2021/01/23 のログ
■【虚無】 >
「それには同感だ、常識が全く通用しない」
少しだけ笑ってしまう。
裏の裏まで知り尽くしている自分ですら今だに変だと思うことが多く発生する。本当に飽きない街だ。
「気持ちが悪いのは空気その物の可能性があるな……もし気持ち悪さが上がるようなら教えてくれ。少し強硬手段に出る」
本当はあまりとりたくない手段だが、一応出ようと思えば無理やりに外に出る手段はある。一気に空をかけて街から出ればいいだけだ。
だが問題は自分以外を連れた状態で試したことが無いということ。自分は能力で防御できるからいいが自分以外はどうなるか……全く想像がつかない。
「……まぁそれもあるが。学生でもない奴が学校の訓練施設を使うわけにもいかないだろう。だからといって転移荒野で暴れすぎて風紀委員と実戦訓練をするなんてことになったら目も当てられない」
ここなら破壊しても戻るし問題ない。だが転移荒野だと最悪そういう問題が発生する。
だから好都合なのだここは。
名前には一瞬つまるが……
「……そうだな、好きに呼んでくれていい。あまり褒められた仕事をしているわけではなくてな。だから俺と会ったことも外に出たら忘れた方が良い」
そういうしかなかった。
現状もし虚無と会ったとか狼マスクとどうのというと風紀やら裏組織やらから一気に狙われかねない。
「ゴホッ、少し長居しすぎたか」
と少しムセる。
彼女より自身は長くいた。いくら能力である程度は回避しているとはいえ完全に遮断と言うわけにはいかない。だからどうしてもダメージが出てしまう。
■雪城 氷架 >
「ん、今のとこは大丈夫…」
口元を多いながら返事を返す
もしかしたら自分自身の異能で自分の周囲の空気を正常化しているのかもしれないが、
それは少女自身にはよくわかっていない
「なんだ。学生じゃないのか?異能者なら、と思ったけど…。
……好きに呼んでくれって言われてもなあ…」
学生じゃないなら、どこか再会する可能性は低いかも知れない
礼なんていらないと言うかもしれないが、少女の性格は妙に義理固かった。腑に落ちないのである
おまけに名前を好きに呼べと言われる始末だ
…どうしたもんかと頭を捻る。フードマスク、とか安直なものしか出てこなかったが…
「ちょ、おい。大丈夫か?」
咳き込む様子を見て少し慌て、心配するように視線を向ける
「のんびり話してる場合でもなかったな…急いで…って、パッと出れればいいけど。
さっき言ってた強硬手段ってのは?」
■【虚無】 > 「ああ、残念ながらな。学生なら訓練施設を使えたんだが」
残念だよと頭を振るった。
実際は学生だからこそ使えないが正解だったりするわけだが。
「……そんな不満そうな顔をするな。名前を言えない理由があると思ってくれ」
腑に落ちない様子を見てそういう。実際理由があるのだから仕方がない。
バレる時は奏詩としても学生の終わりに近いだろう。特に彼女の場合なにかしらコネがある様子だったわけだから。
心配された様子を見せれば呼吸を整えて頷く。
「ああ、少しむせただけだ。もう少し入っていると肺がやられるかもしれないが……強硬手段は空を飛んで一気に街を駆け抜けるって方法だが……」
と言ってから目線を苦々しく横へ。
「……誰かと飛んだ事なんてなくてな。まともに飛べるかも不明だし。仮に飛べたとして同乗者の安全が一切保証できない」
だから最後の手段なんだよと言いながら。歩みを進める。
「そういえばたしか事故でここに入ってきたんだったな。常世渋谷には買い物にでも来ていたのか?」
そういえばと思い出したように。ここに迷い込んだということは常世渋谷にはいたはずだと。
ついでに時間だとかを把握しておかなければならない。この恰好のまま街中に出現するなど組織を首になりかねない。
■雪城 氷架 >
「わかったよ。…人それぞれ何かしら抱えてるもんだしな」
名前を言えないと言われれば、それ以上は追求しない
人間誰しも聞かれたくないことはある。彼の場合はそれが名前なのだろう
「…なるほど。確かに落っことされたりしたら洒落にならない」
それは御免被る
…にしても、自身は咳き込みながらもこちらのことを気にするのだから
