2020/10/10 のログ
鞘師華奈 > (――復元系の能力――?生活委員会の『直し屋』と同系統…いや、あっちは確か生物には作用しない力だったと聞いたけど)

噂に多少聞いたその人物とは似ているが――何かが違う。そもそも、生物を直すだけでなく服も直している。
生物も無機物も関係ない、となると――かなり強力な力、と見ていいだろう。

(成程、やっぱり食えない人だな…)

彼の態度やノリに例え嘘偽りが無かろうと、そんな力を持っているのなら…それなりの”歪”があってもおかしくない。
まぁ、人物のプロファイリングなんて出来やしないので、あくまで経験則だ。

そして、むっくりと身を起こせば、元の状態に復元された左手を握ったり開いたりと動かしてみる。
――動きに支障は無い。なら大丈夫だろう、多分。

「礼を言うべきだろうね――助かったよ叶さん」

まぁ、何はともあれ助けられたのは事実。素直に軽く頭を下げて。

夢莉 >  
「……種も仕掛けもねぇって、一体何したんだよ?」

素朴な疑問。

梦 叶 >  
「そこはひーみつ。 ハハハ、ユウリの友達っぽいし知らない顔じゃないし、これくらいはね?
 ま、お礼は―――」

そう言うと、くいっと夢莉の顎を引き寄せて…

夢莉 >  
「あ――――?」

そのまま、彼の唇にキスをした。

「――――っ、むぐ…っ!?」

梦 叶 >  
「これでって事で。
 じゃーね、カナちゃんとユウリ。
 あぁ、また今度会ったら飯でもいこっか。」

唇を離すとははは、と笑いながら、青年は手を振ってそのまま去っていく。
呆気にとられる二人を、置き去りにし…
そのまま何処かへと、消えてゆくだろう…

鞘師華奈 > 「あーー…お二人さん?ここでロマンスされても困るんだけどね…まぁ、うん…ご馳走様?」

うーん、中々絵になるねこれは…と、思いながら呆れたように笑って二人の様子を眺めていたが、やがてゆっくりと立ち上がれば一息。

「…あーうん、それは構わないけど…って。」

二人を尻目に飄々と立ち去っていく男。…ここ、裏常世渋谷で一応は異界なんだけどなぁ、と思うが。

(まぁ、彼ならひょっこり抜け出してそうだけど)

不思議とそう確信できるのは何でだろうかと。ともあれ、一息つけばユウリに視線を向けて。

「取り敢えず、ノルマは達成って事で――あーー…その…無茶のお説教は後に回してくれると嬉しいかな?って」

夢莉 >  
「…‥‥‥‥ッ!!」

ぽかん、という顔をしてから…かぁっ、と顔を赤くして。

「二度とくんな!!!!」

大きな声で叫びながらそこらへんにあったちいさい瓦礫を投げつけた。
あらぬ方向へと飛び、それは当たる事は無かったが……

そうして去るのを眺め……

「……はぁー……何だったんだ、アイツ……あ、あー……あー…」

近くにいる友人の方を見て、なんとも言えない顔をしつつ。

「……ハァ
 ……説教される気はあんだな?

 あと、さっきのは忘れろ。」

キスされた唇に、隠すように掌を当てつつ。
流石に、友達に見られるのは……キツかった。

鞘師華奈 > 「あーーーうん、善処するよ。流石に目の前で熱々やられると私も直ぐに忘れるのは無理だけど。
――あと、情操教育にアレだからニーナの前で唇を奪われないようにね?」

と、苦笑気味に。自分はまだいいが、”家族”に見られたら悶絶どころじゃないだろうし。
さて、お説教に関しては受けるも止む無しだ。公安としてもあるまじき戦い方であったし。


「ユウリ―――煙草1本あったら貰える?」

兎に角、今は無性に煙草が吸いたい。あと――


「――頭を使え、っていうのは難しいね…私はどうも体が先に動いちゃうみたいだ」

はぁ、と息を零しながら呟いた。この女の危なっかしい一面みたいなもの。

夢莉 >  
「されたら絶対ぇブン殴る…」

ニーナに見せれるか、こんなモン。
ただでさえ叶の事なんざ話するのも憚れんのに。

「……ハァ」

ため息をつきながら、煙草を一本渡し、自分も一本口に咥え火をつけた。
TURNUPという、叶も吸ってた煙草。
紅茶と香辛料の、独特な味のする煙草。

「……オマエはホントに後で色々言うからな。
 今回は…………‥‥
 ‥‥‥‥‥‥…

 死ぬほど業腹だが、アイツ…カナエのおかげでなんとかなったけどよ。」

むす、っと不機嫌になりながら、煙草の煙を吐く。
めちゃくちゃに、疲れた。
やっぱりこういう派手な仕事は向いてねぇな、なんて思いつつ。

鞘師華奈 > 「――いや、あの人殴られても飄々としてそうだし、むしろ交わしたりしそうだけどね、何かそんな気がする」

矢張り掴み所が無い人、というイメージが強い。あの力の事も気になるが――…

ともあれ、彼から煙草を受け取れば、口に咥えて懐からジッポライターを取り出して火を点ける。
紅茶と香辛料の独特の香りを楽しみつつ、ゆっくりと紫煙を吐き出して。


「ああ、幾らでも説教は受けるよ。――でも、同じ事があったら、また私は同じ行動を取るかもしれない。
今後、二度とあんな馬鹿な真似はしない、とは言い切れない。
…それは先に言っておくよ。どうも私は根っこはそういう性分みたいだからね」

