2020/08/01 のログ
■日月 輝 > 「ええ、何かあった時にはお願いするわ。困らせるくらいの探し物を用意しなくちゃ」
快活さを示すように胸を叩く彼を頼もしく思う。ああ、人が好いんだなと再び思う。
だから少しくらい意地悪をしてもいいかなとも思ったから、そうする。
きっと意地の悪い魔女のように口端を歪めて無理難題の犯行予告。なお実地は未定とする。
「そうね、案外"なんでもない日"を探して。とかそういう日も来るのかも?」
「とりあえず今日は初めまして記念日って所……そうそう、拘りってそういうものそういうもの」
「貴方にもあるんじゃなくて?そういう、他人から見たらどうでもいいことだけど──みたいなの」
喧噪に紛れて言葉が行き交う。譲れない拘りも、譲れる記念日の行方も、。
胡乱な鮫のお話も、不可解なお肉の正体も。色々が混ざって判然としない。
「ふふん、煌びやかでしょう。ええ、どれどれ……」
そうした合間に互いの名前も交わって、あたしの手には一枚の名刺。簡潔に記されたのはアドレスと御名前で。
「みどう きょういち……ふんふん、何処となく雅やかな御名前ね。ありがとう」
ハンドバッグから財布を取り出し、名刺を収めて、簡素に御礼を述べて一頻りに歩く。
そうして辿り着いたのは年季の入った雑貨屋さん。
歴史の授業で習った荒物屋と呼ばれる区分の商いを思わせる造作は、中々どうして雰囲気がある。
「うっわ凄いお店ね……あたしの実家より古いんじゃ──へ?」
店内は明る過ぎず暗すぎない。雑多に並んだ数々は何をどう使うのかも判然としないものもある。
丸ごと博物館にでも置いた方がいいんじゃ?そう脳裏に浮かんだ疑問符が吹き飛ぶのは店主の声が、少し奇妙だったから。
「……ねえ御堂さん。爺さんって言っていたけど?」
言外に、今の声は子供じゃあなくて?と御堂さんの手を引いて首が傾ぐ。
■御堂京一 > 「失せ物って用意するもんだったか?いや依頼料いただけるんならやりますけどね?」
おかしい、今どう考えても好感触といった流れだったはずなのにいきなり下々を駒にして遊ぶ悪い魔女みたいな笑みが浮かんでいた。
見た目で判断しちゃいけない、肝に命じた上で言うが変な女だこいつは!
「俺は週五日くらいはなんでもない日が欲しいんだがなあ……」
「へいへい、頭の隅っこの日の当たらない場所にでも覚えておきますよ」
「ん~まあそりゃな、男の子はいつ間でもかっこつけたいお年頃だからな」
誰も見ていないのにタバコに火を付ける時に気取った仕草を混ぜる自分を思い出し、くくっと楽しげに笑って。
「なんか古い家らしいんだが俺にゃよくわかんねえなぁ」
「俺がガキの頃から遊びに来てるからなあ…いやまあその頃にはこのガラス戸ガタガタいってたな」
薄暗い店内はどこか不快感を感じさせない程度の重さがあり、ガラス戸一枚隔てただけで通りの喧騒はどこか遠くに聞こえてくる。
「爺さんだぜ?あー釣具はこの辺だな」
ほれ、と指差した先には飴色をした節が十三はあるしなやかな竹竿、御伽噺に出てきそうな竹編みのビク、それに混じって手作りらしきルアーや毛鉤、ダイナマイトなどが並んでいて。
女の買い物は長いもの、とりあえず案内したからには帰りは表通りまで送るかと、売り物のけん玉を勝手に手に取りすここんと慣れた手つきで時間つぶしを。
■日月 輝 > 「そうねえ、気になる殿方の気を惹く為に用意することもあるんじゃない?あたしは違うけれど」
怪訝そうな顔をする御堂さんの顔。目隠しの内で瞳を細めて感情を絞るように視る。
でも彼はそれを知らない。口程に物を言う眼は隠されてあたしだけのもの。上機嫌そうに鼻が鳴る。
「そうそ、いい感じに苔とか生えそうな所にでも憶えておいて頂戴な」
「それと女の子だってカッコツケタイものよ。あたしはそういうのだしね。性別で分けるなんてナンセンスよ御堂さん」
「今時そういうの流行らないわ?」
楽し気に笑う彼に肩を竦めて形ばかりの呆れた造作。
だけれども、語る店内の由来は呆れるとは行かずに呆気の声が飛び出るものだった。
「……なんだかちょっと怪談めいてるわね。大丈夫?入ったら出られないとか無いでしょうね……」
もしかしたら店主の声は御堂さんにはお爺さんに聴こえているのでは?確かめる勇気は一先ず棚上げとする。
でも棚には商品が一杯で、一先ずと取り上げた魚籠と入れ違いにしておきましょう。
「竿と仕掛けは借りれるって言ってたから……魚籠、いえ魚籠って魚傷まない?」
「あ、でもこの額縁は中々どうしてアバンギャルドな雰囲気だわ。なんだか吸い込まれそうな模様」
「ねーえ御堂さん。これなんかどう?魚拓映えしそうじゃない?」
