2022/11/22 のログ
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」にクロロさんが現れました。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」にセレネさんが現れました。
クロロ >  
歓楽街も顔負けの眠らない街常世渋谷。
忠犬ロク公像の前で男は静かに人を待つ。
あの日以来妙に頭が冴えわたる感覚がする。
記憶の一部が、欠けていた部分が戻ったおかげなのだろうか。
といっても大概まだまだ忘れている事も多いからスッキリしているとはいい難い。

代わりに、ほんの少し体は便利になった。
炎の体はある程度自在に人間の体に変化する事ができるようになった。
とは言え、味覚や細部を再現できているわけではないが
ある意味好都合と言えば好都合だ。
人間社会に紛れて暮らすには自由に慣れたほうが丁度よい。

そういうわけで、初めてと言っていいだろう。
拘束具代わりでもあった迷彩服を脱ぎ、もらっていた服を着込んだのは。
真っ黒なサングラスに分厚いライダージャケット。場所が場所なのでまぁ"それっぽい"。

「……思ッたより重……」

材質と分厚いせいだろうか。
人間はオシャレのためにこういう不自由をするらしい。
よくわからんな、と思いつつジーンズのポケットに手を突っ込みながらぼーっと時計を眺めていた。

セレネ > 待ち合わせの時刻より少し早い時間。
月色を靡かせ、人通りの多い街中を歩いて待ち合わせているヒトの姿を蒼が探す。
背が高く、体格も良い、黄緑髪。
――難儀する事なくその姿を捉えた。

いつものカモフラのジャケットではなく、違う服装。
その姿を見た途端、どうしようもなく嬉しい気持ちが込み上げてくる。
ふわり。香るローズの香りは、そよ風に乗って彼の元にも届く筈だ。

「お待たせしました、クロロ。」

ヒールを鳴らし、しっかり舗装された固い地面を歩いては
微笑みながら近付いていく。

「――うん、やはり貴方に似合っておりますね。
カッコいいですよ。
着心地は如何でしょう?着慣れませんか?」

ふわふわと浮かぶ心は、彼とデートが出来る事が嬉しいだけではない。
至極上機嫌なのは、誰から見ても明白だろう。

クロロ >  
「おう」

声をかけられた。もう随分と聞き慣れた声と香りだ。
黄色の双眸がチラリを見下ろすと随分と小洒落た格好をしている。
サングラスを掛けてきたはいいが、ネオンライトの光があっても見づらい。
ちょっと失敗だったか。顔をしかめてサングラスを上げた。

「そうか?あンまり気にしてねェが、人間ッてのは
 わざわざ見た目に気ィ使うために重てェ服も着るンだな」

服装選びの時も思ったけど、機能美よりも見てくれを気にするらしい。
わざわざ苦労を背負ってまでするものなのか、イマイチ理解出来ない。
ハァ、とため息混じりに首を回せば結構どいつもコイツも派手な格好をしている。
若者の街、とは聞いたが成る程。あまり興味はなかったが、そういうものらしい。

「まァ、オメェが気に入ッてンならいいや。
 そーゆーオメェは何着ても似合うンだな」

「とりあえず歩こうぜ」

適当に歩いて、適当に帰る。
そんなノープランデートだ。
ホラ、と手を差し出しエスコート準備。

セレネ > 己の姿を認めた彼が、かけていたサングラスを上げる。
うん、服装も似合うがサングラスも案外悪くない。
これは良い発見をしたと内心感心しながら

「貴方に選んだライダースは、バイカー…
バイクに乗る人が主に着るジャケットですからね。
だから、普通の服より丈夫なのです。
服装は見た目だけではなく、身を守る為のものでもあるのですよ。」

尤も、材質はカウレザーではなくシープやカーフでも良かったか。
バイクにも乗らない彼だから、そこは失敗してしまったなと反省。

「場所や会う人によっても服装は選ばないと浮いてしまいますから。
折角のデートですもの。釣り合う衣服の方が良いのです。
ふふ、有難う御座います。」

何を着ても似合うなんて、彼以外に聞いたのはあのお口の宜しくない少女くらい。
似合う服を己なりにチョイスしているなんて、言っても信じてくれるだろうか。
差し出された大きな手を躊躇いなく繋げば、するりと細く白い指を絡ませて。

