2021/04/02 のログ
ご案内:「常世島共同墓地」に照月奏詩さんが現れました。
照月奏詩 >  
 ふと足を運んだ。別に前の一件を引きづっているわけではない。
 それでも1度もこういう場所に足を運んだことがないなとふと思い、そうして足を運んだのである。

「とはいっても……どこにお参りすればいいやら」

 自身が殺した相手、そうした相手へお参りを。思ったのはそれだけだ。だが広大なこの地のどこへ行けばそれが叶うのかなどわからない。
 名前もそもそもここにいるのかすらわからないのだから。
 だから結局たどり着いたのは奥。名前すらわからない者たちが埋葬されているエリアだ。
 名前すら刻まれずただ石が並んでいる。そもそも骨すらここにはない場合が多いのだろう。
 なんて少し考えそこをボーッと眺めていた。

照月奏詩 >  
 いくつかすることはあった。だけどその中で本来なら最優先にするべきこと……それを自身はしなかった。
 それは謝罪だ。ただしたのは自身が殺した相手が死後平和に暮らせること、そしてあるのなら来世では殺されないような人生をと願うだけ。
 そこに謝罪は一切含めなかった。する資格など自分にはないのだから。
 そして謝罪するべき相手はそもそも殺さないし……仮に殺すのであればもう済ませている。最後に殺す前に。

「お参り失格かもなこりゃ」

 何やってんだかと首を軽く振るうとこの場をあとにする。
 何も持ってきていないその場にはどこからか吹き込んだ桜の花びらだけが乗っていた。

ご案内:「常世島共同墓地」から照月奏詩さんが去りました。