2020/10/27 のログ
ご案内:「常世渋谷 大通り」に日下 葵さんが現れました。
ご案内:「常世渋谷 大通り」にフレイヤさんが現れました。
日下 葵 > ハロウィン。もともとは西洋で言うところのお盆のようなイベントらしいが、
この国では少々意味合いが異なり半ば仮装イベントと化している。
そんなイベントが今年もやって来た。
歓楽街まで続く大通りには、異邦人街でも目にしないような愉快な見た目の人々があふれかえっていた。

「さて、この辺で待ち合わせの予定でしたが、迷子になってたりしないでしょうか」

街中のちょっとした広場のような空間。
その中心に立つ時計の下で、端末の時計を確認した。
もうすぐ待ち合わせの時刻、こうも人が多いと見つけるのも大変だ。

”左肩にナイフを刺してまってますから”

なんてメッセージを送っておいたのだが、
思った以上に周囲の仮装のレベルが高くて、少し不安になってきた>

フレイヤ >  
人、人、人。
この島にこんなに人がいたのかと言うくらいに人がいる。
ちょっとうんざりするくらいに。

『ハロウィンってこんなお祭りだったかしら……』

母国語でぼそりと呟き、人と人の間――できるだけ広いところ――を縫って歩いていく。
大きな時計が見えて来て、そちらの下に視線をやれば、

「――マモル!」

待ち合わせの相手がそこに居た。
これ以上ないくらいに彼女にピッタリな仮装をしている彼女の名前を呼びながら駆け寄り、飛びつく。

日下 葵 > さて、あと数分待って落ち合えなかったら電話でもしようかな。
なんて考えていると、名前を呼ばれた。
声の聞こえた方向に振り向くと、そこには小さな魔法使いがいた。

「ああ、よかった。迷子になっているんじゃないかと心配しました」

何と言うか、駆け寄ってくる姿がどことなく犬っぽくて可愛らしい。
飛びついてくるフレイヤを抱き留めると、
ゾンビを模した血まみれの顔でほほ笑んだ。

「いやぁ、思いのほか人が多くて驚きました。
 それは魔法使いの仮装ですかねえ?」

ちょっと腰をおとして視線を合わせると、
普段のドレス姿とは違う服装に目を向ける>

フレイヤ >  
「私そんなにお子様じゃないわ」

ぷう、と膨れて見せる。
確かに人は多いが迷子になる程ではない。

「ええ。マモルは――似合ってるけど、他にもあったんじゃないかしら……」

ゾンビ。
余りに余りだ。
肩にナイフ刺さってるし。
仮装までそんな風にしなくたって、と言う顔。

日下 葵 > 「あら、そうですか?」

頬を膨らませるフレイヤをみれば、すみませんと笑って謝る。
時計塔や落第街に一人で出向くような子だ。
今更心配することも、確かに無いのかもしれない。

「いやー、一番”それっぽい”かなぁと思いまして。
 ほら、このナイフちゃんと刺さってるんですよ」

そういって肩に刺さったナイフを動かすと、少し血がにじんだりして。
当人は楽しそうだが、傍から見れば気が気でないだろう。

「本当は頭に刺そうかと思ったんですが、
 刺しっぱなしとなるとさすがにマズいと思いまして。

 さて、久しぶりに二人で出かける訳ですけど、
 どこか寄りたいお店とかありますか?」

どうにも、仮装をしていると安くなる店や、限定の店が出ているらしい。
普段あまり出歩かないのもあって、せっかくだからフレイヤも誘ったわけである>

フレイヤ >  
「それ作り物じゃないの!?」

抜かれたナイフに付いている血。
思わず叫んでしまう。
自傷に関しては自分も人のことが言えた義理ではないが。

「わ、私は、特に……そもそもこんなハロウィン初めてだもの」

母国でもお祝いはするし仮装もする。
けれどどちらかと言えば家でパーティをして過ごしていたし、こうして仮装して街中を出歩くのは初めてだ。
常世渋谷の方もあまり土地勘は無いし。

日下 葵 > 「”全部本物”ですよ?」

驚いて叫ぶフレイヤを見て、ニコニコと説明して見せる。
全部、つまり着ている服ももともと自分が普段着で着ていたものだ。
ボロボロのパーカーも、擦り切れたスキニーも、
任務中や諸事情で破れてしまったものばかり。