「エスコート宜しくお願いしますね?」

なんて悪戯っぽく微笑みながら蒼を見上げるのだ。

クロロ >  
するりと絡む彼女の指。
季節の外気に触れたせいかひんやりしている気もする。
なるべく力を入れないように、かと言って離さないように握り返し
そのまま彼女の歩調に合わせて歩き始める。
夜と言えど人混みがあるし、離れたら後が面倒だ。

「オレ様バイクいらねーからな。
 あンなモン跨るよりもテメェでとンだ方が速ェ」

「……ああいうのも見てくれの意味があンなら、とッた方が良いのか?」

その辺のバイクを乗るくらいなら魔術で十分だ。
魔術師が本質である以上はその辺りの効率は気にしがち。
ただ、彼女の言うことを逆説的に言うのであれば
バイクも一つの"ファッション"という考えも出来る。
きらびやかにライトが点灯する店を一瞥しながら、脳裏に浮かぶ自分の姿。
鉄の馬に跨がり、エンジンを吹かす自分の姿だ。

「…………」

ちょっと興味出てきた。
案外バカにならないのかも、ファッション。

「このご時世で浮くもクソもあンのか?
 釣り合う服ッつーのはわかるが、オレ様気にしねェぞ」

見た目よりも中身が大事だ。
彼女と付き合ううちに物わかりも良くなった感じはするが
当然クロロという人物の本質が変わるわけでもない。
フゥン、と何気なく相槌を打ちながら進んでいく。
何となく男女連れが周りに多いような。同じようなカップルなんだろうか。
意外と付かず離れずだし、くっつくことに意味はあるようだ。
そうこう思っていると、道すがらに移動式屋台車両が見える。
看板には『食べ歩きカフェ』と見えた。
妙に目の冴える珈琲の匂いが特徴的だ。

「ちと冷えるし、オメェ飲むか?」

モカとかミルクも売ってるし女性人気はまぁまぁあるらしい。

セレネ > 己の手は冷え性なのもあって冷たいだろう。
代わりに彼の手は温かく、痛くないようにしっかりと握り返してくれる。
ただそれだけ。たったそれだけなのに、こうも胸が高鳴ってしまう。
恋するヒトが。愛する彼が。傍に居て、触れてくれるだけでどうしてこんなにも愛おしい。

「私の父はバイク乗りでしたが、ドライブするのも楽しいって言ってましたよ。
――バイク、貴方ならお似合いだと思いますが。」

勿論、免許が必要になるし諸々金もかかるだろう。
勧めてはみるものの、どうするかは彼次第。
興味があるなら後押しはするが。

「貴方は気にしなくとも周囲はそうはいかないのですよ。
私、なるべくなら目立ちたくないので。」

言いながら彼の腕を抱くように引き寄せ、二人して歩く。
冷えてきた気温も、彼の隣なら暖かだ。
満足そうに蒼を細めては、何か飲むかと聞かれ其方に視線を向けた。
香るのは、芳しい珈琲の香り。

「…貴方も飲むなら。」

味は分からなくとも、せめて香りくらいは堪能してほしい。
普段紅茶しか飲まない己は、あまり嗅ぎ慣れないもの。

クロロ >  
「……そンなにかよ?
 あンまし興味ねーけど、そこまで言うならちと触ッてみッか」

人間の娯楽というのとはかけ離れた場所にいた。
ただ、料理をした時もそうだが手間を楽しむのが趣味という理解はある。
そういう意味では、移動手段ではなくあれで風を切るのに意味があるかもしれない。
確かバイクというものは、人を後ろに乗せることも出来るらしい。
常世学園の行動を風を切り、彼女を背中に乗せる。

