2020/10/28 のログ
■日下 葵 > 「そういうことなんですねえ。
そう考えると、日本のお盆は随分と平和ですし、
日本のハロウィンで一番怖いのは生きた人間だったりするのかもしれないですねえ?」
少なくとも、お盆で”ご先祖様以外”がやってくることはない。
なんなら迷子にならないよう迎え火を焚いて案内してやらないといけないくらい平和だ。
「おや?フレイヤも嫉妬してるんですか?
素直に言ってくれればいくらでもかまってあげるのに」
とはいうものの、自分が着た服を渡すのは……
普通に恥ずかしいかもしれない。
いや、その服をどう使われるかにもよるが。
「Trick or Treat~
クレープくれなきゃ悪戯(拷問)しちゃいますよ~」
店に駆け寄るフレイヤを追うようにして、店主に注文を出す。
トッピングでカラースプレーとフルーツを増してもらった。
そして当たり前のようにフレイヤが黒いカードを出すのを見て、
慌てて自分の分のクレープの代金を財布から出して支払う>
■フレイヤ >
「……私はバケモノが怖いわ」
落第街であった事を思い出すと今でも怖くなる。
でも言われた通り最近は行っていないし、今は隣にご主人さまがいるので平気だ。
「むぅ。自分のペットに嫉妬なんてしないもん」
実はしてる。
でもそれを言うのはなんだか子供だと言っているような気がして。
つい強がってしまった。
「いいわ、スズネがお世話になったお礼よ」
既に二人分の支払いをカードで済ませてしまった。
彼女が財布から出そうとした現金は、そこへ自身の手を重ねて止めてしまう。
■日下 葵 > 「……そうですねえ。
ハロウィン限定でやってくるお化けよりも、
この島に蔓延る連中のほうが、もしかしたら恐ろしいのかもしれません」
化け物は、私一人で十分だ。2人もいらない。
もし落第街でフレイヤに手を出した存在と対峙する機会があれば、
その時はきっちりと”お礼”をする必要がある。
「ええ~?本当ですか?
素直じゃない子は好きじゃないですねえ?」
わかりやすく強がるフレイヤ。
三角帽子で隠れた顔を覗き込むように見る。
わかっていて問いただすのは、その反応が面白いからだ。
「何もお世話らしいことはしていないんですけどねえ?
でもまあそういうことなら、ごちそうになりましょうかね」
彼女の小さい手が重ねられて制止されると、泣く泣く代金を財布に戻す。
そして支払いを済ませると店主のおじさんがクレープを焼き始めた。
真ん丸に広げられた生地がおいしそうな匂いを発しながら薄く延ばされる様は、
見ているだけでも面白い>
■フレイヤ >
そもそもハロウィンでやってくるようなバケモノが普段から生活しているような島だ。
彼等にはハロウィンだろうがなんだろうが関係ないだろう。
「ぅ、うぅー。マモルのいじわる!」
覗かれそうになって、帽子を深く被って顔を隠してしまう。
意地悪なご主人さまに見せていい顔はないのだ。
そうして焼かれるクレープ生地。
自身が普段から食べている高級品ではないだろうが、それでも目の前で焼ければいいにおいがする。
またその手付きも慣れたもので、それを見ているだけで面白い。
屋台のカウンターに身を乗り出すようにして、かぶりつきで眺めている。
■日下 葵 > 「そんなに拗ねなくたっていいじゃあないですか。
それともご主人様に見せられないような顔してるんですか?」
帽子を深くかぶってしまうフレイヤに追撃。
虐めても、揶揄っても、痛めつけてもいい反応をする彼女。
ペットとしては100点満点だ。
「随分と興味深そうですねえ?
