2022/11/04 のログ
ご案内:「常世渋谷 黒街(ブラック・ストリート)」に追影切人さんが現れました。
追影切人 > まだ昼間を幾ばくか過ぎようとしている時間帯。
それでも、この辺りの何処か荒んだ混沌とした空気は相変わらずで。
まぁ、落第街やスラムに比べればこれでも”健全”な方ではあろうが…
ここから、あっちに転落していく者は相変わらず一定数以上はいるらしい。

(…ま、そりゃどうでもいいんだが……つーか、どの辺りだったか。)

少々うろ覚えの頼りない記憶はさて置き、足取りの方は迷い無く路地裏の一つへと向かう。
この辺りは少々入り組んだ一角であり、迷い込むと土地勘やナビが無ければまず抜けるのは一苦労。

「……”質より数”…って訳でもねぇが。」

やがて、ぽつんと開けた空間に出る。ここは違法なあれこれが取引されている小さな闇市だ。
自分が”あっち側”で暴れていた時から存在しているのでそれなりに古いというべきか。

「……んで、どの辺り――…あぁ、探すまでも無かったわな。」

ぐるりと隻眼で見渡す――までもなく、”それ”が目に留まれば真っ直ぐにその露店へと向かう。
そこに置いてあるのは、西洋から東洋、果ては一部異世界の物まで混じった『刀剣』の店だ。

「よぉ、邪魔するぜ………あ~~…。」

取り敢えず、ザッと品定め…とはいっても、男は刀剣鑑定に優れている訳でもなく。
単純に直感で選ぶ事が多い為、刃物を扱う癖にその知識などはえらく雑だ。

追影切人 > (…剣は何か肌に合わねぇし、斬った感じがどうにも薄いから、やっぱ刀と…次点でナイフか短刀か)

あくまで男の所感だが、矢張り『叩き斬る』より『斬り裂く』方が”テンションが上がる”。
それなりに古い刀剣もあれば、最近作刀されたと思しき物もあり統一性は皆無だ。

ぶっちゃけ、業物もあるのかもしれないがそんな物がこの馬鹿に分かる訳も無い。
そもそも、特殊な力を秘めた刀剣は兎も角、通常の刀剣は例外無く男は圧し折ってしまう。
馬鹿力、とかではなく使い方が”荒すぎて”刀身の方が先に砕けてしまうのだ。

「……親父、取り敢えずそこに並べてある刀を10本と、短刀5本、あとナイフ7本を一括でくれ。」

無造作、とも呼べる仕草で纏め買いを敢行する男。金?現ナマならこの通り。
懐から無造作に札束を取り出す。普段、生活費や煙草代以外使わないのでこういう時に使うまで。
露店の親父が流石に訝しげな視線を向けるが、そちらに札束を放り投げて本物か確認して貰う。

「……取り敢えず、確認済んだら纏めて持ち帰るんで何か包むモンくれや。」

その間、懐から取り出した煙草の箱から1本煙草を抜き出して口に咥える。
のんびりジッポライターで点火すれば、紫煙を燻らせつつダラダラと待つ姿勢。

追影切人 > 一服が終わるかどうかといった所で確認は済んだらしい。
流石に量が量なので、適当に風呂敷っぽいもので纏めて一気に包んで貰う。
それを、無造作に肩に引っ掛けるように背負いつつ店主に軽く礼を言って離れる。

『待った、釣りは?』 「いらねぇよんなモン、いいからとっとけ」

と、そんなアバウトに過ぎる返答を返しつつ、路地裏へとまた戻る。一度、風呂敷包みを担ぎ直して。

「…これで22本。一振りで1本圧し折ると仮定して22回分か…心許ねぇが。」

まぁ、もしかしたらこの中に頑丈な奴も混じっているかもしれないし、そこはそれ。
どのみち、やる事は今も昔も、誰が相手であろうと変わらない。勝ち負けすら無い。

「――斬り甲斐がありゃそれでいいんだよ。」

自分がくたばろうと、最後に斬れればそれでいい。
そのまま、路地裏を抜けて通りに出れば…流石に目立つのか奇異な視線を向けられる。

無論、そんな視線を意に介する男ではなく、一先ずの頭数は揃えたのでそのまま帰路へと就くが。

「…流石に嵩張るな…何か持ち運びとかに使える道具か何かあったっけか?」

そっち方面は完全にツテが無いんだが。ともあれ、買う物は買ったのでもうここに用は無い。
短くなって来た煙草の吸殻は指先を負ってバラバラにしつつ風に流して。

散り散りになる吸殻の破片を背に、巨大な風呂敷を担いだ男は黒街を後にする。

ご案内:「常世渋谷 黒街(ブラック・ストリート)」から追影切人さんが去りました。