2020/07/01 のログ
■因幡幸子 > 「あれ?嫌いですか?ロボット。おっかしいですねクラスの今泉君によると男子は大体好きって聞いたんですが」
今泉君とはこの世界出身の男子生徒である。異邦人である私に何かと教えてくれるグッドボーイ。
しかし今はその情報が通用しない。なんてことでしょう!
つまり、もしかしたら、面前の彼はそういう情報が通用しない異邦の誰かで、苦労しているのかもしれない。
そういえば少し前に門が活発だったなあとか、公園で迷い込んだ人に出会ったなあとか、思い出を振り返り唸る。
「なんでって言われたら性分です。そんな顔してたら気になるじゃないですかあ~」
「ゲームセンターなんて倦んだ気分をパーッとさせに来る場所なんですから尚更ですよ尚更!」
「これがそうですね、時計塔のてっぺんとかでしたら世を儚んだのかな?ってくらいには、あんまり良いお顔。されてませんでした」
「折角中々整ったお顔なんですから勿体無いですよ。笑顔笑顔!」
ともあれ、こもあれ、陰のある様子。は何ともかんとも気になって、ついつい言葉がぽんぽんぽーんと。
■水無月 斬鬼丸 > 「嫌いじゃないですけど…その、もらう理由が…」
誰だよ、今泉って…と、内心突っ込みつつも
その今泉ってやつもこのテンションと付き合ってるなら苦労しているんじゃないかなと
妙に同情的な気分になってしまった。
なお、ロボットは好きでも嫌いでもない。
中にはかっこいいものもあるし、それらを好きだと思える感性ももちろんある。
が、ロボットいうジャンルには特に強い思い入れがあるわけではない。
とはいえ、箱が潰れるのももったいないので景品は結局手に収まったまま。
そして理由を聞くと、どうやらこの少女…結構なお節介焼きのようだ
ていうか、そんなひどい顔だったのだろうか?
あまりいい顔じゃないっていうのは、イケメンではないという意味ではないよ…な?たぶん?
というか整ったとか?さすがにそれはいいすぎだろう。
それにしたって、この少女、語り口が軽快すぎる。
「あ。ぁあ…えーと、あんまりいいことがなかったんでちょっと…
気になったならすんません」
無理やり作り笑い。こういう表情をするから気持ち悪がられるんだろう。
■因幡幸子 > 「貰う理由ならありますよ。ばっちりあります!私が上げたいからですね!」
お目当ての奴じゃなかったからが4割、彼を励まそうと思ったからが6割。
ほら、言葉の通りに良い事が無かった。なんて言っている。心算の的中に200点満点のドヤ顔をびかーっ!と向けましてウィンクもばちこん!
「謝んなくったっていいんですよ。いえね、何だか馴染めていない感じだったもので、異邦人さんなのかなーって思ったんですよ」
「ほら最近まで門が活発どうの~で色々ありましたから!」
「そんで何かゲームセンターで嫌な事でもあって、それで今日一日が終わってしまったらナンセンスじゃないですか」
「そうそう、笑顔笑顔、後は背筋をこう伸ばしてですね……」
笑顔を向ける彼に満足げに頷いて、丸まった背を伸ばさせようと両の手を背と胸板に伸ばす。
伸びますかね?伸びませんかね?
■水無月 斬鬼丸 > 「あ、ぇぇ…えーっと…どうも?」
あのゲームまだプレイしてないので、この期待がどんな立ち位置のものかはしらないが…
そういうことなら流石に押し返すわけにもいかない。
煮え切らないままにとりあえず礼を言いつつ軽く頭を下げた。
渡した側はなんかすごいドヤ顔で、衝撃波が飛んできそうな勢いのウィンクかましてるけど。
「…え?なに?異邦人?」
どうやら、彼女には自分が異邦人のように見えていたらしい。
確かに馴染めていないという点ではあっているのかもしれない。
だが、世界的にはと言えば、バリバリ現地民である。
あからさまに異邦人である少女にそう思われてしまうのはわりとショックがでかい。
「あー…そういうわけじゃないんっすけどね。いうこともわかるんっすけど…
うぁっ!?」
確かに嫌な思いをしにゲーセンに来ているわけじゃないのだが…
彼女の言葉にうなずこうとした矢先、その手が体に触れる。
突然なことなので驚いてしまう。背筋も偶然だが思わずシャキッとしてしまった。
■因幡幸子 > ぐぎっ、ばぎっ、哀れ男子生徒は背筋を伸ばされて死んでしまった!
