2020/09/27 のログ
ご案内:「裏常世渋谷」に真乃 真さんが現れました。
真乃 真 > 黒煙を噴き上げて走る一台の機械。
《大演算機関》がもたらしたと言われる《時代の再反復》が残した技術の遺産。
あり得なかった蒸気文明を再現した鋼鉄の騎馬。

その名も『試作C71型-4567番X』

無限に材料を生み出す異能者と無限の設計を産みだす設計者、二人組によって産みだされた失敗作の一つ。
『機関』による優れた加速性能と最高速度、独特な機構による従来の二輪車ではありえざる動き、更に組み込まれた変形機構。

これが失敗であるのは唯一つ、たった一つの致命傷

ブレーキがあまりにも効かない。
走り始めたこの騎馬は何かにぶつかる、もしくは自然に停止するまで止まらない。
その欠点があるが故にこの常世島ですら公道を走る事が許されない物体。

だが、今それが走っている。
黒煙を上げて、その車体に走るいくつもの金属管を煌めかせて──。

線路の脇を走っている。


それを駆るのはスーツの男。
カッコを付けたヘルメットにゴーグルをつけた男である。

真乃 真 > 「──どうやら来たようだね。」

音が近づいてくる。
電車の音が近づいてくる。

……その音に合わせてカメラを構える。

コンパクトなデジタルカメラ。

今回の真乃の目的は『朧車』を写真に収める事。
──そして、可能ならば討伐する事。

真乃の力で真っ向から勝つことは難しい、だがこちらには秘策がある!!
だが、それはあくまで可能そうならの話、とりあえず今は写真を撮るのが優先だ!

真乃 真 > 『グオゥーーーーーーー!!!!!』

怨嗟の声ともただの叫びともつかない轟音を上げながらすぐ横のレールを朧車が過ぎていく。
横を通るその瞬間に連射、連射、連射。
デジカメの連続撮影機能がフラッシュと共に朧車の姿を写す!!

「やったか!?」

異能を活用して一度バイクを止めるとカメラのビューで撮れた写真を確認すれば…。

「くっ!ブレている!!!」

ブレている。そう、あまりにも速度の差がありすぎる。
こいつを上手く撮るためには同じ速度で並走する必要がある!

真乃 真 > 碩学が考え出したこの機関、排煙と蒸気に包まれた倫敦で怪異から逃れるために作られた機械の技術。
──それが今、怪異を追うために使われている。

まるでダイヤを守っているかのように一定の速度で走るその『朧車』に近づくのは容易い。
怪異と化したその車両、一部はもともとの電車の形をそのまま残していて……。

その中を覗き込めば中には数名の人の姿が見える!
恐らく、巻き込まれたのだろう…可哀そうに。

「なんていうことだ…!さてはこれ写真撮ってる場合じゃあないな!!
 大丈夫かい?そこの人たち?怪我はない!?」

電車にバイクで並走しながら話しかけてくるスーツの男。
平時であればまず見ないふりをする光景だろうが……。

真乃 真 > 窓を開く……いや、既に窓は開かない。
ならば、強硬手段を取るしかない。

このバイクに乗せていた武器。
風紀委員であった時使っていた武器。
最後まで人に向けて使わなくても済んだ武器。

それを……

パリーン。

真がその武器を取り出す前に窓が割れる、乗客の誰かが割ったのだろう……。
問題ない…全然問題ない!!

割れた窓から中へと飛び込む!

「さあ!僕がここに来たからにはもう安心だ!!救命ボートに乗った気分でいるがいいさ!」

無駄にカッコいいポーズで伝えれば数名の乗客たちは笑い始める。

『■■■■■■■■■■■■■!!』

崩れて、歪んで、それでも笑う。
怪異の中にも怪異が潜んでいるだなんて……。

「……さては、これは絶対絶命のピンチというやつだな!!」

ピンチ、いわゆる大ピンチ。

真乃 真 > 「何も考えずに挑むからこんな事になるんじゃあないのかい!?」

自らに言うように叫んで。
うごめいている乗客だった黒い影から距離を取る。

この狭い電車の中でどれだけの距離が取れるというのか?

