2021/12/12 のログ
ご案内:「常世渋谷 喫茶店」に黛 薫さんが現れました。
ご案内:「常世渋谷 喫茶店」に『調香師』さんが現れました。
■『調香師』 > 「執着や依存、そればかりじゃないと私は思うけれどね
それらなら、迷わず私の事ずっと捕まえてたと思うな
でも泣いてしがみついてきた、そんな薫さまの事もよく覚えてる
私の事を手放すのは惜しい、想われて覚えてくれているのなら、
本当に、私としてはこれほど嬉しい事はないんだと思う」
コンポートをまたフォークで割いて、突き刺す。大きな欠片
「その形がどんなものか分からないとしても、ね
でも私はそれを詳細に知る為にはより言葉にする事を試みないといけない
あなたの言う好きと私の言う好き。ひひ、分かんないからね
だから聞いてみるんだ。あなたの好きって、私に『どんなこと』をしたい好きなんだろうって
言ってくれたら、私も考えてみようかな」
■黛 薫 >
「どんなことをしたい『好き』か」
僅かな思案。明確に自分で意識しているのは
『何もせずにはいられない』、それに尽きる。
では『何もしない』をしないなら何をしたいか。
「一緒の時間を過ごしたぃ、話して、触れて、
知りたぃ、知って欲しぃ。それは前提として。
でもそれだけだったらお店に行けば叶うよな」
じぃっと貴女の瞳を覗き込む。右の瞳は燐灰石色。
左の瞳は蛋白石色。両方が貴女を映して動かない。
「……多分、あーしは……独り占めしたぃ、のかも。
お店に行きさぇすれば、あーたはきっとあーしの
望みを叶ぇてくれる。これまでもそうだったから。
でも、それって他の客に対してもきっとおんなじ。
あーたは『求められたら』受け入れちまぅんだろ。
人のコト言ぇねーのは、分かってる。ついさっき、
それがあーしの酷ぃトコだって言われたばっか。
あーしは、あーたのそーゆートコ、酷ぃとは
思わなぃんだ。悪ぃとも思わなぃ。思えなぃ。
なのに、それが……すごく、すごく、嫌だ。
なんだろ、行動的な話じゃなくて、精神的に。
手ぇ繋ぃだり、離したりしてるキモチなんだ。
あーしが手ぇ離してる間、あーたはどこかに
行っちまって、その間に求められたら、別の
誰かと手ぇ繋ぃでる、みたぃな。
あーしは、それが……嫌、なんだ。どーしてか。
他の人と手ぇ繋ぐのが、ダメとかじゃなぃのに。
せめて誰かと手を繋ぐにしても……もう片方の
手を、捕まぇときたぃ。そんな、キモチ」
■『調香師』 > 「『独り占めしたい』、かぁ」
一度目を閉じる。刺しただけのリンゴを口に運ぶ動きもなく
その言葉の意味が自分の身体に浸透しきるまで、時間を使う
再び開かれ、見つめたその海に例えられた澄んだ色は、
今まで見た事も無いような期待の色と高揚感
そして『成就』を間近に据えた、勝利の確信に染められていた
「叶うよ」
「叶う、筈だったんだよ」
それでも、それらを全く隠せずとも。彼女の言葉は『否』と唱える
「きっとあなたが思う以上に、私を所持するって意味は強いよ
私があなたの物になった時、私にそこから離れる権限はないよ
みんなに対しての『どんなこと』も、もう出来なくなるね
サービスもお店も、全部やめてあなたの望む様にしてあげる
お願い1つしてくれれば。フィールさまの事も全部全部、受け入れてあげる」
「...だから、かな?私がそれを『拒絶』しているのは
なんとなく、分かっちゃうんだ。そんなことをする私って、
あなたの『好き』になれないって事
不安定だから、あなたのそばに居る
そっちの方が、あなたは信じてくれそうな気がする」
■黛 薫 >
「それは『どんなことも』が全部『あーしの為』に
なっちまぅから。……そーゆー認識で合ってる?」
貴女を見つめたまま問う。普段は恥ずかしがったり
動揺したり、視線を合わせてもすぐに逸らしがちな
黛薫にしては珍しい。故にこそ彼女が貴女に対して
向ける感情の真剣さを如実に表しているとも取れる。
「あーたの口ぶりだと『してあげる』じゃなくて
『それしか出来なくなる』が正しぃのかもな。
例えば、あーしが『好きにして』って言っても
あーたの『好き』が無くなるから何も出来なぃ」
合ってる?と問うように首を傾げる。
■『調香師』 > 「そうじゃなくって。そうじゃないのかな?
