2020/11/20 のログ
園刃 華霧 >  
「う、ぐグ……ほンと、マコト、おまエ……はァ……」

色々言いたいことはあるが、言い合いなどになってしまえば負けるのは目に見えている。
そんなわけで、仕方ないのでいろいろなことを飲み込むことにする。
代わりに出てきたのはため息であった。


「ま、ネ……やタらジャラジャラしてルし、こう……なンか、ファッション!って感じ、ナのは分かるケどな。」

そういえば、なんか細工物、みたいなのもやってるんだっけ。
ほんと、なんかいろんなもんが好きだよなあ、あの人物
などと一瞬思いを馳せようとして……


「……うん? 機嫌、いイ? そう?」

はて、と首を傾げる。
そうだっただろうか……いまいち自覚はない。
まあ頼りにしているっていわれれば、そこは間違ってはいない、とは想うが……


「エ?なに?匂い?嗅ぐの?マジで?
 ……うー」

そして吹かれる香水の一つ
匂い立つ果実の爽やかな……しかし、嫌味にならない程度の香り


「ん、ぐ……ンー……まぁ……まだ、平気……か、な?
 ってカ、一体、どレくらいあンのこれ……」

また試着のように無限にかがされるのだろうか、と思わず身構える。

月夜見 真琴 >  
「やつがれから見たかぎりは」

柔らかく肯定する。
あの邸宅での日常。会話は、それなりに弾む。
同じ学校に通っているのだ。広すぎるこの島でも、重なる話題と好奇を催す未知はいくらでもある。
互いのことも、まだ知らないことばかりだ。それを知ることを急いではいなかった。
毎日姦しい、というほどに距離は近くはないけれど。
少なくとも月夜見真琴は当たり前にそこにいて、当たり前に話をする。

「たくさんある、が――こういうのは直前のものに印象が引っ張られるからな」

あれこれ嗅いでみてぴんと来たものを買ったのに、
いざつけてみたら試した時と印象が違う――なんてこともある。
イメージ。それも匂いとなれば、それはあまりにあやふやになる。
ちらり、と視線を同居人にむけた。

「落ち着くにおい、とか。 本能がいちばん正直なのかもしれないな」

目を閉じれば視覚は閉ざされ、嗅覚から安らぎを得る性質も人間にはある。
いましがた嗅がせたものの箱を取り、彼女に差し出した。
直感に従った。香水の名前が気に入ったからだ。

「これにしよう。買っておいで――ああ、これ」

支払い用に、ケースに収められた自分の携帯デバイスを手渡す。
さすがに彼女に持て、というには服も含めて高い買い物だ。

園刃 華霧 >  
「……そンなもん、か……」

一応の納得をする。
この相手がいちいち、そんなところでこしゃくな嘘をつくとも思えない。
嘘つきではあるが、そこは信用できる。


「へ? ああ、うン……
 って、買うノかよ……」

なんやかんやと理屈はつけるが、結局行き着く先はそこである。
これはもはや避けられぬ運命か……くそう

「って、ン?
 ああ、こいつで買えってカ。
 いヤ、ほら、その、悪いシ、さ?」


しめた、と一瞬だけ考えて、最後の無駄な抵抗を試みてみる。
うん、無駄だろうけど。

月夜見 真琴 >  
 
 
「うん、買ってあげる」

大丈夫。
そう、穏やかに笑って、遠慮は一刀にて切り捨てた。
 
 
 

園刃 華霧 >  
「……ハイ」

わかってはいたので、おとなしく従うしか道はなかった

……くぅ


なお、牛歩戦術なども試みようとしたが無駄だったので考えるのをやめた

月夜見 真琴 >  
「なに、これも勉強のひとつと思ってくれ。
 いろいろと成果報告がないと、ただ楽しく同居しているだけと見られてしまうから。
 あとはつけるべきかどうか、自分で判断できるようになってくれれば。
 それに――」

果たして、購入して戻ってきた彼女にそう笑うと、

「香水なら、すぐにはなくならないから」

つまるところ。
部屋に置いといてさえいてくれればいい。
渡すものは、たやすくあげられないもの。
世界の一部を占めるものに、なろうとしているだけだ。

「これ。 やつがれが使っているものの姉妹品でな。
 おそろいとまでは行かないが、そういうのも楽しいものだよ――おや」

帰ろうか、と荷物を持ち上げようとして、
歩み寄ってくる店員に視線をむけた。

園刃 華霧 >  
「こレ、成果か……?」

いくら馬鹿でもそんな嘘、というか冗談みたいな話は信じられない。
胡散臭げな顔で相手を見やる。

「ぅ、く……」


なくならないもの

そういわれてしまうと よわい
まったく ずるい あいて


「うン? 姉妹品?
 そー、なンだ…そンなモンまであるノな」

変に感心したような顔で、手にした包みを眺めた

月夜見 真琴 >  
「些細なことでもいいのさ。
 何かをしました、というポーズが大事だ。
 おまえを立派な淑女に育ててみせよう――などと息巻くつもりは毛頭ないよ。
 どのみち単位にもならないただ働きだが、仕事は仕事。
 それともなにかな?写真付きの資料を提出したほうがいい、という提言であるなら。
 あれやこれや、余さず委員会に差し出しても――」

