2021/01/17 のログ
羅刹 > 誰の介入もなく、闇に紛れた蜥蜴たちによって。
新たに行方不明者が出た、と…ニュースが報道されることになるだろう。

ご案内:「歓楽街」から羅刹さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」に照月奏詩さんが現れました。
照月奏詩 >  
 風紀委員や多数の野次馬。中には危機感無く写真などを取っている者もいるかもしれない。
 そんな中でこの男は違った。野次馬にまぎれるように立ってこそいるが目つきは完全に周囲を偵察する目つきだった。

「……おそらくは」

 彼がやっていたのはルート検索。
 噂によれば煙にまぎれ複数名が拉致されたとのこと。不幸な事件と言えるが……犯人グループのアジトを調査するタイミングとして今を逃がす事はできなかった。今まさに蜥蜴の尻尾がちらついているのだから。
 ここは落第街に近くとも、別の街。そしてここから複数名を拉致し連れ去る。
 そんな芸当をできるルートなどそうは多いわけではない。表に生きる者達ではそれはわからないかもしれない。だが。


「……裏路地を抜けて、落第街に入り込む。そこに運搬手段……車か能力者を用意しておく。風紀がやってきて調査するまで10分以内。そこから考えると」

 風紀の目を盗み路地へと入っていく。自分がこの作戦を複数名で行うのならというルートを頭の中で構築しその道を進む。

照月奏詩 >  
 たとえ眠らせていたとしても人というのは決して軽いものではない。160cm近くから大きければ180cm、重さでは40後半から80kg近い物。それが人間だ。
 それを無抵抗だとしても抱えて遠距離を迅速に移動するなど簡単な事ではない。
 
「ってなると……この辺りのはずなんだが」

 落第街に面した路地。それこそ一歩でも曲がればもうそこは闇の一丁目。
 そしてある程度の広さがあり、なおかつ入り組んでいる。
 熟知している人間ならそこを”道”と呼ぶだろうが知らない人間からすればただの路地。しかも歓楽街との違いすら分からないだろう。
 もし自分が今回の作戦を行うのならこの道を通る。ここならば風紀を出し抜けるし、ここを抜けてしまえばあとは車なりなんなりでやりたい放題だ。
 ホントはさっさと中に入っていきたい所だが。今は入らない。今の自分では戦闘も行えないし、ここから風紀が流れ込んでいく事態は自分たちとしても非常にまずいから。
 それにそもそもここが正解などという保証はない。ここに類似した道など他にもいくつかある。そのどれかが正解なのだろうが……不正解の場所の前で騒動を起こすのはよろしくないだろう。

ご案内:「歓楽街」に羅刹さんが現れました。
羅刹 > (ボス。…ちぃ、っと通り道に…何か探してる奴が居ますが、どうしますか
…腕章は…無いようですが…)

(…野次馬と判断つかねぇな。
軽く通りがかって反応見て…遠くから見てみろ。
何か探してんなら、何かしら始めるはずだ。仕掛けてくるようならそのまま逃げろ)

(了解)

その路地は…以前から『蟻』が物資の運搬にも使っている路地だった。
だからこそ、今回の拉致にも使用された…信用できる道だ。
そしてそこに、遊び目的では無さそうな影があれば警戒するのは当然。

丁度、蟻の一人から報告を受ければ羅刹は指示を出す。

『蟻』 > 「ちょいと失礼。どいてくれー」

そんな緩い声を出しながら、フードを被った青年の前を…一見、普通の宅配業者のような恰好をした男が通り過ぎていく。
特に薬物の匂いなどはしないが…珍しいと言えば珍しい姿。
本来であれば、もう少し表側を通るのが常だ。

しかも、位置的には見えないだろうが…青年のそばを通り過ぎ、角を曲がったところで足音は途絶える。
そこで隙を見計らって、青年の反応を見ている。

(さて、どうなるか…。腕章付けてねーなら、示威行為はできねぇ。
…風紀じゃねーのか?)

