2021/12/30 のログ
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」にノアさんが現れました。
ノア > 「こっちの方にはあんま影響ねぇか」

安堵ともため息とも取れぬ声が漏れる。
思い返すのは違反部活群で見つかった血の海。
今更落第街で一つや二つの死体が上がったところで騒ぎ立てる程でも無いが、
此処の所静かな日が多かったせいも相まってどこか引っ掛かる物があった。

死んだ連中も落第街にふらっと立ち入った程度の子供たち。
触れて見えたのは、紅く血のように煌めく大鎌が振るわれる姿。

いつもの現場と違い、分かるのは最後の情景の断片だけ。
実行者の感情の揺れが、読み取れない。
怪盗の恐れを伴う見せつけるような残虐さや八ツ墓千獄の刀剣の類への恋慕にも似た強い感情を伴った傷害のように
自分の都合でコロシを行う際に見られる、ソレが見えづらい。

交通事故にでもあったような"運悪く死んだ"という結果を、
何者かがもたらしただけと言わんばかり。
自然現象の具現化した怪異の類か?

ノア > 「それか仕事でやってるってとこか」

無感情に、無感動に。
そうなると快楽殺人の類とは異なり、理性的なのが猶更厄介なところか。
だが、気にかかる点があるとすれば被害者を探ったとて、
御大層な専門家の手で刈り取られる程のつながりが見えない事。

ただ――

「知らねぇ所で表に何か出てきてるって線は、今んところ無さそうか」

クリスマスから年の瀬に向かう、未だ変わらぬ催事の賑わい。
落第街の奥まったところからわざわざ出てきてみたが、直接関係のあるような物は見当たらず仕舞い。

ノア >  
クリスマスシーズンに乗っかり飾り立てられたイルミネーションは
その日を過ぎても未だ健在で。
眩しい街並みは裏で散った命の陰すら見せずに輝いていた。

「……幸せそうな奴らばっかだな」

良い事だ、と。心底そう思う。
暗い人死にの話など、年老いてから向き合う程度で調度良い。

ノア > 眩しすぎると眼を背け。
通りの端、ビルの間に隠れるようにして煙草を一本口の端に咥える。
ポケットの中の手のひらサイズの箱も、随分と中身を減らして軽くなってきた。

「……ン?」

火を付けようとした所で制止を受ける。
風紀では無い様子の少女から、ホイッスルぴっぴ―。

「あー……路上喫煙禁止ね。
そうだな、うん。ごめんな?」

悪ぃ悪ぃと、お手上げしながら無造作に煙草をポケットに仕舞い。
手持無沙汰に唇を尖らせながら、光の降り注ぐ街を歩く。

見上げれば月。
細く弓のように空に浮かぶソレは、姿を隠した太陽の光を受けて白く輝いていた。

ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」からノアさんが去りました。