2020/11/01 のログ
鋼の鳥 >  
―――やはり地面からの汚染反応が高いです。

『続けてちょーだい。
 濃度が上がりすぎて危険だったら―――』

―――即座に退避、ですね。理解しています。

『とってもよろしい。
 いやぁ、悪いね。ハロウィンだってのにこんな仕事させちゃって』

―――ハロウィン?
当機はそのような状態ではありませんが。

『今やってるオマツリの事だよ。
 そういうのこそ社会勉強になるからさ』

―――成程。
しかし必要な行動であれば当機は拒否する意思を持ちません。

『そう言ってもらえて助かるよ。
 こういう時こそ気を引き締めておかないとだからね。
 じゃないと…ほら。
 祭りに茶々入れる奴が出ないようには、しておきたいじゃん?』

―――そういうものですか。

『そういうものさ』

鋼の鳥 >  
通信を続けながら、機械兵が進む。
裏常世渋谷の街の外観は変容しやすく、調査する時間も限られている。
故に全容が把握できず、解析もままならないという状況が続いていた。

『―――北東3km先に高エネルギーを確認。
 形状をスキャン。

 ……スキャン完了、怪異存在と推定』

何より、ここに巣食う怪異の存在。
裏常世渋谷を調べるなら、この空間への耐性、情報処理能力の高さ、そして何より……怪異を退ける戦闘力が求められる。
それら全てを備えている者は多くはない。

『―――表の街の状態も裏常世渋谷内部と連動している様子。
 内部の変化率のデータサンプルを保存、怪異との接触、サンプリング確保を優先事項に設定』

鋼の鳥 >  
―――怪異が”目的の存在”であった場合、対処はどういたしますか。

『んー……カンだけど、ないかな。
 そんな簡単に見つかる奴だったら他がすぐ見つけてるし。
 
 でも、万が一”あれ”だったら、出来るだけ戦闘には入らないで、可能なら交渉をしてみてちょーだい』

―――了解しました。

『ただ、十分な警戒はしとかないとダメかな。
 周辺、音声、魔力、力場の情報は全部こっちにリアルタイムで送らないとダメだよ。
 少しでも計器に変なところがあった場合は自分の判断で対処してもらっていいけど、最優先は無事に帰る事。
 逃げ、を最優先行動にしてね』

―――サンプルの回収はいいのですか。

『いいよ。
 この場所のデータは後からでも取れるけど、アールマティの存在は失くしたら替えが利かない。
 最重要、火急の自体だっていうなら部下に死ねって命令する事も視野には入れてるけど、そうじゃないのに死なせる奴はまぁ……バカのする事じゃない。
 命大事に、はウチのモットーさ』

―――了解しました。
当機もその方針に従います。

『それでよろしい。
 カナちゃんのお手本になるような姿、見せてやってよ』

―――当機は”先輩”なので。

『そのとーり』

鋼の鳥 >  
裏常世渋谷という異世界を、機械兵が駆ける。
その姿は表の街とは一線を画し……非日常を、体現しているだろう。

静かな街に、エンジン音がこだまする―――――――

ご案内:「裏常世渋谷」から鋼の鳥さんが去りました。