親しい者の危機ならば躊躇せずに即断即決で体を張る。前向きといえば前向きだが、そこには自己犠牲も組み込まれている。
むしろ、前向きすぎて危なっかしい、とさえ言えるだろう。そういう意味では不安定でもある。

「――まぁ、ゾネさんやボスになんと言われるやら。”頭を使って”勝ったとは程遠いしね…。」

夢莉 >  
「ホントだ、バカ」

むすりと返し。
はぁ、何て報告すりゃいいんだか。
こんな無様な結果、報告するのも気が滅入る。

「……とりあえず、一服したら帰るか。」

二つの紫煙が、静かな裏常世渋谷に漂い続けた――――

鞘師華奈 > 「そうだね、ここは長居する場所じゃないし――…」

二人並んで一服しながら、辛気臭い裏の世界の空を見上げて。
やがて、ゾネさんに報告を兼ねて脱出の手引きをして貰ってから脱出するだろう。

――勿論、相棒には後でたっぷり説教されたというオチは外さなかったが。

ご案内:「裏常世渋谷」から夢莉さんが去りました。
ご案内:「裏常世渋谷」から鞘師華奈さんが去りました。
ご案内:「裏常世渋谷」に羽月 柊さんが現れました。
羽月 柊 >  
すぐ隣に在る世界。
近いようで遠い場所。"裏"の常世渋谷。

それはヒトが住まう所ではない。
しかし、数多のヒトの感情が、数多の誰かの噂が、
都市伝説が、形を成した場所として、まことしやかに伝わっている。

それは、確かに在る場所。


そんな、どこか正常な色を失くしたこの世界に、鮮やかな紫が生まれた。
交差点のど真ん中、不意に紫髪に桃眼の男が現れ、
白い鳥のような生物を二匹連れて周囲を見回す。

本来ならば、"通り道"として使うことはあったとして、
裏常世渋谷そのものを目標として、彼がここに立つことは無かった。

例えここには様々な価値あるモノがあれど、容易に手が出せる訳ではない。

異世界に通ずるこの男、羽月柊は、それを良く知っていたし、
この場所が自分にとっていかに危険かも分かっていた。

羽月 柊 >  
それでも、『朧車』と呼ばれる怪異の話を聞けば、ここに彼は立っていた。
教師になった男は、自分に出来ることをしていた。

 
もしかすれば、迷い込んだ生徒がいるやもしれない。

もしかすれば、戦っている生徒がいるやもしれない。


男は首元に朧に燐光を放つ首飾りを着け、辺りを注意深く歩いている。

しかして、自分は決して万能という訳でもないし、戦闘能力が高い方でもない。
精神性にしたって、強がってかっこつけてはいるが、
崩れると脆いのは自覚している。

朧車では無く、精神に訴えて来る方の怪異に当たれば、引き返すしかない。


── 一人分の足音が交差点に響く。

それは、他の"ヒト"を、探して。

ご案内:「裏常世渋谷」に橘 紅蓮さんが現れました。
橘 紅蓮 >  
煙草を咥え、煙を立ち上げさせながら、ゆらゆらと歩く女が一人。
ここ最近、風紀委員の周りを騒がせている『朧車』とかいう怪異を一目見てみようかと気まぐれに立ち寄ったが、運がいいのか悪いのか目の当たりにすることもなく。

風紀委員も仕事をしていないわけではない、ならば個体数が減ってきているという事だろうか。
 
「少しつまらないな。」

独り言ちる女はそれでも裏常世渋谷を歩き続けた。
怪異と相対する人間の心理状況という貴重なデータを得る機会はそう訪れる物ではない。
次はあのレイチェルという風紀委員にでも相談してみるのもいいかもしれない。

怪異と人を探して歩く女はそこでようやく、一人の人間らしき姿を視界にとらえる。

黒紫の髪、そして桃色に光る瞳。
傍らに二匹の竜を連れ、黒衣をまとう姿は生徒と言うには些か不可思議に見える。
いや、この島はそう言った人間ばかりが集まるのだが。

何かを探している風の男にゆっくりと近づいて、話しかける。
この男は例の怪異は見かけたのだろうか。
ここに来た目的は、聴くことはいくらでもある。


「やぁ、ずいぶんおしゃれなペットを連れているね。」


場合によっては使い魔の方が正しいかもしれないが。
個人的な印象としてそう述べた。
紅蓮にとってはどちらでもいい話だ。

羽月 柊 >  
声がかかれば男はバッと振り向いた。

振り向きざま、首飾りと、耳の金のピアスが揺れる。
首飾りは、先端に燐光を放つ石のようなモノが取り付けられている。
もし女性に魔術的な素養や感知能力があるならば、そういった品であると分かるかもしれない。


