2020/08/02 のログ
■日月 輝 > 出来るだけ彼を視ないようにして放った目隠しを探す。
勢いよく投げてしまったか、中々見つからずに焦る最中に悠長な声がかかる。
「出るに決まってるでしょあんたバカ!?」
「とにかくじっとして、寝過ぎて永眠したって──はい?」
ああ違う先に救急車を呼ばなければいけない。
手が忙しく動いて、放り投げていたハンドバッグを掴む。
携帯を取り出して、連絡をしようとした直前で転がるペットボトルを見て指が止まる。
思考が追い付かず、数拍の時を経て納得する。
成程、銃殺されると解ってるなら防弾装備くらいする。
備えあれば憂い無しとは昔の人も良く言ったもので、街灯を見上げて納得する。
集っていた虫の悉くがあたしに視られて地面に落っこちて行った。
「あ、あった」
落ちる虫に釣られた視線が目隠しを見つける。
拾い上げて着け直して、さてと用意周到な探偵を見ると、
恐らく魔術的な言葉を唱えている所だった。彼、魔術使いでもあったのね。
「間を取ってデビル探偵とかってどうかしら」
見事な結末に後ろから呆れ声を放り、探偵名称の仕返しと共に彼の脇腹を小突く。
すると片膝をつかれてしまって
「げっ、ちょっと大丈夫なのかダメなのかはっきりしなさいよ!」
「ええと……さかせむそうね。うん憶えやすくて何よりだわ。だから確りしなさいよ」
「死ぬ前に名前を教えておこう。みたいになってるから!」
生温い夜にかしましい声。出るのも已む無しってやつよね?
■逆瀬 夢窓 >
「……さっきの言葉………」
「そういうことか……お前も、その眼が制御できていないんだな…」
とにかく医者に診せる必要はある。
だが、知り合いの医者が良い。大病院なんてゾッとする。
最後の煙草に火を点ける。
今度は上手く、濡らさずに点火できた。
ふぅ、と紫煙を吐き出して。
銃声でにわかに騒がしくなった周囲を見て肩を揺らして笑う。
とんだ茶番だ。何もかも台無しだ。だが、因果は足りた。
「それじゃ悪魔の探偵だろ……」
近くの壁に縋って立ち上がり。
「今からお前がするべきことを教える」
「声のボリュームを絞って、金を受け取って帰れ、そして寝ろ」
「夜は────夢を見るものだ」
月を見上げて吸う最後の一本は。
いつもより美味く感じた。
■日月 輝 > 彼──逆瀬夢窓は大丈夫そうだ。
立ち上がる足取りは確りとしている。理路整然と道に迷うようなものではない。
顔色は悪いままなのが勿体無いとも思うけれど。顔立ち、悪く無いのにそれこそ勿体無い話だわ。
でも、今の話じゃあないから、あたしの口からは出ない。
「……そういうこと。ま、あたしはさ?まだ簡単に制御できるから良い方だけどね」
今出るのは異能の話であるとか
「あら、ツッコミが出来るなら平気そうね──って何よ、水臭いわね」
「あたしは命の恩人でしょ。それに、あたしは日月輝。お日様の日にお月様の月でたちもり。それに輝くと書いてあきらと書くの」
「だ・か・ら。夜にあっても輝くのだから、悪夢だって平気でへっちゃらよ」
他愛の無い雑談。
月を見上げて恰好つける探偵さんに、あたしはそれはもう得意気にアピールだってしてみせるのでした。
■逆瀬 夢窓 >
「命の恩人……そうか………」
そうだったな。日月輝。あんたは俺の。
「ありがとう、と言うべき場面だな」
そう言って煙草を手に取ると、口の端を持ち上げて笑った。
■逆瀬 夢窓 >
報告。
底下通り悪魔憑き事件において。
特筆するべき因果を持つ存在と邂逅。
名を日月輝。
以下、調べられる範囲のデータを別に添付した。
異相常世渋谷合同探偵組合の判断次第で、今後もコンタクトを継続する。
本件にて悪魔に恨まれていることが判明。
一層の警戒を続けることとする。
日月輝は特異点か。
それを知る術は、今はまだない。
■逆瀬 夢窓 > 以上で底下通り悪魔憑き事件(あるいは、夢は破れて)の報告を終える。
ご案内:「常世渋谷 底下通り」から日月 輝さんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 底下通り」から逆瀬 夢窓さんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 底下通り」に日月 輝さんが現れました。
ご案内:「常世渋谷 底下通り」から日月 輝さんが去りました。