その報告を受け取るため、『盃』を繋げつつ…羅刹とその『蟻』は青年を観察する

照月奏詩 >  
「っと」

 と声をかけられ自然な動作で横によける……が、自身としてもおかしい事には気が付いている。
 場所と恰好ももちろんだが。足音も含めておかしな点がある。一瞬考えた後に。

「ちょ、ちょっと兄さん兄さん! そっちから入ると危ないぜ!」

 と声をかけながら追いかけるようについていく。
 念のため服の下。急所となる胴体部分には能力を発動しておく。最悪の場合の防御手段だ。

「そっちの方は落第街に通じてる道なんだよ。だからうかつに入ると荷物届ける所か服までなくなっちまうぞ。案内するから待てって!」

 ある種カマかけのようなもの。これを知っているというのはつまりこの道を通ったことがあるという証明になってしまう。故に相手がそうかどうかを探るための餌。
 しかし知ってか知らずか。相手の調査に乗る形にもなってしまう為餌に食いつき餌を投げこむという変な構図になった。

羅刹 > 青年が追いかけてくることを知れば、配達員は…わざとらしく、声を聴いて止まったかのように振り向く。

(……なるほどな。警戒しろ。そいつ、なんでか『知ってやがる』)

(そりゃ、たまんねえですね。…いざというときは荷物捨てて逃げます)

(ああ。そこはいつも通りだ。だが…少し探りたい。案内受けて、なんで知ってるか聞き返せ)

蟻からの報告を受けて、羅刹はすぐに指示を出す。

『蟻』 > 「え?本当ですか?いやー、俺新人でねえ。ちょっと迷っちまって。
お兄さんが居て助かったー。じゃあお願いしようかな?」

配達員の年齢はフードの青年より多少高いくらいか。
身長は、青年より同じくらい。
そんな配達員は両手で抱える荷物を軽く揺らして笑う。

青年が案内を始めるなら、それに大人しくついていくだろう。

「いやぁでも、よく知ってるねえ。この辺入り組んでるから、そんなにぱ、っと言えるのすごいよー。
あ、もしかしてお兄さんも『この辺』の人かい?」

そうして、カマをかけ続けていく。
今歩いているのはいわゆるグレーゾーン。
常世島の…表とも裏ともいえない場所だ。
その問いに、どんな反応を見せるか、蟻は観察する。
特に相手を害するようなモーションは起こさず、ただ、歩きながら。

照月奏詩 >  
「ああ、なるほど。だからここを使ったんですね。ホント危険なんでやめた方が良いですよ」

 なんて言って人のよさそうな笑みを見せる。
 荷物を揺らした音に耳を傾けるも中を特定はできず。無念。
 この辺と言われれば首をひねって。

「この辺と言えばこの辺ですよ。たまーに落第街の方に仕事で掃除に出るんで。その時に覚えたんですよ」

 などと言うが。そんなたまに向かう程度で覚えれる道かどうか。そもそもたまに向かって無事でいるという事など色々と自分で言っていても不振だ。
 だが、バカ正直には言えない。最悪2級学生という事くらいは明かしても良いかもしれないが。

「そういえばお兄さんはどこ向かうんですか? って宅配なのに住所聞いたら不味いか。この路地抜けるまでで大丈夫ですか?」

 それ以上は俺も危険なんでと苦笑いを浮かべていた。

羅刹 > (腕章はつけてねーが、掃除、か。……ちょっと探り入れるか
……蟻、その中身はSpiderだったな。…言いたいこと、わかるか?)

(わかりますけど、勘弁してくださいよー。
…いやま、…俺も正直、『そう』なら奴らにゃムカついてるんで、いいですけどね
でも、後で酒ください、酒)

(…ああ。わーったよ。8年モノ空けてやる)

異能が発動していることを何らかで察知できなければ存在すら知ることができない異能で会話を続け。
蟻は、更に相手と会話を続けていく。
一つ、蟻は息を呑んでから。

『蟻』 > 「いやあ、それでも届けなきゃならんからねぇ。これを待ってる人が居るからね
って、お兄さんもこの辺で仕事?掃除って…大変だねえ」

てくてくと、歩きながら、機を伺う。
やりたいことは定まっている。後は実行し、対応するだけだ。

「ああ、俺は…歓楽街の△△△って店さ。もちろん、それで大丈夫。ありがとねー」

やけにすらすらと、店の名前を言う男。
それは、風紀委員などに咎められた際のダミーの配達先だ。
荷物に貼られている送り状にも、その名前が書いてある。
と、そこで…

「おっと、とっ!」

男が、何かに躓いた風によろけ、荷物が壁にぶつかり…
強い衝撃を与えた拍子に、その中身…透明の袋に包まれた、黄色の錠剤が少し顔を出す。

(……やばそうなら逃げる、知らないならそのまま案内を受けてダミーへ。
やばそうなら逃げる。知らないようならそのまま案内を受けてダミーへ…)

