2022/10/01 のログ
ご案内:「常世渋谷 黒街(ブラック・ストリート)」に雪景勇成さんが現れました。
■雪景勇成 > 「――暇潰しに来てみたが…ここも思ったより変わり映えしねーな…。」
ぽつり、と私服姿で呟く男は手に携えた布包みをひょいっと肩に乗せるように持ち直す。
常世渋谷――黒街。落第街に隣接する一区域。あっちとこっちの境界線の一つ。
ここからあちらに堕ちる者あらば、逆にあちらからこちら側に出てくる者も居る。
特にこの場所に感慨深い思い出やら、苦い経験があるといった事は残念ながら無い。
ただ、こちら側に来ても、あちら側で暮らしていた時も偶に足を運んでいた程度。
「――せめて、”楽しい事”の一つや二つ転がってりゃ来た意味もあるってもんだが…。」
周囲を見渡せど、歓楽街の一角や落第街の比較的こっち寄りの地域で似たような光景は目にする。
ましてや、特別攻撃課やら特務広報部という物騒な風紀委員会の課を兼任していれば尚更だ。
面倒臭がりな性格は決して変わっていない。人間そう短期間で中々変われない。
それでも、以前よりは少しは能動的に動くようになったが――まぁ。
(ちょっと歩き回った程度じゃそうそう暇潰しの種は転がっちゃいねぇか…)
ふらり、と通りから路地裏の一つに方向転換する。落第街に比べたら”平和”な路地裏だ。
血の臭いは少ないし、惨たらしい光景もあまり見ない。とはいえ喧嘩や抗争は絶えはせず。
(…あっち側に流れる奴も少なくねぇが、まぁ…落第街とは一定の距離を保つ連中もここらじゃ多いしな。)
路地裏を気だるげな歩調で歩きつつ、手持ち無沙汰に口の端に徐に取り出した煙草を咥えて。
ご案内:「常世渋谷 黒街(ブラック・ストリート)」にソラさんが現れました。
■ソラ > 太陽が出番を終えれば月が輝きだし
遥か彼方から星々の淡い光が落第街を照らす。
渦巻く欲望のガスに引火させ、人々を滾らせる。
そしてこんな夜に”魔女”は面白いものを求めてやってくる。
路地裏を照らす何気ない街灯の一つに
いつの間にやら人影が一つ。
それは路地裏を通る一人の青年にはっきりと透る声を投げかける。
「ねえ。」
それはケープコートをはためかせ、蒼い瞳で青年を見下ろしながら。
「面白そうなもの持ってるんだね?」
但し、その視線は青年ではなく、彼が持っている布で包まれたもの。
■雪景勇成 > ――丁度、煙草にライターで火を点けようとした所に投げ掛けられる声が一つ。
そちらに視線は向けぬまま、慌てず騒がず動じずにまずは一服が最優先、とばかりに煙草の先端に火を点し。
「……悪ぃがそんな面白いモンは持ってねーな。」
淡々とした受け答えには熱さも冷たさも無い。紫煙を吐き出しながらライターを懐に放り込んで。
…そこで、漸く声の主と思しき”魔女”へと視線を向けた。それでも表情は揺るぎはしなかったが。
――男が肩に担いだ布包みの中身は、本当に大した事の無い…ただ、特殊な力を秘めた刀というだけ。
昔、所属していた違反組織が壊滅した際にアジトの一角に放置されていたブツだ。
それを回収して再利用しているだけ…なのだが、どうやら相手はそれに目を付けたらしい。
(…物騒な能力一つあるだけで別に値打ちモンでもねーんだがなぁ。)
その能力が問題な訳だが。それはそれとして、さて相手はどう出るのやら。
足は止めはしたものの、煙草を口の端に咥えながら気だるそうに相手の出方を伺い。
■ソラ > 「面白いか面白くないか決めるのはあたし。」
青年の無機質な返答に対して、
やれやれといった表情と仕草で返す魔女。
表情を揺るがせない青年に対し、
魔女は割と表情に出る方らしい。
