2021/01/22 のログ
ご案内:「裏常世渋谷」に【虚無】さんが現れました。
【虚無】 >  
 周囲を見ながら歩く姿。周りは不気味に揺らめく街。
 ここへ来た理由は仕事のひとつ。というより独自で行動している内容である。
 裏常世渋谷。まだまだ未解明のこの地。ここには様々な噂がある……故に時間が出来た時にはこうしてここに足を踏み入れている。
 もしアーティファクトや能力が白か黒、どちらかの手に渡ればそれそのものがパワーバランスの崩壊を招きかねない。だから先に抑えるべきだというのがひとつ。
 そしてもう一つの目的は単純に訓練だ。
 自分の能力は全力で動くには非常に目立つ。だからここや転移荒野でもない限り全力で動き回る事は出来ないのだ。

「……少し不味いな」

 だが、今日は様子が違う。まだ地上だというのに瘴気が濃い。能力で直接吸うことは回避しているが。それでも身を切り裂くような嫌な空気がまとわりつく。
 あまり今回は長居できないかもしれない。

ご案内:「裏常世渋谷」に雪城 氷架さんが現れました。
雪城 氷架 > その少女はまるで狐に摘まれたよう…という言葉が綺麗に当て嵌まるような表情をしていた

学園帰りに数少ない友人に釣れられて常世渋谷のお店へ、それから別れて、帰り道
交差点に差し掛かって、横断歩道で信号を待って…スマホに視線を落としていた
それで、ふと顔をあげてみれば……

「…あれ?」

──あたりが霧…?のようなものでぼんやりと揺らいでいるように見えた

「…おっかしいな。さっきまであんなに…」

それだけじゃない、周囲にそれなりにいた…筈、の人達はどこへやら
きょろきょろと辺りを見回しながら、やや困ったような表情で歩いてゆく
確かに見知った場所の筈なのに、どこか違和感が拭えない

ふと、足を止める
ぼんやりとした霧の向こうに人の姿のようなものが見えたからだ
声ををかけるのは…なんだか憚られた。あたりの雰囲気というかなんというか
よかった人がいるじゃん!とはならなかったからだ

といっても距離はそれほど離れていない、
相手にもこちらは見えているだろうけれど──

【虚無】 >  
「……」

 マスクの下。思いっきり口元をゆがめる。できれば避けたかった事態の一つだ。
 奏詩としての知り合いとの遭遇。幸いにもまだ1度しか会っていない相手。流石に見抜かれる事は無いとは思うが。ある意味で風紀委員と相対するときより余程注意が必要だろう。
 一応周囲に目線を投げる。危険な怪異や霊体がいない事を確認。それからマスクの様子も確認する。声もしっかりと変わっている事を確認する。マスクから漏れる声は壊れたラジオのようなくぐもった声。

「おい、マスクかハンカチはもっていないか? あんまりよくない空気が流れている。あるなら口に当てておけ」

 と少し先にいる少女に言葉を投げかける。
 それからそっちに足を進め。

「一人か?」

 友人と来たなどならばその友人も探さないといけない。その確認だけは取っておかないといけなかった。
 

雪城 氷架 >  
少し目を凝らすと、フードと…マスク?変わった、というか少女の基準からすると"怪しい"風貌の人間
状況もよくわからない中、さすがにうわっ、と表情を変えて一歩後ずさる
が、その人物は意外にも普通に言葉を投げかけてきた

「へ…?え、あっ…ハンカチなら、ある…けど」

よくわからない、といった顔のまま、とりあえず素直にそのくぐもった声に従う
…なんだかヘンな声だ。少なくとも普通に人間の口から発せられる音には聞こえない

「一人だよ。さっきまで周りに一杯人がいたと思ったんだけどさ」

ハンカチを口に当て、もごもごとお返事
友人と別れたのは十数分前だが、少なくともこんな状況に迷い込んだのは自分一人だった
…眼の前の人間?を、除いては…だが

「──よくわかんないんだけど、何コレ?なんかの事故…?」

口を覆えと言われたのでヤバいガスでも充満してるのだろうか、と疑う

【虚無】 >  
「事故と言えば事故だ……なんて説明するべきか」

 少し考えるようなそぶりを見せる。説明しようとすると中々に難しい。
 自分とて把握できているわけではない。ただ規則性を覚えて入りやすいタイミングで入っているだけに過ぎないわけで。そうして考えてから。

