2022/11/01 のログ
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」に神樹椎苗さんが現れました。
■神樹椎苗 >
――夕暮れの常世渋谷中央街。
ここは忠犬ロク公像前の待ち合わせ広場。
多くの人が行き来する中、広場の長椅子に座って、椎苗はその様子を眺めている。
「随分まぎれ込んでやがりますねえ」
ふわ、と小さく欠伸して。
行きかう人々を眺めながら、退屈そうにしていた。
■神樹椎苗 >
「――ハロウィンが終わったからって、元通りってわけじゃねえですからね」
ハロウィンに悪魔や悪霊がやってくるのなら。
それらはいつ立ち去るのだろうか。
ハロウィンの日が終われば、帰っていくのだろうか。
――多くはそうである。
しかし、そうではない例外も今や少なくない。
こうして人通りを眺めているだけでも、紛れ込んでいる『彼ら』の姿はすぐに見つけられるのだ。
それくらいに、ハロウィンというイベントは、大きな波紋を起こし。
こうして椎苗が、退屈そうにするくらいには影響が残ったりするのだ。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」に黛 薫さんが現れました。
■黛 薫 >
ハロウィン、即ち地球文化に於ける古代ケルトの
年の瀬。黄昏時にこの世ならざる者を見るように、
鳥居が人の世と神の世を別つように。『境』では
本来交わらざるモノが交わる。現世と幽世も、また。
特にハロウィンは文化として定着し、死者を招く
催しだと周知されている上、仮装や祭りといった
"紛れ込みやすい" 要素が盛り込まれている。
当然『境』が閉じれば多くは帰っていくのだが──
「何事にも例外はある、と」
ロク公像からやや離れた人気の少ない路地の入口。
"見える者" が見れば何事かと思う程の霊のカタマリ。
お疲れ中、もといお憑かれ中の少女が煙草代わりの
飴玉を咥えて嘆息していた。
■神樹椎苗 >
「ふーむ――特にあいつはひどいですね」
座ったまま片肘をついて、人気の減る路地の方。
嘆息する少女の姿が見えないくらい、いろんなモノに纏わりつかれているのが一人。
「――あれで、何ともないんですかね。
生気吸われて枯れそうなもんですが」
などと思いつつも、じーっとその霊に包まれた少女を眺める。
ただ、じーっと、とりあえず、まっすぐに視線を向けて微動だにせず。
じーっと眺めている。
■黛 薫 >
あらゆる神秘を受ける常世島。霊感のある者は
どうも珍しくないようで、ちくちくと "刺さる"
視線にため息ひとつ。
この有様で人通りの多い道を通りたくはないが、
裏道には陰に逃れたタチの悪い霊が潜んでいる
可能性がある。だからこうして中途半端な場で
帰りのルートを考えていたのだが。
「……」
じぃっと同じ方向から微動だにせず刺さる視線。
普段なら避けたであろう其方に足が向いたのは
気紛れという他ない。強いて理由を付けるなら、
凝視の主を確認しておこうという警戒心。
霊のカタマリが視線の主に歩み寄ってくる。
この世ならざる者特有の冷ややかな空気は
"正常な者なら" 本能的に忌避すべきモノ。
ただし魔力や精気、スピリチュアルな力を糧に
出来る者であれば、むしろ好ましい空気……否、
『薫り』と呼ぶべき甘露がその中核にあると
感じ取れるかも知れない。
■神樹椎苗 >
霊に取り囲まれた少女が近づいてくる。
恐らく視線の主を確認しておこうという、ちょっとした程度の気持ちだろう。
それが警戒心なのか好奇心なのかは、興味がなかったが。
「――近くで見ると、一際すげーもんですね。
それ、しんどくねーんですか?」
じっと眺めていた幼女、椎苗は、とても気安い調子で声を掛けた。
椎苗に近づけば近づくほど、霊の挙動は静かになり、大人しくなっていくのが分かるかもしれない。
■黛 薫 >
「コレでしんどくねーヒトがいたら紹介して
もらぃてーよな。ちょっとマシになったけぉ」
中を伺うにも苦労する霊の吹き溜まりの中から
帰ってきたのは少女の声。音の出所の高さまで
含めて推測すると、恐らくティーン辺りか。
「そーも熱烈に見てっと、見えるんだなって
霊の側から認識されんだろーがよ。まったく。
危なねーからあんまオススメしねーぞ」
幼女に合わせて軽口を叩き、靄を払うように手で
煽ぐ仕草。どうも憑かれている認識こそあれど、
祓うどころか触れることすら出来ない様子。
取り巻く霊の渦のお陰で距離は掴みにくかったが、
改めて確認するとロク公像前のベンチから路地まで
相当距離がある。口ぶりからして "視線"を辿って
来たのは間違い無さそうだが、視線に気付くには
なかなか難しそうな距離だった。
■神樹椎苗 >
「まあ、それでしんどくねーのは、相当特殊な体質でしょうね。
例えばしいみたいな」
少女らしい声に答えつつ、指先を振れば。
少女に纏わりついていた霊たちは、椎苗に誘導されるように、椎苗の周りに侍るかのように集まった。
「ご心配にはおよばねーですよ、しいは『専門家』ですから。
それよりも――お前、よくあの距離でしいが見てる事に気づきましたね」
と、霊たちが誘導されてやっと姿が見えるようになるだろう少女を、とても低い座高から見上げる。
■黛 薫 >
引き剥がされた霊の大半は意思すらない低級霊。
それが『専門家』に命じられてなお渋るような
無意味な抵抗の気配があった。余程霊媒として
居心地が良かったのだろう。
「専門家、ねぇ」
むしろ祓うでもなく自分から霊を引き離せる辺り
親玉という表現の方が正しいのでは? 大分失礼な
感想を抱きつつも、結果的に助けてもらったので
口には出さなかった。
もしかすると彼女の方に足が向いたのも単なる
気紛れではなく、幼女に従おうとする霊の本能に
引きずられたのかも、と勘繰ってみたり。
霊が離れて折角姿が見えるようになったのに、
霊媒少女は長い前髪と目深に被ったフードで
殆ど顔が隠れている。
「距離? ……あぁ、結構離れてやがったのな。
あーし、忌々しいほど "視線" にゃ敏感なの。
そーゆー異能、って言ぇば伝わる?」
見た目の割に随分マセているな、と思いつつも
しゃがんで目線を合わせたり、伝わっているか
確認を取ったり。子供向けの対応。