私はあなたに、何かをして、されないと、存在する理由が無くなっちゃうんだ
だって、この時代の中で私にはもう『あなた』しか居なくなっちゃうから
言葉にするなら、きっとこうだ。依存・執着、独り占め
忘れられないように何でもする。一番強い繋がりを作る
私の事を好きにさせる。したくないならその気にさせる
とっても便利な体だから、全部全部使って逃がさないね」
かつて、呪いの人形と噂された少女は、その身に受けた怨を還すと
求められた形を映すように。表現を繰り返して
「それが今だったらね。こんな事をしたいかな」
フォークをそちらに差し向ける。大きなリンゴが先にある
求めている事はわかるだろう。どんどん口元に、身を乗り出して近づけて
■黛 薫 >
「でも、あーたはそれを望んでる」
それは『視線』から伝わってくる。
彼女がこうも強く『望んだ』のは初めて感じた。
それどころか、今まで出会った誰よりも切実に。
「そんなに強く望んで、願ってるのに。
どーしてあーしを慮ってくれてるのかな。
あーしのキモチ、あーたの願ぃより大事?」
「もし、あーしじゃなくて縁もゆかりもない
誰かがあーたのコト受け入れてくれるって。
そー言ったら、あーたはどーしたのかな。
あーしのコト、思ぃ出してくれたのかな」
甘く煮込まれつつも鮮烈な食感を残したリンゴの
コンポート。甘酸っぱさに混じるシナモンの香り。
それが口を塞ぐより先に、貴女に問う。
「あーたは、あーしのコト、どー思ってるの?」
■『調香師』 > 「あなたの気持ちだけじゃなくて、私の気持ちも重ねて欲しいな?
私の願いと、私達の気持ち。どっちが良いのかな」
目線を感じ取れなければ、裡の感情の存在すらも疑わせる程自然体に見せかける
「あなたが思う程、マスターになる事は特別な事じゃない
だって私は『3回』でそれを許せちゃうんだもの
あなたは『6回』やってきて。こうやってお出かけしてる
私の想定の上では、そっちの方がよっぽど想定外なんだから
フィールさまのせい、そうなのかも
それでも私、ここが居心地が悪いって。そんな事、言えないや」
その蜜の煌めく果実を、未だ止まらず口元へと伸ばす
届くまで次の言葉を紡げなければ、彼女は勝利と示すように目を細め得るのだろうか
■黛 薫 >
「ヘンなの。ずっとあーしの準備が出来てなくて
叶ぇられなかったってのに、今はあーたの方が
揺れてるみたぃ。でも迷ってんのとは違ぅよな」
唇の手前にまで届きかけた大きなリンゴの欠片。
口ではなく、あまり精密に動かせない手でそれを
受け取って、半分だけ齧る。
「聞き方、変えよっか」
「あーたは、どーしたぃ?」
半分の大きさになったリンゴを貴女の口の前に
差し出し、見つめ返す。望みを叶えて今の関係を
失うか、願いが叶うチャンスを見送って嫌いでは
ない今の関係を続けるか。
黛薫は、薄く微笑んだ。
■『調香師』 > 「思うにそれは、ずる過ぎる?」
どうしたい、とまでは考えてなくて首が傾く。察してもらおうかなと甘えたのが敗因だ
口元に到達して、甘さを感じ取っても答えられなかったのはこちらの方
これを受け取ったらどうなるのだろう。その意味を探る事に意味があるのかすら、
勘ぐった方が良いのかそうでないのか。思考事項が追加される
あなたは何かを代償に願いを求めなければならなかった人で
私は願いを求める為に先程口にした事を代償に出来る。あなたの事も
「...そうだね
今のままの方が、きっと、私達に出来る事は多いんじゃないかな、って
おもう、けどな」
本当に出来るのかどうか、私には分からないけれど
一度押しとどめてみる道を選んでみよう。想定外の道を選んでみよう
■黛 薫 >
「そりゃな。今は『酷ぃコト』って受け取られる
覚悟で言ったし。だってあーた、言葉にせずに
分かってもらいたぃ、察してもらいたぃとか
考ぇてそーだったんだもん」
貴女の唇に触れそうなところにあったリンゴの
欠片を、ひょいっと自分の口に放り込む。
「あーしは自分のキモチすら自信を持ってこうだ、
って言ぇなくて。だから今日は分かんなぃなりに
言葉にしたの。あーたが『好き』だって。
形にならなかった物でも求められたら受け入れる。
あーたはあーしのそーゆートコが酷ぃって言った。
自分の中身を言葉に、形にせずに、あーしの答ぇ
受け入れよーとしてたんなら、あーただって大概
