2021/03/24 のログ
■黛 薫 >
「今更はお互いさま、か。ならあーしはさっさと
逃げとけば良かったっすね。そしたらあーたの方は
濡れなかったでしょーに」
受け取っておけば良かった、とは言わなかった。
相手が濡れたことを気にするのは優しさからか、
それとも自棄からだろうか。
会話をすると、少しだけ思考がクリアになる。
使わずにいるとどんどん思考が鈍ってくる、と
表現した方が正しいかもしれない。その点では
彼に出会えたのは幸運だったのかもしれない。
鈍り切った思考では、ロッカーまでの道筋すら
思い出せたかも怪しいから。
「風紀の分署?近くじゃない方のロッカーっす。
あっちのヤツは鍵を預かるタイプ?なんすけど、
今から向かうのは番号覚えとくタイプ」
言葉通り、同行はロッカーに辿り着くまで。
取り出した荷物はショルダーバッグがひとつと、
ウサギを模した耳が付いたパーカーだけ。
「……また、縁があったら礼でもしますよ。
てか、ホントはあーしみたいな?アヤシイ女と
関わらない方がイィのかもっすけど?そのお陰で
助かったのは事実ですし。ありがとうございました」
フードを被り直し、急ぎ足でその場を去る。
確かめる術はないが、相手がまともな学生なら……
『自分なんか』と関わるのは良くないと思ったから。
悪いことをした後は、そんな気持ちに付き纏われる。
ご案内:「常世渋谷 常夜街」から黛 薫さんが去りました。
■葉山翔一 > 「そうかもしれねーけどな。別に濡れる程度は些細なもんだって」
そもそもに傘はぼろいのだから結果的には濡れていたかもしれない。
どちらにしろ濡れるならそれは些細だと割り切る。
最初は警戒され敵意があり、その後には怯えや罪悪感があったは今は普通に話してくれている。
警戒を解かれたかそれともそれを隠しているかは判らないが話して押し付けな親切を受け取ってくれるならそれでいい。
後は馬鹿が少女に絡まないように送るだけ。
「分署の近くじゃないなら大助かりだ。
あっちは鍵で向かう場所は番号なのか…それは知らなかったな」
このあたりのロッカーは使う事がないのでそうなのかと聞き入り。
ロッカーにたどり着けば荷物を取り出すのを黙って眺め。
「礼なんていいって、俺のお節介なんだしな。
でもまあ……また会えたらそん時はそん時でな?
俺も十分怪しいもんだから大丈夫だぞ。
気を付けてな」
急ぎ足で去っていく少女を見送れば今度は襲われるなよと心で思い。
元々は二級生徒で未だに怪しい品を売る自分は怪しいだけなら少女よりも格段上かも知れず。
そして去っていく姿が見えなくなればタバコを咥えて去っていく。
ご案内:「常世渋谷 常夜街」から葉山翔一さんが去りました。