このマスクの彼の素がどれだけ善人かということが知れる
それも当人同士の理解はともかくとして、初対面の相手に、である
「事故、だと思うよ。交差点で信号待ちしてて気づいたら…だったし。
そうだな、買い物。ほら」
と、常世渋谷のブランド店の小さな手提げを見せる
アクセサリーかなにかを買ったのだろう
■【虚無】 > 「なるほどな……運がいいのか悪いのかといった所か」
買い物の帰りに巻き込まれるというのも本当に運がいいやら悪いやらである。
「たしか学生はもうすぐテストだったな、テスト前のお楽しみと言ったところか。ああいうのを見ると学生は大変だと思うよ」
というが、その声は妙に実感がこもった声であった。
別の人物という事を装っているが。本人は学生、テストの大変さは身に染みて理解しているわけで。
「っと」
と話しているとフワリと風が変わる。こことは違い、少し涼しい気持ちのいい風。
「……ここを曲がれば出口らしい。せっかくだから何を買ったか見せてもらおうかと思ったが。それはまたの機会だな」
学校でならばどこかで会えるかもしれないのだから。見る機会などあるだろう……気を付けるべきはその時に”ああ、あの時のか”だとかそういうことを言わない事だけである。
「俺は別の出口から出る。この恰好で常世渋谷の真ん中に出るほど……度胸は据わっていなくてな」
流石に恥ずかしいというが。理由は別にある。
■雪城 氷架 >
「? こんなとこに迷い込むんだ。運が悪いに決まってるじゃないか」
何言ってるんだ?と再びの怪訝なカオ
…もしかしたら他にもっと運が悪い事例があるのかも、と思い至り、それ以上はつっこまないのだが
「ふーん……」
学生の苦労に対する実感の籠もった言葉
それはくぐもった妙な声の上でも伝わるもので、本当に学生じゃないのかな、なんて内心思う
「ほんとに学生じゃないのか?…と、出口か。ああ、うん…また、だな……」
内心どころか声に出ていた
元々歯に衣着せぬ物言いをする少女
特に気を使う必要がないならすぱっと言葉が出てしまうのだ
出口であると言われれば心からホッとしたような顔
わかりやすい一般学生の反応である
「街はヘンだしヘンなカッコのヤツは出るし悪いユメかななんて思ったけど、
思いの外いいヤツで助かった。ありがとな」
少女は完全に彼を信用しているようだった
少しくらい疑っても良いだろう状況にも関わらず。そういう性格なのだろう
「じゃ、ここでバイバイだな。…また会ったら、っていうかそのカッコじゃなかったらわからないかもしれないけど」
お礼を言って、笑って少女は出口へと踵を返す
数歩あるくともう一度振り返り、手を小さくひらひらと振った
マスクの彼の正体には少しも気づかなかった風
でもどこかその気の使い方や物腰に初めて出会ったような気のしない、不思議な感覚を覚えながら、無事異界化した渋谷からは脱出し
その日は疲れ果てたように、ぐっすりと眠るのだろう
起きてみれば、まるでユメのような出来事だった…などという一時の体験であった
■【虚無】 > 「本来なら怪物も出てくるエリアだからな……そういう意味でも運が良い方なんだよ。お互いにな」
本来なら化け物とぶつかるはずの場面。だが運よくそういった出会いもなかったわけで。
たしかにここにきてしまったことは運が悪いが。それ以外は運が良いと言える。
「……ああ、学生じゃないよ。俺はな」
一瞬出しかけたボロ。なんとかしまい込みそういう。
「変な格好というな……まぁ、痛々しいコスプレに見えるというのは俺も思うが」
一般人目線で見ればそう見えてしまうのは仕方がない。理解はしているつもりである。
そして彼女を見送るが、最後の一言に笑う。
「言っただろう。俺に合ったことはわすれろと……まぁ、もし会ってしまったら。その時はもう少し落ち着いて話せるといいな」
そういって彼女が見えなくなれば。こちらも宙へと浮かび。一気に街を抜け出す。
何とか体が大きなダメージを受ける前に外へと脱出できただろう。
ご案内:「裏常世渋谷」から雪城 氷架さんが去りました。
ご案内:「裏常世渋谷」から【虚無】さんが去りました。