──相手が生徒のようには、見えなかった。

生徒というものは、何かしら、そういう雰囲気を持っている。
それは学習欲だったり、どこかしらの危うさだったり、あどけなさだったり、そういった…何か。
大人の生徒もいるにはいるので、全てに当てはまる訳ではないが。


それにしても、別段男が気配を消していた訳じゃあない。
ただこの裏常世渋谷で、"当たり前に"声をかけられたことに、男は驚いた。

それはまるで、表の世界で、道半ばに顔を見たような気軽さだった。

故に、男は思わず警戒心を隠しもせずに、
桃眼は厳しさと訝しさを持って見つめることだろう。


「…………。」

男は、相手に返事をするかどうかさえ、考えあぐねた。
怪異や隣人は、返事をすることさえ厄介なことになる場合も多くある。

いいや、見てしまったことにすら、聞いてしまったことにすら、歪な縁が出来てしまう事もある。


故に、その桜は訴える。

"ヒト"か"そうでないか"と、問うように。

橘 紅蓮 >  
「あぁ、なるほど。
 確かにこの場所で、唐突に話しかけられるのは少々恐ろしいものか。
 何せこの場所は向こうよりも凶悪な『怪異』と出くわす可能性も高い。
 返事をしたら帰れなくなったなどとなったら洒落にならないからね。
 君は随分賢い男の様だ。

 けれどそうだな、安心してほしい。
 私はこれでもこの常世学園の教師でもある。」

男の反応に満足した様子で、身に着けている白衣の中から、紐でくくられたネームプレートを見えるように男に指し示す。
お互いに触れることができない程度に近寄れば、其処に書いてある文字は比較的見やすいように大きく書かれている。

『常世学園教諭 スクールカウンセラー 橘紅蓮』

片手に銀のアタッシュケース、口に火のついたタバコ。
このような場所に置いても白衣を身に着けている女は、本来であればこの場所に似つかわしくないようにみえるが、不思議とこの空間に居る事の方が自然に感じてしまうという違和感を男に与える。

女は男の反応を楽しみながら、観察している。
そういう印象を見て取れるだろうか。


「人間という証明はこれで十分かな?」


女は揶揄うように肩をすくめて、にやりと笑った。

羽月 柊 >  
「……教師。」

紅蓮の言葉を反芻するように、僅かに掠れた低い男の声が応えた。

まさかこちら側で逢うのが、
生徒でも怪異でもなく、数少ない"同僚"の一人とは予想もつかない。

安心して欲しいと言われたとて、流石に見知らぬ相手だ、
臨戦態勢にも近いような反応をしたこと自体は解除したが、
その瞳は細めたままだった。

もちろん、そんな"返事をしてはいけない相手"の為の対策だって、していない訳じゃあないが…。


「…まさか、ここで教師に逢うとはな。」

まだ、男は自分の身分を明かさなかった。


しかし、この男もつい最近とはいえ教師に成った身である。

もしかすれば、学園ですれ違ったことがあるかもしれない。
もしかすれば、職員室で話しているのを見たことはあるかもしれない。

橘 紅蓮 >  
「教師に逢うことがそんなに驚きか?
 いや、確かにこの場所に訪れる教師陣の方が珍しいか。」

普通の教員ならば、今頃は自宅に帰っているか、教鞭をとるための教材を作っているか。
授業のプランを練っているか、部活動に携わっているかと言った感じか。
少なくともこのような危険地帯に足を踏み込む教師というのは数多くはないだろう。


「生憎私は教鞭を取る事はそう多くはない。
 一般教養の授業で臨時講師に呼ばれる程度だ。
 本業は『カウンセラー』だからね、自分の個室に籠っている事の方が多いからな。

 見覚えが無いとしても無理はない。」

ネームプレートを白衣の胸元のポケットにしまい込んでから、煙草を携帯灰皿に押し込んだ。
随分警戒されているようで、男が名乗る事は無かった。


「ここに来た理由は単純だよ、『例』の怪異を少々見て見たくてね。
 いや、正確には『朧車』と相対する少年少女たちの心理状況の変化を確認したかったという具合か。
 現場を知っているのと知らないのとでは対応が変わってくるからね。

 そういうお前は、此処に何しに来た?」


こちらは素性を明かしたのだから、多少は言葉を交わしてもいいのではないかと、言外に目を細めて促す。
自分だけ喋っているのは退屈でつまらないものだ。