2021/02/21 のログ
ご案内:「常世島共同墓地」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
「明日、だそうだ」

名前すら刻まれない墓碑。
上質な石材を用いてはいるが、墓碑に刻まれた言葉は短い。

『陰から光に。そして天に』

唯、それだけ。

「幸い、貴様達を追い掛ける者は少ない。
日頃の訓練の成果……ああ、そうだ。
今は、鈴音が暫定ではあるが副部長を務めていてな。
羨ましいだろう?貴様達が居た頃は、まだむさ苦しいばかりの男所帯だったからな」

墓石の前に紙袋を置いて。
ぺしぺし、と埃を払いながら言葉を紡ぐ。

神代理央 >  
「鈴音は良くやっている。それに、出向で此方へ派遣された連中も戦力としては有用だ。おかげで最近は、葬儀代に悩まなくてすむ。
まあ、治療費がその分かかりはするが…入院で済むなら、手がかからなくていい」

懐から取り出した煙草に火を付ける。
甘ったるい紫煙が、夜の墓地へと流れていく。

「とはいえ、明日は恐らくそれなりに激戦になるだろう。
貴様達の後輩として、此処に埋められる者も出るやもしれぬ。
全く。人員の補充は容易い事ではないのだがな…」

カシュ、と渇いた音。
普段は決して飲む事の無い、コンビニで売っている様な安酒。
缶チューハイ、と呼称される甘ったるいソレを、煽る様に流し込む。

「……不味くは無いが、好んで飲もうとも思えんな。
よくもまあ、こんなものを浴びる様に飲んでいたものだ。
…………給料が低かったとは言わせぬぞ。貴様達にも、相応の給与を支払っていたんだからな。どうせ、歓楽街か常夜街で使い果たしていたんだろう。全く」

はあ、と溜息と共に。
紫煙と酒精を帯びた吐息を、虚空へ吐き出した。

神代理央 >  
「…さて、貴様達も天上でのんびりとしているだろうが、仕事の時間だ。特務広報部に所属したのだから、そう易々と休めると思うな?」

「明日、違反部活生共を大勢そちら側へ叩きこむ。…まあ、同じところにいくのかどうか。私は死生観については懐疑的故良く分からんが」

「まあとにかく。そちら側を訪れる違反部活生共を、しっかり地獄へ叩き落してやれ。漆黒の装甲服が、冥府でも通用する事を、思い知らせてやると良い」

「……それが終わったら、きちんと完了報告くらいは来る事。
化けて出ても良いぞ。此の私が。『鉄火の支配者』が幽霊如きに後れを取る事など無いとは、貴様達が一番良く知っているだろう」

「…話はそれだけだ。邪魔したな」


夜更けの墓地から、立ち去る少年。
後に残されたのは、紙袋が一つ。
そして、甘ったるい紫煙だけ。

ご案内:「常世島共同墓地」から神代理央さんが去りました。