2020/12/15 のログ
ご案内:「裏常世渋谷」に火光雷鳥さんが現れました。
火光雷鳥 > アルバイトの帰り、ふらりと立ち寄った常世渋谷。以前、裏常世渋谷に迷い込んだ時は散々だったが…。
その時はとある友人が偶然にも丁度居合わせてくれて助かった。怪異にも襲われたが退治も出来た。
流石に、短期間で何度も迷い込む事は無いだろう、と思いつつ帰りにちょっとブラついてみた――…のだが。

「………あーー……。」

周りを見渡す。人気は無い…そして空が『赤い』。
何と言うか夕暮れ時のそれを、もっと派手にしたような異様な空模様だ。
雲一つ無く、夕暮れの如く無人のような街並みに色濃く影が差し、そして無風だが異様な空気。

「…うん、成程なぁ…灰色の次は赤色かぁ…うんうん、バラエティに富んでるよなぁ。」

成程成程…と、腕組みしながら交差点の『ど真ん中』で一人頷いていた。
そして周囲を改めて見渡してから――率直な感想を少年は叫ぶのだ。

火光雷鳥 > 「『また』かよこんちくしょーーーーーー!!!!!!』
火光雷鳥 > 「おかしくね!?狙ったように裏常世渋谷にご案内とかどういう事!?何?俺って実は歓迎されてんの!?」

思わずちょっと地団太踏んだ。いや、フラグ立っていた気はするが本当に迷い込むとは。
しかも、ピンポイントに自分がとか実はこの空間って意志があって狙ってやってるのでは?
あと、歓迎=怪異さん登場としか思えないので絶対にご遠慮したい所である。

(いや、まぁ落ち着け……いや、落ち着くの無理だけどさ!えーと、確かここ、普通の人間があまり長時間留まったらヤバいんだよな。)

特に、一度迷い込んだ経験があるとはいえ、怪異に耐性がある訳でも何でもない自称『凡人』だ。
一応、素人なりに周囲を警戒してはいるが正直、いきなり怪異に不意打ちされたら一溜まりも無い。

「あーーくっそ!やっぱそのまま大人しく部屋に帰ってりゃ良かったぜちくしょう!」

半ば自棄気味に叫びつつ、ゴソゴソとコートから赤と黒の色彩のバイクグローブのような物を取り出す。
以前、扶桑百貨店で買った初心者~中級者向けの異能制御装置の一種だ。
それを左手に急いで嵌めつつ、さてどうしたものか…ただの発火能力で凌げるんだろうか。

火光雷鳥 > 「取り敢えず、ここで突っ立っててもしょうがねーし…出口、があるか分かんねーけど…。」

以前は、偶然にも友人が訪れていたから何とか助かったが、二度続けてそんな偶然が起こるとは限らない。
少なくとも、楽観的な展望は無しだろう、素人でもそのくらいは分かる。
恐る恐る歩き出すが、相変わらず無人で不気味でついでに空が赤い以外は、本当に常世渋谷と瓜二つの街並みだ。

「……割とマジで最近、落第街やら転移荒野やら禁書庫やら…そして二度目のここやら、変な場所に迷い込む過ぎだろ俺。」

一般生徒が行くべきではない場所に何故か迷い込んでばかりな気がする。
こっちはノーサンキューなのに、何でこんな事になっているのやら…泣きたい。

(……おーーい、俺の『頭の中』に居るかもしれねー『誰か』さんよ。ちょっと助けてくれない?)

と、駄目元で以前、保健室で語りかけてきた上から目線の『誰か』に心の中で語り掛けてみるが…。

???? > 『――自力で何とかしろ小僧。見ている分にはとても愉快だが…特にその無様さがな。せいぜい死なない程度に頑張れ。』

重苦しい声が脳内に響いた。多分少年だけにしか聞こえていないであろう『声』。
そして、相変わらずの上から目線な上に愉悦全開だった…手助けは望めそうに無い。

ご案内:「裏常世渋谷」にセレネさんが現れました。
火光雷鳥 > 「お前、誰だかしらねーけど、相変わらずその偉そうな上から目線何なの!?」

と、思わず声に出して抗議するが、脳内からは返答は無い…ちょっと鼻で笑うような気配が何故か伝わってきた。

(こ、コイツ、人の頭ん中に居る癖に何だこの態度!むしろホント誰だよお前!!)