こういうのは、普段あまり見る機会がありませんか?」
クレープが出来上がっていく工程を、身を乗り出すように見ているフレイヤ。
そんなに珍しいのだろうか。
もしかしたら貴族という立場なら、
物を作る過程を目の当たりにするというのはなかなかレアなことなのかもしれない。
「フレイヤ、こっちに身体寄せてください」
そんな様子を見れば、一度しゃがんでフレイヤに声をかけ、
右腕を彼女の腰、よりも少し下、おしりの辺りに回そうとする>
■フレイヤ >
「……、いじわる」
帽子からひょこりと顔を出す。
ぷうと膨れた頬。
眉を八の字にしている。
「ええ、まるで魔法みたい。あんなに薄くあっという間に焼けていくのよ」
はしゃいだ声。
そうしてしばらく眺めていたが、掛けられる声。
「え、わ、わ」
お尻に回される腕。
びっくりするが、言われた通りに身体を寄せる。
■日下 葵 > 「いやぁ、可愛い反応されたらそりゃあ意地悪したくなるじゃないですか。
つまり可愛い反応をしたフレイヤが悪いんですよ?」
サラっと犯罪者みたいな言い訳をする。
――いや、正確には犯罪者みたいなものだが。
「その位置だと見づらいでしょう。
よい――しょっと」
フレイヤが言った通り身体を寄せてくれば、
右腕を椅子の様にしてそのまま回した腕で抱き寄せて抱え上げてしまう。
普段から鍛えているだけあって、
小柄なフレイヤを持ち上げるくらいなら苦ではないようだった。
「ちょっとバランスを取るのが難しいので、
どこか適当につかんで自分でバランスとってください」
一言だけ言えば、目の前で手早く作られるクレープに視線を戻した>
■フレイヤ >
「わ、わ」
肩車、のようなもの。
視界がかなり高くなる。
思わず腰の横あたりにある彼女の頭にしがみ付く。
ついでに肩に刺さったナイフをごりっと抉ってしまったかもしれない。
「び、びっくりした……」
しかし確かに良く見える。
くるくると手際よくクレープを巻いていくおじさん。
なんだかカッコイイ。
■日下 葵 > 「おっと、適当につかんでとは言いましたがそれはさすがに堪えますねえ?」
仮装した人間に混ざって人外も紛れ込んでいるこの街。
怪力の一人や二人いても珍しくないだろう。
――もっとも、私は純粋な人間なのだが。
そしてフレイヤがとっさに肩に刺さったナイフを抉ると、
傷が広がって服に血がにじむ。
通りかかった人が怪訝そうな視線を送ってくるが、
刺されている本人は涼しい顔をしていた。
「いやぁ、洗練された動きっていうのはどの分野でも美しくてカッコいいですねえ。
見ていて飽きません」
あっという間に二人分のクレープを作り終えてしまうおじさん。
チョコレート味のクレープは私が受け取って、
イチゴ味のクレープはフレイヤに受け取ってもらおう>
■フレイヤ >
「あ、ご、ごめんなさい」
ぱっとナイフから手を離す。
ちょっと姿勢が崩れたが、頭から真っ逆さまに落ちることはなかった。
頭にしがみ付いたまま、差し出されるイチゴクレープを受け取った。
「ふうん、これがクレープ……」
クレープを食べたことぐらいはある。
が、それは皿に盛りつけられてナイフとフォークで食べるやつだ。
クラスメイト達が食べて帰ろうと話していたり、雑誌や街中で見かけたことはあったが。
まじまじと眺めてみるが、どう食べればいいかわからない。
スプーンやフォークも付いていないし、手でちぎろうにも中のクリームがはみ出そうだ。
そもそも巻いてある紙から飛び出ている部分が小さすぎる。
手の中で右に左に回転させながらどうしたものかとおろおろ。
■日下 葵 > 「ま、これくらいは気にしないでください」
普段もっと過激なことしてるんですから。
なんて耳打ちすると、屋台の前から離れてフレイヤを降ろす。
「軽く引き抜いてかぶりつくんですよ」
食べ方に困った様子の彼女を見ると、ちょっと面白そうにアドバイスする。
紙を破いてしまってもいいのだが、
幸いなことに皮がしっかりしているクレープだったので引き抜けそうだった。
お手本、というわけではないが、自分のクレープを軽く引く抜けばパクリ。
咀嚼するとバナナと生クリーム、そしてチョコレートの甘みが広がってとてもおいしい。
「フレイヤも一口どうぞ?」>
■フレイヤ >
視界が低くなる。
クレープを落とさないように気を付けて地面に降りた。
「え、っと……」
言われた通りに恐る恐る引っ張ると、するりと抜けてかじりつくスペースが生まれた。
が、次は一体どこにかじりつけばいいのか。
口を開けてクレープの右から行こうとしたり左から齧ろうとしたり、うろうろしてから右の端っこを小さく齧る。
クリームの甘味がちょっとしつこいが、イチゴの酸味がちょうどいいバランスを取っている。
「……おいしい」
今まで食べていたクレープとは似ても似つかない味だが、それでも美味しいと思えた。
ぱちくりと二度三度瞬きをして、もう一口。
ほっぺにクリームが付いたが、気付いていない。
■日下 葵 > 「ふふ、慌てなくていいですよ。
ゆっくりで大丈夫ですから」
どうしたらいいのかわからず右往左往するフレイヤを見るとくすくすと笑った。
きっと、こういう食べ歩き前提の食べ物を食べること自体が稀だったのだろう。
「おいしいですか!それは良かった!