「んー。でも、確かに試す必要はあるかもね?」
少しトーンを下げ思案を含ませた声色でそう一言。
そして自身が乗っていた街頭をトンと軽く足で蹴ってその場で後ろ宙返り。
次の瞬間、街灯が目には見えない異様な力で引き抜かれ
宙へと持ち上がる。千切られた配線が火花を散らせる。
「何もしなかったら、怪我するかも。」
少し妖しい笑みを浮かべる魔女。
宙に浮いた街灯は少しずつ角度が変わっていき
目の前の青年を突き刺すような方向に。
そして、それはまた見えない力で勢い良くーーー
発射された。
■雪景勇成 > 「…あぁ、唯我独尊って奴か?…まぁ、好きにすりゃいいが”コレ”はやらんぞ。」
肩に担いだ布包みをトントンと揺らしながら、紫煙を燻らせつつそう口にする。
別にそこまで執着はしていないが、見ず知らずに気前良く提供するお人好しでもない。
そして――…
「…一方的に試される謂れはねーぞ…。」
肩に担いでいたソレを下ろした、かと思えばまるで手品のようにそれが男の手元から消えて。
直後、彼女が繰り出した砲撃じみた街灯の一撃が男に直撃――する寸前、”何か”に衝突して街灯が思い切りひしゃげて宙へと舞い上がる。
「…”仕事中”以外で切った張ったをするのは面倒臭ぇんだがな。」
男の姿は無く、代わりにそこには何やら異形の刃を複数重ねような巨大な”楯”が鎮座している。
街灯の直撃を防いだからか、一部破損はしているがその向こうから聞こえてくる男の声は平静なまま。
やがて、軽く指を鳴らす音と共にまるで硝子が砕けるような音を立てて異形の楯が霧散する。
「―――で、何を試すって?”コレ”を馬鹿正直に振り回すかと思ったか?」
また、忽然と出現した布包みを右手に携えて軽くゆらゆらと振ってみせる。
どうやら、”コレ”の特性やら何やらを確認したいようにも見えるが、それに付き合う義理は無い。
だからこそ、異能で街灯を防いだ…勿論、この刀の特殊能力でも迎撃はおそらく出来たろう。
(――さて、割と顔に感情が出やすいタイプに見えるが、どう来るやら。)
面倒だが一方的にやられる筋合いは無い。次に畳み掛けてくるなら本格的に応戦するつもりで。
■ソラ > ひしゃげて舞い上がった街灯が、甲高い音と共にアスファルトに突き刺さる。
「ふうん。」
青年が出現させた刃の防護壁を見て、魔女が声を漏らす。
それは少し面白そうな様子で。
この青年、普通の平凡な人間ではない。
「どっちかっていうと、面白いのは君自身の方?」
笑みを浮かべる表情から蒼色の視線が青年を射貫く。
久しぶりの面白そうなものに、魔女は心を躍らせる。
もっと試してみよう。彼が未知の現象を起こせば
それは魔女の閃きの種となるのだから。
「じゃあ、次は”君”を試そうかな?」
青年の煽るような一言に魔女は笑みを浮かべて一言。
青年の周囲で目を眩ませるような光とともに、空気が歪むような音。
間もなく超高温のプラズマの突風が青年の方向へ吹くだろう。
直下のアスファルトが容易く赤化し、泥状に溶け出してゆく。
■雪景勇成 > 手持ち無沙汰に、布包みをジャグリングのように片手で回転させつつ――”矛先”が些かズレたらしい。
案外、大人しくこの刀の特殊能力で迎撃した方が良かったかもしれないが…結果は変わらなそうだ。
「――そうかい、面白みが無い人間と自負してんだが。」
別にそんな事は無いが、適当にそう口から述べながら…さて、こうなった場合。
(俺自身の立ち回りを試すって感じか。そういう上から目線は気に食わねーが。)
直後、周囲が光を発した瞬間に男は一歩前へ。空気の歪みを感じながらも躊躇いが無い。