いや、違う。

逆だ、逆なのだ今はピンチではない。
……これはチャンスだ。

手にはカメラ……。

内装を撮る!撮る!撮る!!!
フラッシュを焚きながら連写する!!!

「せめて、僕の目的だけでも果たさせてもらう!!!!」

真乃 真 > フラッシュの光に怪異達が怯む!!!!
その隙に!!割れた窓から再び外へと飛び出す!!

真乃真の異能があってこそできる事。
普通の人間であれば走行中の電車の中から飛び出せば死んでしまうのだから!

無駄にスタイリッシュな着地を決めれば走り去る朧車の後姿をカメラにおさめて。

「……僕にはやれんな!」

電車、やはり電車の圧倒的なスピードとパワー。
今回の相手はかなりおとなしいタイプであったが……。

「……後は今の風紀委員たちに任せよう!
 お手並み拝見といこうか!!」

結局何もしてないのにそんな言葉を言い残して……去ろうとする。

「……ここ、どうやって出ればいいんだ?」

ご案内:「裏常世渋谷」から真乃 真さんが去りました。
ご案内:「裏常世渋谷」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
怪異『朧車』の討伐命令。
新設された部隊に早速下されたのは、思いがけない程ヒロイックな任務であった。
しかし、場所は未だ調査の進まぬ裏常世渋谷。
かくいう己も、訪れた事は無かった。
上司でもある神宮司から預かった"裏常世渋谷に入る為の道具"とやらを所持した儘、半信半疑の儘夕暮れから宵闇へと移り変わる常世渋谷へと足を踏み入れたが――


「……成程、此処がかの裏常世渋谷、とやらか。
随分と分かりやすい。まるでテレビアニメの世界観だな」

鮮やかな街の灯りも。華やかな電飾も。
その全てが失われ、眼前に広がるのは唯只管の『黒い街』
ビルも看板も道路も空も。
その全てが"黒い"。
それでも、視界はきちんと通っている。
"黒い空間"である事を、きちんと認識出来ている。

不可思議なものだ、と周囲を見渡しながら異能を発動。
湧き出る様に大地から現れる多脚の異形。
――その見慣れた姿に、僅かに安堵の溜息を漏らしたのは。
先日己が生み出した奇々怪々な異形を、思い出したからだろうか。

「……兎も角、祭祀局の情報によれば少なくとも物理的な攻撃は通る、との事だが。
先ずは肝心の怪異と遭遇せねば、話は始まらぬな…」

てくてくと。
真っ黒な空間を、異形達を引き連れて闊歩する。
巨大な砲身を背中に生やし、八本の脚で行進する金属の異形。
それを引き連れるのは、小柄な少年。
……これでは、何方が怪異か分からないなと、ちょっぴり苦笑い。

神代理央 >  
黒い街に響く重量感のある足音。
アスファルトを踏み砕きながら街を進むが、今のところ怪異が現れる予兆は無い。

「…そういえば、久那土会、とか言ったか。
神宮司も、随分と色々な場所にコネがあるというか。
伝手があるというか…」

裏常世渋谷に訪れる為の道具の仕入れ先。
その組織の名を思い浮かべながら、こんな所に立ち入るとは物好きなとも思わなくもない。
確かに、興味が引かれる場所ではあるのだが――


と、そんな思考を走らせていると。
遠くから、音が、聞こえる。

「………サイレン…いや、違うな。
これは……踏切…?」

はて、と周囲に視線を向ければその音源は一目で視認出来るだろう。
本来は乗用車が在るべきメインストリートに、ポツンと浮かび上がる踏切。
そして、踏切の先。濃い霧に包まれた空間から現れるのは――

ご案内:「裏常世渋谷」に宇津篠 照さんが現れました。
『朧車・阿号』 >  
『線路』を生み出しながら、偽りの街を疾走する。
金属の躰も、今は軽い。
忌々しい人間共に囚われていた此の躰も、自由に大地を疾走する事が出来る。
全てを薙ぎ払い、全てを踏み潰し、生み出す線路の赴く儘に、ワタシは大地を駆ける事が出来る――!