「あれ?でもこれだと仮装じゃなくなってしまいますかね?」

仮装の中に本物が紛れ込んでしまっている。

「まぁ、日本のハロウィンは本家に比べると些か変わっていますからねえ。
 フレイヤの国だと、もう少し厳かな感じなんでしょうか?」

そのうち、本家のハロウィンも経験してみたいなぁなんて話せば、
立ち上がって彼女に手を差し出す。

「さて、どこか適当にお店回りましょうよ。
 食べに行ってみたいおみせがいくつかあるので」

はぐれないように、ね?
左手はナイフが肩に刺さっていて可動域がせまいので差し出したのは右手>

フレイヤ >  
「もう……」

ボロボロの服はともかく、ナイフが気になって仕方ない。
痛くないのだろうかとか、手が動かしにくくないのだろうかとか。

「んー、庶民の楽しみ方は似た様なものじゃないかしら。ここまで騒がしくはないと思うけれど」

普通の人は仮装して出歩いているのだろうけれど、お貴族さまなのでわからない。
だからこそ、この人の多さもちょっとワクワクしていたりする。

「ええ、じゃあ案内してね、ご主人さま」

笑顔で差し出された右手を左手で握る。
やっぱり動かしづらいんだ、とちょっと思った。

日下 葵 > 「そんな呆れたような目で見ないでくださいよ。
 意外と楽しいかも、なんて思ってやってる私が馬鹿みたいじゃないですか」

普段の仕事や能力、趣味。まず人に大っぴらにできるモノではない。
こういう有象無象があふれているからこそ、開放的になれるというモノ。
もしかしたら意外とフラストレーションが溜まっているのかもしれない。