彼方此方と商品を手に取っては戻し、を繰り返す折、剣玉を弄ぶ御堂さんに額縁について意見を問う。
そんなこんなの買い物トークは今しばらく続くのかもしれない。
ご案内:「常世渋谷 底下通り」から御堂京一さんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 底下通り」から日月 輝さんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」に修世 光奈さんが現れました。
■修世 光奈 > 「うわ…やっぱ賑わってるなあ」
常世渋谷。
三つの街が交じり合う奇妙な場所。
光奈はその内2つには行ったことが無いが…彼女もまた一端の女子。
この街の最先端なファッションには興味があり、度々依頼の合間に訪れていた。
昼間であれば危険も少ないことは良く知られており。
更にこの中央街はそれが顕著だ。
だからこそ、この時間帯には人が多い。
誰しも、危険に自ら飛び込みたいわけではない。
「わぁ…新作だ…、奇抜…。けどやっぱりすごいなあ…うーん」
ウィンドウショッピングをしつつその街の大通りを練り歩く光奈。
目を奪われるのは異界由来の素材を使った…奇妙に目を奪われる白ワンピースだ。
形自体は普通の白ワンピースなのだが、見ていると襟部分や裾が見る角度によって様々な色に変わっていく。
また、商品説明には…それ以外の部分も、着た人物の気持ちを反映して模様が付いたりするらしい。
「でもやっぱりコラボ作品は…うぐぐ…」
中々、学生には手が出しにくい値段だ。
けれど、見るのはタダである。
異界の文化と地球の文化が交じり合った…何度来ても飽きないウィンドウショッピングを楽しんでいる。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」から修世 光奈さんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」に修世 光奈さんが現れました。
■修世 光奈 > まだまだ、光奈の散策は続く。
日も暮れ始めたが…裏路地やもっと奥まった場所に進まなければここは安全だという雰囲気もあり。
もう少し色々見て回ろうとしている。
何せ、1週間どころか下手をすれば1日ごとに流行が変わるような場所だ。
依頼の関係で色々と走り回っている光奈からしてみれば来る度にすごいものがある場所、という認識。
「へー…持ち主に危険が迫ると赤くなる宝石が嵌まったブレスレット…。おしゃれだし実用性もあるなあ…」
幸い、今のところ危険なことに巻き込まれたことはない光奈だが。
この島に満ちる様々な異能や能力の関係もあるし、こういった防犯グッズともいえる道具に興味をそそられる。
ただ、お財布はそれほど潤っていないため、やはり遠巻きに見たり…触ってよいものなら手触りを確かめる程度になってしまうのだが。
そういったお客も多いからか特に咎められることもなく。
「…………。…うーん…」
そんなウィンドウショッピングの最中、マネキンが着ている…どちらかといえばカッコイイ系のセットを見つける。
ロングパンツに体のラインを出すインナー、それに薄手のジャケット。
スタイルに乏しい分、こうして目を引く格好の方が似合うのか、それとも…などと。
うんうん唸りつつ、ただ楽し気に混沌とした街を歩いている。
■修世 光奈 > …とある事情で、今お財布には入っていないもののある程度好き勝手にモノを買えるお金はある、が。
それは、微妙に手が付けにくいお金でもある。手を付けようとすると苦い気持ちになるというか。
「…依頼人からお金貰うのもなー…」
それが、光奈のライフスタイルを考えれば、よりお金を集めやすい方法ではあるのだが。
ライフワーク…つまり熱狂的な趣味というものにお金を取っていいものか。
そんなことを悩みながら、街を歩いていると。
「…ぐ…」
乙女の敵が現れた。いや、味方かもしれないが…
それは、不定期に現れる甘味を扱う屋台だ。
ファッション街でウィンドウショッピングを続けるような…正に光奈を狙ったようなその屋台。
扱っているのはクレープだ。
これもまた異界の甘味と地球の甘味…二つの知恵をミックスした暴力ともいえる甘味。
ただ、その幸せを味わうには膨大なカロリーが付きまとう。
いくら歩いているとはいえ…
(ふぐぐ…でも、美味しそう…)
丁度リーズナブル気味な値段なのも油断とあきらめを誘う。
この常世島では日々色々な戦いがあるのだろうが。
