2022/11/20 のログ
ご案内:「常世島共同墓地」にヴァイスさんが現れました。
ヴァイス >  お昼時も、ずいぶん寒くなった
 袖をまくって墓碑を拭う、冷たい水はまだ辛くない季節
 しずかなねむりを、なるべく邪魔しないように
 日々、雨や風にけずられていく石を、せめて美しく

「ああ、なんてきれいな花なんでしょう」

 そなえられた花々が、白や黒の石のむれのまえで映えている
 お花の世話も、ヴァイスのお仕事のうち

「きっと、このなかにねむるどなたかの…」

 共同墓地には、なまえのないひともねむっている
 わけへだてなく整えてあげなければいけない
 石をみがく音がささやかに、冬の陽のしたで…

ヴァイス >  お花のことはくわしくない
 とてもきれいな花が、おそなえには縁起がわるいとか…
 
「花ことば、みなさんおくわしいのでしょうか」

 学ぶことがたくさんありすぎて、知識がぜんぜんたりていない
 お仕事で単位はもらえるけれどそもそもお勉強にきているのに…
 余暇時間をけずるのは、それはそれでいやで…

「あとちょっと…」

 自分の担当はあとちょっと
 それでもかんたんに済ませてはいけないおしごとなので
 しっかりと磨き込んで、みなさまの墓碑はぴかぴかに

ヴァイス > 「ふう…おしまい」

 ひとりで手入れをするのは、とてもとても無理で
 要領のいいみなさんにくらべて少しだけ仕事はおそいけれど、
 しっかりやれている自信はようやくついてきた

「どうかやすらかに…」

 この島の言語のお祈りには慣れていないけれども
 そのことばは心から、手を組んで…

 道具をかたづけて、ひきあげる
 こんどのおしごとは、のざらしの救済
 臥所をもとめるなきがらをみつけにいかなければ…

ご案内:「常世島共同墓地」からヴァイスさんが去りました。