2021/02/13 のログ
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」に迦具楽さんが現れました。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」にサヤさんが現れました。
■迦具楽 >
――本日のあらすじ!
さる信頼できるスジから手に入れた情報により、恋人がバレンタインをしらないと知った迦具楽。
どう驚かせようかと考えるが、結局、普通に恋人らしい事をする方が喜ばれるのではと気づく!
よっしゃこうなりゃデートだ!
特にプランも考えてないが、恋人を誘い、常世渋谷にデートへと繰り出すのであった!
――というわけで、本日は常世渋谷にやってきております。
「うひゃー、やっぱり混んでるなあ」
駅から出ると、街はやはり人であふれている。
しかも、見るからにカップル、そうでなければ親しい友人同士と言った二人組ばかり。
街に溢れる広告やなにやらも、あっちもこっちもチョコレートだ。
ピンクにハートに、これでもかと言うほど浮かれた様子。
「サヤー、大丈夫?
ヒトに酔ったりしてない?」
はぐれないようしっかりと、手を繋いで駅を出てきた恋人を振り返る。
常世島の中でも、所謂都会じみた場所である。
慣れない環境に疲れていてもおかしくないだろうと、そんな気遣いのつもりだ。
■サヤ > 逢い引きに街へと繰り出すことが日常と化している上、バレンタインが日本では恋人の祭典と化しているとは知らないサヤは、どうしてか自分たちのように二人組ばかりの街の様子に首を傾げている。
「お休みだからでしょうか、確かに混んで居ますね。」
握った手は指同士を絡めるいわゆる恋人繋ぎ、そこにもう片手を迦具楽の腕に添えて、ぴったりと寄り添う。はぐれないためである、他意はない。
「普段は香水や化粧品の匂いで少し苦手なのですが……今日はなんだか、甘い匂いばかりですね、これなら大丈夫そうです。でも、どうしてこんなにチョコレートを?」
すんすんと首を巡らせながら鼻を鳴らす、いつもなら人混みの中では種々様々の混じり合った臭いが鼻につくのだが、今日に限ってはカカオと砂糖、生クリームの混じった香りが通りを占拠するように満たしていた。
こちらの理由もわからず、迦具楽の顔を見上げながら、自分よりいくらか世情に詳しい迦具楽に聞いてみる。
■迦具楽 >
自分にぴったりと寄り添ってくっついている恋人に、可愛いなぁとだらしなくにやけそうになる。
それはそれとして、においに敏感な彼女が大丈夫そうなら、一先ずは安心である。
「そうだねえ、今日は所謂、チョコレートの日ってやつかな。
特に、この極東じゃ色んな思惑も重なって、親しい人にお菓子を送る日、にもなってたりするんだなー。
まあ、お菓子メーカーの陰謀ってヤツだね。
本来は宗教行事で、大切な人に贈り物をする日、らしいよ」
なんて、つい最近調べたばかりの事を話す。
驚かせるのは諦めたので、教えない理由もないのだった。
ただ、しかしである。
「それじゃ、サヤ」
自分の腕をしっかり掴む彼女を、迦具楽からもしっかりホールドして。
ほんの少しだけ眉間にしわを寄せた笑顔を向けるだろう。
「まずは服、買いにいこっか」
そしてそのまま、少しお高いブティックへと、彼女を引きずっていくだろう。
■サヤ > 「お詳しいんですね、流石迦具楽さん。」
さらりと二人組で混んでいる理由も、チョコレートの匂いでいっぱいな理由も説明されて、尊敬の眼差しを向ける。
なら自分たちもチョコレートを買うのだろう、何が良いだろうかと通りを見渡しながら考えていると。
「はい。」
名前を呼ばれて、嬉しげに顔を上げる。
散歩、と言われただけで大喜びでリードを咥えてくる犬がダブって見えるかも知れない。
しかし続く言葉は予想外のもので。
「え、え、え?ど、どうしてですか?私も迦具楽さんにお菓子をお贈りしたいのですけれど…。」
仲睦まじくチョコ菓子を選ぶカップル達と、チョコの匂いは遠ざかり、落ち着いた芳香剤の香りが満ちた店内へと引っ張られていく。
「あの……私の服、何かまずいですか…?汚れたりほつれたりしないように魔術がかかっているんですが……。」
この世界に来た時から仕立て直しながら着続けているサヤの服。
地球の巫女装束に似たそれは、文字通り一張羅で、サヤはクリスマスに迦具楽に贈られた振袖と石蒜の私服以外他に服を持たず、着たきりスズメであった。
■迦具楽 >
「お菓子なんて後!
もう、まさか本当にそれ以外の服を持ってないなんて思わないでしょ!」
迦具楽もそれほど身なりにこだわるタイプではない。
その上、センスも壊滅的で、会う人間会う人間、独特なセンスだと言ってくるようなレベルである。
ただ、それでも場所や用途に合わせた服くらいは持っているのである。
「それがダメ、とは言わないけど。
それしか持ってない、っていうのはダメ!