これもまた、乙女の戦いだった。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」に阿須賀 冬織さんが現れました。
■阿須賀 冬織 > 自分からデートに誘っておいて、案内できませんでしたでは話にならない。
そういうわけで、下見にここ、常世渋谷へとやってきた。
アホみたいにある服屋を軽く見て回り(結局違いはあまりわからなかった)
後はこのあたりの名物やどこで昼食をとるべきだろうかとネットの情報とにらめっこ。
そうして街を歩いていると見つけた屋台。どうやらクレープを売っているらしい。
(こういった屋台って当たりはずれがあるしなあ。本番で見かけた時の為に食ってみるか……)
甘味はまあどちらかといえば好きでもあり、折角来たわけだしちょっと常世渋谷を楽しむかと近づいてみる。
「……んあ、えっと、あの屋台のやつ、先に買おうとしてたりする……?」
屋台の近くで、立ち止まって眺めている女性を見つけたので、割り込んだら悪いなと声をかけてみる。
なんだがすごい悩んでいるように見えるがどうしたのだろうか。
■修世 光奈 > 必ずしも邪魔というわけではないが、何をしているんだろうと不思議に思われる位置で唸っていると。
声をかけられてそちらの方を向く。
「わ、えと、ごめんなさい!ちょっと悩んでただけでー…
結構歩いたけど、カロリー高いかなあって…」
あはは…と苦笑い。
そういった事情をあけすけに言ってしまうのも光奈の性格だ。
「先に買うならどうぞー。何かあっち側とコラボしてるみたいで、美味しそうなメニューがいっぱいだし…!」
そんな呼子かサクラみたいなことを言いつつ。
確かに、そのクレープ屋さんには…見たこともない食材がクレープに包まれている商品画像が飾られている。
ただ、中央街故か危ない感じは全くなく。
二人と同じような年代の少年少女達が次々に購入していく。
店主の手際もいいのか、買おうとすればすぐ買えそうだ
■阿須賀 冬織 > 「ああ、成程ね。そしたらまあ、先に買わせてもらうかな。」
どうやらカロリーを気にしているらしい。……女性って大変だなあとしみじみ。
お先にどうぞと言われたので横のメニューを眺めてみる。
……なんだこりゃ。聞いた事ない単語がずらりと並んでいる。
これください、と少し悩んでから指さす。考えても無駄なので見た目で選ぶことにした。
先ほどの言葉が気になってカロリーも見てみたが、とりあえず高そうだということ以外よくわからなかった。
代金を支払って、慣れた手つきの店員からクレープを受け取る。
見たことないような赤い果物のものだ。
「もぐもぐ……へえ、結構うまいじゃん。……なんだろうこの果物。店で売ってたりすんのかな。」
邪魔にならないようにと彼女の方に移動してからその場で食べてしまおうととりあえず一口。美味い。
なお、場所が場所だけに彼女に見せつけるようになっている気がしなくもない。
■修世 光奈 > 「あ、うん…」
相手が先にクレープ屋に向かっていき。
謎の果物が入ったクレープを持ってくれば…
あきらめと油断に加えてうらやましさも加わってしまう。
赤い果物が濃厚そうなクリームに包まれ、丁度良く焼かれた生地がそれを纏める――
わざとなのか、相手がこちらに移動してくれば…ふわりと鼻腔を擽る甘い香り。
「~~~~~~~!、わ、わたしも買ってくる!!」
それにとうとう、我慢できなくなり…謎の宣言をしてから足早にクレープ屋に。
せっかくならと少年とは違うクレープ…青と黄色の柔らかそうな果物入り、チョコソースとクリームが入った少し豪華なモノを買ってきた。
ただ、渋谷を行きかう人の群れに揉まれて…それを避けるためまた少年の方に寄ってきてしまう。
「あ、あー…。…んぐ。……ん~~~♡、おいし…。キミも、甘いもの好きなの?」
そうなれば、これも他生の縁。
甘味の暴力にとても幸せそうな顔をしてから、こくりと飲み込み。
少年に質問をしてみよう。
■阿須賀 冬織 > さっきの人がこちらを見てるなあなんて思ったら、買ってくると言って走っていった。
……うん?さっき悩んでいたのは何なのだろうか。
まあいいか、と手元のクレープに視線を戻す。
濃厚なクリームが、甘いながらもどこか淡い酸味のある果実と組み合わさって絶妙なバランスを醸し出している。
適当に選んだものがこれだけ美味しいのだからこの店はあたりかななんて考えていると、さっきの少女が声をかけてきた。
「へっ、俺?……んー、まあ嫌いじゃねーな。疲れたときなんかは特にそういったのがいいからさ。
一応、飴とかチョコ持ち歩いてるし、好きってことでいいんじゃねーか?