「いやあ、ごめんごめん。うっかりしちゃった。
会社にはしー、ね?箱を壊したとか言ったら怒られちゃうからさあ」

心の中では、緊張を高めながら。
なんでもない、ただのミスを装いつつ、また歩き出そうとするが。
青年の反応次第で、逃げだす算段を立てていて。

照月奏詩 >  
「あはは、まぁでも割が良いですから。ほらクリーンダスターズって所なんですけど。聞いたことあります?」

 2級学生だろうと履歴書不要で入れる日雇い掃除のバイトの名前を出す。
 もし2級学生と言うことを明かす事になった際の伏線もここに用意しておいて歩みを進める。
 別にここは黒い場所でもないので気軽に名前を出せる。
 だが見えた錠剤に一瞬息をのみかけるが。それを無理やり飲み下す。見破られただろうか。
 
「まぁこの辺道も悪いですからね。仕方がないといえば仕方がないですよ。それにしても薬を箱一杯とは。また随分と苦労している人なんですね。ああ、もしかして」

 少し危険かもしれない。だが押すならここだろうか。
 一瞬息を吸い込み。吐き出す時に口を開く。

「最近なんか物騒らしいですし闇病院とかに届けるんですか? ほら、つい昨日も拉致事件があったらしいですし。風紀委員のなんとか広報課? とかいうのが暴れて無関係の人もけが人が増えてるとかなんとか」

 相手が違反組織である場合風紀を正義に立てるのはよくない。だから両方を出して。むしろ風紀を少し批判するような言い分をしてから笑って。
 だがそもそも無関係なけが人が多いなど少しだけ裏に詳しすぎるという面もほのめかす。

「……まぁあんまりよくない薬も広まってるらしいですけれど。たしか同じ黄色い錠剤の……なんだったかな。ス、ス……スパイダー? だったかな。もしかして騙されてるだけで宅配を任されていた。なんてね?」

 と笑うようにして相手を見る。
 見るのは相手の表情。名前を出して反応したかどうか。

『蟻』 > 「ああ、あの!結構雇用条件緩く設定されてますよねえ…
いやでも、落第街とかに寄らなきゃならないなら俺は勘弁だなー」

などといいながら、仕掛ける。
そして…それを露にした後の、反応を見る。
更にそれを『盃』を通して直接羅刹へ伝え。

羅刹 > (…………ああ、そうか。…いや、違う、な。
蟻、…こいつぁ少なくとも『過激派』じゃあねえ。Spiderの情報はもう漏れてる
『奴ら』なら、もうお前に何かしらのアクション起こしてるだろ。
なら、考えられるのは…探りに来た風紀委員。
荒事を起こす気がねー奴。……それか、可能性は低いが…別の組織のやつだ。
さっきの掃除屋も、二級学生やら、訳アリの奴を雇ってるからな…)

さて、どちらだ、と羅刹は迷う。
同じような組織の者なら風紀への対抗心を煽り、味方につけることもできるだろう。
しかし、敵対組織、あるいは風紀の密偵だった場合。
情報を渡すことは危険だ。

(……蟻。そこに荷物置いて、すぐ逃げれるようにしろ。それから―――)

(…了解、ボス)

『蟻』 > すると、青年からしてみれば唐突に。
配達員が荷物をそこに置く。

「……いやあ、そうみたいですね。困ったなあ…。
……お兄さんも、詳しいですね。
もしかしたらお兄さん、その何とか広報部に居て…、探ってるとかだったりして。
それならやばいなぁ、俺、逮捕されちゃう?………それとも、そんな有名な薬なら…これを奪いに来た人、とか」

よくない薬、と聞いても、配達員は動揺しない。
そして…

言葉は優しいまま。
雰囲気が剣呑になっていく。
ただ、直接仕掛けはしない。
相手が風紀委員であった場合、一太刀で切られて終わりだろう。
だから、探るだけ、探る。じり、と足に力を入れ…何か不審な動きを青年がしたならすぐに駆け出すために。

照月奏詩 >  
「……安心してくださいよ、風紀委員じゃありませんって。むしろ風紀委員が2級学生も働ける店で掃除やってるって意味不明じゃないですか」

 とケラケラと笑ってから。
 荷物に目を落として。

「でも、荷物を置いたってことは……予想的中って感じですかね。大丈夫ですよ、私は中立ですから……私みたいに歓楽街や落第街で働いている身としてはどっちも等しく迷惑だってだけですから」

 中立と言いながらも言い分としてはむしろ双方に敵対しているといわんばかりの発言を言って。
 それから少しだけ笑う。

「ただ暴れるだけの風紀も、それに反応する組織も……静かに生きたい人にとっては困るだけなんですよ。本当に」

 と今度は溜息を吐き出すように言い放つ。これは自分の言葉ではない。自分が知っている裏で生きるしかない存在。その中でも戦う力もなく食われるしかない弱者の声だ。
 というとトントンと跳ねるように後方に。そして両手を上にあげる。交戦する意思はないという事だ。

