2020/10/31 のログ
■神代理央 >
どちらにせよ、戦闘を長引かせて良い事も無い。
些か過剰な火力ではあるが、どうせ此処は現実世界に影響のない異世界。
ならば、派手に壊してしまっても――構わないだろう。
「……こいつを使うのも久し振りやも知れぬな。周囲への被害を考慮すると、中々使えぬ事だし」
一瞬、精神を集中して異能を発動する。
刹那、天空に現れるのは鈍く輝く金属の真円。
無数の小型機を従僕として従える、機械仕掛けの偽月。
「……薙ぎ払え」
短く告げた言葉と共に、多脚の異形と真円の異形は、その持ち得る火力を一斉に掃射した。
榴弾が大地を抉り、機関砲が影を引き裂き、レーザーが影を貫く。
配色がバグを起こした様な裏常世渋谷は、烈火の焔一色に染まっていくだろうか。
「容赦する必要も無い。手加減する理由も無い。
全て、全て。全て焼き払え。思うが儘に、火力を投射せよ」
紫煙を吐き出しながら、愉快そうに嗤う。
迫りくる影たちは、みるみるうちにその数を減らしていく事だろう。
■神代理央 >
そうして、鉄火と閃光が異界の街を焼き尽くし、影の群れを殲滅する。
後に残ったのは、現実世界と大差無い、瓦礫と硝煙が燻る戦場の跡――
「……結局は、こうして誰しもを圧倒出来る力があればそれで良いのだろうな。
組織にも、権威にも頼らぬ力。私が、私である為の、力……」
瓦礫の中で、静かに呟く。
己の立つべき場所に迷う少年は、破壊の力を振るう事で一つの答えを見出そうとしていた。
それが、異界の浸食によるものなのか。それとも、少年の本心なのか。或いは、少年の心の奥底に潜む"何か"のものなのか。
今は己自身にも分からない。
唯、心を焦がす様な力への渇望があるだけ。
それが正しいかどうかも、分からぬ儘。
■神代理央 >
そうして、歪乍らに一つの答えの欠片を手に入れた少年は。
気付けば、元居た世界へと、帰還しているのだろう。
己が焼き尽くした"世界"の残照を、滲ませた儘――
ご案内:「裏常世渋谷」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「裏常世渋谷」に鋼の鳥さんが現れました。
■鋼の鳥 >
―――高度3000フィート、地上情報をスキャン中
『OK.怪異や変な反応があったら随時報告してちょーだい』
―――了解です。現状、南東6,400m先の地点で12の怪異反応を検知。
脅威レベルE-、下級怪異と推定。
『なら別に大丈夫だね。生命反応は?』
―――ありません。
『OK、放置でいいよ。引き続き周囲のデータ収集よろしく頼むよ』
―――了解です。
■鋼の鳥 >
裏常世渋谷の上空を、巨大な鳥のような何かが飛行する。
それは小さな鳥のように見えるが、地上から遥か上空に居る事を理解すればその大きさがかなり巨大なものであるという事はすぐに分かるだろう。
鳥はそのまま、街全体を見渡すように、空中を移動し続ける。
■鋼の鳥 >
―――やはり内部空間の変容は一定の法則が存在するようです。
『成程ね……解析で法則の割り出しは可能かい?』
―――いえ、データが不十分です。上空からのスキャンでは不可能と判断します。
『と、なるとやっぱ、地上と地下の探索も必要だなぁ
アールマティさぁ、残りの活動可能時間どのくらい?』
―――確認中。
……裏常世渋谷内の侵食濃度は現状想定範囲内。
この濃度であれば、残り約21600秒の活動が可能です。
『6時間ね。
んー、そうだな……シームルグをそのまま航空させつつスキャン続行させて、地上に降りて調査やれる?』
―――可能です。
ですが、汚染濃度が上昇した場合活動時間の低下が発生しますが。
『ま、大丈夫でしょ。
やばそうなのに出くわしたらすぐに退避するよーに』
―――了解しました。
ではこれより、対巨大怪異用兵装『AM-081 シームルグ』を自律軌道携帯へ移行。
高機動遊撃用兵装『AM-075 ウルフシャ』 により落第街地表部の調査を開始します。
■鋼の鳥 >
鳥の腹の部分から、何かが地上へと落下していく……
それはどんどんと影を大きくしてゆき、地上にぶつかる前に腰部に備えたバーニアによって速度を落とし着地するだろう。
体長2mほど、人の形をしたそれは、機械兵と呼称するのが相応しい鋼の四肢を持っている。
着地すれば周囲を確認するように見渡し、それと共にバーニアの展開を停止させるだろう。
『――――周囲に敵影、なし。
これより裏常世渋谷千駄ヶ谷地区の調査を開始します』
機械兵から聞こえる声は、女性のもの。
機械を通しているからかその声は少し反響して聞こえるだろう。