声を漏らしながら、両手で嬉しそうに掲げた。
「うわー、綺麗なバレッタ!
ありがと、早速着けちゃおうっかなぁ」
そうして、自分のまとめている長い髪にパチリと留めて。
手の中に手鏡を造り出すと、嬉しそうに頭を左右に向けていた。
「んふふ、似合うかなぁ?
でもそっかあ、バレッタかぁ。
なんだか、余計に嬉しいなあ」
ついつい、にやけてしまう。
なにせ、迦具楽が用意したプレゼントも、髪飾りなのだ。
「じゃあ、今度はこっちの番!
まずは――これからかな。
はい、開けてみて」
白い大きな袋から出てきたのは、細長い白木の箱。
それを彼女の手にしっかりと持たせる。
その中身は、半透明で黄色の細長い簪。
飾りの部分には、白い牡丹の花が咲いている。
黒い髪に映える、明るすぎない色合いの白だ。
■サヤ > 「ち、ちが、あの、あ、いえ、ちがく、ない、んですけど、そ、その、まだ、ですから。ええと………。
その、か、迦具楽さん、綺麗な髪をしてらっしゃるので、それに、エアースイムで、纏める時に便利かと思いまして……。」
もごもごと言い訳と解説をしていると、あっという間にプレゼントを身につけてしまう迦具楽。
「あ、えと、あ、はい、て、手前味噌ですが、お似合いです。よ、良かった。あの、私が居た世界だと赤は黒に映えるんです。
暗闇を照らす炎の色、ということで、こっちでも通用するかわからなくて…不安だったんですけど、よ、良かった…。」
気に入ってくれたようで、上機嫌に手鏡で確認する様に安堵の息を吐く。
でも、余計にとは何故だろう?
「はい、あ、えと、あ、他にも頂けるん、ですか?あの、それだと私…もらいすぎ……あう……。」
受け取るべきか否か、逡巡する内に手の上に白木の箱が乗せられて、受け取ってしまう。
言われるままに開けると、簪、洋の東西の違いはあれど、髪を纏め、飾るためのものを相談無しに互いに選んだことになる。
「わぁ……綺麗……あの、とっても嬉しいです、付けてみますね。」
いつもは日本人形のように真っ直ぐ下ろしている長髪を束ねてから捻じり、くるりと丸めて、簪で留める。
「あの、えっと、どう、ですか……?その、こういう髪型ってはれの日とかに、着飾った方がするので……。
ちょっと……私に似合わないかもしれない、ですけど……。」
サヤの言う通り、巫女装束には少々不釣り合いに見えるかも知れないが、これが着物や洋装なら問題ないという印象を与えるだろう。
「あの、でも、不思議、ですね。私達、何も、言ってないのに、二人して髪飾りをプレゼントにするって、その……あの……あ、相性、いい、のかな……なん、ちゃって………えへへ……。」
赤い顔のまま、軽くうつむいて、はにかんだ笑いを漏らす。