「それで、正解だったんです? まぁお兄さんは”無関係”でしょうしその届け先だって大方”ダミー”で通報しても意味なんてないからしないですけれど」

羅刹 > (……妙な奴だな。
ここで、『どっちでもない』と来やがった)

いや、どっちつかずな立場の者、というのは確かに居る。
風紀に歯向かう気力もなく、かといって表に戻る気力もない。
ただ…共通しているのは、そういった相手は大抵無気力さを前に出しているものということ。

しかし、中立を謳うこの相手はそんな無気力さを感じさせないようだ。

『蟻』 > 「はは、は。いや、潜入捜査とかね、あるかもしれないじゃないですか
ってことは、俺は逮捕されたりしないんですね、あー、よかった。
……………はは。」

(あたりだ、ってくらいは言っていいぞ。わかってるだろうが組織の名前は言うなよ
後は―――)


「……ええ、当たりです。ただ、私は『騙されただけの運び屋』ですし
…それでも一つ、言っておきましょう。『アブナイ人たち』は、今でこそ、ここで活動していますが…ここを『出ていく』算段を付けているようですよ?
だから、きっと準備が早く終われば終わるほど、お兄さんの望む静けさは早く帰ってくるでしょうね
できれば、『協力』してあげては?……では、俺は配達がありますので」

言いたいことだけ言って。蟻は再び荷物を持ち。
今度は『慣れた』足取りで、路地裏へと歩いていく――

照月奏詩 >  
「ええ、刑事課とかはそういう事やりそうですからね」

 なんて笑ってから。相手の言葉をかみ砕いて飲み込む。
 少し待ってくれと一声かける。

「少し前ならそれもありかもしれないなって思ってた。けど今はもうできなくなってしまったんです。もし届けるならぜひとも気をつけろと。表にあまり手を出さない方がいいとお伝えください」

 と今度は今までのような人のいい笑顔ではない。
 明確な裏の世界の顔で声を出す。

「……あくまで噂だ。あの街には行き過ぎた悪を討ち取る悪の組織……裏切り者達がいるという噂だ。それは裏世界の秩序を乱したものを決して許しはしない」

 そして手を下ろし逆方向に足を進める。

「もし表をこれ以上刺激して……風紀委員を大量に呼び込むような事があれば。あんたたちの首をもって。風紀への謝罪に使われるかもしれないぞってね。まぁあくまで噂。笑い話の世界ですよ」

 と最後の最後に普通の元の話し方へと変えたのであった。

羅刹 > (…ちっ。面倒くせえことだ。
…まあ、いい。そのままこっちにこい。そいつは手出ししてこねーだろうさ)

業務続行の指示を出す羅刹。
それを聞いた蟻は、ゆったりと…呼び止められるまま、立ち止まり。

『蟻』 > 「ご忠告、痛み入ります。確実に、伝えておきましょう
…ただ、もう歩みは止まらない。秩序など、ここにあるのですか?
…それならば…反抗せず、ここに居るというだけで風紀委員に嬲られ、蹂躙され、表から蔑まれろ…という主義なのでしょうか。
面白い組織ですね」

配達員は。
今度は『自分』の言葉で笑う。
憎しみが籠った、声で。

「では、今度こそ失礼します。面白い笑い話、ありがとうございました。
『そちら』にもよろしく」

丁寧にお辞儀をして。
話を聞いた配達員は、そのまま歩いて行った。

照月奏詩 >  
「……私はあくまで表の存在。だから裏の秩序というものがわかりません。ですが……そこにも生きている人はいる。きっとそこに秩序はあるのでしょう」

 とのべてから。
 少し笑って振り返る。

「もし蹂躙されるのなら。そのジェヴォーダンの獣は今度は蹂躙を行う風紀委員に襲い掛かるでしょう。光と闇、双方が正しくあり続けるために」

 争うなという事ではない。だが大規模な戦争は間違いだ。
 光だけが滅んでも闇だけが滅んでもそこには無しか残らない。光があって闇があり闇があって光があるのだから。
 そんなような事を少しとぼけたように返した。
 その噂の正体を未確認のUMAに例えて。

「もしそうなれば。あなた方の仲間として獣は現れるかもしれません……できればそうであることを願っていますよ。お兄さんは知り合いになりました。だから死んでは欲しくないですから。2級学生からのささやかなお願いです」

 と言って見送るとこちらも歩いていくだろう。

ご案内:「歓楽街」から羅刹さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」から照月奏詩さんが去りました。