意思疎通が出来るだけマシ…なのか?いや、駄目だそもそも得体の知れない『誰か』が脳内に居るとか洒落にならん!
可愛い妖精さんとかなら俺も少しは頑張る気になるけど、そんな可能性は一ミリたりともねぇ、と直感で分かる。

仕方ないので、イラッとした気分を抱えつつも歩き続けるが…今にも怪異が襲ってきそうでぶっちゃけ怖い。

セレネ > 聞き覚えがあるような叫び声が聞こえ、淡い蒼に輝く双翼を背に生やして飛んでいく事少し。

「――あら、まさかまた迷い込んでしまうなんて…。」

眼下に見える赤い髪に呆れ半分哀れみ半分の表情で呟いた。
何とも不運が続く事だ。ここまでくると最早必然かもしれない。
とりあえずは後ろ側に回り込み、やや遠い所で静かに着地してから双翼を消して。

「迷子の雷鳥さーん、貴方のお家は此処ではありませんよ?」

なんて相手の傍へと歩いて行きながら問いかける。
揶揄うような口調なのは彼の恐怖心を少しでも和らげようと考えた為。

火光雷鳥 > 「うひょぅわぁっ!?…って、誰が迷子だこらぁ!いや、実際そうなんだけどな!!……あ、あれ?」

素っ頓狂かつ妙な悲鳴を上げつつも、咄嗟に性格なのか突っ込みは律儀に入れながらバッ!と振り返る。
……あれ?デジャヴュを感じるぞ?…と、思ったら数少ない友人の一人がそこに居た。

「…えーー…セレネ、さん?……き、奇遇だな?」

思わずぎこちない笑顔になりつつも挨拶はちゃんとする。まさか今回も偶然遭遇するとは思わなかった。
…いや、冷静に考えると凄い奇跡的な確率なんじゃないだろうか?これ。
ともあれ、落ち着いてみれば、彼女は例の刀をまた携えている…と、いう事は。

「あーー…セレネさん、また何か目的あって自分から入り込んだ感じ?」

セレネ > 「あら、迷子じゃなかったら声を掛けない方が良かったです?」

余計な事をしてしまったかなと思うも、元気そうで良かった良かった。

「えぇ奇遇ですね?貴方の叫び声が聞こえたのも偶然でしょうか。」

逆に言えば彼が叫んだからこそ己が気付いた、というのもあるかもしれない。
そうして彼から問われたなら一つ頷いてみせ。

「ご名答。まぁ、運動も兼ねてなので、何も居なかったらこのまま帰るつもりでしたけどね。」

火光雷鳥 > 「うん、正直言うと心細くて帰り道の目処が付かなくて泣きそうだったありがとう!!」

と、馬鹿正直に答えながら頭をバッと下げた。オーバーリアクション気味だが実際非常に心強いし。
幾ら以前に一度迷い込んだ経験があるとはいえ、前回もそして今回も自分の意志ではないのだ。
あと、叫び声で気付かれたのは嬉しいやら悲しいやら…最近増えた友人も叫んでるイメージがあるっぽい事を言っていたし…。

「むしろ、運動気分でここに来れるのが凄いと俺は思うんだけどな…。
まーでも、改めて助かったぜ。俺一人じゃ本当にここじゃどうしようもなかったし。」

裏表の無い心底安堵したような笑顔。ただ、場所が場所なので一応周囲にそれとなく警戒はしつつ。

「ほんと、『誰か』さんは上から目線で助ける気がサラサラねーっぽいからなぁ。本当に帰れなくなる所だったかもしれん。」

ハァーー、と溜息混じりに。友人からすれば、その『誰か』さんは引っ掛かるものがあるかもしれない。

セレネ > 「此処への出入りについては以前教えたつもりでしたが…まぁ、一度や二度で慣れるものでもありませんしねぇ。」

特に「凡人」を自称する彼の事だ。こういった場所には慣れないだろう。
…こういう危険地帯に慣れている彼は想像がつかないし。

「怪異が居ないと少し空気が重い地域なだけですから…散歩くらいだったらそこまで長時間滞在しませんし。」

助かった、と言われればそこまでの事はしてないのだけどな、とは思うものの。
口に出す事はしなかった。
彼の立場を考えれば確かに心強いものだろうし。
裏のない純粋な笑顔を見ると、蒼を細めるだけで。