おや……フレイヤ、ほっぺたにクリームがついていますよ?」
慣れないクレープを頬張る彼女。
ほっぺたにクリームがついているのに気づくと、それを指で拭ってパクリ。
ちょっと悪戯に笑うと、自分が持っていたチョコレート味のクレープを差し出した。
「どうぞ?食べ比べしましょうよ」>
■フレイヤ >
食事はテーブルについて食べるもの。
そう教えられていた自身にとって、食べ歩きと言うのは未知の体験だった。
今でこそ少しは慣れたが、やはり初めて食べるものはどうすればいいのかよくわからなかったりする。
「んぅ、ありがとうマモル」
知らぬ間に付いていたクリーム。
拭われたそれが彼女の口へ。
なんだかちょっと恥ずかしい。
「ええ、えっと……」
そうして差し出されたクレープ。
やっぱりちょっと右に左に迷ってからぱくり。
こちらはクリームにチョコ、バナナとひたすらに甘い。
あまり上品とは言い難い甘さではあるが、
「――こっちもおいしいわ。マモルもどうぞ?」
彼女に差し出されたクレープだ。
美味しくないはずがない。
嬉しそうに笑って、こちらもイチゴクレープを差し出す。
■日下 葵 > 誰かと食べ歩きなんていつぶりだろう。
この島に来る前は、
学校の友達と帰り道でお菓子を買って食べながら帰ったこともあったっけ。
この島に来てからは、もしかしたら始めてかもしれない。
お互い久しぶり、あるいは初めての食べ歩き。
とても新鮮な気分だった。
「それでは私も遠慮なく……
ん~、甘くておいしいですねえ。
コーヒーが欲しくなるくらい甘いですが、
こういうのもたまにはいいですねえ」
差し出されたイチゴクレープ。
大きく口を開けて食べるさまはまるでゾンビが人間を食べるようにも見えるが、
今かぶりついているのはイチゴクレープ、とても平和だった。
そしてチョコレート味とは違って、すこしさっぱりした風味が口に広がる。
これはこれでとてもおいしい。>
■フレイヤ >
彼女が齧ったイチゴクレープを自分も齧る。
どちらかと言えばバナナクレープの方が好きだが、甘すぎてあまり食べられない。
今度メイドに作らせてスズネと一緒に食べようか、なんて考えて。
「じゃあ後から私の家でコーヒーをごちそうしましょうか? いい豆が手に入ったらしいわ」
自分は紅茶派なのでよく知らないが、メイドの一人がコーヒー好きなのだ。
そのメイドがそんなことを言っていたのを思い出した。
クレープの周囲で口をうろうろさせて、ぱくり。
一口が小さいので、クレープは少しずつ少しずつ減っていく。
■日下 葵 > 「おや、いいんですか?
じゃあハロウィンを楽しんだら、
フレイヤのお家でちょっとしたお茶にしましょうか」
小さい口で一生懸命に頬張る様子を見ていると、
誘ってよかったなぁと思えた。
虐めるだけがご主人様の仕事じゃない、いつかそう感じてから、
ようやく彼女とこういう何気ないことも楽しめるようになった気がする。
「次はどこに行きましょうかねえ?」
少しのあいだフレイヤがクレープを食べるのを待って、
歩けるくらいまで食べたのを確認すると再び足を進め始める。
右手はクレープを持っているので、今度は左手を差し出した。
迷子にならないよう、はぐれないようしっかりと彼女の小さな手を握れば、
雑踏の中を歩いて、このお祭り騒ぎを二人で楽しむのであった>
■フレイヤ >
「もちろんよ。メイドがご馳走作って待ってるから、食べて行って」
パンプキンパイとか、カボチャグラタンとか。
メイドとは言え娘の一人暮らしを支えるメイドだ。
その辺のレストランよりよっぽど美味しい料理を作る。
ご主人さまにも是非堪能してもらいたい。
「あっちの方で何か盛り上がってるわ。行ってみましょう」
クレープを食べ終えれば、どこかが賑わっている気配。
立ち上がり、彼女の腕を引いてそちらに向かおう。
そこでやっているのはなにやら百鬼夜行めいたパレードで。
また持ち上げてもらえれば、その様子をスマホで写真に撮ったりして。
今までと違うハロウィンだったが、それはとても楽しかった。
間に合うならば今度スズネも連れて来ようと考えたりして、ハロウィンを二人で楽しもう――
ご案内:「常世渋谷 大通り」からフレイヤさんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 大通り」から日下 葵さんが去りました。