此の空間で力を蓄え、何れは『外』の世界も全て轢殺してやる。
この力があれば、ニンゲンなど容易く引き裂ける。

遠くにぼんやりと踏切が見える。
ワタシの"敵"が、近くにいる証――!


かくて、怪異『朧車』は目に付いた生命体へと迫っていく。
知性はあるが、理性は無い。
目に映るモノ全てを轢殺する為に、金切り声の様な警笛と共に、その巨体が疾走する――!

宇津篠 照 > 「! 今の音……情報にあった怪異? 兎に角見に行ってみましょうか。」

鳴り響く警笛のした方向、手ごろなビルの屋上へと転移してあたりを見渡す。
……いた。それ自身の作り出す線路の上を走る戦闘に顔の付いた列車だ。
その先を見れば異形に囲まれた人影。照魔眼鏡と異能のおかげでそれなりに見える。

さて、なんでもアレのようなものがそれなりに発生しているらしい。
活動する以上どこかで出会うこともあるだろうし共闘でも持ち掛けてみようか。
そう思い離れた場所ではあるが彼の視界内へと転移をする。

神代理央 >  
踏切の先から迫りくる怪異。
通称『朧車』。電車の先頭車両に巨大な顔が生えた化け物。
とはいえ、祭祀局の報告書を読む限りでは――

「……さて、一つ派手に暴れて……?」

異形への攻撃命令を出そうとした瞬間。
己の視界内に突然現れる少女。
怪異の仲間か、とも思ったが――取り敢えず、電車では無さそうだ。
先ずは声だけかけてみようか。迷い込んできたのなら、保護せねばなるまいし。

「…其処の君。今から此処は風紀委員会の作戦区域だ。
危険だから、避難……は、今更出来ないだろうな。
せめて、私の後ろにでも隠れていたまえ。なるべく耳は塞いでな」

怪異なら攻撃すれば良し。
怪異じゃ無ければ保護すれば良し。
そんな単純な思考の元、現れた少女に声をかけるだろう。

宇津篠 照 > (うげ……風紀委員!? …………大丈夫バレなきゃ問題ないわ。)

近付いたら姿はよく見える。……風紀委員の制服と腕章。正直あまり会いたいものではなかった。
一瞬動きが固まるが、すぐに気を取り直して声掛けに答える。

「はっはい! お気遣いありがとうございます。
……援護させてもらっても大丈夫ですか? これでも久那土会に登録してそれなりに潜ってはいるので。」

ここで返事をするならこんな感じが自然だろうか……?
長々と異能を説明する時間もなさそうなので、とにかく援護が邪魔にならないかだけ問いかける。

神代理央 >  
「ほう…久那土会の。であれば、此の場所の事にも詳しかろう。
援護は是非にお願いしたいな。何せ、地の利の無い戦いだ」

彼女の言葉に、興味深そうに片眉を上げる。
とはいえ、深くは追及する事も、言葉を続ける事も無い。
彼女が思った通り、迫りくる怪異を前に余り時間は無いのだから――

「……まあ、先ずは初激の結果から、だな。
しっかりと耳を塞いでおけよ。私の異能は少々――『五月蠅い』からな?」

クスリ、と笑みを浮かべると――静かに片手を振る。
その瞬間響き渡るのは。


周囲の空気を震わせる程の、轟音。
大気を震わせ、空気を焼き、大質量の砲弾が。
数多無数に、此方へ疾走する怪異へと放たれる。

『朧車・阿号』 >  
得物の周囲を蠢いている良く分からないナニカ。
ワタシの同族の様にも見えるが…まあ、今は関係無いだろう。
ニンゲンも一人増えた。轢き殺す肉が増えたのは歓迎だ――

其処までは覚えている。
だが、その思考を終えた瞬間、轟音と共にニンゲンを囲むモノからナニカが放たれる。
回避する間も無い。天空から降り注いだ連中の攻撃は、ワタシの躰を吹き飛ばし、砕き、引き裂き、爆炎で焦がす。

「ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

苦悶の声が、ワタシの口から零れる。
おかしい。ワタシの顔は、得物を噛み砕く為に存在する筈だ。
こんな苦悶の声を上げる為に、生まれたものではない――!