んで、そっちの方もやっぱ甘いもんは好きなわけ?」
たまたま会った人程度の認識だったので声を掛けられて驚く。
まあ、人と話すのは嫌いじゃないしいっかと答えながら鞄の中からいくつか取り出して見せる。
疲れた時、特に異能を使った後であれば体がカロリーを、甘いものを求めるので常に持ち歩いているのだ。
■修世 光奈 > 悩みも何もかも、甘味の誘惑の前では無力だ。
後で体重と向き合うことになっても、今はこの甘味を味わいたい。
柔らかな果実は甘みが強く…クリームもメニューによって変えているのか光奈のクレープに入っているクリームは甘さ控えめだ。
けれど、舌を蕩かせるには十分。
気分も良くなり、元々すぐに誰にでも声をかける光奈は近くの…先ほどの相手に話しかけて。
「あー確かに!好きだよー。勿論!運動しないとすーぐこの辺がぷにぷにするから我慢してたんだけどね。
キミが美味しそうに食べるから我慢できなくなっちゃったー」
あははー、と笑い。
軽く責任転嫁をしてしまおう。
「あはは、それじゃあ一緒だね。あ、私は光奈(コウナ)、キミはー?」
確かに光奈も…甘味は色々持ち歩いていることが多いが。
男の子でそういうのは珍しいなー、と思い。
軽く自己紹介をしつつ、クレープを食べ進めよう。
■阿須賀 冬織 > 「あはは、そりゃわりーな。でも美味いもんは美味いから抑えて食べるなんて無理だわ。」
どうやら自分が彼女の前で食べたことが最後の引き金を引いたらしい。
でも、美味い物を美味そうに食べるのは道理だよなあと軽く笑いながら返してパクっともう一口。
学年もそこまで離れていないだろうと口調はいつものように軽めだ。
「ん、俺は冬織(トオル)。こちらこそよろしく。」
名前の上か下かで言うと恐らく下の方を教えられたのでこちらも下の名前を返す。
「んで、それはどんな感じ? そっちも見ねえような果物だけど。
……ああ、俺のは甘酸っぱいって感じな。果物が少しすっぱいからかクリームは甘めだな。」
折角なので、他のはどうなのかなと彼女の方の味を聞いてみる。
■修世 光奈 > 「うぐぐ…。また運動しなきゃ…。依頼いっぱい受けよ………」
幸せそうにしながら落ち込むという器用なことをしながら。
光奈も気軽に語調軽く話を続ける。
「トオルー。よろしくよろしくー。
ん?あー、ちょっと果物は甘い感じかな?代わりにクリームはまったりしてる。
色々ごちゃごちゃしてるけど、全然しつこくないねー」
ぱく、とまた一口。
甘すぎず、ただ果実の甘さは強く訴えかけてくる
そんな絶妙なバランスを味わっていて。
「あ。…いくらトオルが甘いもの好きだからって、この何とかスペシャルはあげないよー?」
その途中、いたずらっぽく笑いながらわざとらしく大きく身振りをしてクレープを隠す。
冗談だとわかる軽薄さだ。
■阿須賀 冬織 > 「へー、依頼ね。個人でなんかやってたりすんの?」
なんだかよくわからない顔をしている彼女の言葉に、依頼って何をやっているのだろうかと気になって聞いてみる。
「おっおうよろしく。
……へぇ、じゃあクリームとかも種類ごとに変えてるってわけか。凝ってんなー。」
速攻で名前呼びになったあたりぐいぐい来るなあとちょっと驚く。
そのあとの彼女から聞いた情報に、屋台じゃなくて店を開いててもおかしくないクオリティだなと感心する。
「いや、流石に人の食べかけ貰おうとするような根性してねーって。」
流石に表情などから冗談とはわかるので軽く一言。
■修世 光奈 > 「そうそう。えっとー…これ。
メッセージとかSNSで募集してるよー。
探し物ならなんでも受付!見つけられる確率は―…8割くらいかな?
