2022/08/10 のログ
アイノ > ゆっくりと息を吐いて、唇をぺろりと湿らせる。
鮮やかな金色の髪を風に預けながら、スケートボードへと全ての体重を乗せるように意識を向ける。
じっくり、その硬さを全て身体で感じるように意識を集中させ、スケートボードの輪郭を自分の中に意識で形作る。

………よし、捕らえた。

ぼんやりと薄青の光がスケートボードを覆う。
今日は割と調子がいい、この程度のアイテムならば、どこまででもぶっ飛ばせる気がする。


「………よ、っと。………それじゃあ、今日は何回転でっきる、かな、っとっ!!」

地面にボードを思い切りたたきつけるように踏みつけながら、同時にはね上げるように足を浮かせる。そのまま、念動力の力を思い切り解放すれば、物理的にあり得ない速度でスケートボードが斜め45度に飛びあがっていき。

その先端を手で掴んだまま、空中で少女が2回、3回、4回と回転する。
あり得ない特F難度。

アイノ > ………あ。

「うわ、っち、ちちちち、ちょぉぉぉっ……っ!!」

回転しすぎた。その回転を止められないまま、念動力Verの超電磁な錐もみ回転タックルとなって地面をちっ、ちっ、と擦って。

どっしゃぁああぁぁあんっ……! 激しい爆発音とともに雑誌のごみが思い切り散らばって。
ひらりひらりと舞い散るセンシティブな広告。


「………………あー、………着地失敗。残念ながら0点です。」

いってて、と呟きながら、雑誌のごみに埋まる少女。もちろん、自分の身体こそガードしているものの、痛いもんは痛い。

「……まーだ、コントロールイマイチかなぁ………」

とほほ、と肩を落とす。自称天才の本当の天才への道は遠い。

ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」からアイノさんが去りました。