2021/04/12 のログ
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」に照月奏詩さんが現れました。
照月奏詩 >  
 夕方ごろ。ハイカラなこの町にあまり似つかわしくないような恰好、というと少しアレだが。
 オシャレなど気にしていないような服装で歩いている男がいた。手には大きなスーツケースをゴロゴロと。
 紙を片手に歩いている。

「んー?」

 周りを見て首をかしげる。
 そしてもう一回紙に目線を落とす。そして……

「……さっきも来たよなここ」

 絶賛迷子中であった。
 道聞けよと言われそうな状態だが。そういうわけにもいかない。自身の立場は2級学生の犯罪者。もし学校に連絡が行ったりすると少し面倒なのだ。

「弱ったな、荷物届いちゃうぞ」

 むぅとうなっている。いつもはもっと入り組んだ落第街を庭のように歩き回っているが……逆にこういった繁華街に慣れていないせいで全部同じ建物に見えてくるのである。

照月奏詩 >  
 いつもは黒町や裏常世を通って外へ帰っていたのでこっちの繁華街方面は全くマークしていなかった。
普通そっちの方がわかりにくいんじゃないのとか思うかもしれないが、それは違う。
 ああいう町は言ってしまえばとても”臭い”のだ。においという意味ではなく雰囲気だ。それは店を変えようと形を変えようとどうしょうもなく臭ってくる。
 そんな中きれいな匂い。行ってしまえば外の匂いを追いかければ勝手に外につく。
 落第街に関してはもう文字通り何百回も通っているのでいやでも覚える。
 だが今回は違う。始めてくる街、そして周囲を埋め尽くすハイカラな空気。すべてにおいて自分とは別世界の存在だった。

「とりあえず常夜街の方に向かう……で、いいのかこれ?」

 目的地は常磐ハイム。だから向かう先は正しいはずなのだが。近いというだけで別に常夜街の中にあるわけでもない。
 つまり向かうだけではダメだ。

照月奏詩 >  
「……お、これは」

 地図を見て、近くの店を見る。
 そしてうなずいた。

「よし、わかった。ここがこれってことはこっちに行けば……ほら、正解」

 道を完全に覚えた。そうして彼は新たな家へと向かっていくのであった。

ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」から照月奏詩さんが去りました。