直後に押し寄せる超高温プラズマの波に、半ば飛び込むように――瞬間、男の眼前の空間が裂けてそこに飛び込む。
そのまま、プラズマの波は一直線に路地裏の壁や床を灼いて駆け抜け――
「…成程、”暇潰し”にゃなりそうだ。」
女の真上、数メートルから声。直後、男の姿が黒い裂け目から出現すると同時に、裂け目が広がり――斧や槍、剣といった無数の巨大な刃物が出現。
どれもこれも、異形のシルエットをしておりまともな武装とは思えない。
それが間髪入れずに真下の魔女へと向けて驟雨のように連射される。鋼の絨毯爆撃だ。
もっとも、この程度でやられるような奴がわざわざちょっかいは掛けてこない。
明らかに自身の実力に自負があるだろうし、異能者との戦闘に不慣れにも思えない。
だから、先の街灯とプラズマの返礼みたいなものだ。つまりは挨拶代わり。
■ソラ > 「そんなことないよ。
面白くなかったらあたしは関わらない。」
灼熱の風に臨む彼の淡々とした一言に
魔女は抑揚豊かに答える。
さて、プラズマの風が受けた青年を飲み込み
アスファルトやコンクリートを溶かした・・・ように見える。
事実、高温プラズマが生み出した真っ赤な路地裏に青年の姿は見えない。
そう、”地上”には居ない。
「へえ、そうくるんだ。」
青年は未知の手法で瞬間的に移動していた。魔女の真上へと。
蒼眼が見上げればその瞳に、数々の近接武器を模った
異様で巨大な武器が無数に映る。具現化の類だろうか。
魔女は笑う、楽しそうに。
「頭が高いよ?」
鋼の集中豪雨を前に魔女は手をかざすような動作を。
そうすれば目の前の空間で弾けるような音と光が発生し
青白い稲妻が走るスクリーンのような壁を展開する。
鋼鉄の武器がその壁を通過したタイミングで瞬時に溶解し、
液状化した塊が真っ赤な流星となって周囲へ散る。
「お返し。」
ある程度、攻撃を受け続けた後に魔女はパンと手を閉じる動作を。
青白いスクリーンの収縮と共に、大気を圧しだす衝撃波を放つ。
■雪景勇成 > 「…そりゃどうも…(全く嬉しくねぇけどな。)」
淡々と言葉を口と心中で発しながら。まともに喰らえば超高熱のプラズマ風を受けたら男は一瞬でお陀仏だ。
空間の裂け目は能力の応用の一つで、このように回避や短距離の移動にも使えて便利ではある。
(異能…というより魔術方面か?そっちにゃあんま詳しくねぇから判断が難しいな)
鋼の驟雨を降り注がせながら、冷静にその刃の雨の行く先にいる魔女の挙動を冷静に観察する。
男の体は既に落下を始めているが、その右手には数メートルにも及ぶ巨大な斧剣を軽々と携えており。
「―――!」
防がれるのは勿論見越していた。矢張り魔術系統か。それもかなり高レベルの。
とはいえ、お互いまだまだ手札はちら見せ程度で本気には遠いだろう。
鋼の驟雨が彼女の防壁で溶解して無力化していく様を見下ろしながら、巨大な斧剣を振り被り――…
同時に、彼女が手を叩く動作に呼応して紫電迸る防壁が収縮、次の瞬間にこちらに衝撃波として放たれる。
反射的に斧剣を衝撃波へと叩き付けるが、衝撃を完全に殺しきれずに幾らか喰らって真上に吹っ飛び――
「――感覚的にやっぱ魔術かこりゃ…。」
体が”頑丈”なのか、大してダメージは受けていない様子で呟きながら身を翻し。
同時に男の背後の空間が裂けて、今度は巨大な”砲身”が姿を現す。
自身の所属する課の長――【鉄火の支配者】の異形に比べたら慎ましいやもしれないが。
「―――更にお返しってやつだ。」
砲撃。先程の驟雨よりも段違いで強力な一撃が、魔女ごと地面や周囲を爆砕せんとする。
ご案内:「常世渋谷 黒街(ブラック・ストリート)」に雪景勇成さんが現れました。