2021/11/12 のログ
■比良坂 冥 >
踏みつけ、踏み躙り、罵倒する
誰かが見ていたならなぜそこまで必死な顔で、と怪訝にすら見るだろう
少女は自分の安寧が奪われるのを恐れる
少女は自分の元から誰かが去るのを恐れる
少女は自分を拒絶した人間を──永遠のものとせずにはいられない
だから、自分以外の誰かによって失われるということを…何よりも嫌った
気づけば昏い双眼からは涙が溢れ、頬を伝い顎先から滴り落ちて
やがて、それほど体力もない少女が疲労で動けなくなるまで、そんな行為は続いた
「……」
「……綺麗な花なんか添えてやらない。あの人も、絶対に此処には連れてこさせない…」
胸元のポケットに収めていた色の抜けたような紅葉を手にとりはらりと墓標へと舞わせる
「……あの人を縛ってるだけならともかく、喚ぼうなんて、ね。……身の程を弁えて」
墓標に向けて吐きかけるように言葉を残し、踵を返す
献花がバラバラに散り、踏み汚された墓標にふわりと落ちた白い紅葉
少女が去ると同時に、それはグズグズと黒く染まり、朽ち果てた
ご案内:「常世島共同墓地」から比良坂 冥さんが去りました。