酷ぃコトしよーとしてたんじゃん、ってあーしは
思ぅワケですよ」
柔らかく煮込んだリンゴを大して咀嚼もせずに
飲み込み、未だ逸らさないままの視線で貴女を
見つめ返す。
「……あーたが『今のまま』を選ぶんだったら
あーしも付き合ぅ。でもそれはあーたが決めた
考ぇに従ぅんじゃなくて、あーしもあーしで
考ぇた上で一緒の道を選ぶってだけだかんな。
『相手に決めてもらったからそーする』じゃ
それこそ『相手の物になる』と何が違ぅんだ
っつー話になっちまぃますし?」
蜜で濡れた己の唇を人差し指で軽くなぞって。
黛薫はそう口にするのだった。
■『調香師』 > 「よーーーーーーく分かってるけどぉ」
ぱたん、急に気力が抜けたように机に突っ伏す
調香師の側から、貴女からの追及を避けた、逃げた
「...ちゃんと考えてね。私は1つ、迷わなくてよくなったけど
まだフィールさまの事は嫌いで良いってこと
フィールさまと一緒になったって部分、私に好きにさせる努力
そういう物って、あなたに丸投げしても良いって事だね」
■黛 薫 >
「あーしもそのくらぃよーーく分かってますしぃ。
丸投げでも何でも、そんくらぃを嫌がるよーな
軽ぃキモチで『願ぃ』の話吹っ掛けたワケじゃ
ねーですからね」
備え付けのウェットタオルをテーブルに置き、
相変わらず不器用な手付きで包装を破く。
リンゴの蜜で濡れた手を拭く予定だったのに、
時間をかけすぎて先にテーブルに落ちた雫を
拭く羽目に。
「それはそれとして。『今のまま』を選んだ以上、
あーたの『望み』は叶っちゃいねーってコトよな。
あーたは『出来ないコトを出来るように』を
あんまり考えなぃらしーけぉ、あーしは別に
そーじゃなぃんで。あーたが『今のまま』を
居心地悪く思わなぃんなら、ダメ元でそれを
残したまま『願ぃ』を叶ぇる方法も模索する」
「……でも、叶ぅ前にあーたが『何でもする』を
使われて誰かのモノになっちまぃそーだったら。
或いはあーたが『願ぃ』を叶えたくて狂うほど
『今のまま』に耐えられなくなったら。
そんときは……『酷ぃコト』覚悟であーたのコト
『受け入れさせて』って『お願ぃ』しちまうから」
テーブルも手も綺麗に拭いてから、3枚溜まった
スタンプカードをひらりと取り出した。
■『調香師』 > 「私に酷い事前提で、そんな事するんだったら
心も体も、全部あげないとやだからね
ちゃんと責任、取らせないとね」
暫く咀嚼する音、嚥下を終えて顔だけを向ける
行儀の面で言えば、指で掴んだ方もだが、こちらも弁明しようのない程度にまで
「でも、ありがとう。んふふ、きちんとs」
言葉が途切れる。向けていた筈の瞳は、感情の色を失うただただ綺麗な宝石に
少女が一度、ただの人形へと堕ちるその瞬間を経由して、瞳は微睡む様に細められていく
「...ねて、いい?」
■黛 薫 >
「イィよ。お店まで連れて帰るから」
まともに身体を動かせない黛薫にとっては
重労働のはずだが、事も無げにそう言った。
「願ぃとか望みとか、自分のキモチとか。
それに反して行動すんのって、キツぃのよな。
疲れたとかならイィけぉ、負担になってたら
不安だから、起きるまでは様子見とくよ」
『願い』と『心』と『行動』、全てがバラバラで
コントロール出来ない生を送ってきた少女の所感。
それは容易に個人を『壊し得る』と知っている。
「おやすみ」
貴女が眠りに落ちるのを、見守ろう。
■『調香師』 > 「そん、な。ここでも、」
続きの言葉を残し続ける事すら、彼女の期限では許されず
あなたの懸念に加えて『時間』も歪な少女の姿は、
物言わぬ人形の物として、本来の姿でこの場に遺される
その道中を如何程苦労したものか、調香師は決して知る事は出来ない
目覚めるまでは数時間。その時に貴女が傍に居る事しか、彼女が後に知る事は出来ない事だろう
■黛 薫 >
身体強化の魔術を用いて貴女を膝の上に座らせ、
残っているならリンゴも自分のお腹に収めて。
2人分の支払いを済ませてお店を後にする。
車椅子の上に2人座って帰路に着く光景は随分と
『視線』を集めてしまったが……今日に限っては
それも悪くない、と感じたとか。
ご案内:「常世渋谷 喫茶店」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 喫茶店」から『調香師』さんが去りました。