2020/07/12 のログ
ご案内:「歓楽街・細い路地」に妃淵さんが現れました。
妃淵 >  
『うぅ……』

まだ陽も高い歓楽街
表通りから外れた、細い路地にて

股間を押さえて蹲る男子学生が2人
そしてそれを見下ろす、パーカー姿の黒髪の少女

「そういうの、他でやってくれよな。フノーにされたくなきゃヨ」

げしげし、目の前の一人に追撃の腹キック
うめき声が更に増える

強引なナンパについていってみれば仲間が待ち構えていて…というありがちなパターン
即座に遠慮なく股間を蹴り上げさせてもらった、というあまりにもそれだけで済む短い話

妃淵 >  
普段ならここまでひどい仕打ちはしない、いやそれは言いすぎか
しつけーナンパだと思ってついていったら財布出せコゾーだのなんだの
男子中学生かナンカだと思っての恐喝だったのが余計に腹たっただけである

「まーいいや、敵を倒したら戦利品戦利品、っと」

蹲ってる男のポケットなんかをごそごそ漁る
財布と、ナイフ。学生証と怪しい包みをゲット

「偽造じゃねーな…こんな連中でもフツーに学生なのかよ」

うへー、という顔になる
やってること二級学生と大差ないっていうのに

妃淵 >  
ナイフを奪われたことを知ると、怯えたような顔をして2人は逃げていった
連中もなんなら異能者なのだろうが、さすがに二度股間を蹴られたくはないらしい

とりあえず戦利品をポケットに雑につっこみ、財布だけを残して中身を物色

「お、さすが歓楽街に来てるだけあってそこそこ…。
 うわ、レシートどんだけ入ってんだよ。モテなさそー」

勝手なことを言いつつ中身を抜き去って、安物っぽい財布はそのあたりにポイした

ご案内:「歓楽街・細い路地」に水無月 斬鬼丸さんが現れました。
水無月 斬鬼丸 > いつものように歓楽街をブラブラと。
テスト期間は昼からブラブラしてても風紀にどやされないのだからいい。
今日は何をしようか。
最近出費がかさんだから金を使う遊びは控えなければ…
などと考えていると…
路地から見た目ヤンキーっぽい学生が二人ほど駆け出していった。
表情からして、喧嘩にでも負けたんだろうか?
こわっ…ちかよらんとこ…
彼らが出てきた路地に一瞥くれて去ろうとする…が、そこには見知った姿…

妃淵 >  
さて、逃げてったやつらが仲間でも呼んで戻ってきたらしめたもの
おまけで戦利品をゲットできるダブルアップチャンスみたいなものだ

と、そう思いつつ路地の入口に視線を送ると見慣れた顔がこちらを見ていた

「あれ」

やや逆光で見づらいけど、最近よく見るフォルムだ

水無月 斬鬼丸 > 「フェイ…?あー…いまのって…」

友達かなんか?
というわけではなさそうだが、今の二人とフェイがなんか関係あるのは
自分でもなんとなくわかった。

キョロキョロと少し周囲を見回してから路地の方へとはいって彼女へと近づく。

「てかこっちまで来てたんっすね
いまのやつらって…その…」

喧嘩かなんかだろうか?
『お客』とのトラブル、とかだったらこう…微妙な顔になってしまうが…。

妃淵 >  
「よぉ、なんだ昼間からー…って思ったけど試験中なんだっけ?」

べんきょーはあいかわらずしないのかよ、と笑って、互いに近づく

「今のやつら?ああ、カツアゲしてきたからタマ潰してやった。
 ったくやってることがスラムの連中と変わらねーな。って呆れてたトコだよ」

心配でもしてくれたのか?と顔を覗き込む

水無月 斬鬼丸 > 「そっすよ。まぁ、普段も午後サボってることありますけど」

歩み寄ってくれば、間違いない。
赤い瞳に小さな体、声の調子
なんかそれだけで嬉しくなる。

「カツアゲっすか…この辺でもあるんっすね。
つか、怪我とか…はまあしてないっすよね…
その、心配では…まぁ…ぅん…」

顔を覗き込まれると少し照れたように視線をそらし

妃淵 >  
「ここらでもあるっつーか…、俺がスラムのほうから来てたの見てたんじゃねーかな」

二級学生と見ての行動
一般学生の中には二級学生と見れば異能を使って脅して、なんてのもいるのだろう

「怪我はねーなー、異能使うヒマもやらなかったし。
 ま、心配してくれてさんきゅ。このへん歩くなら斬鬼丸も気をつけろよ?
 なんかお前いまいちナヨっちいし… ん?」