何て事になる訳も無くヴォーパル沙汰なんて事も無い。
そこには佇まいを正され、先程と比べると確とした彼の姿!。うーん、いいですね。
思わず指で枠を作って彼をフレームに収めて頷きます。
「ええ、異邦人。……来たばっかりってなーんにも解んないじゃないですか」
「私なんかは殆ど変わらない所から来たんでマシもマシ。ダイエットの敵のようにマシマシな感じでして!」
「ともあれ違うなら何よりでした!いやあ~杞憂で良かった良かった」
そして心配が杞憂だった事にも頷いて、肩を竦めてHAHAHA!なんて笑いましょう、笑いました。
「でも、そうなるとやっぱりあれですかね。ゲーセンで浮かない顔ってなるとボロ負けでもしました?」
「私も……おっと、そういえば自己紹介がまだでした。私因幡幸子って言います。一年生ですね!」
呪いをかけられた訳でも異邦人だから馴染めなかった訳でも無い。
となると対戦ゲーでボコボコにでもされましたかね?と首と耳を傾けた所でふと気づく!
まだ自己紹介をしていなかったんですね!これはうっかり!と自分の額をぺちんと叩いてから御挨拶!
かーらーのー。
手をマイクのようにして彼のお顔にずずいのずい。わっちゅゆあねーむ!
■水無月 斬鬼丸 > さすがにやばいくらい体が硬いとか、固定されているとかではない。
背筋が伸びて背骨損傷とはいかなかった。
姿勢を正すやいなや、彼女はと言えばサッと素早くなんかカメラマンのようなムーブ。
ポーズでも取ればいいのか?
だが、とっさにポーズがとれるほど人馴れしているわけではない。
残念ながら彼女の指フレームには冴えない男子学生が、どうしたものかと頭をかいている姿がおさまっている。
「ま、まぁ…確かに、そうっすけど…ご心配おかけしまして、どうも…」
それじゃ俺はこれで…という流れ。
今がチャンス。海外ホームドラマの観客のように笑ってる少女に
別れの挨拶……
「それは…え?いや…そういうわけではなくて…
あっはい、水無月…ですけど…」
ベルトスクロールアクションで2000円スッた上にキモいって言われたのだから、まぁ、同様のくだらなさではあるのだが。
っていうか、随分グイグイ来るな、この兎少女。
とりあえず、名字だけ名乗っておく。
■因幡幸子 > 「おや、そうでもない。はて、そうなると水無月君のぐんにゃり感は一体……」
下の名前を教えてくれず、何事かも黙す。此処で私はハハーンと閃か──無い。
初対面にそうそう詳らかにすべきではない何かがあるのかもしれないですし、私はちょこっとバックステップ!
「ま、私の勘違いでしょうかね!それならそれが一番でして、ええお互いに色々エンジョイしていきましょう!」
ステップの先にはプライズゲームの台。私のお尻がどんとぶつかり盛大にブザーが鳴る!ズル防止の警報だ!
「うわっやべっ。それじゃ私はこの辺で失礼します!水無月君も御無事で!」
彼の無事を祈るのは、彼が私の渡したプライズ景品を持っているからだ。
状況的に疑われる可能性があるかもしれないし、ないかもしれない。
深く考えるには時間が足りないので、私は100mを6秒で走る健脚を以てして店外へ離脱!ばびゅーん。
ご案内:「歓楽街」から因幡幸子さんが去りました。
■水無月 斬鬼丸 > 「あー…それはその、たいしたことじゃ…」
ほんとに大したことじゃない。
下の名前を教えないのも大したことじゃない。
名前が大仰すぎるせいで名前に10:0で負けているため名乗るのも恥ずかしいのだ。
病院とかで名前を呼ばれるときなんかは地獄もいいところ…
彼女は気のいい少女なのだろうが
今のテンションがそれに追いついていない。残念なことに。
だが、こちらからも歩み寄るべきなんだろう。親切心から声をかけてもらったのだから……
「そう、っすね…あ、ありが……」
え、なに?このおと…え?え?え?
大きな音にうろたえてるうちに、少女は逃げていく。無事で?なにが?