そもそも自分から申し出たことではある。
本当の意味での"成果"が出ているかはわからない。
すくなくとも、彼女はいまだ不安定だ。
――まして、目下の懸念が起爆したばかりだから。

「ああ、なるほど」

店員とひとことふたこと。
なにかを受け取ると、それを彼女に見せた。

「よく来ていてな。覚えてもらっていたらしい。
 いや、デバイスのほうの情報で、かもしれないが――
 ついでだ。これが合うケースでも探しにいこう。
 おまえ、いつも裸で携帯を持っているだろう?」

記念品のストラップ。
可愛らしいウサギは、どうやら店舗のシンボルマークのようだ
これもまた、あげづらいものだ。
それを顔の高さに掲げて、いたずらっぽく笑ってみせる。 

園刃 華霧 >  
「いヤ、その資料、提出しテも誰も幸せニなラんだロ……
 ったク。ツまんナい冗談は相変わらズ得意だナぁ」

自分の容姿について、別に自身とかがないわけでもない。
けれど、それ以前の問題、というものがあろう。
ノリとか冗談で着飾る意味は感じれども、真面目にする意味は未だにつかめずにいる。


「けーす? ああ、だって別ニほラ。壊れルときゃ壊レるんダしそんナ気にシても……
 いや、まて。まって。これモ?」

思わずプルプルと小さく首を横に振ってしまう。
怯える小動物か何かのようだ。

でも だって
さすがに こう
だって

「べ、べつに、いいよ……へいき……だか、ら……」

月夜見 真琴 >  
「遠慮をするな」

わずかに身をかがめて、下から覗き込む。
甘い声はからかうように弾んでいる。

「やつがれが、おまえにあげたいから、あげる。
 そうするのは"あたりまえ"のことだ――だろう?」

したことは、自分にかえってくる。
なにせ、この女は目の前の少女からもらうものなどないのだから。
与える側になるのは、あたりまえのことだ。

身を切ることが癖ならば。
他者にあげられないもので満たしてしまえ。
柔らかな微笑みで、ひとつ彼女を"否定"してやった。

いつかの誰かのように。

「ほら、行こう?」

袋を持った手をもたげ。
自分でそれを見下ろして。軽く動かした。
細い手首に取っ手をかける。衣料品だから、どうにかこうにか、だ。

「それとも、手でも繋いで引いて欲しいか?」

園刃 華霧 >  
「……う、ぐ」

因果応報、とはまた違うが。
己の行いは自分に返ってくるものだ。
とはいえ、まさかこんな形で返ってくることになるとは……

与えることで見返りを得ることには慣れっこになっていたが、
一方的にもらうのには慣れていない。

なんというか……妙な気分だ。


「はァ……大丈夫だっテ、そンなん……」


立っていられる間は、誰の手も必要ない
それは、最後の手段なのだから

ため息を付いて断り……おとなしく後に従うことにする


「まッタくさ。
 メんどクさいヤツだよ、マコトはさ……」

決して言葉通りのニュアンスではなく、
呆れたように、しかしどこか親しみを込めて……そう、口にした。

月夜見 真琴 >  
「そうか? 迷子になったら大変だ、とも思ったのだが」

冗談めかして笑うと、手首から掌へと手提げを移す。
たとえ軽いものでも、しばらくすれば痕になるかもしれない。
まあでも、それが別に苦ではない。くらいの感情はある。

「では――"そう"してほしいときは。
 しっかり、やつがれを、周りを頼るように」

周りを見ずに。
こうせねば、という衝動におぼれて、ひとりで行動してしまうこと。
大切に想われるものは、それゆえに自分を大切にせねばならない。
それは相手だけでなく、その周囲に痛みと悲しみを生むことだ。
つい先日も――そういう事件にほんのわずかだけ指先をかすめた。
目の前の少女からすれば、他人事とは言えない話。
自分にとっては、もう過ぎ去った過去でしかない話だが。

「おまえが困っていたら、やつがれも心苦しい。
 ああ、やつがれが困らせる分には、別の話だけど」

そう言うと、先導して歩き出す。
こちらも疲れた。今日はよく眠れそうだ。
買い物の用事はまだまだある。忙しい合間に、色々としよう。
師走も間近、祭りも間近で、慌ただしい日々はまだまだ続く。
だからといって、こういう日常こそ、ないがしろにしてはいけないものなのだろう。

「――ふふ。 わかってくれたようでなにより」

お互い理解が深まったな、なんて笑ってみせた。
昔から、色んな意味でめんどくさい女なのだ。

園刃 華霧 >  
「……いちお、おぼえて、おく」


マコトを まわりを たよる
たよることは とくいでは ない けど

あのひとに するみたいに できると いいな


「ソこは別なノかよ……少しは加減シろよナ……」

言っても無駄なのはわかりきっていたけれど……それでも突っ込まざるを得なかった。
いうだけはいっておく。
頼れ、といったんだし、それくらいの愚痴は言わせてもらう


「……まっタくさ……
 んじゃ、行くカ。荷物、持テるのマコト?」

荷物の量も考えて、少し気遣う。
たまにポッキリ折れてしまうのじゃないか、と想う瞬間があるのだ。
まあ、そんなやわでもないのはわかってはいるのだが……
それでも気遣って、あとに続く


本当に面倒くさくて厄介で
……それでも、側にいて苦しくはない

そんな相手だ

ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」から月夜見 真琴さんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」から園刃 華霧さんが去りました。