「……確かに言うほど、悪かねェな……」

自身の顎を撫でて、軽く頷いた。
こういう目標を一つ持っておくのは良いかもしれない。

「そーゆーモンかよ」

よくわからねェな、と独り言ちたが次の言葉に眉を顰める。

「オレ様は飲まねェよ。多少自由に変化できるッても、相性悪ィンだ」

たしかに少量くらいなら戻っても"消火"とはいかないが
味や匂い云々よりも苦手意識めいたものが強い。
近しい感覚で言えば、"生理的に受け付けない"というのに近い。
いくら香りが良かろうと少し勘弁だ。
それに、自分が飲みたくて言ったわけじゃない。

そのまま足を止めれば、顎でメニューを指した。
カフェでありそうなメニューは一通り揃っている。

「それにお前が風邪引くだろーが。
 オレ様はオメェが飲み食いしてるの見てるだけでも楽しーンだよ」

「つーか、奢らせろや」

そういうものだって聞いたぞ、デートって。
日々ちゃんと勉強はしてるつもりだ。

セレネ > 「何事もやってみなければ分からない事もあるものではないですか。
色々経験して、自分の糧とするのは良い事ですよ。」

ほんの少しでも興味を抱いて、やってみようと思うのなら。そして行動してくれるなら。
決してそれは無駄にはならないと思う。
それにバイクなら、一緒に乗る事も出来るし、
デートの幅も広がるだろう。

「少し興味が湧いてくれました?」

悪くないと彼が思ってくれるなら、それはとても良い事だと。
覗き込むように見上げて少し首を傾げてみせた。

「……成程。それは、失礼しました。」

飲み物も確かに火を消す効果はあるのか。
少し考え込むと謝罪をして、足を止めた彼と共に己も足を止める。
蒼が映すのは、顎で示されたメニュー。

「貴方が居るなら風邪を引く事もなさそうですけれど。
――少しでも、私と居て楽しいと思って下さっているのはとても嬉しいです。
けれど、男性が女性に奢る事だけがデートではないのは覚えておいて下さいな。」

奢ってくれるのが嫌な訳ではない。
折角の好意だ、此方が素直に甘えるのが筋だろう。
それに、色々と知ろうとしてくれて、彼なりに努力してくれているのはとても嬉しい。
それは本当に、本当に嬉しい。
しかしそれが、仮に負担になるようなら少なくとも己には喜ばしくない。
それだけが、少しの不安。

クロロ >  
「そーだな。正直お前と色々やりたい事が出来たからな。
 今のうちに色々出来るようにしてみてー所はあるな」

思い出作りって言うとちょっとむず痒いが
相手が喜ぶのであるなら一考の余地はある。
それに、せっかくやれるならやって見る気も出来た。
……ちょうどいい機会なのかもしれない。

こうして彼女と色々出来るようにするためにも
こういった表側と言うべきか、日常的なものに慣れておく。
人間"らしさ"とでも言うのだろうか。ちょうどいい機会なのかもしれない。
そう思うと何となく口元が緩んだ。なんだ、思ったよりも人間に未練があるらしい。
と、我ながら胸中で呟かずにはいられない。

「そーゆーモンか?よくわかンねェけど、別にオレ様金に困ッてねェしな。
 で、お前どーすンだ。どれ飲むンだよ。なンでもいーぜ、ゆッくり決めな」

どうせ時間は幾らでもある。
金の方も合法的かはともかく稼ぎはある。
とにかく金のかからない体なもので、人間が必要とする
食費だとか掛からない。燃えれば何でも燃料。学費?二級学生だしまぁそこはご愛嬌。

ずぃ、と横でメニュー表を見ながら視線を滑らせた。
写真つきのコーヒーや軽食。カフェにあるものは本当に一通りある。
女性狙いをしているのか、フラペチーノだのなんだの
やたら甘味が多い印象ではあるが、人間はこういうのが好きなのか。
ちょっとだけ首が自然と傾いた。

クロロ > 【一時中断】
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」からクロロさんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」からセレネさんが去りました。