2021/04/14 のログ
神代理央 >  
「…まあ、前線組は怪我をしてから一人前とも言いますしね。
先輩の実力は良く知っているので、余り強くは止めませんけど。
それでも、御家族や御友人の為にも。いざとなれば撤退する事も、きちんと考えて下さいね」

頬を掻く彼女に、小さく苦笑い。
とはいえ、その言葉を否定する事はない。やんわりと、再度無理をしない様にと願う言葉を告げるに留める。
実際、自分達の様な前線に立つ者が我が身可愛さで行動していては学園の風紀は守られないのだし。

…その一方で、やっぱり自分の体型や魅力に何処か無頓着な様子の彼女には、決して気付かれぬ様に内心溜息を吐き出すのだろう。
彼女とチームを組む時にやたら緊張していた同僚の姿を思い浮かべながら。
まあ、彼女に熱情極まって手を出そうとしたところで――投げ飛ばされるくらいで済めば、温情なのだろうし。

「…私も先輩の考えを否定するつもりはありません。
けれど、私達が第一に守るべきは奴等ではない。
私達は、常に天秤にかけなければならないんです。堕ちた先で犯罪に手を染めた者と、毒牙にかけられる者と。
そして、両方救えないのなら、必ず天秤は傾かなければならない」

「……けれど、先輩の考えを『余計なこと』だとは決して思いませんよ。
皆が皆、私の様な考えになってしまっては息苦しいだけです。
救いの手を差し伸べることだって、時にはきっと必要でしょうし」

飴と鞭、というわけでもないが。
彼女の様に、違反生に歩み寄る事の出来る者もまた風紀委員会には必ず必要な人材である、とは理解していた。
寧ろ、本来は己の様な思想の人間が肩身を狭くするべきなのだ、とも。
それが叶わないのなら、そうなるまで力を振るうだけ。
ぽつりと零した言葉には、己の言葉を受け入れてくれた彼女に零す僅かな弱音が――含まれていたのだろうか。


「……あの、いや、その。体術の指南は是非お願いしたいところではあるんですけど。
女の子でも使えるような技って、どういう意味です?」

頼れる先輩に向ける表情は、ジト目。
そっと己の腕に視線を落とす。細い。
もう一度彼女に視線を向けて――頭一つ以上背の高い彼女を見上げている事に、深く溜息を吐き出した。

伊都波 凛霞 >  
「──うん」

一言、そう返す
それは清濁飲み込んだ上での、簡潔で確かな、肯定の言葉
ほんの僅かに漏れた少年の弱音だって、簡単に受け入れてしまいそうな笑みのまま…

「組織、チーム。
 違う考えで邁進する仲間がいたほうが、何事にも柔軟に対応できる」

反目しすぎない程度ならね、と付け加えて、そう言葉を綴る
衝突するばかりでないメリットも確実にあるのだと
幾度かの会話や実体験を経て…自分なりに『大人の意見』というものをもつことができた…気がする

「…あ」

失言にはっとする
華奢な少年である理央を見ていてつい口に出てしまった
他意はないといえば、ないのだけど

「い、いやあ、ほら。風紀委員の男の子ってそれなりに体格が良かったりするから。
 理央くんは小柄だし、体格にあった技のほうがいいかな…なんて …ゴメンナサイ」

並べば自分よりも小さな少年に、頭をぺこりと下げた
彼とて男子、己の体格を気にしていないわけがない
普段が余りにも威風堂々としているものだから、ついそんな印象がなくなってしまっていたけど

神代理央 >  
「様々な意見があって、色んな考えの人がいて。
話し合って、物事を解決していく。
それが一番良い事であることは、分かってはいるんですけどね。
ついあちらこちらに噛みついてしまうのは、私の悪い癖かもしれません」

己の弱音も、何もかも肯定した上で彼女は自分の意見を告げる。
考え方も勿論だが、何より先ず他者を肯定すること。
それが一番、彼女と己の年齢差を感じさせた。
先輩なんだなぁ、とちょっと間の抜けた事を考えながら
クスリと笑って自分の悪い癖を冗談の様な口調で答えるのだろう。