砲火の雨に晒された朧車は、その車体を破壊されながら『脱線』する。
自らが生み出した線路から外れ、その巨体は苦悶の悲鳴と共に軌道を逸れてビルに激突する。

――しかしそれでも。怪異はまだ生きている。動いている。
生にしがみ付き、己の為すべき事を果たす為に、半分吹き飛んだ天井に半ば強引に機銃を生やして。

「死ネ!ニンゲン!」

狙いなど定まってすらいないが。
己の躰を粉々に粉砕したニンゲンたちに、銃弾を放つだろう。

宇津篠 照 > 耳を塞げと言われて咄嗟に両手で耳を覆う。
手が振られると空気が震えた。耳をふさいでもそれなりの音量。

最初に見た時、なぜ気付かなかったのだろう。私はその名前を一方的に知っている。

「……これが、鉄火の支配者。」

未だ鳴りやまぬ轟音にかき消される様な声量でぽつりとつぶやく。
……そりゃまあたった一人の人物の噂がここまで広がるわけだ。

悲鳴が響くと共に大きな音がする。どうやらビルにぶつかったようだ。
あまりにも斉射の威力が高かったこともあり、終わったかなと彼の方へと近寄る。

「……っ! 伏せて!」

怪異が叫ぶとともに乱雑に銃弾がばらまかれる。
狙いが付けられていなくても、数を打てばただの人間にとっては脅威になり得るだろう。
辺りに散らばる瓦礫の中から、転移が間に合いそうなものを彼の目の前へと転移させる。
恐らく高さは足りないので伏せての声も合わせて。
少しの間を挟めば、カンカンカンと銃弾が瓦礫に当たる音が聞こえるだろう。

神代理央 >  
「…おや。私の事を知っていたのか。如何にも、私が神代理央。『鉄火の支配者』など、所詮は通り名の様なものに過ぎんよ」

異形の砲撃は、己の鼓膜には影響を及ぼさない。
それ故に、戦場に零れ落ちた涼やかな声を聞き逃す事は無かった。
彼女の呟きに視線を向けると、矜持と傲慢さを含ませた笑みで彼女に言葉を返すだろうか。
…尤も。彼女にその声が聞こえたかどうかは、定かではないが。
 

さて。車体を変化させ、武装を"生やせる"という祭祀局の話は聞いていたが――成程。
ああいう風に攻撃してくるのか、と暢気に構えていれば悲鳴の様に上がる少女の叫び声。
その声に焦ったのは、怪異の攻撃にではなく寧ろ――

「……っ!馬鹿者!私に近付くな、まだ怪異は…!」

言い終わる前に、銃弾の雨が二人を襲う。
大楯の異形を展開すれば"己は"助かるが、彼女迄庇いきれる自信が無い。
やむを得ないかと、彼女を庇う様な位置に大楯の異形を召喚した矢先。

「………成程、転移能力か!其の侭、壁を増やしていろ!
所詮は死にかけの怪異の悪あがきだ。直ぐにカタをつける!」

怪異の銃撃に負けぬ様、大声を張り上げながら。
再度、異形の群れに思念で命令を飛ばし、轟音と共に第二射が放たれる。
その間にも、両腕が巨大な大楯となった異形が湧き出る様に彼女の眼前に現れれば、降り注ぐ銃弾と瓦礫の雨から彼女を守ろうと盾を構えるだろう。