いつもどおり、歯に衣着せぬ物言いをしつつ
視線を逸らす先にどうした?といった感じで移動して覗き込み継続

水無月 斬鬼丸 > 「はー…そういうやつらもいるんっすね…
暇な連中…」

スラムとかはたしかに怖いところというイメージがあるが
前にNullsectorに連れられて知った。
あそこは"行き場のない"連中の集まりだと。
だからこそ、それを食い物にするやつもいるんだろう。
ちょっと嫌な気分だ。

「怪我なかったってなら良かったっす…
まぁ、俺はそうなったら頑張って逃げるんで
フェイもきをつけ…わわわ!?」

覗き込まれると顔がさらに赤くなる。
いけない。
意識してしまっている。

妃淵 >  
「ま、しょうがねーよ。スラムの二級学生の話なんてヒドいのはもっとあるぜ?
 なんせ俺らは学園にとっては『いない存在』だからな。何されてもお咎めなしだ」

暇な連中、というのは的を射ている
実際そういうコトをやったり、やりにくる連中はただただ、ヒマなのだろう

「…‥あ?何慌ててるんだよ…」

先回りして覗き込んだら、顔を赤くして慌てている
よくわかんねーやつだなー、とぼやきつつパーカーのフードを脱ぐ、ぱさり

「あ、さては前1万払った時にやっぱヤっときゃ良かったなんて思ったナ?
 あれはオマエがあれでいいーって言ったんだからな~?」

もう時間切れだぞー、とからかうように笑う

水無月 斬鬼丸 > しょうがない。
たしかにそうだ。自分が義憤に駆られたところで
フェイがそう扱われていることを不満に思ったところで
何が変わるわけでもないし。

「記録になけりゃ何してもいいってわけじゃないっすよ…」

やられた側は覚えている。
いじめだってなんだってそういうもんだ。
それはそれとして、赤くしてそらした顔
覗かれればもう耳まで暑い。

「…ぁー…その……まぁ…は、ははは…」

そりゃそうだ。
フェイとしたくないかと言われりゃシたいにきまってる。
決まっているが…

「あ、あれはあれでいいんっですって!!…えーと…きょ、今日はこのあと…
暇、だったり…?」

妃淵 >  
「案外二級学生に知り合いも何もいなけりゃ
 全然そう思わなかったりするもんだぜ?」

自分に関わらないことには、意識すらもしないのが人間だから
両手を頭の後ろに組み、そんなことを言えば、視線はようやく外してもらえる

「まーヒマだけどさ。…なーんか、オマエ様子ヘンだな?
 さてはなんかあったろ?」

鋭い…というよりは、前別れた時と明らかに斬鬼丸の様子が違うせいだろう

水無月 斬鬼丸 > そんなものだろうか。
いや、そんなものだろうな。
そもそも、一般だとか二級だとか…そんなことすら今まできにしてはいなかったし。
当事者であるフェイとしては
実感あっての言葉なんだろう。

複雑な心境のまま外れた視線にホッと胸をなでおろせば
どストレートに突っ込まれる

「んなっ!!?えっ…あっ…なっ、えぅ…」

あった。
そりゃもう、あった。
あったが正直人様に言えるようなことではない。
赤っ恥もいいところだ。
それと、心境の変化の方に関してはもっと言えない。

妃淵 >  
「いやいや、わかりやすいよなー、オマエ♪」

ニヤニヤしながら、
両手を頭の後ろで組んだまま、壁に寄りかかって

「狼狽えすぎなんだよなあ。
 いーよ、俺には正直に何でも言えば。
 好きなオンナでもできたんだろー?」

明らかに異性を意識した様子から、そう推察するのは容易い
まぁ、それが自分に向いているとは全くもって意識外なのだが

水無月 斬鬼丸 > 「そ、そっ↑すかねぇ」

あからさまに声が上ずっている。
普段の様子なら否定できたかもしれないが
今の自分の様子をはたから見れば
丸わかり、モロバレ、わかりやすいの一言に尽きる。

「……ぁ……ぁぁ…
えぇっと…ぁぁ…その…
は、はい………」

鋭い。
いや、経験則とか話術的に
それすらも分かってしまうほどに態度に出ていたのかもしれないが…
その指摘に顔を真赤にしたままうつむいて肯定。

妃淵 >  
「なーんだヨ、やっぱりなー。
 ま、オマエも健全な男子ガクセーだったってことじゃん」

良かったジャン、と壁から離れて、胸板を軽く小突く

「だったらさ、良かったんじゃね?
 スラムの二級学生相手にドーテー捧げたなんて、
 好きな女が出来たらイヤな思い出に化けちゃうだろうしな」

言いつつ手を伸ばし、以前キスマークをつけた首元にすす、と指を這わせた

水無月 斬鬼丸 > 「っ……!!」

こづかれた胸板
その奥がやけに熱い、いや、痛い?

