2020/06/17 のログ
ご案内:「カジノ「蓬莱」」にアージェント・ルーフさんが現れました。
■アージェント・ルーフ > 仄暗い、とは言っても照明は真上にしっかりとしたシャンデリアがあるのだが。しかし、きな臭い金のやり取りが発生する場である。そんなドス黒い金への欲望と煌々とした照明、混ざり合ったその色はまさに鈍色と言えるだろう。
■アージェント・ルーフ > 「よろしくお願いします~」
ボクが座っている席、ブラックジャックのディーラー、他の参加者に挨拶をしっかりとしておく、賭けを行う上ではこれも重要な事項である。
油断、安堵、喜楽、それらを誘発するのはポーカーフェイスである。まぁ、キャップを深く被っているボクの顔なんて覗かれない限り見えないのだが。
(今回は相当手加減しなきゃだなぁ…)
隣に座った男性三名、全員がボクの事をちょっと礼儀が良くカモれそうな坊ちゃん、とでも思っていそうなオーラをこれでもかと前に出している。何時もの事とは言え、ボクも少しは傷つくのだが…
■アージェント・ルーフ > ディーラーが机の下から新品のポーカーカードを取り出す、がしかし、これもまたマジシャンの自分から見たらお粗末な手付きである。
(フォールスシャッフル、クラシックパームも無しかぁ)
今回のゲームのイカサマの有無の確認、この結果だけで今後の試合の運び方も変わる。しかし、今回は正真正銘の純正ルール。
幸か不幸か、ボクから見る限り全員そこまで場数を踏んでいない様だ。ここまでのレベルとなると、逆にこのカジノのブラックリストに入っているであろう自分の正体がバレかねない。
(もう、折角の稼ぎ口なんだからもう少しレベル上げてよー…)
■アージェント・ルーフ > 心の中で少しばかり愚痴を吐くが、カードと四六時中過ごしているボクの様な存在などそうそういないであろう。自分で言うのも何だが、極めすぎた。それでも師には及ばない訳だけど…
自分の前に慣れ親しんだカードの柄が一枚、二枚と配られる。いつの間にかこの天井の光とは真逆である漆色の賭けが行われている様である。
常人ならばこの状況を『戦いの火蓋が切られる』とでも言うのだろうが、僕にとってはレッドカーペットが敷かれるのと同義だ。最も、その両脇には自分の顔を知っており、恨みの念を持っている者が居る訳だが…
■アージェント・ルーフ > さて配られたカードはいきなり7が二枚、ディーラーのオープンカードは2、普段の自分ならスプリットしているのだが…
「ヒット」
自分の存在がバレたらちょっと面倒臭い。無難に自分の元へカードをもう一枚取り寄せる。カードは6、合計20にてほぼ勝ちである。
■アージェント・ルーフ > 結果…他参加者二名はバースト、一名は16、ディーラーは17、まるで風どころか嵐がこちら向きに吹き荒れている様である。
そうして、自然に負けつつ、それでいて負け分を相手に擦り付けるように順調に勝ち進んで行った。
■アージェント・ルーフ > 数分後…自分の隣には他の参加者の積み重ねているコインのタワーの約1.5倍の高さのタワーが鎮座していた。
真ん中に『1000』と書かれているコインのタワーが。
(やっぱりこうなっちゃうかぁ…)
他の参加者からの目線が痛い痛い、手加減は最大限にしたはずなんだけどなぁ…手加減が出来ない者は二流であるとは言うものの、これでは勝手に負けていくAIを相手にしているようなものだ。と自分に言い訳しつつ、コインを自分の手元に引き寄せる。
■アージェント・ルーフ > 「有難うございましたぁ」
さて、コインの清算である。カジノの店員が少しばかり疑念を含めた顔でこちらの様子を覗き見る。
「~♪」
焦って初心者が運のみでボロ勝ちし、喜びを隠しきれない様子を演じるべく、無意識に出る鼻歌とは違うまるでアニメのキャラクターであったら目を逸らしながら奏でるであろう鼻歌を歌う。帰るまでが遠足とはよく言ったものだ。
■アージェント・ルーフ > 少し早足で重厚感のある自動ドアに向かう。いつまでも自身をライオンの檻に置いておくような真似はしたくはない。自動ドアが開き、外へ出る。
「やっぱりこの稼ぎ方は危ないなぁ…」
少しカジノから遠ざかり、自分を守る変装を解く。いつだってこの変装をしている時はこう言った危険な場にいる時だというのは相場が決まっている為、少しばかり安堵の溜息を吐く。しかし、自分のいる場所は安心するには早い所。ボクは早急に帰路へと着き、早足で歓楽街を抜けていく…
ご案内:「カジノ「蓬莱」」からアージェント・ルーフさんが去りました。