2020/08/19 のログ
紅葉 >  
「……それに、相談する側と一緒に呑むんも決して無駄やないんやで?」

テーブルに頬杖をついて見上げるような姿勢。
薄く開かれた睫毛の下からは真紅のがちらりと覗いている。

「酔うと気持ちが大きくなって……普段言わん本音が口から漏れたりするさかい。
 酒の力を借りる、って言うやん? 一種の薬みたいなもんや」

先程から酒を勧めてきたのにはそういう理由もあったらしい。
とはいえ強要はしない。気持ちよく飲めない酒に意味はないのだ。

「ま、個人の趣味にまで口出しはせぇへんよ。
 それこそ、あちこち回って探してみるのもええかもな。
 意外なところで一生もんの趣味と出会えるかもしれへんよ」

そう言って、アドバイスは終わりだとばかりに残った酒を一気に呷る。

葉山翔一 > 「……それは少しは納得できたよ」

酒とジュースという違いがあるがこういう席で出なければ離せない事も確かにある。
酔っているのに真面目な言葉に見返すと薄く開かれた睫毛の奥に真紅が見え。

「そう言うもんなのか?俺はそこまでそんな事がないからな…。
酒の力を借りたら酷い間違いをやりそうな気がするんだよな」

つい時々飲んでいる事を口にしてしまい、理由を聞けば納得も出来るは同時に酷い失敗もしそうな予感。

「そこまで言われたら俺も困るって。
でもまあ……助かったよ。少し探してみる事にするな。
それで一生ものの趣味と出会えたら最高なんだけどな」

違いないと笑えばいつの間にか空になっていた枝豆の容器をおし、コーラを飲みつくして。

紅葉 >  
「そん時ゃそん時、酒の勢いってことで笑い話にしたらええ。
 なんなら今度は相談なしのサシ呑みでもええんやで?」

くつくつと笑って、飲めそうな気配に口角を上げた。
お互いグラスが空いたところでテーブルを片付け始める。

「くふふ、うちの方こそ奢ってもらっておおきに♪」

おつまみ代は勘定に含まれていないので、お札を一枚置いていく。
釣りはええからまた付き合うてな、と言い残して店を後にした。
すぐに追いかけたとしても付近に彼女の姿はなく、視界の隅を淡く光る蝶が一匹、ひらひらと舞っているだけだ。

ご案内:「歓楽街」から紅葉さんが去りました。
葉山翔一 > 「その時はそれでいいんだけどな。素面になったら恥ずかしいだろ。
…次は奢らないからな?」

今日は話を聞いてもらったから奢るんだと告げ。
グラスが空になってしまえばお開きの合図。

「話を聞いてもらって何もなしってのも悪いしな。
って、俺は奢るって話だろ」

置かれたお札に慌てて店を出る女性を追うがその姿は見つけられず。
目に付いたのこの場では珍しい蝶の姿。
この金は次に会った時に返そうと考え支払いを済ませれば塒へと戻っていき。

ご案内:「歓楽街」から葉山翔一さんが去りました。