2020/08/02 のログ
阿須賀 冬織 > 移動距離だとか、そこまで考えが至ってなかったなあと思いながら相手の説明をふむふむと聞く。

「……すげえ。正直その、ここまで真剣に考えてもらえるなんて思ってなくて。……ありがとう。
あ、その良ければ他の候補も合わせて送ってもらえると……。」

見せられたデータは、自分のイメージ通り、いやそれ以上だった。思わず感嘆の声が漏れる。
言葉にした要件をすべて満たしており、言われてみればその方がいいなというような細かいところまでケアされている。
料理も幅が広く、もし知らないアレルギーがあってもこれなら大丈夫だろう。
こんなの自分で探そうとしても情報の海におぼれておしまいだ。

そして、初対面の相手にここまでしてくれるなんてと、戸惑いと共に感じる嬉しさ。
不安はあまりないが、よければ他にどのような物があるのかと純粋な興味があって聞いてみる。

「あっ、俺の連絡先これで。
……ここまでしてもらったことに何も返さねーのは自分を許せない。でもぶっちゃけ何を返せばいいかなんてわからないからさ。
もし何かあれば、連絡してもらえたら、なんでも……は出来ないけど、今度は俺の方ができるだけ力になろうかなって。」

纏めたデータを送ってもらうために、こちらも端末を取り出して連絡先を見せる。
お礼だが、正直思いつかなかった。なので、保留に近いがこういう形で提案してみる。
自分を許せないと、自分の都合であることを強調したら受け取ってもらえるかなと。

修世 光奈 > 「えへへー。伊達に依頼を受け続けてるわけじゃないよー」

そう、依頼が途切れないということは。
失敗であれ、成功であれ…光奈が誠実に依頼に対して向き合って来た、という理由がある。

「ん。いいよ。また送っとく。デート、明日とかじゃないんでしょ?」

一応ベストは尽くしたが、見落としがある可能性もある。
彼女の特殊な能力は決して万能ではないからだ。
だから、少年の用心深さ…いや、その子への想いに嬉しくなって。

「はいはーい。ええと…よし。
…あはは、そんなに考えなくていいのに―。
私にとって、これは趣味だからね。お礼で悩まれる方がちょっと困っちゃうんだけど…
まあ、トオルがそうしたいなら…何か困ったらお願いしようかな
あ、でも…その"彼女"さんに誤解されないようにねー?」

などと、からかいはまだ続けながら。
連絡先を交換する。

「わ、しまった…クレープ温くなってるし…。んぐ。
…さって、私もそろそろ、脚を使わないといけない依頼を片付けないと!、じゃあ、また後で送るねー」

すっかり外気に当てられたクレープを慌てて完食。
それから少しあわただしく手を振って、その場を去っていこう。

それから、夕方か、夜になってしまうだろうが。
光奈からメッセージが届き…所感や解説と共に、いくつかの候補が相手に送られてくる。
どうか、上手くいきますように、と。願いが込められたメッセージたちが…。
受け取ったのは、相手だ。

だから、それを活かすも殺すも、相手次第。
後日、どんな結果になったか聞いてみようと、光奈も心を躍らせるのだった。

阿須賀 冬織 > 「了解。うん、流石に明日じゃないかな。」

流石に前日に下見はちょっとスケジュールの余裕がなさすぎる。
確かにこれが2割の可能性はあるので、なんなら雰囲気をみにもう一回行くつもりすらあるのだが。
でもまあ多分その必要はないだろうなと彼女の真摯な対応を思い浮かべる。

「んまあ、本当にこれは俺の勝手だから。
……あっはい。……それは本当に気を付けます。」

からかわれているのはわかるが、やらかすとマジで冗談じゃすまなくなる。

「あっわりー。結構時間たってたか。
あっ。……今日は、ほんとにありがとなー!」

彼女の言葉に今いた場所と時間を思い出す。
……あれ? さっきの恥ずかしい台詞とか街中で言ってたの……? ……このことは考えないようにしよう。
あわてて去っていく彼女にもう一度一言お礼を言って、こちらも手を振る。


日も沈んだころ、光奈からのメッセージがあった。
詳しい解説なんかが書かれており、言葉の端々から気遣いが見て取れた気がした。

「嬉しいけど、これってあとで絶対デートの話、根掘り葉掘り聞かれるよなあ……。」

とりあえず、話せるだけの結果は得ないとなと意気込むのであった。

ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」から阿須賀 冬織さんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」から修世 光奈さんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 常夜街」にレザーズさんが現れました。
レザーズ > [1d6→6=6]
レザーズ >  
人のあまり居ないこの時間の常世街。
普段ならあまり来ないのだが、定期的に自身の商売品の状況を見に来ることはある。
商売品――この待に勝手に置いてる古びた黒緑色のボード、黒板とも言うべき古びた板。

掲示板

なんてそれらしい名前を書いて適当に罫線を引いて置いてあるそれ。
落第街の路地裏にも設置してるが、ここは酷い。

壁にかけてたそれは落ちて、汚物の海に落ちているだけならまだしも獣畜生の排泄物や血まで被せられ、やや歪みさえしている。

「もー、困るんだよね。 僕の商売道具を、さ」

黒紫色のローブを身にまとった少女が両手を腰にあてて、不機嫌そうに口から低い男性の声を吐いた。

レザーズ > 嫌だな―汚いなぁー酷いなぁーとぼやきながら商売道具の前で手を横に振るう。
板が宙に浮き上がり汚物は、シールでも剥がすかのように綺麗に落ちていく。
よく見れば煙草かなんかを押し付けられたような痕さえある。

これは酷い。

落第外とはまるで真逆だ。

あちらは同じものを設置したら誰も触るどころか近づきさえしない。

「……まともにやろうってのも久しぶりだし
 こういうカタチで商売してる輩がいるって『噂』も風化してるんだろうな」

最近『この街』でのんびりしていたが、賑やかになってきたから久しぶりに動いてみるかと思っただけではある。

「しかし、こういう扱いを受けるとは前途多難だな……」

やれやれと首を左右に振った。

レザーズ > 触れても居ないのに宙に浮く板を壁に設置し直すと最後に焦げ跡のあるところで手を一度横に振るう。

すると焦げ跡もシールを剥がすかのように剥がれて、適当に地面に落とした。
落としたそれらの汚れは、『元々そこにそのようにあったかのように』今地面を汚している。

「たまーに見回りにこないとこっちはダメだな。
 困るね、ホント」

声の通りのイメージであれば、甘いマスクを彷彿させる男性に思えるが
声の主は背の低い少女という違和感に偶然見ていたものがいれば思わず二度見するだろう。
しかし、二度見しても「こんな世の中だし」と納得はするかも知れない。

「『噂』を糧にする者が自身の『噂』を手抜きにした罰だな、これは」

そう呟いた時、ふと見ている者の方に視線を向けた。

その直後、この場を見ていた者の耳元で

『みゃー』

と猫の泣き声。
思わず、振り返ってしまう。
しかし、猫は居ない。


再び少女のような姿の何かが居た場所に目をやれば、そこには誰も居ない。


    気がつけば君のポケットには黒い名刺が一枚、入っている―――。
 
 

ご案内:「常世渋谷 常夜街」からレザーズさんが去りました。