2021/12/15 のログ
ご案内:「常世島共同墓地」にアリスさんが現れました。
アリス >  
私、アリス・アンダーソンは。
2年前の4月29日に発生した。
惨劇の館事件の………
たった二人の生き残り、その片割れである。

惨劇の館事件。
風紀では、正式にもっと丁寧で長い名前で呼ばれている。
けど、この事件を知っている人の誰もが。
惨劇の館事件で覚えているだろう。

薄灰色の壁色を持つ豪奢な館が突如、転移荒野に現れた。
私とアガサはそこで人間を拷問、改造している奇妙な怪物を見る。

生き残りもいたかも知れない。
けど、私は……アガサを連れて脱出する際に館を内側から爆破した。

それが私の罪。
今日はその事件の犠牲者たちの墓参りに来ている。

アリス >  
帰る途中、一緒に囚われていた故・金岡里美さんのお父さんと会った。
随分と痩せていた。
私を気遣う言葉と、来年になったらアリスさんも17歳だね、という言葉に打ちのめされた。

金岡さんは享年17歳だった。

私は本当に笑ってていいのかな。
私は本当に生きてていいのかな。
私は………アガサと一緒にいてもいいのかな……

金岡さんのお墓の前で、十字を切った。
空は寒々しい暗雲に覆われていて、真昼なのに暗い。

アリス >  
金岡さんを思い出す。
動悸がする。
金岡さんは……あの怪物に上半身同士を坂井先輩と縫い合わされて…………

フラッシュバック。
一年くらいなかったのに。
涙が滲んでどうしようもない。

金岡さんのお墓の前で蹲り。
何度も何度もごめんなさいと呟いていた。

アリス >  
私は泣くためにここに来たのだろうか。
違う。そう思いたいのに。
わざわざ黒いコートまで持ち出してきたのが。

なんか……わざとらしいな。
自分の心が冷え込んでいくのがわかる。

「ごめんなさい……ごめんなさい…」

泣いても。喚いても。
死んだ人はただ、土の下で死に続けるだけ。
もう誰を許すこともできない。

アリス >  
立ち上がり、自分の足に力を入れる。
いつまでも墓に泣きついているんじゃない、アリス!!

そのまま涙を拭い、墓地を去っていった。

ご案内:「常世島共同墓地」からアリスさんが去りました。