お代は感謝の言葉でも、こういうスイーツでも受け付けるよー」
端末を操作して見せるのは…依頼専用の連絡先だ。
100%と言わないあたり、大体とはいえ嘘はつかないことは感じ取れるか。
そして料金についても…言葉でいいという。
「美味しいよねえ…。この街だからって言うのもあるけどー。
あはは、ごめんごめん。わかってるよ」
何かしらに異能が使われており…だからこそ、異界の果物を使っても安い値段なのだろう。
笑いながらわざとらしく隠していたクレープを元の位置に戻してぱくり。
「トオルは買い物?それとも、甘いものが好きなら甘いもの巡りとか?」
ウィンドウショッピングを楽しんでいた光奈が…相手はどういう目的で来たのだろうと聞いてみる。
■阿須賀 冬織 > 「へえ……探し物ねえ。それってモノ以外でも頼めたりすんの?
……お礼が言葉でいいってのも中々かわってんなー。」
ってことは趣味みたいなものなのだろうかと考える。
見つける確率が8割……普段探しているものにもよるけど結構高そうだ。
少し話した感覚から、冗談はついても大きな嘘はつかなさそうだと感じているので
そのあたりは元から疑っていない。
「いやまあわかってるから全然いいよ。返すの含めてお約束みたいなもんだろ? わからんけど。」
こちらも大丈夫だよと一応言っておく。
本当にこの島は異能や魔術で成り立っているなと。そういや彼女の探し物を見つけるのも異能だったりしそうだ。
「俺、は……。んー、……その……デ、デート……でいいのかな? の下見……かな。」
どうしようかと思うけど、恥ずかしい以外に嘘をつく必要性はないのできちんと答える。
正式に付き合っているわけではないのでデートという呼び方でいいのかわからないが、彼の認識的にはそう分類できた。
少し顔は赤くなっているかもしれない。
■修世 光奈 > 「お、その聞き方は興味がある聞き方ですなー♪
うん!人とか、景色とか?色々探したりするよ。まあ、もちろん見つけられないこともあるけど…
あはは…自分の趣味でお金摂るのもなんだかなー、って感じ…かな」
少しおどけながら説明を続ける。
写真に写った景色を探す、なんて依頼も受けたこともある。
お金を取らない理由についてはあいまいに。
「いやー、たまにウザがられることもあるからさー。でも中々変えられなくって。
……………へー、ほほーう、デートかあ……」
よかったー、と言ったのも束の間。
相手からデート、と聞けば…光奈も当然女子だ。コイバナには非常に興味があり…
眼がきらーん、と輝いて。
「赤くなってるー。かわーいー♪、で?で?、デートってことは、そのコが好きそうなとことか調べてるんだよね。
どういうカノジョなの?」
正確に彼女と言えるわけではないことなど知らず。
ぐいぐいと身を乗り出して…目をキラキラさせて問いかけ続ける。
■阿須賀 冬織 > 「ん、まああるっちゃあるかな。ここら辺で、美味い昼食が食えるところ探しててさ。
……ふーん。まあそれならもし受けてもらえそうならお金以外で考えるか。」
折角のデートでミスるのは避けたいのだ。
もし受けて貰えるなら、流石に感謝の言葉だけでは自分の方が納得できない。
恐らくこの様子だとお金は受け取ってもらえないし下手するとマイナスなので何か他の物があるかなと考える。
「はっ、いっいや、べ、別にかわいくねーし!」
興味をひいてしまったようだ。おう過去の俺よ、お出かけとかぼかせなかったのか?
