2022/11/01 のログ
■アリシア >
「今日は良いことと悪いことがあったな」
「良いことは飛鷹せんぱいと出会えたこと」
「悪いことはこの衣装がひどく走りにくいことに気づいてしまったことだ」
裾を摘んだまま駆け抜ける。
後方からは巨人が足音を立てて近づいてくる。
奇妙な異界の鬼ごっこ。そして。
二人でバン、と祠に手をかけた瞬間。
風景は常世渋谷の路地に変わっていた。
「やれやれ」
「可愛い服装だと思ったのだが」
渋い顔でどこからか取り出した水を飲んだ。
疲労感。私の体に。疲労感。
「飛鷹せんぱい、あなたはその能力について詳しく知る必要があるように思う」
「金色の瞳には、必ず意味があるのだから」
手をひらひらと振って。
「感謝する。また会おう、せんぱい」
と言ってそのまま雑踏に紛れ込んでいった。
■飛鷹与一 > 「そうかな?アリシアさんに似合ってると思うけど。
…けど、確かにこういう状況では動き難いかもしれない…ね!」
途中、上空から奇襲を仕掛けてこようとした、蝙蝠を一回り大きくしたような怪異を拳銃で撃ち抜く。
地味に、走る勢いを殺さずに一発で眉間を撃ち抜いているという離れ業を垣間見せつつ。
ともあれ、地響きと重苦しい声を背後に、後はそのまま一気に祠へと向けてダッシュ。
少女と少年の手が祠へと触れれば、次の瞬間には慣れ親しんだ常世渋谷、その路地裏に転移していた。
「…いや、さっきも言ったけどアリシアさんには似合ってるよ、それ。戦いの場には少し不向きかもしれないけど。」
怪異狩りの時は、動き易い服装にするのもいいんじゃないかな?と、一応提案などしてみるがそこは彼女の自由だ。
それより、この子は何処から水を取り出したんだろう?と、思いつつ。
「…いや、まぁ俺も気にはなってるけど…そうだね、時間がある時に色々調べてみるよ。」
死神の力は兎も角、黄金瞳の力はまだ己の意思である程度制御出来るのもあるし。
手を振って別れの挨拶をする彼女に、こちらも軽く手を挙げて見送る。
「ああ、気をつけて。それとありがとうアリシアさん!」
そして、雑踏に紛れて消えていくその姿を見送れば、ふと時刻を確認。作戦開始時刻は…やばい、もう始まってる!
「くっそ、連絡して事情を話せば少しは大目に見てくれるかな…!!」
無線機を取り出しつつ、少年も路地裏を抜けて作戦の為にその場から立ち去るだろう。
――これが、空想の獣と魔弾の射手のファースト・コンタクトの一幕であった。
ご案内:「裏常世渋谷」から飛鷹与一さんが去りました。
ご案内:「裏常世渋谷」からアリシアさんが去りました。