「――『誰か』?もし良ければ詳しく教えてくれませんか。」

相手の言葉に一瞬眉を動かした。
誰かというのは、”彼”に違いない。
…というか対話出来たのか。

火光雷鳥 > 「……うん、正直またいきなり迷い込んだから動揺しててすっかり忘れてました!」

馬鹿丸出しである。とはいえ、幾ら能力があろうと脳がアレだろうと気質はこんな感じだ。
異界に迷い込んだら動揺するし、落ち着いて事態に対処なんて土台無理である。
そもそも、ここで順応してきびきび動けたらいちいち叫んだり愚痴を零してはいないだろう。

「いや、でも確か常人が長く留まるのはヤバいんだよな?ここ異界だし。まぁ怪異と遭遇の危険性もそりゃあるけど。」

自称『凡人』でもこの空気の重さや異質さはピリピリ伝わってくる。
だからといって、二度も『いきなり』迷い込んだので心構えや対処が講じられている訳も無く。
例え彼女からすれば大した事をしていないとしても、この少年にとっては心底心強いし有り難いのだ。

「…え?ああ。んーと、この前、俺授業中にいきなり酷い頭痛でぶっ倒れてさ?
気が付いたらまぁ放課後で保健室で寝てたんだけど、起きた時にいきなり話し掛けられた。
こう、脳内に直接重苦しい感じの声でさ。あと、やたら偉そうで上から目線というか…あ、名前は聞いてない。」

と、簡潔にその『誰か』さんとのファーストコンタクトの模様を説明しつつ、そういえば、と。

「んで、名前は全く聞けなかったというか、一言語りかけられただけなんだが…。
なーんか、俺の事を《門》だとか自覚を持てだとか言っててさ?
あと、さっきも実は駄目元で話しかけたら返事があったんだよ。こう、助けてくれるかなー、って。」

まぁ、自分で何とかしろって言われたんだけどなー…と、笑顔だがやや引きつり笑いで語る。
ちょっとイラっとした先ほどの気分を思い出してしまった。あの上から目線は何とかしてほしい。

セレネ > 「ですよねー。…まぁそれが”普通”なのでしょうし…。」

己のように何が起きても冷静で居られるよう努めるのは同年代ではそうはいないかもしれない。
己は相手のような元気は持ち合わせていないし、そういう性格でもないのだし。

「そうですね。
…まぁでも、数時間程度なら問題はそこまでない…かと思いますが。」

己は人間ではないから確証は得られないが。

「――貴方に掛けた鎮痛の魔術も効果無しですか…。
ふむふむ…成程、急に。」

模擬戦の際、相手に掛けた筈の鎮痛魔術が少しも効果を示していない…いや、もしかしたら魔術を上回った可能性もある。
説明を聞いて居れば、やはりと納得。

「……≪門≫?
――え、≪門≫…!?」

その言葉に蒼を見開いた。
ということは、まさか。

火光雷鳥 > 「むしろ、俺はその『普通』さが大事だと思ってるし、大事にしたいからな。
…や、まぁ流石に二度目だからもうちょっと冷静に行動しろよ、とも言えるけどさ。」

自称でしかない『凡人』。少なくとも能力持ちで脳内にはよく分からん『誰か』が居る。
自分がそういう意味で『非凡』なのは分かり切っている。だけれど。
少なくとも、心や考え方は凡人のままでありたい。例えこの島に順応しようと。
――分かっている。望んで『普通』を求める事が実は簡単そうで難しい、なんていうのは。