……いやそれでもなんか無理そうだな……。女子のコイバナに関する熱意は恐ろしい。
それはそうとしてかわいいと呼ばれたことには噛みつく。
いやまあ、悪意がなさそうだとは思っているのだが、男として可愛いといわれて素直に喜ぶ奴は多分そういない。
まあ、こうやって言い返す姿も、かわいいになってしまうのかも知れないのだが……。
「いっ、いやその……理由があってさ、まだどっちとも、返事は貰えて、ないから……。
関係的には彼女、というよりは友……達……で。だっ、だから、その……デートじゃない……の、かな?
どんなって……えっと、楽しくて……可愛くて……もっと一緒に居たいっていうか……もっと知りたいっていうか……はぅ。」
ここまで話したらもう洗いざらい吐いてしまおう。
返事がまだなことは、気にしているけれども気にしていないので、彼女のことが悪く思われないように慎重に。
どういう彼女かと聞かれ、答えているうちに恥ずかしさは頂点を超えて……。体中が熱くて湯気が出てきそうだ。
■修世 光奈 > 昼食かー、と。
その時は軽く流したものの。
話を進めていけば…デートの行く先であることは明白だとわかってくる。
「いやー、あつあつだねー。いいなー…って、付き合ってないの!?
その態度、絶対その子の事大好きでしょ!?どうして…!!」
可愛いと言われて照れる相手を見て更に光奈はヒートアップする。
しかも、こんなに純に想っているだろうに、まだ付き合ってないと言えば。
その宙ぶらりんな状態に、熱はますます加速して。
「返事がもらえてないってことは、好きって伝えたんだよね?
それなら大丈夫。私、コーナがトオルのために滅茶苦茶いい店を探すよ!!
ぜーったいその…えーっと、好きな子が喜んでくれるような!」
相手の言葉を捉えて、今の相手の状況を推測し。
挙句の果てには勝手に依頼を受けようとしてしまう。
更に…
「可愛いとか、楽しいとかも大事だけど、デート!にはやっぱり相手の好みだよ!
性格とか…わかれば趣味とかさ!何かそういうの、ない?」
相手が恥ずかしがっているのをいいことにぐいぐいと攻め入っていく光奈。
頭の中ではこの周辺の店が検索エンジンよりも早くリストアップされていき。
相手の恋路に応えようと全力を尽くそうとしている様子。
■阿須賀 冬織 > 「ひゃっ、ひゃい……。……そりゃ、……好きですよ……。」
ぐいぐいと押されて、その熱量に返事がおかしくなる。自然に敬語が出るなんていつぶりだろうか。
「はい……。
……そっすか?
……えと、その、よっよろしくお願いします。
あ……えーっと。服屋……水……着……売ってる、とこ……も……良ければ……。」
あまりの押しに返事をするのが精一杯になる。
とりあえず、なんだか依頼は受けて貰えそうだ。
ああ、ついでに、服屋も聞いてしまおうか。ぶっちゃけどれも同じように見えてしまったし、
流石に女性ものの水着売り場なんて男一人で行けるわけがなかったので見れていない。
「好み……。えっと……。そういった、もっと深い部分は後でゆっくりと知っていこうなんて考えてて……。
なので、その詳しくは知らなくて……。とりあえず、アレルギーとか、特別嫌いなものは聞いたことない、かな。
しいて言うなら……あんまり沢山は食べないくらいかなあ……。あんまり濃いものも食べてる印象はないかも。
その、どっちも印象だけど……。その、あんまりなくてごめん。」
■修世 光奈 > 「あーもー、その子がうらやましー…。いいなー、私もカレシほしーな…」
相手から自然に伝わってくる熱量。
それが全て向けられる…相手が好きな子、のことがうらやましくなってしまいながら。
仕事だ。仕事の時間だ。
これは、気合を入れて臨まなければならない。
「海も行くの?いいよ。リーズナブル寄りがいいよね。
水着は可愛い系が似合いそう?それとも、綺麗系?ここは、トオルの好みでいいと思うけど…」
水着と一口に言っても…特に女性用は星の数ほどある。
そして、店によって置いてある水着の傾向が違うのだ。
流行が早いこの渋谷だから、猶更。
