2021/11/09 のログ
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「あははー……それはどうでしょうねぇ」

できるだけ感情をシャットアウトするが、少しの後悔の念は伝わったかも知れず

そして口の固いメッセンジャー 殺されそうになっても口を割らなかった
それはとても貴重な人材で、此方側に引き入れようとも考えたほど
結局は出会えずに今に至ったわけだが、その口の堅さ、信頼は十分に伝わっていた

「こんなに可愛らしい容姿だとはねぇ」

容姿を褒めるのは反応を楽しんでいるのもあるが、全て本心だというのも伝わるだろうか
缶コーヒーを一口 口にしてはゆるりと息を吐きこの幸運に感謝した
それも落胆に変わったが

「小物とはまたまたご謙遜を、私の組織に招き入れようかと思っていたのですよ?
 そうですか、これが終わるまでは再開できませんか
 私にもしものときがあったら、ある人に伝言を頼みたかったのですが」

残念だ その感情はため息とともに吐き出された
どうすれば受けてもらえるか、考えたが情報を渡すことしか出来なさそうだ
と言っても、どのような情報を欲しているのかわからないが

「もし、もし引き受けてもらえるのならば何をお願いされても頷きましょう
 少し、賭けに出るので」

それだけは伝えておきたかった 

黛 薫 >  
会話の中で此方の異能を推察したと見えて、
上手く感情を殺している。対応力の高さに
内心舌を巻きつつコーヒーに口を付ける。

「商売上がったり、なんて言ってましたけぉ。
 よーするに商売以外の方向で今回の騒動に
 一枚噛ましてもらおぅって魂胆なんすかね」

歯に衣着せぬ物言いだが、内容に反して声音は
穏やか。貴方を案じているようにすら聞こえる。

今の情勢で『賭けに出る』などと口にするなら
賭ける先は限られている。大まかに分けるなら
風紀と落第街の2択と言っても良い。

そして、どちらに賭けようとリスクは大きい。

「……いちお聞ぃときますが、その言伝っての
 他の誰にも聞かれちゃ困る機密情報とかの類
 だったりします?そーゆーのじゃない個人宛の
 メッセージとかだったら……仕事とか関係なく
 一期一会の記念として伝ぇるくらぃできますが」

お人好し、なんてどの口が言えたことだろう。
軽い自己嫌悪に痛むこめかみを指で押さえる。

「んでも、落第街から出られねー人への伝言は
 どーしても難しぃです。あーしが今の落第街
 入ったら身を守る術もなくミンチになるかもだ。
 全部終わった後、安全に戻れるよーになって
 それから伝ぇるとかになりかねねーので」

>  
此方も、相手がコーヒーに口をつけたのを見て口をつけ
相手の言葉が耳に入る 歯に衣着せぬ言い方に 好感が持てる

「我ながら口が軽いですが。ええ、そうなりますね」
 
声色は穏やか 此方の身をあんじているようにも聞こえる
それが嬉しく 穏やかな笑みへと切り替え 相手へと感謝の視線を投げ
気遣い上手なんですね そうも加えた

この賭けが失敗すればすべてを失う
そんなリスクをも孕んでいる中で
相手からの言葉 それは心に穏やかさを感じさせるもの

「ふふ、お優しいのですね。貴女もお人好しと見える
 一期一会としてでも構いませんよ」

メッセージの相手 その名前を言うか、言うまいか

「それでも構いません。何かあれば、ですからね
 何事もなければそれはそれでお礼を弾みます」

迷った挙げ句、この少女に 賭けることにした

「伊都波 凛霞という少女にもしもの時の伝言を
 ”お兄さんは無事です”とお願いします」

黛 薫 >  
黛薫は無言でその伝言を聞き入れた。
コーヒーに口を付けることで返事に一拍の間を
持たせ、その僅かな隙に思考を回転させる。

知っている。その名前は、知っている。

落第街の警邏中に消息不明となった風紀委員。
行方不明後も少数ながら落第街での目撃情報が
存在しており、違反組織に使われているとの噂。
或いはどこぞの組織の首魁を籠絡した、とも。

ある意味では今回の戦火の引き金とも言えよう。

目の前にいる彼は風紀委員が話題に上った際
並々ならぬ憎悪を露わにした。そんな彼が何故
風紀委員に伝言を?

疑問はいくつもあった。口にはしなかった。

「……分かりました。お受けします」

しかし追及はしない。迷い、悩んだ上で自分に
賭けたなら、応える。枝葉の事情は考えない。
此方も相手の瞳を真っ直ぐ見据えて受け入れよう。

>  
ああ、この少女は本当に優しい
この街ではなくもっと日向で生きていく人間だろうに
事情があるのだろう そこは 口にはしなかった。

名前を口にした際、漏れ出たのは穏やかな気持ち

憎悪をだした際に感じたのにも関わらず、なぜ風紀に伝言を届けるか
それを疑問に思いもしただろうに口にしなかった そこにも感謝の気持を載せよう。

「ありがとうございます。これで安心できますよ」

真っ直ぐ 見据えられる瞳に嘘はない
信じられるのだろう 落第街で生きてきた直感がそう告げた

「なにかお礼できれば良いのですが……お金しか持っておらず」

ボストンバッグに目を向けた 必要とあらば、渡すだろうが
受け取りはしなさそうだ そう思考を回す

黛 薫 >  
「報酬はいらねーですよ、気分悪そーにしてた
 あーしに声かけてくれた善行が巡って返って
 来たとでも思ってくださぃな。そもそも今は
 『仕事は』受けてねーって言ったのはあーし。

 それに、いくらあーしにそのつもりがなくても
 言伝で先払ぃとか危ねーーに決まってんだろが。
 いっちばん持ち逃げしやすぃ類の依頼だぞ?」

捻くれた口調も演技ではあるまいが完全な素でも
ないのだろう。口にした言葉には隠しようのない
善性が滲んでいた。

ペットボトルに残ったコーヒーを飲み干し、
備え付けのリサイクルボックスに捨てる。

「んでも、1番イィのは『もしものこと』が
 ねーことだかんな。あーたが賭けに出んのが
 馬鹿で無謀だからじゃあねーコトくらぃは
 会ったばかりのあーしでも分かりますけぉ。
 命を賭けるのと投げ捨てるのは違ぅかんな。

 どーーせあーたなら分かってるんだろーけぉ。
 そんでも他の人に言われっと、いざといぅとき
 思ぃ出せたりすっから。だからあーしが言う。
 かしこまり?」

びし、と人差し指を突き付けて捲し立てる。

「……んじゃ、あーしはコレで失礼します。
 休憩、イィ感じに気ぃ紛れて有難かったっす」

貴方からの伝言を胸に秘めてこの場を立ち去ろう。
『もしものこと』があった場合、かつ言伝の対象が
落第街に留まった場合の接触手段も考えながら。

ご案内:「常世渋谷 黒街(ブラック・ストリート)」から黛 薫さんが去りました。
>  
ああ、今日はいい日だった。
あんな少女にも出会えるとは思っても見なかった
最近はいいことが多くて先が不安になる
それでも、もしものことがないよう 祈っていよう

あの全盛がにじみ出ている少女にもしものことがなければいい 
キャラでもないことを思考し微かに笑う

「ありがとうございます」

優しい忠告、それを耳にしながら缶の中身を飲み干しボックスへと捨てよう
そうして、今日の幸運に感謝しながら立ち去った相手の背中を見送り
バッグを手に取り踵を返し人混みに紛れていく

ご案内:「常世渋谷 黒街(ブラック・ストリート)」からさんが去りました。