2020/10/08 のログ
ご案内:「裏常世渋谷」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
怪異『朧車』の討伐任務。
今宵も、常世渋谷の街を模した異空間に、破壊を撒き散らす列車が縦横無尽に駆け回る。
駆け回って――いた。

「………任務完了、か。昨日の違反組織よりは、戦い甲斐のある相手であったな」

仮初のビル群は砲火に崩れ落ち、灰色の世界は業火で紅く染まっている。
蠢く金属製の異形の醜さたるや、朧車と大差はない。

半壊し、無数の砲弾によって引き裂かれた朧車『イ号』の残骸を眺めながら。
煤と埃に塗れた少年は、小さく溜息を吐き出した。

朧車にトドメを刺した、魔力の砲身を背から生やした多脚の異形。
仄暗い異界の神々の魔力の残滓を宿したソレは、こと怪異退治において凄まじい威力を誇っていた。
しかし――

「……此の空間に足繁く訪れるのは、堪えるな。
此の魔力も強力ではある、のだが――」

精神を蝕む異界。精神を削る魔力。
此処最近の出来事が己の心を蝕んでいる事もあり、裏常世渋谷での戦闘後はどうにも気分が宜しくない。
懐から取り出した煙草に、僅かに震える手で握り締めたライターで火を付ける。
甘ったるい紫煙も、今は己の心に安らぎを与えない。

ご案内:「裏常世渋谷」に貴家 星さんが現れました。