2022/11/25 のログ
■クロロ >
「お、そうか。太らねェッて考えりゃ確かにイイ事だな!」
決して神経を逆なでしている訳では無い納得。
純度100%バカ丸出しの発言だった。デリカシーはさっき飲み下したよ。
そのまま一旦本屋を出れば自身の首を撫でた。
「コレはオレ様の都合だからデートとは関係ねェ。
だから先に謝ッとくわ、すまン。余計な場所に連れてきちまッた」
「何を探してたッつーのは、アレだ。魔導書だよ。
なンとなくだけどあるンじゃねェかなッて思ッたンだよ」
「顔も名前も思い出せねェ、オレ様の仲間が綴ッた奴がよ」
この島には意図せずして様々な物が集まってくる。
結果として自分は別世界の"ナニカ"であり、記憶もほとんどまっさらだ。
だからなんとなく、もしかしたら、と思った。
そう言うアングラな場所に集まりそうな危険な魔導書。
深淵の知識に身を浸す魔術師だからこそ、集まりそうな場所を知っている。
今でもまだ、自分の記憶を諦めたつもりはない。
自分が何者かを知ることが、"自分自身でなくなる"としても。
それを止めるのはなんだか、"筋違い"な気がした。
古びた建物を振り返ればハァ、と落胆の溜息を吐いて金色の双眸を細めた。
「見事にハズレだッたけどな。ここただの呪い部屋だぜ」
全部みっちり呪いの魔導書だ。
そんな呪いを誰に売るのか、考えたくもない。
「とりあえず戻ろうぜ。まだデートは終わらせたつもりねーし
なンつッたかな…アリスと行ッたゲーセンがあンだよ。そこで遊ぼうぜ」
■セレネ > 「……。」
太るカロリーを考えればその通りではあるが、
あまりにデリカシーに欠けた言動に、繋いだ手に思いっきり力を込めた。
痛みを感じるかは兎も角として。
「――。」
此処に来た目的を話してくれた彼に、思わず表情が曇る。
自身で聞いた癖に、我儘ではあるのは自覚している。
彼は記憶を戻そうと努力しているのだ、と。
「……呪術の類も、個人的には気になりますけれどね。」
例えば離れた人物に不幸を齎す呪術。
例えば、対象を縛り付けて留まらせる呪術。
純粋な想いは、転ずれば呪いになり得る。
酷く気になるところではあれど、次に行くのであれば一人で来るべきだろう。
「――ゲーセン?」
口を潤しながら、彼の言葉に首を傾げてみせた。
成程、あの可愛らしい子と遊んだ事のある場らしい。
■クロロ >
「うおッ!?ンだよ!?急にどうした???」
ぎゅっ。握る手に力が籠もった。
痛がりこそしないが明らかに何か良くない感じをする。
何が不機嫌になったのか、その答えにはたどり着かなかった。
太らない事は悪いことではないのか。デリカシーを理解しない限り勝ち目はない。
不思議そうに視線が右往左往するが、果たして…。
「呪いなンて気にするモンじゃねェよ。
テメェの意思捻じ曲げてまで相手を呪ッたらただの外道だぜ」
転じて思いの強さを呪いと言うこともあるらしいが
それは歪んだ結果であり、それが呪いに転ずるものだとクロロは思う。
人が興味を持つには余りにもおぞましいものだ。
そうこうしている内に表の喧騒とネオンライトまで戻ってきた。
ここまで明るければ、呪いなんてものも吹き飛んでしまいそうだ。
「おう。デケェぬいぐるみとかあンだよ。とッとと行こうぜ。
テキトーに遊ンで、オメェの部屋まで帰るンだからよ」
今日は疲れるまで遊び呆けるコースだ。
たっぷりと時間を使うのが男女のデートだと言う。
だったら、こうして時間が許す限りいいだろう。
今日という日はまだ続く。夜はまだ長いのだから。
■セレネ > 「太らない貴方は良いですねーって、思っただけですー。」
尤も己の場合、困るのは胸囲や腰周りだ。
此処に来た当初から比べて大分育ってしまった器に、困る事も多々あるのはきっと彼には分かるまい。
…まぁ、大きい方が好みであれば、吝かではないけれど。
『――その外道に落ちてまで、隣に置きたいというのは罪なのかしら。』
呟いたのは別の言語。彼には分からないからこその、心の一片を吐き出した。
彼の意思を尊重したいという気持ち。
いつまでも隣に居て欲しいという気持ち。
矛盾しているのは自覚している。
己は人の子ではない。そして、自身が真っ直ぐ生きているとも思っていない。
いくら悍ましくとも、必要があればきっと求めるだろう。
暗い心を覆い隠しながら、彼と共に表通りへと戻っていく。
「あまり大きいぬいぐるみだと、置き場所に困るので程々でお願いしますね?」
そんな事を言いつつクスクスと小さく笑って、彼と共に楽しい時間を過ごすのだろう――。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」からクロロさんが去りました。
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