だから…体形などは置いておいて、どちらが好きかを聞いてみる。
その、好きな系統が置いてある店を紹介すれば…まず少年の方が楽しくなり、会話でも弾むだろうと。
「ううん。大丈夫。一番まずいのはアレルギーとかだしね。それが無さそうっていうだけでも大分やりやすい……ふむふむ」
・アレルギー無し
・小食気味
・薄味
そんなことをしゅばば、と依頼用の…電子メモに記していき。
「それなら、えーと…ちょっと待ってね。確かあの依頼の時に―――…」
と、相手に見えないよう…今までの依頼の記録を辿っていく。
様々な依頼を人から受けている光奈は横のつながりが非常に強い。
水着の答えも合わせて考え…クレープの最後の一口を食べるのすら、忘れて。
『探しもの』を真剣に探していく。
それには、少し、時間がかかる。
■阿須賀 冬織 > そんな羨ましがるほどなのだろうか……? なんて思うが、冗談ではなさそうなのでとりあえず黙っておく。
「まあ、そっすね。……えと、可愛い……系、かな? 正直その、見ないとわかんないっすけど……。」
彼女の懐事情も詳しくは知らないが、お互い学生であるしブランドものを常につけているとかそういった感じでもなかった。
そして水着を着ている彼女を思い浮かべてまた赤くなる。そろそろ特殊能力に瞬間沸騰でも書かれるのだろうか。
ぶっちゃけ、男子にとっての水着は模様が違うだけで大体の形は同じだ。
精々肌が弱ければラッシュガードを着る程度だろうか。
女子のそれとはあまりにも違い理解の外だ。多分種類を調べてえっとなる。なった。
「あっ、待つのは全然。こっちがお願いしてる側なんで。」
最初の時とは違って真剣といった表情の彼女にそう答える。
……こんだけしてもらったのにふさわしいお礼はなんだろう。
なんていうか、物によっては受け取りを拒否されそうだ。
うーん……彼女が真剣に探している間、こちらもああでもないこうでもないと考える。
■修世 光奈 > もし、うらやましい理由の事を聞けば、更に熱量は増していっただろう。
「そっかー…、トオルはその子に可愛い系を着てほしいんだねー?」
見ないとわからない、という言葉も参考にはしつつも、にまにま。
どんな子かはわからないが…少年が可愛い系を着せたい相手なのかと。
「可愛い系ってことは…その子、同い年くらい…だよね?たぶん。それなら、あの通りの店か、いや、ちょっと駅から遠い…。
デートっていうことを考えるなら、できるだけ移動距離は長くないか、あるいは駅の近く…………」
ぶつぶつ、と。
小声で呟きながら光奈は思考を回転させ続ける。
デートをするならどういったルートを通るのが良いか。
そこまで思考を巡らせていく。
そして――
「よし、えーと、ここと、ここはどうかな。
ちょっとだけ歩くけど、そんな大した距離じゃないし、いざとなったら電車使えばかなり近いよ」
ようやく、と言っていいのか。
端末にデータを纏めて相手に見せる。
1つは、水着の店。
常世渋谷の中では可愛い系に寄った店。
ビキニタイプから、ワンピースタイプ、パレオ付き…それらの画像も一緒に表示され。
確かに、大人っぽい、というよりは色合いも柔らかで柄も可愛らしいものが多い。
ただ、見ないとわからないという言葉から…多少大人っぽいものも混じっていて。
少年の意向に沿いつつ、不測の事態にも対応する案。
もう1つは、リーズナブルな料理店だ。
ただ、その彼女未満の子をがっかりさせないよう、安っぽいチェーン店ではない。
ここは光奈の好みになってしまうが…、明るい雰囲気で、かつ嫌みではない程度の装飾が施されたおしゃれなお店。
扱っているのはこれもまた異界の食材と地球の食材のコラボレーション料理。
全体的に薄味であり、汁物や野菜、饂飩や蕎麦、多少の肉料理が揃っており。
量も、どれも普通程度。
更に、期間限定のデザートは…気候を加味したのか苺や桃の果実を使い…少し塩気のあるシロップをかけたかき氷だ。
「どうかな。もし、これで不安ならまたメッセージか何かで候補を伝えるけど…?」