「え、なに、なに!?いや、俺はなにも……」
彼女の懸念通り、店員に注意を受けることになった。彼女のいうとおり、運の尽きだったのかもしれなかった。
ご案内:「歓楽街」から水無月 斬鬼丸さんが去りました。
ご案内:「歓楽街 歩道橋」に群千鳥 睡蓮さんが現れました。
■群千鳥 睡蓮 > 歩道橋の手すりに頬杖ついて、意味もなく人工の明かりが満たす遠景を眺める。
遊ぶところに事欠かず、適度に雑多で適度に下品。
それぐらいのほうが案外心地よい。そう考える程度には俗物であると思う。
「とはいえ、だれかに此処に遊びに行こうー……って言い出すのもなぁ」
自嘲ぎみにひとりごと。
自分で選んだことだが、一般生徒の群千鳥はこういうところに踏み込む役柄じゃない。
同じく手すりにおいておいたボトルのブラックコーヒーに口をつける。
夏。文月にもなって、まだ夜風は心地よい。じきに蒸し暑くなるのだろう。
■群千鳥 睡蓮 > ギャンブルして、程々に負けて最終的に黒字にする。
そんな風に稼いだ小遣いは、存外使いみちに困ったものだ。
コーヒーを手すりに置く。両手を手すりの縁にかけ、ぐっと腕を伸ばした。
「―――ふう。 フラストレーションって程でもないけど。
寮じゃ本も置けないしな……なにか有意義なことに……
……賭け麻雀? どこでやるって話だよな。 カジノにはあったっけ……」
校内で賭け麻雀が行われている、という興味深い噂を耳にしたこともあるけれど、
そこに踏み込むのはいささか都合がよろしくない。
あれは賭けた時こそ面白い、と思う。
擬似的な生と死がそこにある。
ご案内:「歓楽街 歩道橋」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 療養期間もあと僅か。
腕の包帯も、明日には取れるとのこと。しかし、危険区域への巡回は完治するまで不可。
というわけで。リハビリも兼ねて訪れた歓楽街。多少柄の悪い地域ではあるが、それでも殺傷沙汰になる様な事件は余程の事が無ければ起こらない。
怪我人でも何とかなるだろう、と希望して巡回していたが、驚く程に何もない。皆真面目か。いや、あって貰っても困るのだが。
そんな欲望煌めく街で牧歌的な巡回を行っている最中。
ルートから少し外れた歩道橋の上で。見知った後輩の姿が視界に映る。
「……期末試験も近いというのに夜遊びとは、随分と余裕じゃないか、群千鳥」
眼下を駆け抜ける自動車のヘッドライトと、粘つく様に煌めくネオン。そんな街の灯りの下に佇む少女に、呆れた様に声をかける。
■群千鳥 睡蓮 > 「すなわち自信あり、と汲んでいただきたいものですねー」
横から響いた声、あるいは感じ取った気配に、口元に鋭い笑みを浮かべたまま振り返る。
印象と視線を欺瞞するための前髪はいまは分けてまとめて、晒す素顔は余所行きであり本性だ。
「そっちこそ、そんな体でまともにテスト受けられんの?