「ちがっ!!そうじゃ…そんなんじゃないっす!!
俺、俺が好きなの…!その……
フ……に、二級学生…っすから…えと…
嫌とかそんなんじゃなくて!!!」

触れられた首元。
指を這わせたままうつむいてた顔を上げて。

妃淵 >  
「……あン?」

しどろもどろの否定に首を傾げる
なんか、やっぱり明らか様子がおかしい

「……あー…」

なるほどな、と
フェイエンはそこまでニブいほうではない、むしろ敏い
ただまぁ…フクザツである

「──…オマエはソレでいーの?」

手を離し、頬を小さく掻きながら視線を外す
明らかに、感づかれた

水無月 斬鬼丸 > 「え…?」

あれ?
これ、まさか?
あれ???
気づかれた?
いや、そんな…でも…

「………んっ…」

息を吸う、つばを飲む

「好き…に、なったんで…いいもわるいも、ねぇっす…」

今度は視線を外したフェイをこちらが見つめる

妃淵 >  
「好きになったから、って言うけど。
 オマエの周りはそーは思わねーぞ」

横へ外した視線を、再び向ける
見慣れたハズの、赤い瞳

「周りの言うことなんてカンケーねー、とかは、
 周りに生かされてるうちにゃ言えねーだろ」

もう一歩、距離を詰める
お互いの息がかかるくらいに、顔が近く

「それが一時の気の迷いかもしれねーって、感じなら。
 俺はトモダチとしてオマエの汚点にはなりたくねーな」

なんだかんだ、オマエと遊んでるとスラムにいるよりタノシーんだヨ。と屈託のない笑みを見せる

水無月 斬鬼丸 > 彼女の言うことはわかる。
彼女はそういうところで生きて
自分は学生で…いいようには思われないだろう。

「俺、俺だって…フェイと一緒にいるのが……
楽しくて…嬉しくて……フェイにふりまわされてんのも…
なんか…好き、なんっす…」

感情が、想いが爆発しそうだ
近い。
その瞳をまっすぐ見つめたままで

「周りが…そう思っても関係ない、なんて言えない…
けど、でも…その……好き…なんっす!
認めさせる、なんて偉そうなことも言えないけど…
フェイが…フェイがそう思ってくれてんなら!
いっしょに……いたいんだ…」

あまりにも不器用だ。
考えだって至らない。
彼女はもっと、深いところを見てるんだろう。
一時の気の迷い…そうじゃないなんて言えるほど、経験があるわけでもない。
でも、彼女は笑ってくれてる。自分と遊んでいる時間が楽しいといってくれている。
笑ってくれる。
その笑顔をずっと見ていたい。だから…

「俺、フェイが好きだ…」

笑顔のフェイに対し、斬鬼丸の目からは涙がこぼれていた。

妃淵 >  
「──ま、いんじゃねーかナ。
 俺はほら、もう大分スラムにいるから、ちょっと考え方がオマエとは違うんだヨ」

泣くなよー、とパーカーの袖でぐしぐし斬鬼丸の顔を拭いてやりながら

「けっこー、まだ距離あると思うぜ?俺とオマエ。
 コッチにゃ俺の住むトコねーから、いつ会えるかもわかんねーし。
 ……多分、そーとークルシー思いする気がするぜ。斬鬼丸」

会いたい時に会えない
もっと会いたいと思っても会えない
いつも一緒にはいれない
そんな状況を、年頃の学生がどれくらい受け入れられるのだろうと

「とはいえ自分のキモチに嘘つくのもちげーもんなあ……。
 俺は、正直よくわかんねーからさ…異性としてのスキキライ。
 だからまぁ、教えろヨ、オマエが、俺に」

まだ泣いてんのか?と自分よりも随分上にある顔を両手で左右からがしっと捕まえる

水無月 斬鬼丸 > 自分が立場を捨てる。
彼女を養う。
スラムに自分も移る。

きっとどれも違う。
きっとどれもできない。
自分にできることは…彼女の言う苦しい思いをしながら、フェイを好きでい続けること。
一時の気の迷いでないことをみせること。

「そ、そんときは…また、メールでも送るっす。
たまーに泊まりに来るくらいなら…その、俺の部屋とかでもいいっす…
そりゃ、その…ずっと一緒にいたいし、会いたいけど…
フェイにはフェイのやり方や生活があるから…俺はそれをよくできるほどお金も立場もないから…」