「ああ、フレイヤはあまり外で騒いだりしなさそうですもんねえ」

そういえばフレイヤは貴族の血筋だった。
普通はこんな風に外でバカ騒ぎしたりしないのだろう。
貴族の癖に外に出て砲弾をぶっぱなしている奴の方がおかしいのだ。

そんなことを思うが、己のペットと職場の後輩が親しい仲だとは、
みじんも想像していない。
想像しろという方が無理だろう。

「脱走して迷子、なんてのは許さないですからね?
 実は一度食べてみたいクレープ屋さんがありまして。
 何ていうか、一人で行くのは少々気が引けたものですから」

フレイヤがはぐれないように、しっかりと彼女の左手を握りながら、
人混みの中を縫うように歩いていこう>

フレイヤ >  
「それは馬鹿みたい、じゃなくて馬鹿だと思うわ」

きっぱり。
いくらご主人さまでも言うことは言う。

「あんまり家から出してもらえなかったし、こう言うのはたのしいわ」

兄のように慕う彼女の後輩とは違うが、こちらもこちらで結構「はしゃいで」いたから。
きょろきょろと仮装した人々や、飾付けがなされた店を物珍しそうに眺めながら歩く。

「脱走なんてしないわ。――クレープ?」

人目は気にしない方だと思っていたが、彼女もそう言うのを気にする方だったらしい。
こてん、と首を傾げ、てくてく歩く。

日下 葵 > 「なんていうか、フレイヤも言う事言うようになりましたねえ……」

きっぱりと言われてしまうと、困ったように苦笑い。
実際に困らせているのはこちらだが。

「そうでしたか。
 じゃあ、この島での生活は目新しいものばかりでしょう?」

敢えて”楽しい”ではなく”目新しい”と言葉を選んだ。
この島の裏の部分を多々知る身としては、
この島で見たこと、知った事全てが楽しいとは思えないからだ。

――フレイヤにとっては、どうなのだろう。

「いや、結構気にするんですよ?人目。
 人前で裸を晒したり、腸を晒すのには慣れても、
 イマイチこう、女の子らしい可愛いモノって手を出しづらくて」

果たしてクレープが言うほど女の子らしくて可愛いかと言われると微妙だが、
私よりもフレイヤの方が似合っている、という感性は間違っていないはず>

フレイヤ >  
「だってどう考えても馬鹿だもん」

くすりと笑いながら。
いくら治るからと言って、自分の肩にナイフを突き立てて仮装だと言い張るのは馬鹿だと思う。

「うん、知らない事ばかりよ。勉強も結構楽しいし、マモルもスズネもいるし」

かわいいペットと大好きなご主人さまのいる生活。
怖いこともあったけれど、それ以上に楽しいことが多いから。
ぎゅっと彼女の腕に抱き付くように。

「――マモルはやっぱり馬鹿じゃないわ。とても馬鹿よ」

気にするところが間違っている気がする。
いや絶対に間違っている。
じとっとした目。

日下 葵 > 「ま、いくら休日でシフトが入っていないからとは言え、
 こうも人が多くて武器を隠しやすいイベントとなれば、
 いろいろと対策は必要ですからねえ」

私の様に、本物の武器を仮想として隠し持っている可能性がある。
風紀委員内での通達にはそう書いてあった。
少なくとも、フレイヤは守れるようにしておかなければ、
なんて考えてしまうのは、些か考えすぎだろうか。

「そうですか。楽しいと思えているのならよかった。
 鈴音ちゃんも、思ったよりも素直な子で安心しました。
 ――ちゃんとお世話できているようですね」

言葉だけ聞くと随分と歪だが、
その言葉が意味するところは『仲良くしているようで安心した』程度のもの。

「そこまで言わなくたっていいじゃあないですか。
 ずっと仕事しかしてこなかったんですから」

ジトっとした視線を送ってくる彼女に、少しばつが悪そうにする。
食事や、風景をみて楽しめるようになったのはここ最近のことだ。
だから慣れないのだ、そういう浮かれたことが。

「なんて話をしている間につきましたね。ここですここ」

到着したのは屋台形式のクレープ屋さん。
ハロウィン仕様で看板の装飾がいつもとちがっていた。

メニューの書かれたブラックボードには
”仮装してトリックオアトリート!というとデコレーションを一つサービス!!”
の文字>

フレイヤ >  
「それにしたってもっとあると思うわ」

道行く人の中にはハロウィンと一切関係ないアニメやゲームのキャラクターのコスプレをしている人もいる。
ああいうので良かったのではないだろうか。

「あら、スズネに会ったこと――あぁ、スズネにパーカー渡したのって、もしかして」

まるで会ったことがあるかのような発言。
そして彼女のパーカーの煙草のにおい。
もしやあのパーカーの持ち主は目の前のご主人さまではないだろうか。

「じゃあこれから仕事以外の事もしなきゃ。どっちがご主人さまかわからないわ」

これが仕事人間と言うやつか。
彼女のような人間が、結婚したり恋人が出来たりしたら「仕事と私どっちが大事なの!?」なんて言われたりするのだ。
自分はそんなくだらないことは言わないけどね、と心の中で謎のドヤ顔。
ちょっと表情に漏れていたかもしれない。

「ふうん?」

示されたクレープ屋さんへ視線。
至って普通のクレープ屋だ。
高級感は微塵もない、庶民的なクレープ屋さん。

日下 葵 > 「ええ~、でもハロウィンで関係のないキャラクターのコスプレをするのもなんだか違う気がして。
 それに私らしいじゃあないですか。本物のゾンビ」

いや、本物が居ては困る。そんなツッコミが聞こえて来そうだった。

「うん?あれ、あったことあるって言ってませんでしたっけ?
 っていうか、鈴音ちゃんからは何もきいてないんですか?」

フレイヤの反応を見て首を傾げた。
そういえば鈴音さんに会ったこと、話していなかったかもしれない。
それにしても、鈴音さんからフレイヤに話が通ってないのは……
もしかして嫉妬されてて話されてない?