「簡単にいえば神隠しにあった状態。とでもいうべきか……偶然迷い込むケースもある。俺の場合はある程度狙って入ってきたがな」

 とだけ説明してから彼女の目線に気が付く。
 一瞬考えるが。よく考えてみれば今の自分の姿は一般人から見れば痛々しいコスプレだ。軽くため息を吐き出して。

「……ここの探索をするための装備だ」

 思いっきり嘘をついた。

「にしても一人なのは幸運だ。このまま街を出た方が良い……というより俺ももう出る所だ、この周りの空気がいつもより悪くてな。あまりいると心身がやられかねない

雪城 氷架 >  
「神隠し…?なんかそんな噂っていうか都市伝説みたいなのはSNSで見たよーな…」

え、あれマジの話だったの?とさすがに怪訝な顔
…でも他にまったく説明がつかない状況なのも、そこまで利口でないなりに理解できていた
なので怪しいこの人間の言葉通りに、素直に口元にはハンカチをあて
街を出たほうがいい、という言葉にもこくこく、と頷いた

……怪しい風貌は此処を探索するための装備だという
狙って入ってきた、っていうのも含め…なんらかの事情で此処に来ているのだということはわかった
その見た目に驚きはしたが、説明手順に悩んだりする様子が伝われば、
とりあえず普通の人間なのかな…と少女は思った

「こわ、心身がやられるって何…。冗談じゃないな…って、どっから出るんだ…?」

こう、微妙に変な雰囲気で視界も悪く歪ではあるものの、此処は常世渋谷に違いないように見える
ゲームとかだとなんかこう、変なゲートみたいなのが開いてたりする状況なのだが
それともこの街から出ればそのまま出れるのだろうか…?

「…にしても、何者?
 そんなカッコしてまでこんなところに来るとか…仕事?
 …あ、あんまり話さないほうがいいんだっけ」

おっと、とハンカチで口元を覆い直した
口数が普段より多いのは、少女がその言動以上に不安に包まれているから、かもしれない

【虚無】 >  
「ああ、それだ……といってもSNSのはいくつか誇張されていたり嘘が混じっているが。少なくとも半分くらいの書き込みみたいな物は見たこともない」

 といっても入るたびに形が変わるので否定はできないわけだが。少なくとも見たことはない。
 だがあえて前者は言わない。そうすることで少なくとも嘘が多分に含まれているという形で安心感は渡せるだろうか。

「……境界。例えば交差点だとかを通ったり。後は街そのものから出るというのも手だ。だからできるだけ大通りを歩いた方が良い。後曲がり角はすぐに曲がる」

 カクカクと曲がり角に差し掛かる度に曲がっていく。

「まぁ1番多いのはいつの間にか……というパターンだが。空気の流れだとか、瘴気を読んだりは出来ないか? 俺は出来ないが、もしかしたらその辺に不自然な揺らぎみたいな物が出来ているかもしれないが」

 と彼女に確認を取る。
 ある程度そういった所で出入口の確認が取れるかもしれないからだ。自分ひとりならば良いが誰かといるというのは状況的にも良いとは言えない。いつ怪異が現れるかわからない。そして自分がボロを出すかもしれない。だから少しでも早く帰れる可能性を上げる手段を考えたかった。
 ここに来た理由に関して聞かれれば。

「……訓練だ。少し目立つ能力でな。外では出来る場所が限られてる。けどここなら自由だからな」

 手に電気が発生して。手を軽く動かす。甲高い金属音が発生すると同時に少し離れた場所の壁にひびが入る。
 空気を弾き飛ばしての衝撃波である。

雪城 氷架 >  
「へー…この島ヘンなコトばっかり起きるな」

まぁ、異能者とかいうとびきりヘンな人間が集まるのだからその場所もヘンで然りなのだろうか
なんとなく納得するような、しないような
案外SNSもバカにできないんだなということはよくわかった。火のない所に煙は立たぬ

「それが出る方法?ふーん…ほんとにこんなトコに狙って来てるんだな…
 空気の流れ…いやーさすがに……なんかヘンだな、気持ち悪いな、みたいには思うけど…」

それも、この場全体から感じることである
ハンカチの奥からそんな返事を返しながら、マスクの彼の言葉に首を傾げる
その彼が放って見せた衝撃波を見れば尚のこと、だろうか

「うわっと…異能の訓練ってこと? それなら別に訓練施設でも……
 あ、ただ単に目立ちたくないとか…?
 イヤそんなことでこんなトコこないか……まいっか」

異能者それぞれの事情には簡単に踏み込んでいいものじゃない、と少女は思う
いろんな人間に、いろんな触れられたくないものがあり、異能の力は特にそういうものに関わる部分が大きい、と思っていた

「でも良かった。親切なヤツに会えて」

そう言って、ハンカチで口元を隠していてもわかるにっこりとした笑みを浮かべる

「私、雪城氷架。お前は?」

今度会ったらお礼するよ、なんて
マスクとフードの奥に、自分が時計塔で出会った少年の顔がある…なんてことは気づく素振りも見せなかった