それをどうにかできるようになる…と口にするのはかんたんだ。
だが、学園のシステムをどうにかするなんてのは不可能。
人一人を底辺から引き上げるだけの金を捻出するのも同様だ。
だから、いつか、彼女の隣に行けるように…それまで…苦しみに耐える。

「…」

パーカーで拭われてもあとから涙が溢れてしまう。
捕まえられた顔の前には、フェイの赤い瞳。
きれいだ。

「フェイ…好きなんだ…」

その瞳に吸い込まれるように顔を寄せて、少女の唇に震える唇を重ねる。

妃淵 >  
震えながら重ねられる唇
抵抗したり、避けるなんてことはしない
コイツにしては、随分勇気出したんだな、と
目を細めながらそんなことを考えて───

数瞬の後に互いの顔が離れる

「……っは。
 いきなり頑張るじゃん。斬鬼丸」

クス、と微笑んで、頬を撫でた
もう涙は止まったかな?と顔を見つめて

「オマエが俺のことスキなのはじゅーぶん伝わったヨ。
 恋とか愛とか、縁がねーもんだと思ってたからなー…。
 まぁ…ちょいと時間はかかるかもしんねーけど。答えが出るまではオマエのコト、キープさせてもらうわ」

微笑みが一転、色づいた笑みへと変わる
たじろぐヒマも与えず、抱きつくようにしてその首元へとキス
前よりも目立つ場所へ、マーキング──前よりも強く、そして

「こっちもキープだ。…勝手に使うなヨ?」

むぎゅっ、と股間を乱暴に鷲掴みにされる

水無月 斬鬼丸 > 「…心臓…破裂しなくてよかったっす…」

唇の感触…柔らかかった気がするけど
味も何も覚えちゃいない。

彼女の赤い瞳とは違いもっちは泣きはらして目が赤く腫れていた。
撫でられた頬がくすぐったい。

「…キープ…は、はい!そ、それでもいいっす!!
えと…が、がんばるんでっ!?」

フェイの笑顔。
それを見ただけでまた泣きそうになった。
だが、次の瞬間、その笑顔は目の前から消えて…
首元に触れていた。今度は、わかる。マーキングされたことを、そして…

「…よ、予定は…ないんで…」

彼女の手が触れるとすぐに張り詰めてしまうあたり、キープできるか心配なところだ。
仕方ないだろう、好きな子が触れてるんだから。

妃淵 >  
「おう、頑張ってくれよナ。俺は何にもわかんねーんだから、
 スキな相手が出来たってことに関してはオマエのが経験者だ」

身体を離し、どすどすと胸板を小突いて

「コッチの距離ならいくらでも縮められて楽なモンなのにな」

にやっと笑う様子はたいへんに蠱惑的な笑み
そのままくるんと回転するようにして、腕を組む

「キープしとくだけじゃもったいねーし。
 とりあえずコッチの距離から縮めとくか?ヒマなんだろ?」

ぎゅむっと柔らかいものを腕に押し付けながら、見上げて

水無月 斬鬼丸 > 「俺も経験的には初めてなんっすけど…」

小突くにしては衝撃が重たい。
フェイも照れているのだろうか?
いや、そんなことはないか…

「ソッチはっ、ええっと、まぁその…」

楽に縮められるというのはまぁスラム的発想なんだろう。
こっちはそもそもそんなに遊んでないというのに!
わかっていってるのだから、真っ赤になりながらもむーっと不満げに

「へ!?いまっ、いまからっすか!?
昼、昼間っ、…てか、その…
前も言ったとおり…フェイが…したいってなら………は、はい…」

柔らかな少女の体。
見上げる瞳。
何もかもが愛おしい。抱きたい。好き。
頭に血が上りすぎて鼻血出そうだ。

妃淵 >  
「金ねーんだろ。ネカフェでもいこーぜ」

ボックスはさすがに店員凸がありそーだ、と
腕を抱き込んだまま、いつもどおりぐいぐいと、歩幅を広めて路地から歩み出す

フェイエンの中ではまだ友人との区別はついていない
が、顔を真っ赤にしたり涙を流したり、
向けられている感情が友人のそれでない、ということは流石に理解る

わからないものは知ればいい
変化も可能性も感じないスラム暮らしから少し面白い方向に道が開けたかもしれないな、と
そしてその道をこじ開けてきたのは、間違いなくこのやや情けない少年だった

この後少女と少年がどういった距離の縮め方をしたのかは──また別の機会に

ご案内:「歓楽街・細い路地」から妃淵さんが去りました。
ご案内:「歓楽街・細い路地」から水無月 斬鬼丸さんが去りました。