2020/09/08 のログ
ご案内:「裏常世渋谷」にセレネさんが現れました。
セレネ > ――夕刻。逢魔時。太陽が月と入れ替わる時刻。境界が曖昧になる時間。
交差点に入り、蒼を瞬いた。

開いた瞬間、世界が切り替わる。反転する。
人は居ず、瘴気に満ち、不快な感覚を抱かずに居られない。
今まで色に満ちていた世界は灰へと変わり、空だけが変わらず曖昧な色をしていた。
橙とも、藍ともつかず、黒にもなりきれぬ。

白い己も、呑み込まれてしまいそうな。
灰の街を見上げ、そんな心地がした。
曲がりなりにも、一柱であるのに。

セレネ > 息を吸う度内臓が焼けるような痛みを発する。
こういった瘴気に満ちる場は相性が悪い。
ふ、と自嘲の笑みを浮かべると、桃色の唇を薄く開いて

「好奇心に負けて来てしまうなんてね。」

異国の言葉で呟いた。
とりあえずは探索せねばと、土地勘もないまま当てもなく歩く。

【怪異遭遇 90以上遭遇】
[1d100→72=72]
セレネ > ”帰り方”は心得ているので、何かあった場合最悪其処へと向かえば良い。
パンプスのヒールをコツリコツリと鳴らしながら、蒼は警戒するよう周囲を見回した。

近場で叫び声が聞こえる。怪異なのか、人なのかは区別がつかない。
仮に人だとしても、己のように好き好んで居る人間など稀有だろう。
そもそも怪異に出会ったとて己の力で太刀打ち出来るかも定かではない。
これはかなり危険だとは理解はしている。
けれども、どうにも抑えきれなかった。

実際、身体の痛みを堪えながらもこの探索を楽しんでいる己が居るからだ。

セレネ > 【怪異遭遇 80以上遭遇】 [1d100→4=4]
セレネ > 「何も起きないと、それはそれで退屈…。」

怪異に出会い、情報を集めるつもりなのに。
出会わないなら骨折り損だ。
小さく頬を膨らませ、ふしゅりと空気を抜いて不服の意。

誰にも会わないのも一つの要因だろうか。
先程悲鳴が聞こえた場所に行ってみようか。

…これでは、自ら危険に身を晒しに行っているものだけど。

セレネ > 【怪異遭遇 50以上遭遇】 [1d100→61=61]
セレネ > 試しにと歩いて行った先、血に塗れた影が見えた。
真っ黒で、何の形とも言えない『何か』。

その形は――

【父:先生:自分】
[1d3→3=3]
セレネ > 黒だった影が、近づくにつれ色付いていく。
”それ”は敬愛する父でもなく、元の世界で己に自衛の術を教えてくれた尊敬している先生でもなく。

――赤く染まった己だった。
足元には亡骸が見える。運悪く、若しくは何かしらの理由があって此処に来ただろう人の死体。
血のにおいが鼻を突く。

セレネ > 足が、手が、長い髪が。赤く染まった後ろ姿。
一体どれだけ傷をつければそうなるのだろう。
それとも、殺した人数は一人や二人ではないのか。

ナイフを手に持ち、それすら血に染まり、肉の塊と化した死体にただ刃を振り下ろす様を。
文字通り他人のように眺めていた。

一度は辿ろうとした道。行く筈だった道。けれど行かなかった道。
父と同じ、人に恨まれる行為。人を殺すという行為。
それを機械的に、淡々と熟す動作は手慣れていて、感情というものは一切なかった。

セレネ > 彼女が動きを止める。近付いてきた己に気付いたか。
此方を見た目は、同じ色をしていたけれど。

「ねぇ。
貴女はその道を選んで良かった?
後悔はしていない?」

同じ姿をしていても、それは己ではない。
だけれど言語は変えぬまま問いかける。

ゆるりと、彼女が立ち上がる。血濡れたナイフを持ち変える。
赤く鈍く光る切っ先は己に向き。

――”彼女”は何も答えない。言葉を発さない。
腰を落とし、真っ直ぐに走り込んできた。

【掠る:避ける】
[1d2→1=1]
セレネ > 咄嗟に避けたつもりだったが、脇腹に浅く傷が入った。
じわりと血が滲み痛みが走る。

「Damn…!」

小さく吐いた。
眉間に皴を寄せ、舌打ちをする。
彼女の頭をハイキックで蹴り、距離を取る為大きく飛び退いた。

セレネ > ただでさえ動きづらいパンプスで飛び退けば、当然足にダメージが来る。
挫かなかっただけマシだろうか。ヒールが擦れる感触がする。

己と違わぬ姿の怪異は次に転じようと己に向き直った。
再び刃先が此方へと向く。
傷口を押さえながら退魔の異能を発動。
月色の矢が怪異へと飛んでいく。

【当たる:掠る:外れる】
[1d3→2=2]
セレネ > 己が傷を受けた場所と同じように、彼女も脇腹に傷を受けた。
どこまで鏡写しなのだろうか。思わず笑いが洩れてしまう。

「悪いけど、私は此処で死ぬ気はないの。
貴女に殺されるつもりはないわ。
――まだやりたい事がある。伝えたい想いもある。
だから、殺されてあげない。」

掠っただけでも、何れはその退魔の術は怪異を蝕んで行くだろう。
ゆっくり、しかし確実に。毒のように。病魔のように。

セレネ > 傷を負っても尚己を殺す為にナイフを手に駆けてくる様を見ては、双翼を広げて空へと舞い上がる。
けふ、と咳き込む。内臓の痛みが増してきた。思った以上に長居をし過ぎたようだ。

「じゃあね、―――。」

己が『名』を告げ、表世界へと帰る為、境界に飛び去って。

ご案内:「裏常世渋谷」からセレネさんが去りました。