「…まぁ、でも前回よりは少し『楽になってる』気はするんだけどな…慣れかねぇ?」

んな訳が無いのだが、本人は割りとそう思っているのか首を傾げて。
鈍痛の魔術については「いや、そん時だけ。それ以外はちゃんと効果あるぜ?」
と、フォローというか補足を。実際、倒れるほど激痛だったのはその時だけだ。

「お、おぅ、何か凄い反応だけど…聞き間違いじゃねーと思う。意味ありげだったし。
俺も流石に気になって調べてみたんだけど…まぁ、《門》といったら、アレしかねぇよなぁって。」

『異世界と繋がるもの』――ただ、少年自身はあまりピンと来てはいないらしい。

セレネ > 「そうですね、以前も言いましたがその普通は大事にして欲しいです。
…私にはどうにも、その普通の感覚は分からないものですから。」

何を以て「普通」とするかの定義も難しいし…とはいえ、
本土での一般人の感覚を失わなければ大丈夫かもしれないけれど。
生まれも育ちも、種ですら普通ではない己には到底無理な感覚だ。

「慣れ…?まぁ…慣れる、事もあるかもしれませんね?」

それも「彼」の影響だろうか。
己が掛けた魔術へのフォローについては、ならば良いのですがと少し安堵。

「……。」

魔力を吸い込み、吐き出すあの穴が≪門≫ならば。
何故彼は五体を不自由なく動かせる?
思考出来、発言出来る?
…どこかが機能していなくともおかしくはない筈なのに。

火光雷鳥 > 「いいんじゃねーかな?別に普通の感覚がわからなくても、こうして友達やれてるんだし。
少なくとも、俺はセレネさんと友達なってまだそんな時間経ってねーけど、世話になりまくってるしさ。
価値観や考え方、生き方の相違なんて生まれも育ちも環境も…世界も違うんだからあってとーぜんだしな。」

と、この少年にしては割と含蓄がある?事をのたまいつつ。
少なくとも、友人が普通でなくとも、普通の感覚を理解出来なくとも気にしない。
だって、そんな事は友達という事実に比べたら『些細な事』なんだから。

「いや、まぁ重苦しい不快感じみたのは消えねーけどさ。あくまでこの感覚に少し慣れたってくらいだし。
つーか、あの魔術の効果ってどのくらい持つモンなんだ?」

ふと気になって魔術の効果時間を聞いてみたりする。魔術はサッパリだけど。

――そして、彼女の疑問はもっともだ。仮に少年そのものが《門》だとして。
その正確な特性や『向こう側』が今の時点では不明とはいえ、普通なら障害は抱えて然るべきものだ。
だが、少なくとも彼女がこうして接している少年に表立った機能の不全は見受けられないだろう。
それこそ、偶に頭痛が起きたり意識を失ったり、記憶が一部飛ぶくらいだ。まぁ、それも厄介だが。

「けど、俺が《門》だとしたらおかしーよなぁ。別に異世界のあれこれとか心当たりねーし。
……あーいや、もしかしたら頭の中の『誰か』さんがその異世界の輩なのかもしれんけどさ。」

セレネ > 「…少し変な事を聞いても宜しいでしょうか。
友人だと思っている人物が仮に、自分や他の友人、または大切な人に害を成す敵となった場合。
貴方はどんな対応を取りますか?」

純粋な疑問だ。他意もない、気になった事。
その些細な事を、それだけだと一蹴出来れば苦労はしないのだろうが。
その些細な事でさえ気になってしまう性分故。
生き難い性格をしているというのはとうの昔に自覚している。

「二度ある事は三度あると言いますし、また近いうちに来るかもしれないですね。
周りに魔素がある限りは半永久的に機能するよう術式を組んでいます。
貴方の慢性的な頭痛を軽減するならそれしかないと思ったので。」

逆に言えば周りに一切の魔素がなくなればその時点で魔術の効果が切れるという事だ。
早々そんな事はないと思うのだが…どうなるかは未知数である。
己は未来視など出来ないし、時間や運命を司る神でもないのだ。

「そのまさかかもしれませんよ。」

己から伝えて良いものか、悩んだので少し濁すような言い方を。