……しかし、それはそれ。これはこれ。
男としての尊厳を巴投げからのジャイアントスイングされた少年は、ジト目からの仏頂面。

「謝られると余計に傷付くんですけど。
大体、異能も魔術もあるのに単純な身体能力を測るなんてナンセンスです。
そんな時代遅れの講義だと知っていれば履修しなかったし、補習なんて無様な結果にも――
……………ええと、その。頭、あげてください。体術は、ぜひ、その、教えて頂ければ…」

完全に愚痴だった。
鉄火の支配者として纏う尊大さと傲慢さは微塵も無い。
仏頂面の儘、半ば独り言の様に愚痴を零した後――頭を下げた彼女に、慌てて声をかけ、此方も頭を下げるのだろう。
困った様な声色と態度は、年相応に幼くも見えるのだろうか。

伊都波 凛霞 >  
「つい口が滑っちゃっただけだからー、今度甘いもの奢るから機嫌なおして?」

言われるがまま顔をあげ、お願い!と両手を合わせる
…とはいえ彼自身も色々と口が滑ったのか、こちらに頭を下げてくれた

……補修受けさせられたんだ

「一般的な逮捕術だけだと相応の体力なんかが必須になっちゃうからね」

ほんの僅かに苦笑する
理央少年は身体能力には相応の、コンプレックスがあるらしかった

「異能も魔術も身体能力も、全部揃った相手だっているかもしれないからね。無駄にはさせないよ」

そう言って少年の肩にそっと触れて、姿勢を起こさせ…

「というわけで、言い忘れたけど新年度から現場復帰。また一緒に頑張ろう、理央くん」

そう言って、再び変わらぬ笑顔を見せた
タイミング良く…ということもないが、通信端末が鳴り…帰還命令を受ける
あれからそれほど時間は経っていないが、先程の遺骸搬送に関しての詳しい報告をまとめなければならなかった

神代理央 >  
「……桜餅が食べたいです」

春のスイーツと言えば色々あるが、春と言えば桜。桜と言えば桜餅。両手を合わせる彼女に、頭を下げた儘ぽつりと呟いた。
奢ってくれる、と言うのなら遠慮なく御相伴に預かるとしよう。
彼女なら、その女子力の高さ故に美味しい店を沢山知っていそうだし。
……一緒に住む少女には、内緒にしておいた方が良いだろうな、なんて。ちょっとだけ保身に走ってしまうお年頃。

「…分かってはいるんですけどね…。筋トレとか、目に見える数値で結果が出にくいものはどうにも苦手で…。
…でも、先輩との訓練ならきっと勉強になると思います。
その時は、よろしくお願いしますね」

よくよく考えてみれば、別に彼女も筋骨隆々という訳では無い。
勿論、相応に必要な筋肉はあるのだろうが、その見た目は可憐な美少女だ。
つまり、華奢に見える自分がそれなりの身体能力を得る可能性も十二分にある。あるはず。あるといいな。
兎も角、体術に評価の高い彼女の指導は是が非でもといったところ。
肩に触れた彼女の手が己の身を起こすのなら、穏やかに微笑んで頷くのだろう。

「ええ、此方こそ。宜しくお願いしますね、伊都波先輩」

何時もと変わらぬ笑み。溌剌とした、頼れる風紀委員としての笑み。
そんな彼女の言葉にこくり、と頷いたところで――己の通信端末も甲高い電子音を立てる。
内容は見る迄も無い。どうせ、書類仕事だ。

「……取り敢えず、新年度早々私達を苦しめる敵を片付けにいきましょうか。
書類とか、書類とか、報告書とか」

クスリと笑って、そう告げたのなら。
彼女と共に本庁への帰路に着くのだろうか。
久し振りに出会った彼女とは、本庁までの道すがらも色々と語り合ったのかもしれない。
仕事のこととか。仕事のこととか。…スイーツのこと、とか。

伊都波 凛霞 > っと、意外?に可愛らしいところをついてきた
桜餅、と零す少年に思わず満面の笑顔
桜餅だけにとどまらず、この時期は桜フレーバーのスイーツがてんこ盛りだ
先輩としては色々奢ってあげたくなるのはこう、年上のサガだろうか

「──ん。それじゃ、行こっか」

ちょっと買い食いなんかでも?と思ったりしたが二人揃って風紀の腕章
奢りの話は次までとっておくことにして、共に委員会街までの道を、会話を交わしながら帰投したのだろう

ご案内:「歓楽街」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」から伊都波 凛霞さんが去りました。