だから、今日はデートの前に服を買うのです!」
ほんの少し、女子としてあり得ないでしょうというニュアンスも籠めつつ。
そして店の店員に彼女を突き出しつつ。
「この子の事、いい感じにしてください!」」
そう言うと、店員は彼女の事をにこにこしてみる事だろう。
「と、いう事だから!」
繋いでいた手も放して、店員の方に押し出していく。
■サヤ > 「他は一応、寝間着を何着か持っていますが……。」
日中の服は巫女装束一着だけである。迦具楽も寝間着として襦袢を着ているのを見たことがあるだろう。
しかしそれ以外は石蒜が着替えないままサヤに交代した時以外、他の服を着ている所は見ていないはずである。
「そんな駄目ですか…あの、でも、ええと…この世界の服とかあまり………。」
サヤは武術家としては教育されたが、女子としてはほとんど何も知らない。
破れず汚れない服が一着あればそれでいいと思っていて、石蒜のようにファッションを楽しむような考えは全くもっていなかった。
「あの、ええと……よ、よろしく、お願いします……。」
にこやかな店員に向けて、心細そうに頭を下げる。
そうすれば店員は、何もわからない異邦人の相手は手慣れたものなのだろう。
いくらか採寸すると手早く服を何セットか持ってきて、サヤを試着室へと連れて行く。
迦具楽にも『お連れ様はこちらへどうぞ』と試着室前の椅子に案内されることだろう。
しばらくして、着替え終えたサヤが試着室のカーテンを開ける。どこか落ち着かない様子で、胸元に手をやって不安げに自分の姿を鏡で見ている。
着ているのは白のVネックのニット、晒された鎖骨と胸の谷間の端、ボディラインが浮き出たためにはっきりとわかる胸の膨らみが少々セクシーかもしれない。ふくらはぎ辺りまでのミモレ丈のスカートも白で、試着室前に置かれたハイヒールだけが黒だった。
『こちらですと、あまり気取らず洒落た印象のコーデになります。お客様は少々小柄なので、黒のヒールで大人っぽく仕上げました。』
「あの、その……ど、どう、ですか……?私よくわからなくて……。」
これがお洒落なのか、どこが大人っぽいのか、わからない。わからないから不安で、所在なさげに迦具楽を見つめている。
■迦具楽 >
さてさて、まるで知らない場所に来た子犬のように心細そうにする彼女だったが。
ここは心を鬼にしなくてはならない。
ファッションを楽しむ必要まではないとは思うが、場所や用途で着替えるくらいの気持ちは持ってほしいのである。
せめて、年頃の女子として!
「まあ、任せておけば大丈夫でしょ」
と、思った通り。
手慣れた様子の店員に、あれよこれよと言う間に仕上げられていく。
試着室から出てきたのは、普段の印象からずっと違って見える恋人で。
「――うん、エロい」
真顔で、ぐっと親指を立てた。
最近、恋人に仕込まれたおかげて色気やエロさという物が分かってきた迦具楽であった。
よし、とりあえずコレは買おう。
店員に、買うぜ、とサインを送るとにっこりと笑顔が返ってきた。
「あーでもなー、スカート丈はロングの方が似合う気がするなー」
『でしたら、こちらのハイネックのセーターにと、スカートを合わせて、足元はこちらのブーツでいかがでしょう』
そして、白のセーターと、カーキ色のロングスカート、クリーム色のブーツが並ぶ。
「お、いいんじゃない?
ねえサヤ、どう思う?」
と、着せ変えられて戸惑っているだろう恋人にも聞いてみる。
■サヤ > 「え、えろ………。」
あまりに率直すぎる意見に顔を赤くして首と胸元を隠す。
そういった欲求を目覚めさせたのは自分であると理解しているが、あまりに明け透けすぎる。
そっちこそ女子としてどうなんだ。
「ええと、わ、わからないので着てみます。」
見せられてもわかるものではない、というより自分では判断出来ないし、重要なのは迦具楽が気に入るかどうかだ。
店員から服を受け取って、試着室のカーテンを閉める。
また着替えてからカーテンが開く。ハイネックで首元が覆われ、たわわな胸や引き締まった腰のラインは現れているが、落ち着いた色のスカートとブーツが清楚に纏めている。街歩きなら問題ないだろう。
「どう、でしょう?あの、ええと……先程のもですが、スカートが、少し、すーすーして落ち着かないです…。」
袴に比べれば足を覆う布面積は半分以下、石蒜の服装も動きやすいズボンばかりなため、スカートは初めて履く。
それがどうにも頼りない。それを和らげるため足をぴたりと閉じて、上から布地を押さえつける。
■迦具楽 >
見てわからないなら仕方ない、来てもらうしかないのだ。
迦具楽としては、もう、恋人のファッションショーが見れるだけで目の保養。
楽しくて仕方ない。
「おおー、落ち着いた雰囲気でいい感じじゃない?」
大人しく、それでいて主張するとこは主張して、淑やかさも出ている。
さすがプロの眼は素晴らしい。
これなら渋谷を歩いていても、浮く事はないだろう。
――ちょっと悪い虫が寄ってこないか心配だが。
「うーん、その恥じらい方すごくいい!
ぐっとくる感じ!」
褒め方がおっさん臭い迦具楽だった。
女子力? そんなものは路地裏に置いてきた。
「よし、店員さん、これとさっきのみたいなのをとりあえずもう一組ずつ見繕ってくださーい。
あとはー、サヤはなにか着てみたい服とかない?
ないなら、また店員さんのおすすめで色々着せちゃうぞー?」
と、スカートで恥じらう可愛い恋人にニヤケつつ。
そんな様子をしっかり保存しておこうと、携帯端末を取り出してカメラ機能をON!