「ええ、以前時計塔で。
 寒そうにしていたのでパーカーを貸しましたよ」

お気に入りだから、綺麗に着てくれ、なんて言った気がする。
綺麗に着てくれているだろうか。

「ふふ、そうですねえ。
 お仕事以外のことも覚えていかなきゃいけないですねえ。
 たまにはご主人様になってみますか?」

どっちが主人かわからない、そんなことを言われると、
ちょっと揶揄うような提案をしてみる。
目の前の少女はどんなご主人様になってくれるのだろう、なんて。

「もしかしたらフレイヤには当たり障りのない味かもしれませんけど、
 意外とおいしいらしいですよ?ここのクレープ」

そういって列に並ぶと、メニューを見た。
チョコ、イチゴ、バナナと定番の味はもちろん抹茶味、なんてのもある>

フレイヤ >  
「吸血鬼ハンターとか、狼男ハンターとか、色々あるじゃない」

それにゾンビもハロウィンとあまり関係ない。
武器を持っていてもおかしくない仮装はたくさんあったはず。
まぁそれもまた彼女らしいと言えばそうなのだが。

「スズネからは何も聞いてないわ。もう、知っていれば何かお詫びに持ってきたのに。仕方ない子ね」

そう言いながらも顔は嬉しそうに緩んでいる。
嫉妬して名前を出さなかった自分のペットが可愛くて仕方ない、そんな表情だ。

「だめよ、マモルは私のご主人さまでしょう」

お遊びだとしてもそれはだめだ。
ご主人さまはご主人さま、変わることなどありえない。

「そんなことないわ。誰かと食べる食事って美味しいのよ。知ってた?」

ふふん、と自慢げな表情。
普通ならば誰でも知っているようなことを、新しい発見をしたかのように語る。

日下 葵 > 「なるほど?
 確かに普段の仕事は狩る側ですから、
 ハンターとかでも良かったかもしれませんね」

因みに、ゾンビがハロウィンとあまり関係がないことは、
この時点では知らないようだった。

「きっとうらやましかったんでしょうねえ。
 そういうところも含めて、とても可愛らしく感じたりもしますが」

フレイヤの表情を見るに、きっとそういう意図は彼女にもお見通しなのだろう。
とはいえ、別にパーカーくらいどうということはない。
能力柄、いつも服はだめになるのがはやいのだ。
今更鈴音さんにパーカーを駄目にされたところで、惜しいなんてことはない。
ただ形式的に”大切にしてね”とは言ったが。

「ふふ、では今後ともわたしのペットとしてよろしくお願いしますね?」

フレイヤの力強い言葉に苦笑いすると、
その三角帽子の上から軽く頭を撫でた。
そう、私はフレイヤのご主人様だ。それは今後も変わらない。

「さて、どれにしましょうか……
 うーん、イチゴにするか、チョコにするか……迷いますねえ」>

フレイヤ >  
「ハロウィンはね、一年の終わりにご先祖様がおうちに帰ってくるのだけど、それと一緒に悪魔もやってくるの。だから襲われないように仮面を被るのよ」

そう言う意味では魔女もミイラもゾンビもハンターも一切関係ない。
人差し指を立てて自慢げに語る。

「私からすればご主人さまのパーカーを貰える方が羨ましいけれど」

くすくすと笑いながら。
洗濯はメイドに任せてあるから万が一もないだろう。
彼女も大事にしようとしているみたいだし、そのまま綺麗に返ってくる可能性は高い。

「ええ、よろしくご主人さま」

撫でられて嬉しそうにしながら。
メニューを眺めるも、正直どれも味に大差はないだろうと言う感想。
なので、

「私のはマモルが決めて。同じのでもいいし、違うのを買って食べっこしても楽しそうよ」

日下 葵 > 「へえ?日本で言うところのお盆のようなイメージでしたが、
 ハロウィンではご先祖様以外の悪いものもついてくるんですねえ?」

自慢げに話すフレイヤの解説に関心して耳をかたむける。
こういう異国の文化を聞くのはなんだかんだ面白いものだ。
自分の知らない世界を知れるから。

「それだけ聞くと、フレイヤが変態みたいですよ?
 まぁ……欲しいならいくらでもあげますけど」

彼女の発言を聞くと苦笑い。
まぁ、お互いの趣味が趣味なだけあって、
今更変態であることを否定したりはしないが。

「じゃあ、イチゴとチョコを一つずつ頼んで、食べ比べしますか。
 トッピングはどうします?
 トリックオアトリートって言えばつけてもらえるみたいですけど」>

フレイヤ >  
「あの世とこの世の境界があいまいになってるんだって。だからご先祖様も帰ってこれるし、悪魔も来ちゃうの」

立てた人差し指をくるくる回しながら。

「ち、違うわよ。マモルがスズネのことを心配して貸してあげたんでしょう? そのやさしさが羨ましいのよ」

慌てて否定。
彼女が使っていたものが欲しいわけではない。
確かにいつでも彼女の安心するにおいを嗅げるのは嬉しいけれど、そう言うことではないのだ。

「わかったわ。トッピングもマモルが決めていいから」

そうしててててっと店に駆け寄り、

「Trick or Treat!! クレープくれなきゃ悪戯するわよ!」

そう言って真っ黒のカードを差し出す。