……音に聞こえた落第街のほうでのドンパチ、やっぱあんたか」
視線をその腕に送ってから、顔へと移した。
さしたる心配の念も見せない。目の前の青年は生きているわけだし、もう傷も治りつつあるようだ。
掌に視線を落とす。弾丸を掴んだ時の傷も、もうない。
その手で指をくいくいと動かし、隣のほうに招いてみよう。
■神代理央 > 「成績では無く、素行不良でしょっ引いても良いのだがな。私の所属を忘れた訳ではあるまいに」
晒された彼女の黄金の瞳が己を射抜く。その視線に小さく肩を竦めながら、穏やかな口調で軽口めいた言葉を投げ返す。
「此れでも優等生で通っているからな。極論、単位だけなら間に合っている。利き腕も無事だしな。問題はない」
制服の裾から覗く包帯を軽く掲げて見せた後、何時もの様に尊大な口調と笑みで応える。
そのまま招かれる儘。彼女の隣に歩みを進め、彼女に向けていた視線を歩道橋の下。光の奔流の様に車が行き交う車道へと落とす。
「…よくもまあ、そんなモノが飲めるな。砂糖の入っていない飲料水など、泥水に等しい」
懐から取り出した煙草を咥え、精巧な彫刻の施されたオイルライターで火を付ける。
甘ったるい紫煙が二人の間を漂う中、手摺に置かれたボトルコーヒーに視線を向けて顔を顰めるだろう。
■群千鳥 睡蓮 > 「学園だけでなくこの島そのものが学び舎だというなら――
あたしの学びはここにもある。もちろん落第街にも、その奥にも。
…ご心配してくださってるなら、どうも。
ですけれども、すべては『自責』と弁えておりますので」
言われても改める気はないよ、と悪戯っぽく肩を竦めてみせた。
そして目を瞠る。物言いにではなく、彼が取り出したものに、その挙措にだ。
笑みはにやついたものになる。頬杖ついて、伺うように見上げる視線。
「あんだよ、ミネラルウォーターにもガムシロップ入れてそうな物言いしやがって――
――あ~、いけないんだあ。 風紀委員さんに言いつけちゃおっかな~」
やめろとは言わないし、言いつけるつもりなく、こちらはコーヒーに口をつけた。
まあ……ドリップとは比べるべくもない味だ。なんとなく選んだ。
「そんなもん吸ってるから、これの味がわからない、とは言わないけどね。
やっぱ吸わないとやってられないお仕事、ですか。風紀委員」
■神代理央 >
「ほう?勉強熱心な事だ。まるで模範的な学生の様だ。感動すら覚え
るね。
別に心配なぞしておらぬ。それに、自分の行動に責任を取れるのなら、特段何も言うつもりはないさ。戒めもせぬし、助けもせぬ。それだけだ」
此方とて、改めさせるつもりなど無い。
肩を竦める彼女に緩く唇を歪めつつ、吐き出す紫煙は仄かに甘い。
バニラエッセンスを薄めた様な香りが、周囲に漂うだろうか。
「失礼な。水くらいはちゃんと飲むさ。飲む機会が少ないだけで。
……フン。幾らでも言い付けるが良い。どうせ、咎められる者等おらぬだろうからな」
此方を見上げる瞳を見返し、自尊心と呆れを滲ませた言葉が続く。
風紀委員として、落第街の犠牲を厭わず大火力を投射出来、上層部からの命令には基本的に忠実。今更己の様な"駒"を、喫煙如きで失う様な真似はするまい。とはいえ、こうして喫煙する場所や、それを明かす相手を選ぶ程度には、委員会にも気を遣ってはいるのだが。
「寧ろ、こうして煙で誤魔化しているからこそ、過度な糖分と甘味を求めているのかも知れんがね。
――ん。いや……そうだな。否定はせぬよ。強く肯定もせぬが」
彼女の問い掛けに僅かに言い淀んだ後、苦笑いの様な、或いは自嘲めいた笑みを浮かべた後。彼女からフイと顔を背け、人工の灯でくすむ夜空に紫煙を吐き出した。
■群千鳥 睡蓮 >
責任、という言葉に、駆け抜けた車のヘッドライトに照らされながら視線を向けた。
それに異を唱えるわけでもなく、引っかかったものがあった、という。
それを言及せぬまま、漂う煙に眉根を顰めた。嫌煙家だ。喫煙者が嫌いではないだけだ。
「ちなみにあたしがあの時飲んでたアイスコーヒーもノンシュガーだけど。
ちょっと意地悪か。 こいつが……まあ泥水だってのは否定しないけど。
飲みたい時に、ドリップしたてのが安価ですぐに飲めるなら、こんなもん買わないわ」
お金持ちクンには伝わるかしら。なんて、尊大な口調にもにやついた顔は崩れない。
そうまでして飼いたいか、そんなになっても飼われたいか。
そんな地味な破滅はこの男には求めていないし、と、指先は当たり前のように。
ただ動くだけで隠密に、無駄なく速やかに懐からたばこを一本奪い取ると。
「あんな格好して落第街まで出向かなきゃならないなんて。
あたしにはとても出来やしないわ……いや、本気で感服してるよ。
思ったよりも苦労してんだなってね――おい」
顔を寄せた。体を寄り添わせる。肩を叩いてこちらを向かせた。
口に銜えたそれに火が欲しい。ライターを出す労苦を負わせるつもりはなかった。